Weekly  Music Feature -  Pom Poko   

 Pom  Poko


純粋なノルウェーのパンキースウィートネス。パンクなアティテュードにポップ史のオタク的知識が加わり、Le Tigre、Deerhoof、Duchess Saysと比較される爆発的なパッケージとなった。甘く歌い上げるヴォーカルに、激しいグルーヴ、軋むようなギター、クレイジーなリフがミックスされ、ポンポコをライブスペースで圧倒的な存在にしている。男性ホルモンを減らし、甘味料たっぷりのアイスクリームを食べ、糖分を増やし、いずれ到来するK-PUNKの爆発に備えておこう。


ポンポコは成長し続けている。内省的で人生を肯定するポストパンクの記念碑『Champion』では、ヴォーカル/作詞のラグンヒル・ファンゲル・ヤムトヴェイト、ベースのヨナス・クロヴェル、ギターのマーティン・ミゲル・アルマグロ・トンネ、ドラムのオラ・ジュプヴィークが、密閉されたタイトな4人組ロックという楽器編成という点でも、従来で最も親密な関係を築き上げる。多くのバンドが互いを「ファミリー」と呼ぶのは少し陳腐な表現に過ぎるが、Pom Pokoの場合、何年にもわたり世界の隅々をツアーし、大胆にも大衆的なソングライティング・プロセスを導入した結果、彼らは本当に高度にシンクロした1つのユニットへと進化したことは確かだ。


「このアルバムが出るころには、バンドを結成して8年になる。まるで進化しているみたい。いつもバンドと一緒にいるわけじゃないし、自分たちが築き上げたものに対する感謝の念が湧いてくる。奇妙で、素敵な小さなギャングのよう。パワーパフガールズの一員になったような感じだ」


『Champion』は、2019年の鮮烈なデビュー作『Birthday』、2021年の絶賛された『Cheater』に続く、ポンポコの3枚目のアルバムである。どちらのアルバムもバンドのサウンドを確固たるものにした。ポスト・パンクからマス・ロック、そしてその中間にあるものまで、様々なサウンドを奏でるバンドの痛烈なノイズの猛攻を、ラグンヒルドの甲高くも澄んだ歌声が際立たせている。


「私たちは、バンドに生活のすべてを捧げているような、非常識な量のツアー中にバースデーを作りました」とドラムのオラ。「現実的な理由から、私たちは最近、お互いの定期的な交流から離れなければいけなかった。マーティンがパパになったから、しばらくリハーサルができなかった。安っぽく聞こえるかもしれないけど、自分が何を手に入れたかなんて、なくなってみないとわからないもの。これまでずっと、ポンポコと一緒に演奏していたときの感覚は、バンドで演奏するときの一般的な感覚だと思い込んでいたんだけど、そうじゃなかった。実は、このバンドでしか発生しない、ほかでは得難いスペシャルな感覚だったんだ」


一緒に演奏することへの感謝の念の高まりは、そのまま音楽にも反映されている。ポンポコは相変わらず鋭いエッジを保っているが、辛辣なギターの爆音と弾力性のあるベースラインの切れ味には、新たな成熟が滲み出ている。「『Champion』には、以前のアルバムよりスペースがあり、実験する余地が残されていた」とギターのマーティンは言う。「でも、曲作りやプロダクションの面では、他の多くの作品ほど即興的ではなく、より要点を押さえたものになっているはずだよ」


ポンポコはこのアルバムで初めてセルフ・プロデュースを行なったが、それは彼らの創造的な自由感をさらに高めるものだった。


「テレパシーのように仕事ができるようになった」とオラは話す。「アルバム制作中、スタジオではほとんど話さなかったし、お互いに伝えなければならない芸術的な意図もほとんどなかった。それでも、みんな、自分が何をすべきかわかっていたんだ」 


プロデューサーとコミュニケーションを取ろうとすると、たくさんのアイデアを詰め込んでしまいがちなのかもしれない。今回初めてバンドとコラボレートしたアリ・チャント(PJハーヴェイ、オルダス・ハーディング、ドライ・クリーニング)がミックスを担当した『Champion』は、ポンポコの特徴的なサウンドを継承しつつ、コントロールされ、実現的で、成熟した作品となっている。


とはいえ、アルバムのタイトル曲には少々皮肉な意味が込められているらしい。チャンピオンになること、目標に秀でることとはどういうこと? その目標が変わったらどうなるの? 楽しく甘いサウンドのインディー・ロックの中で、ボーカルのラグンヒルドは、人生は自分で切り開くものだということ、つまり、実は自分なりのルールでプレーしてもいいということを歌っている。


「チャンピオンという言葉は最初から念頭にあった」とボーカリストのラグンヒルドは説明する。新曲の制作中、即興的で無意識的なジャム・セッションの最中に歌詞をふいに思いつくこともあり、それがポンポコの音楽に超現実的な輝きを与えることになった。


「ある晩、自分のアパートで、このタイトルの歌詞を作った。アパートの前に大きな駐車場があって、そこに座って外を眺めていた。すると、バンに乗っていて、ツアーをしていて、今まで行ったことのある駐車場のすべてのイメージが鮮やかに浮かんできた。この曲は、''歳をとって、もう世界を征服する必要はない''という実感について歌っている。すべて自分たちのためにやっている。20年続くバンドでいられたら本当に素晴らしいこと。私達はトップではないけど、同時にチャンピオンでもある」



Pom Poko 「Champion」-  Bella Union

 

ノルウェー/オスロの四人組、Pom Pokoは、Deerhoofの後継的なアートロックバンドで、他にも、Fastbacks、The Dismemberment Plan、Jaga Jaggistといったバンドに近いユーモラスな音楽性が特徴だ。これらのバンド名を知っている人ならば、ニヤリとしてしまうようなグループである。

 

オスロのポンポコは、三作目のスタジオアルバム「Champion」で素晴らしい結果を残している。ポンポコのサウンドは、基本的にはパンクやポストパンクに属するが、マスロックやポストロックの系譜にある変拍子を主要なモチーフの合間に挿入することで、楽曲に奥行きと変化を与える。ポンポコのサウンドの土台を作るのは、ジョン・ボーナム級のタム回しの技巧を誇るドラム、そして、ミュート奏法やルート弾き、ジャズコードを弾きこなすセンス抜群のフィンガー・ベースである。また、ディアフーフように、絵本的な世界観を表すミニマルミュージックの系譜にあるギター、そして、北欧神話や童話のようなイメージを持つボーカルというように、ノルウェーのバンドらしさが満載である。そして、これらのちょっと風変わりな音楽性に強い説得力を及ぼしているのが、歴代のプログレバンドやハードロックバンド、そして、アートロックバンドのような「アンサンブルとしての卓越性」である。Jaga Jaggistにとどまらず、オーストラリアのHiatus Kaiyoteのような近未来的な音楽性も含まれている。ただ、それは、ハイエイタスのようにフューチャーソウルの範疇で行われるのではなく、北欧神話やクトゥルフ伝説のような幻想性やファンタジックな音楽性によってもたらされる。それに親和性をもたらすのが、ラグンヒル・ファンゲル・ヤムトヴェイトのファンシーな印象を持つボーカルだ。

 

アルバムには、社会的に先進的な気風を持つ「ノルウェーという国家性」が力強く反映されているように感じられる。これはスウェーデンやノルウェーといった国家が、どれだけ社会的に進んでいるかを見ると良く分かる。ポンポコの音楽は、これまで多数の先進国に植え付けられて来たある種の「呪縛」から人々を開放させる力を持っている。既存の概念とは違う別軸の考えがどこかに存在すること、あるいは、主流とは異なる見解がどこかに存在することを示唆する。


これらは、かつてパンクバンドやインディーズミュージシャンの重要な役割であったが、いつしか、そういったミュージシャンの間でも奇妙な敵対意識が生み出され、一部のグループの間での競争主義や、ナンバーワン主義のようなものが蔓延していくことになった。あまつさえ、主流派の考えに流される動向も見出される。それでも、トップに上り詰めなければ意味がないという考えの先にあるものが何だったのか、今、現代社会全体は再検討する時期に差し掛かっているのではないか。それは他者を蹴落とすような先進性のかけらもない野蛮さや暴虐性、そして、目標が達成されなかった時に生ずる虚しさ以外、何物も生み出すことはなかったのである。


その先には、争いやドラスティックな戦争という事象に繋がっていく。これもまた、自分と他者、味方と敵という二元的な考えから発展している。結局、そういった競争主義がもたらすものは、勝者と敗者という対象性、網からこぼれ落ち、主流から踏み外した人々が感じる虚無主義でしかない。つまり、競争主義や資本主義社会の基底に大きな空隙を生じさせ、無数のニヒリストたちを発生させたのである。現代社会や後期資本主義が生み出した最大の負の遺産を挙げるとするなら、二元的な考えから汲み出されるニヒリズムである。そして、今、主流派がニヒリストの台頭に怯えるとすれば、''それを誰が生み出したのか''を考える必要があるかもしれない。

 

ポンポコは、言葉で音楽を捻じ曲げたりはしない。 また、アルバムの歌詞の中でも、ドラスティックな表現や明け透けなテーゼのようなものも、ほとんど登場しない。しかし、そういった宣伝的なキャッチフレーズや、ましてやプロパガンダのような謳い文句が登場する音楽よりも説得力が込められている点に、頼もしさと深い感動をおぼえる。時々、アルバムの曲に登場する「Family」、「Go」、「Champion」という、端的であり、その場では意味をもたないようなシュールな表現が、実際的には、しっかりと文脈で繋げられた文章よりも歌の中に浸透している。

 

 

 「1-Growing Story」

 

 

 

リリックにとどまらず、音楽的な側面でも素晴らしさが際立っている。ポンポコの曲には、「1-Growing Story」を見ると分かる通り、ミレニアム時代までの4ADのサウンドが貫流している。バンドのサウンドには上記のコアなバンドと併せて、Throwing Musesに近い要素が含まれている。これは何も偶然ではなく、レーベルボスのサイモン氏がこれらの4ADのコンセプトを的確に捉えているのだろう。この曲には、オレンジカウンティのパンクの奔放さから、70年代のイギリスのポスト・パンクのひねりのある感性に至るまで多角的に吸収しつつ、オルタネイトなロックの醍醐味を示そうとしている。それは先にも述べたように、「主流派とは異なる考えが存在する」という癒しを意味する。ポンポコは、ユニークでユーモラスなサウンドを介して、現代社会の一元的な考えから開放し、そして、それに固執することの虚しさを、やんわりと教唆するのである。それが音楽としての自由な感覚を生み出し、そして開放的な気風をもたらす。

 

アルバムを聴いていると、今までとは違った見方があるかもしれないと思わせることもあるし、そして、もう一つ、フレンドシップが音楽という形で築き上げられていることも見過ごせない。結局、敵か見方かと見定めるような視点は、二元的なものの見方から生ずる。しかし、このアルバムは、右にも、左にも、上にも、下にも、斜めにも他の考えがあると示唆している。


「2- My Family」は、Deerhoofの影響も含まれているかもしれないが、少年ナイフ、Melt Bananaといったガールズパンクバンドの音楽性を受け継いでいるように感じられる。そして、その中に、グリーン・デイのような男性中心のバンドとは相異なるファンシーな音楽の印象をもたらそうとしている。表面的には、パンクロックの印象が目立つが、その中にジャングルポップ、パワー・ポップの甘酸っぱい魅力が凝縮されている。甘いメロディーと夢想的な感覚については、Fastbacksの系譜に位置づけられると言える。それらをマスロックやポストロックの変拍子を織り交ぜたテクニカルな曲構成によってバリエーションをもたらし、モダンな感覚を添える。


「3- Champion」は、今年聴いたインディーロックの中でベスト・トラックに挙げられる。''私達はトップではないが、チャンピオンである''という考えは、現代社会において最も先進的な考えかもしれない。少なくとも、競争主義社会の中でもみくちゃにされ、存在意義を見失い、内的な悲鳴を抑え込む人々にとって、救いのような意味を持つ。それをカーペンターズの影響下にある慈愛的な音楽性を基にして、ポストロックという形式に繋げたことは大いに称賛されるべきだ。

 

Throwing Muses、Frankie Cosmosのように、シュールで穏やかなインディーロックとしても楽しめるが、何より、この曲のヤムトヴェイトのボーカルには泣かせる何かがある。そして、バンドアンサンブルを見てもまったく非の打ち所がない。他者の個性を尊重した上で、自分の個性を発揮している。ギターやドラムのタイトさも凄いが、フィンガーベースの卓越性に注目である。

 

 

「Champion」- Best Track

 

 

「4- You're Not Helping」に見出されるような、ちょっとシュールで斜に構えたような感じは、従来のガールズパンクバンドの直系にあるといえようが、もう一つのアート・ロックバンドとしての性質が垣間見える瞬間もある。そして、「音楽でしっかり連携が取れていたので、録音現場で会話をする必要がなかった」というエピソードは、この曲にはっきりと反映されている。


曲のイントロでは、Deerhoof、Le Tigreのようなワイアードなサウンドを起点として、四人の間で対話をなすかのように音楽が徐々に変遷していく。アート・ロックからポスト・パンク、そして再びワイアードなアート・ロックへとセクションごとに音楽性を変化させる。ときどき、ベースに激しいオーバードライヴを掛けているが、しかし、ヤムトヴェイトの親しみやすいボーカルにより、マニア性が中和されて、聞きやすさが保たれる。これは文章の読みやすさの配慮と同じように、聞き手に対する音楽の聴きやすさの配慮がなされている。つまり、一般的に理解しがたくて、難解な音楽性も登場する反面、全体的にはわかりやすさが重視されている。

 

 

冒頭で述べたように、童謡的な音楽、あるいはまた北欧神話のような幻想的な物語の特性は、続く 「5− Pile of Wood」に力強く反映されている。しかし、それは一貫して一部のマニア向けのものではなく、一般性に重点が置かれている。また、ボーカルに関しては、小さな子供に絵本やおとぎばなしを読み聞かせるような''柔らかく優しげな音楽''の印象を立ち上らせる。そして、音楽性の抑揚の変化も軽視されることはなく、The Clienteleの最初期のようなアートロックの柔らかさを押し出したと思えば、それとは対象的に、Deerhoofのパンキッシュな側面を暗示したりというように、コントラストを用いながら、多角的なサウンドが構築されている。これらはやはり、バンドの卓越した演奏技術や音作りの職人性から生じている。それらがこの上なく洗練されているから、こういった個性的でありながら、親しめる音楽が作り上げられるのだろう。 

 

夕暮れの波の静かな満ち引きのように、幻想的で美しいサウンドがアルバム全体の流れを形づくり、強い印象を持つ序盤、それとは対象的に静かな印象を持つ中盤部というように、作品全体としての起伏やアクセントをもたらし、後半部への連結や繋ぎのような役割を果たしている。

 

「6- Bell」は、古典的な米国南部のフォーク・ミュージックをベースにしている(と思われる)。Lynyrd Skynyrd(レナード・スキナード)のような米国南部のフォーク・ミュージックを夢想的で幻想的なインディーロックへと昇華させ、それらを幻想的で落ち着いたイメージで包み込んでいる。この曲でも、クロヴェルのベースのプレイの傑出した演奏が見出される。ボーカルと対旋律を描くのは、ギターでなくベースである。これらの演奏は、この楽器のリズムとは異なる主旋律の補佐としての重要な役割を果たしている。そして、それらを引き立てるようにギターの繊細なアルペジオが加わり、緻密なアンサブルが構築される。曲の中盤と後半では、ボーカルの祝福的な響きが心を捉える。本作の中で最も癒やしに満ち溢れたナンバーである。

 

アルバムは後半に差し掛かると、まるで本質的なテーマに迫っていくかのように、パンクバンドとしての勢いを取り戻す。ガールズパンク、アート・ロック、ポスト・ロックという3つの音楽性を元にして、ユニークな音楽性を組み上げていく。「7-Go」はギターのイントロをベースに、パンキッシュな印象を持つバンガーへと変化していく。オレンジカウンティのパンクバンドのように、開放的な感覚やアンセミックなフレーズを散りばめつつ、個性的な楽曲を作り上げていく。もちろん、中には、シンガロングを誘発するようなフレーズも登場することがある。

 

「8- Never Saw It Coming」では、70年代のX-Rey Specsのようなコアなポストパンクの影響を受け継ぎ、アート・ロックに近い音楽性へと昇華させている。また、バンドの趣味なのかもしれないが、曲の中には心なしか、アメリカンコミックやスチームパンクのようなサブカルの匂いが感じられる。それはセサミストリートのようなユニークな音楽性とパンクによって縁取られる。

 

 

 「9- Druid, Fox And Dragon」は、初期のDeerhoofの系譜にあるアートパンクであるが、たとえ後追いのような内容であるとしても、バンド全体のファンシーでユーモラスなイメージや、高い演奏力において、じっくり聞かせるものがあるため、単なるフォロワー以上の意義を見出すことができるはずである。そしてやはり、楽器全体の音作りは、IDLESに匹敵するくらいのマニア性とこだわりがあるのだが、しかし、ライヴで矢面に立つフロントパーソンのボーカルは、一貫してビートルズのようなわかりやすさ、歌いやすさが重視されている。そのため、曲全体はまったく難解にもならなければ、複雑怪奇にもならない。そして、どれほど複雑な構成をセクションに交えようとも、美しい旋律性が損なわれることはない。これはバンドとしての全体的な役割がはっきりしており、さらに言えば、音楽で会話が出来ているからなのかもしれない。

 

アルバムの後半にも凄まじい曲が収録されている。音源からバンドの演奏の卓越性がストレートに伝わってくる事例として、例えば、Hiatus Kaiyoteの最新アルバムが挙げられるが、「10 - Big Life」はそれに匹敵するか、もしかすると、上回る瞬間もあるかも知れない。ロンドンのIDLESのような実験的なベースやギターの音作りを起点に、Led Zeppelinの「Achiless Last Stand」を彷彿とさせるトロットのようなリズム、鋭い風車のようなドラミングのタム回しが炸裂する。

 

これは、ポンポコがバンドとしての頂点に到達した瞬間であり、長らく忘れ去られていたハードロックやプログレッシヴ・ロックの核心が示されている。ただ、そういったハードな側面で終わらないのが、このバンドの醍醐味である。クローズ「11- Fumble」では、冒頭のような、カーペンターズの系譜にある慈愛的なインディーロックへと回帰している。そして、ヨーデルやスキャットのような特殊な歌唱法を元に、孤高のインディーズ・ミュージックを構築している。「Champion」は、Jaga Jaggistの主要作品と同様に、北欧のインディーズロックがいまだに主要な市場を誇る国々の音楽にまったく引けをとらぬ高水準の内容であることを示唆している。





95/100

 


 

 

 Best Track- 「Big Life」

 

 

 

*Pom Poko 「Champion」はBella Unionから本日発売。ストリーミング等はこちらから。

 

 

 

Details: 

 

「1-Growing Story」A

「2- My Family」B

「3- Champion」SS

「4- You're Not Helping」B

「5− Pile of Wood」A

 「6- Bell」S

 「7-Go」A

 「8- Never Saw It Coming」A

 「9-Druid, Fox And Dragon」B

 「10- Big Life」S

 「11- Fumble」 A

 

©Young Ha Kim

Angie Mcmahon(アンジー・マクマホン)は、最新アルバム『Light, Dark, Light Again』と同時期に書かれた5曲を収録した『Light Sides EP』を発表した。リリースは9月13日に予定されている。


「Untangling」は、マクマホンのライブ・バンドとのツアーの合間に、パケナムにあるアレックス・オゴーマンのスタジオでレコーディングされた:ドラムはラクラン・オケイン、ギターはジェス・エルウッド、キーはステラ・ファーナン、ベースはアレックス・オゴーマンだ。「マクマホンは声明の中で、「この曲は、私の人生に深く関わっている人について書かれた」と説明する。

 

直近のシングル「Just Like North」に加え、新曲「Untangling」が収録されている。以下からチェックしてほしい。

 

 

 「Untangling」


 

 

 

Angie McMahon 「Light Sides EP」


Label: AWAL

Release: 2024年9月13日

 

Tracklist:

1. Beginner

2. Just Like North

3. Untangling

4. Interstate

5. Take Up Space

 Best New Tracks- Bonobo 「Exapander」


Bonoboが1年半の活動休止を経て、ニューシングル「Expander」をNinja Tuneからリリースした。アシッドハウスのビートにジャズのエッセンス、ボーカルのサンプリングを加え、絶妙な風味を持つレイヴミュージックに仕上げている。数年前、プロデューサーは来日ツアー時に鰹節の制作体験をしたが、それと同じように、きわめて''職人的''である。(ストリーミング/ご購入はこちら

 

Ninja Tuneから今週末にリリースされた 「Expander 」は、紛れもないボノボのEDMの一片を切り取ったトラックである。オーガニックなヴォーカルとインストゥルメンタルをピーク・タイムのダンスフロアの感性を巧みに織り込んだこの曲は、この夏を代表する曲のひとつとなるだろう。

 

先日、グラストンベリーのLEVELSステージで行われた彼のロードブロック・セットに続いて、未発表曲のクリップが多数公開された。ステージでのロードブロック・セットの後、この未発表曲のクリップが多数ネット上に出回り始めている。ファンの間でIDを求める声が上がっている。


このトラックは、彼の伝説的なイヴェント”OUTLIERセット”ですでに定番となっているという。Bonobo自身がキュレートしたこのイベント・シリーズは、彼のDJとしての継続的な影響力を示すと同時に、新世代のアーティストが彼自身のリリースに抱いている尊敬の念も示している。

 

昨年は、以下の豪華なメンバーがイベントのDJラインナップに加わっている。Barry Can't Swim、DJ Koze、Sofia Kourtesis、salute、Kelly Lee Owens、Mall Grab、DJ Tennis、Dixon、TSHA、SG Lewis、Young Marco、Kerri Chandler、Carlita、Elkka、HAAi、John Talabot、Paula Tapeなど。

 

ロンドンのドラムシェッズで開催された15,000人収容のライヴイベントは、今シーズン最速のセールスを記録した。Bonoboはまた、先日ロサンゼルスで行われた”Friends & Family”のポップアップでDisclosureとB2Bを行った際にもサイモン・グリーンは「Expander」をプレイしている。

 


「Expander」は、ボノボがアルバムの発表の合間にリリースする、ヘヴィでクラブ・テイストなシリーズの一貫として発売された。2022年の 「Defender 」と 「ATK」、続く、ジャック・グリーンとのコラボ曲 「Fold」、2020年のTotally Enormous Extinct Dinosaursとのアンセミックなニューヨーク・ディスコ風 「Heartbreak 」12インチシングルに続く作品となる。今後の作品にも期待したい。

 


「Expander」

The Jesus Lizardが1998年以来となるニューアルバム『Rack』を発表

Joshua Black Wilkins

 

Preview

 

1970年代にオハイオやサンフランシスコが、Devo、The Residentsのような突然変異的なグループを送り出したように、90年代のテキサスは異端的なカルトバンドを輩出した。西海岸でもなく東海岸でもない、南部に位置するテキサスから、Butthole Surfers、Jesus Lizardといった最も個性的なバンドが出てきたことは、おそらく偶然ではなかったのである。テキサスのバンドは、いつも西海岸と東海岸の文化にもみくちゃにされながら、得難い文化的特性を生み出してきた。これらのバンドはどこからこのような音楽が出てきたのかと不思議に思わせる。

 

オースティン出身のヘヴィロックバンド、The Jesus Lizard(ザ・ジーザス・リザード)は、''Touch and Go''から初期のキャリアを出発させ、以降、グランジ/オルタナティヴのもう一つの流れを形作った。ある意味では、ワシントン州アバディーンのMelvinsとともに最重要視すべき存在である。

 

ジーザス・リザードの代表作は1990年代に集中しており、「Shot」、「Down」、「Liar」等がある。狂気的なボーカル、Drive Like Jehuを彷彿とさせるサイケデリック性とドライブ感のあるハードコアパンクを劇的に融合させた。どうしようもない駄曲もあるが、一方でハードコアやグランジの名曲もあるという点では、掴みどころがないバンドというのがJesus Lizardの正体であると言えそうである。同レーベルでは、スティーヴ・アルビニのバンド、Big Black、Shellacが有名だが、音楽そのものの過激さという面では、The Jesus Lizardがはるか上である。

 

ロックバンドは、常に社会的な役割の中で生きざるを得ない。そしてバンドはいつも社会的な生き物である。作り上げた音楽によって、社会や多くの人々にどんな影響を及ぼすのか。メジャーバンドからカルトバンドまで役割はさまざまである。The Jesus Lizardは、人間の中にある狂気や内面的な悲鳴を、カルト映画にようにリアルに描き出してきた。普通ではないもの、一般的ではないもの、異端的なもの、嫌悪を誘うもの、おぞましいもの、目をそむけたくなるようなグロテスクさ、彼らのロックミュージックは、そういった狂気がいかなる人々の中にも内在し、それをときにひた隠しにしていることを示唆する。かつてはピンク・フロイドがそのことをやったが、Jesus Lizardに関しては、それをアンダーグラウンドのレベルで行ってきた。

 

『Blue』以来の『Rack』は、バンドにとって何と約26年ぶりの新作となる。90年代終わりで、すべてをやりきったかに思えた、オースティンのバンド、そして、ヨウはまだなにかやりのこしたことがあるのだろうか?? 少なくとも、アルバム・ジャケットを見ると分かる通り、彼らはダブーへの挑戦、そして、デヴィッド・リンチの映画のような社会派の告発としての役割を残している。もし、次作に後期資本主義へのアンチテーゼやブラックユーモアが含まれているとするなら、それはJesus Lizardのロック音楽がまだリアリズムを失っていないことを意味する。

 


1st Single 「Hide & Seek」


プレスリリースの中で、ヴォーカルのデヴィッド・ヨウはリードシングル「Hide & Seek」について次のように評している「お行儀の悪い魔女の小唄であり、マイク・タイソンの試合と同じくらいフックがある」さらに、ギタリストのデュアン・デニソンは、「過去への言及は確かにあるが、それは出発点としての意味合いが強い。そこに留まることはない」と語る。


ジーザス・リザードは2009年、少数のライヴのために再結成された。「文字通り、レコードを作ったら楽しいと思ったから作っただけ」とベーシストのデイヴィッド・WMはコメントし、ドラマーのマック・マクナイリーも「僕たちは作る音楽によって、互いへの尊敬によって結ばれている」と語った。

 

 

 「Hide & Seek」




2nd Single 「Alexis Feels Sick」

©Joshua Black Wilkins

ザ・ジーザス・リザードが、26年ぶりのアルバム『ラック』からセカンドシングルを発表した。「Alexis Feels Sick」は、ボーイズ/ソウルサイドのドラマー、アレクシス・フライシグにインスパイアされた曲だ。

 

ヴォーカルのデイヴィッド・ヨウは、「アメリカの後期資本主義を嫌らしくコミカルに印象派的に描いた...、犬も出てくる」と表現したビデオを制作した。

 

ギタリストのデュアン・デニソンは、この曲を "貪欲、大食、そして...犬の研究 "と呼んでいる。以下からチェックしてほしい。

 

 

「Alexis Feels Sick」


 

 

3rd Single  「Moto(R)」



ジーザス・リザードがニュー・シングル「Moto(R)」を公開した。この曲は、前作「Hide & Seek」と「Alexis Feels Sick」に続き、バンドの近日発売アルバム『Rack』からのものだ。「Motörheadでもないし、Radioheadでもない」とギタリストのデュアン・デニソンは語っている。

 

以下のジョン・タッカー監督によるミュージックビデオでチェックしてみよう。ミュージックビデオは、バンドのライブの映像が使用され、サブリミナル効果として奇妙な目が登場している。

 

 

 「Moto(R)」

 

 

* The Jesus Lizardの26年ぶりとなる『Rack』は、9月13日にIpecacよりリリースされる。

 

 

The Jesus Lizard 『Rack』


 

Label: Ipecac

Reelase: 2024/09/13

 

Tracklist:


1. Hide & Seek

2. Armistice Day

3. Grind

4. .What If?

5. Lord Godiva

6. Alexis Feels Sick

7. Falling Down

8. Dunning Kruger

9. Moto(R)

10. Is That Your Hand?

11. Swan the Dog

 

Fievel Is Glauque

ブルックリンのアートポップデュオ、Fievel Is Glauqueがセカンドアルバム『Rong Weicknes』を発表した。2022年の『Flaming Swords』に続くこの作品は、Fat Possumから10月25日にリリースされる。リード・シングル「As Above So Below」は本日リリースされ、ミュージックビデオは以下よりチェック。


「As Above So Below」について、デュオのザック・フィリップスは声明の中で次のように述べている。


「このフレーズは、錬金術と後のオカルティズム運動の基礎となった9世紀の秘伝書『エメラルド・タブレット』に由来している。頭でっかちに聞こえる?? 普段はピアノと声だけで即興的に少しずつ書くんだけど、結局、70年代のドラム・サンプリング・レコードのループをフリーソフトでラップトップ・マイクを使って録音し、それをドラマーのガスパール・シックスとパーカッショニストのダニエル・ロッシがスタジオで再解釈して、散らばった曲の部分から『As Above』を構成した」


「2023年の2、3回の作曲旅行で35曲以上書いた後、おそらく今までで最もオーソドックスな曲を完成させたことに驚いた。歌詞は、典型的なポップ・リリシズムを荒らすものとも、同調するものとも言える。(ミュージック・ビデオ・ディレクターの)ジョーイ・アグレスタに、視覚的に何を想像しているかと聞かれたとき、私は「サウンド・オブ・ムジ」としか答えられなかった」



「As Above So Below」




Fievel Is Glauque 『Rong Weicknes』


Label: Fat Possum
Release: 2024年10月25日

Tracklist:

1. Hover
2. As Above So Below
3. Would You Rather?
4. Love Weapon
5. Rong Weicknes
6. Toute Suite
7. It’s So Easy
8. I’m Scanning Things I Can’t See
9. Kayfabe
10. My Oubliette
11. Dark Dancing
12. Great Blues
13. Transparent
14. Eternal Irises
15. Haut Contre Bas

 

©︎Dan Monick

バンクーバー出身のインディーロックバンド、Japandroids(ジャパンドロイズ)が、ファイナルアルバム「Fate & Alcohol」のセカンド・シングル「D&T」をリリースした。10月18日にリリースされるこのアルバムは、シングル「Chicago」がリードしていた。新曲は以下でチェックしてみよう。


この曲の起源について、ギター・ボーカルのブライアン・キングはこう説明している。


「私たちは1年半ツアーを続けていて、フィリーでの4夜公演で旅を締めくくる予定だった。疲労困憊し、だらしなく、声は枯れ、心はカラカラになりながら、早めに到着した。サウンドチェックまで何時間もあったので、私は散歩が必要だと思い、タバコを吸って外に出た。半ブロック後、私は見知らぬ男に呼び止められ、''フィラデルフィアの通りをあてもなく歩き回る酒飲みやコーキージョーを見てきた''と丁寧に言われた。彼を水を差し出した。恥ずかしそうにスツールに戻った私は、バーの後ろの鏡に映った自分の姿を見て切なくなり、この曲を書き始めたんだ」



「D&T」

NIKI 『Buzz』

 

Label: 88rising

Release: 2024年8月9日



Review

 

今週最後に紹介するのは、インドネシア出身で現在ロサンゼルスをベースに活動するシンガーソングライター、NIKIの最新作『Buzz』です。ニューヨーク・タイムズの特集で紹介されたほか、イギリスのDIYでも取り上げられた現在最も注目を受けるシンガーソングライターで、世界的なブレイクの予兆は見えている。新世代のベッドルームポップ/インディーポップの新星の登場です。

 

前作アルバムでは、高校生時代のヤング・カルチャーを織り交ぜた若い年代のポップスを制作したが、最新作『Buzz』では、ベッドルームポップやインディーポップをベースにし、R&Bやファンクのテイストを織り交ぜている。もちろん、アルバムの音源という単位でも良作であるには違いないが、TikTokやInstagramの現代的なデジタルカルチャーを反映させていることに注目だ。曲ではソーシャルメディアの影響を織り交ぜ、軽やかで耳障りの良いポップスは今、多くのリスナーの需要に応える内容である。また、同時的に、beabadoobeeにも近いソングライティングで、その中にはバロックポップや古いファンクからの影響もあるが、NIKIの場合は、ソフィスティポップに近い爽やかな質感を持っている。夏の暑さを取り払うのに最適な13曲で、NIKIは並み居る現代的なシンガーソングライターの中で力強い存在感を示そうとしている。

 

全般的には現行のインディーポップの範疇にあるソングライティングが際立っているが、それと同時に、西海岸のビーチ周辺のリゾート的な雰囲気も漂う。アルバムのタイトル曲「Buzz」はAORをベースにし、ギターロックやベッドルームポップのテイストを添えている。また、スポークンワードを部分的に取り入れるという点では、現代的なソングライティングの範疇に属する。耳障りの良いギターロック/インディーポップという側面ではヒットの要素が凝縮されているが、同時に88rinsingのストリート系のアパレルを扱うファッションブランドとしての要素も度外視することが出来ない。NIKIのポップスは、アパレルショップのBGMに最適であり、スタイリッシュな感覚に縁取られている。それほど音楽に詳しくないリスナーにとって「Buzz」は刺さる何かがあるに違いない。そして西海岸のストリートを肩を切って歩くようなクールな感覚もシンガーの曲の特徴である。

 

アルバムにはアジア的というよりも、サンセット・ブールバードのようなカルフォルニアの観光地の空気感に浸されている。ヤシの木の間をはしる大通りをスポーツカーで流すような感覚。時間の移ろいとともに、西海岸の海の向こうに陽が沈んでいく様子、時には情景……。それらのロマンティックでリラックスした感覚は、ハリウッドスターが出没するかもしれないスポット、あるいはシネマカルチャーを反映させたロサンゼルスの名産地の空気感を体現している。

 

「映画配給会社の最大手、パラマウントのテレビ・スタジオが今週末にも閉鎖され、また、会社の従業員の何割かが解雇予定であり、制作中の映画がテレビ・メディアのCBSの管轄に入り、さらに、同社の社長のクレメンス氏がすでに会社を離れる準備をしている」と、昨日報道されたような映画業界の難しい事情があるにせよ、NIKIは、そういったシネマ・スターのいるであろう街角で、現代的な産業の動向を軽やかに笑い飛ばすかのように歌い、涼やかな目で見守り続ける。''スターなんてどこ吹く風''という感じなので、どちらかと言えば、アンチ・ヒーローのような立ち位置を取り、涼やかなボーカル及びポップソングを披露するのである。これが現代的なリスナーに支持される要因ではないかと思われる。つまり、歌手は、トレンドを見ているようでいて、そこから少し距離を取っているのである。ただし、NIKIという歌手が単なるソーシャルメディア世代の範疇を出ないティーンネイジャー風のシンガーソングライターであると侮るのは早計かもしれない。「Too Much of A Good Thing」は、 レニー・クラヴィッツのようにファンクとロックを融合させたスタイルで本格派のミュージシャンの気配を漂わせる。この曲はロサンゼルスのR&Bのニューエイジを象徴付けるような素晴らしいナンバーである。


アルバムの中盤では、他のインディーポップスターと同じように、ギターロックやロックスターへの愛着を象徴付ける収録曲が目立つ。例えば、それは現代的な他のベッドルームポップのアーティストと同じようにヘヴィネスを徹底して削ぎ落とした聞きやすく耳障りの良いロックソングという形に昇華されている。ただ先にも述べたように、トレンドを意識しているからとはいえ、まったくこのシンガーのカラーやキャラクターがないかといえばそうではない。「Colossai Loss」では、エンジェル・オルセン風の「ポスト・プリンス」としてのポップソングが登場し、また、アルバムの前半のハイライト「Did You Like Her In The Morning?」では、内省的なインディーポップへと傾倒している。これらの2曲は一貫して、甘口のメロディーとキャチーなフレーズという現代のポップスの黄金比を駆使しながら、しなやかな雰囲気を持つ楽曲へと昇華させている。そして特に「Did You Like Her In The Morning?」では、バラードシンガーとしての才覚を秘めていることを伺わせるのである。まだそれは涙腺を震わせるほどのものではないにしても、少なくとも良質なポップソングを書こうというソングライターの心意気を感じさせる。

 

ドイツの人気ポピュラーシンガー、クリス・ジェームス(Chris James)のように軽快な感じで始まったこのアルバム。特に中盤において歌手の優れた才覚が見出だせる瞬間がある。「Take Care」は、 ストリングスの録音をミニマルミュージックとして解釈し、その枠組みの中で、Lana Del Reyの系譜に属するポピュラー・ソングを構築しようとしている。この曲に満ちわたるセンチメンタルな感覚と内省的な叙情性は、もしかすると、西海岸のポップスターの再来を断片的に予兆するものなのかもしれない。また続く「Magenets」でも、ティーンネイジャーらしいセンチメンタルな感覚をモチーフにして、キュートな感覚をポップスにより表現している。また、西海岸の歌手らしくローファイやチルウェイヴの反映もある。日本語のトラック「Tsunami」は、ヒップホップの系譜にあるメロディアスな要素を持つこのジャンルの特徴を受け継ぎ、西海岸の夕暮れの感覚や海辺の情景が暗くなっていく頃の切ない感覚を巧みに表現している。アンビエント、チルアウト、ローファイを複合的に組み合わせ、詩的で情緒溢れる音楽を巧みに作り上げるのだ。

 

 

トレンドのポピュラーとしては、「Blue Moon」にも着目したい。音程を暈すという手法は、現代的なポップスの範疇にあるが、その後、ヒップホップのビートを反映させ、ステップを踏むようなグルーヴを作り出す。反面、ポピュラーとしてのボーカルのメロディーはシーラン、スウィフトといったメガスターの作法を踏襲している。ただ、この曲に強い印象を及ぼしているのは、間違いなくヒップホップの系譜にあるビート。 それが曲に強いカラーをもたらす。

 

アルバムの後半では、コンテンポラリーフォークとベッドルームポップの融合というテーマがある。これがオーガニックな雰囲気を持つアンビエント風のシーケンスにより演出されている。「Strong Girl」はポピュラーとしては注目したい曲で、商業的なコンテンポラリーフォークの歌手としての卓越した才覚が示されている。ただ、本格派というより、親しみやすいTikTok時代の歌手としての立ち位置を取っているため、メロディーが聴覚にすんなり馴染んでくる。「Paths」では、Lana Del Reyが示唆した映画的なポップスという手法を受け継ぎ、バイオリンのピチカートをトラックの背後に配置し、モダン・クラシカルの影響下にあるポピュラー音楽を作り上げている。これらは実のところ、ディズニー映画のサウンドトラックで何度も繰り返されてきた作曲の手法であるが、ポピュラーの領域にそれを呼び込もうという姿勢に関しては、2020年代後半の商業音楽の呼び水、言い換えれば、前兆のようなものとなっている。

  


アルバムの後半では、ベッドルームポップの良質なナンバーが収録されている。例えば、この夏の終わりに、週末の友達の車で「Heirloom Pain」が流れてきたとしたら、センスが良いと思うだろう。この曲には繊細なメロディー、それとは対極にあるポップバンガーの要素が併存している。クローズにおいても、スタイリッシュなポップスというNIKIの主要なイメージは相変わらず。カルフォルニアの波のように爽やかなポップソングがアルバムの最後を華麗に彩る。

 

 

 

85/100

 


Best Track- 「Take Care」





Details:

 

「1- Buzz」A

「2- To Much of A Good Thing」A

「3- Colossai Loss」B

「4- Focus」C

「5- Did You Like Her in The Morning?」A


「6- Take Care」 S

「7- Magnets」 A

「8- Tsunami」A

「9- Blue Moon」B

「10- Strong Girl」B

「11-  Paths」A

「12-  Nothing Can」B−

Best New Track Wild Pink- 「Sprinter Brain」(8/15)

 


 ニューヨークのインディーロックバンド、ジョン・ロスのプロジェクト、Wild Pink(ワイルド・ピンク)は、10月4日発売予定のアルバム『Dulling the Horns』のセカンドシングル「Sprinter Brain」を配信した。

 

次作『Dulling the Horns』には、ジョン・ロスのトム・ペティからブルース・スプリングスティーンへの変身のプロセスが示されているというが、セカンドシングル「Sprinter Brain」はそのことを象徴付けている。ザラザラとした質感を持つオルタナティヴなギターロックの要素を踏まえ、アメリカン・ロックの伝統性である高らかなイメージを引き出し、彼の内在的な勇敢さを徹底して発揮する。曲の途中で、ホーンセクションがボーカルの高らかな印象を引き上げるが、それは脚色ではなく、本質の強調を意味する。アウトロのディストーション・ギターのフェードアウトを聞けば、忘れかけていた熱い感覚がどこからともなく込み上げてくるはずだ。

 

アメリカン・ロックの魅力というのは、映画のアクション・ヒーロー的な勇敢さに求められるわけではない。内省的な悩みや煩悶を抱えながらも、前に向かって真っ直ぐ突き進もうという直情的な純粋さにある。聞き手はロックソングとしての純粋な感覚に心を打たれることがある。


Wild Pinkのリーダーのジョン・ロスは、アルバムの制作前に、彼の命を脅かす病と戦うことになったが、彼は退くのではなく、前進することを選択した。勝てるかは分からないが、負けないことを選択したのだ。

 

セカンドシングルについてジョン・ロスは語っている。「この曲は、自分の問題に対処する方法を学ぶこと、そして、破局を迎えないことについて歌っている」と語っている。「この曲は、問題に対処する方法を学ぶこと、そして大惨事に陥らないことについて歌っている。この曲は、ここしばらく書いた曲の中で最も速い曲のひとつで、ライヴで演奏するのが本当に楽しい」

 

アルバムの制作について、「これらの問題に答えはない」とジョン・ロスは説明する。しかし、ダリング・ザ・ホーンズに関する限り、前進する道は少なくとも1つあった。「すべてを焼き払い、前進し続けることだった」このアルバムは、ノースカロライナ州アッシュヴィルのアレックス・ファーラーがミックス、イリノイ州シカゴのグレッグ・オービスがマスタリングした。

 


「Sprinter Brain」- Best New Tracks

 


マドリッドを拠点に活動するバンド、Hinds(ハインズ)はニューシングル「The Bed, The Room, The Rain and You」を配信した。9月上旬に発売されるニューアルバム『VIVA HINDS』に収録される。心地よいインディーポップソングで、海辺で撮影されたMVもロマンチック。

 

この曲は自主制作のミュージックビデオで公開され、アルバム発売前の最後のシングルとなる。この曲はアルバムの中で唯一、英語とスペイン語の両方で歌われている。ビデオは以下から。


『VIVA HINDS』は、バンドがデュオ編成になってからの最初のアルバムである。ヒンズは2011年にカルロッタ・コシアルズとアナ・ペローテによって結成されたが、キャリアの大半は4人組だった。2022年にアデ・マーティンとアンバー・グリムベルゲンが脱退し、デュオに戻った。


ニューシングルについて、バンドはプレス・リリースで語っている。 「この曲は、相手と一緒にいることや、それが報われるかどうかとは全く関係のないラブソング。私たちが話しているのは最もシンプルなバージョン。愛は、どこにでも持っていける魔法のシェルターのようなものなんだ」

 

「友人たち、バイク、ダンス、ありもしないビジネス、ベックのボディガード、アイスクリーム、ハリウッド、シュールレアリスム、小さな家......。とてもゆっくりと、私たちが本当にしていること、つまり音楽に注意を向けてもらえるよう、皆さんを導きたいと思いました。The Bed, The Room, The Rain and You』では、すべての始まりであるアルバムのレコーディングから物語を終わらせたかった」

 

Hindsのニューアルバム『Viva Hinds』は9月6日にLucky Numberから発売が予定されている。

 

 

「The Bed, The Room, The Rain and You」

 

©Jessie Cowan


Epitaphが送り出す若きティーンネイジャー・パンクバンド、The Linda Lindasは、学校の授業や宿題の合間にソングライティングやライブ活動をこなし、若きパワーでパンクシーンに活力をもたらす。パンクバンドという触れ込みで紹介されるが、ロック性に魅力があるのは明らかだ。

 

米国のテレビ番組への出演、サマーソニックへの出演等、国内外問わずワールドワイドな活躍をする。デトロイトのNikki & Corvettes、ニューヨークのBlondie、ロサンゼルスのL7といった新旧のガールズバンドの系譜に属するリンダ・リンダズは、商業音楽のライオット・ガールとしての重要な一面を受け継ぎながら、軽快なカルフォルニアのパンクサウンドのおおらかさで包み込む。そのキャッチーなソングライティングは幅広い年代層のリスナーに支持されている。



デビュー・アルバムでの初々しさや衝動性、そして荒削りさは、続くセカンド・アルバムでは「パンクバンドとしての大胆不敵さ」に変化するかもしれない。少なくとも、四人組が新しいフェーズに差し掛かったことを意味している。今年の秋に発売される次回作『No Obligation』からのセカンドシングル「Yo Me Estreso」は、ウィアード・アル "ヤンコヴィックをアコーディオンでフィーチャーしている。リンダ・リンダズらしいフックがあり、そして骨太なギターリフに加えて、彼女たちのもうひとつのルーツであるスペイン語のシラブルを交えて、ワルツのリズムをベースに、ティーンネイジャーらしい楽しさをロックソングにより全身全霊で表現する。


「"Yo Me Estreso "は、いつもストレスがあり、いつも不安で本当は怒っていないのに人が怒っていると思っていることについて。この曲は、コリージョス・トゥンバドス、バンダ、デュランゲンセを聴いてインスピレーションを受け、それを自分たちのパンク・スタイルで作った」という。


The Linda Lindasの次作アルバム『No Obligation』は10月11日にエピタフからリリースされる。

 


「Yo Me Estreso」

Oasis
©︎Kevin Cummins


オアシスは、1994年の象徴的なデビュー・アルバム「Definitely Maybe」の30周年を記念して、全く新しいフォーマットでアルバムをリイシューする。今回、ノエルではなくリアム・ギャラガーが歌ったファンの人気曲「Sad Song」のレア音源を公開した。


「Sad Song (Mauldeth Road West Demo, Nov '92)」は、「Definitely Maybe」30周年記念デラックス・エディション(8月30日にBig Brother Recordingsからリリース)から公開される3曲目のトラックだ。


このリイシューには、Monnow Valley Studiosでのオリジナル・レコーディング・セッションのトラック(洗練されすぎているとバンドが感じたため破棄された)と、コーンウォールのSawmills Studiosでレコーディングされた、リリースされたアルバムのアウトテイクが収録される。


オアシスの新ヴァージョン(厳密には旧ヴァージョン)の「Sad Song」のリリック・ビデオは以下からチェックできる。


Fucked Up 「Another Day」

Label: Fucked Up Records

Release: 2024年8月9日



Review


カナダ・トロントのハードコアバンド、Fucked Upの新作アルバム『Another Day』は、昨年発売された伝説的な『One Day』に続くコンセプト作品である。Jade Tree,Matador,Margeと数々のレーベルを渡り歩いてきたファックド・アップは相変わらず今作でも好調な状態を維持している。昨年の一日でレコーディングされた『Another Day』ほどの痛撃さはないかもしれないが、ダミアン・アブラハムの屈強なボーカル、そしてノイジーかつメロディアスなギターリフ、そしてシンセサインザーのアレンジ、さらにはこのバンドらしいスピリチュアルな感覚に根ざしたコーラスワーク等、ファックド・アップの魅力が凝縮されたアルバムであることは変わりがない。

 

やはり、パワフルでエネルギッシュなパンクという側面では、このバンドに叶う存在はいない。今回のアルバムもゴツゴツとした岩のような、あるいは、重戦車のようなアブラハムのボーカル、屈強なギターリフがオープニングを飾る「1- Face」から炸裂する。疾走感と無骨なイメージがこのバンドの代名詞であるが、前作からそうであったようにメロディアスなハードコアパンクという指針のようなものが伺える。もちろん、経験のあるバンドとして新しい挑戦も見出すことができる。最近、The Halluci Nationなどのコラボレーションを通して、電子音楽的なパンクに取り組んでいたことからも分かる通り、このアルバムがそれ以前に録音されたものであるとしても、電子音楽とハードコア・パンクという現在のバンドの音楽的なディレクションを捉えることができる。それはやや、ノイジーでハードな印象であることは確かであるが、それと同時に旧態依然としたパンクの文脈に新しい要素や意味をもたらそうとしているのだ。

 

しかし、実験的なハードコア・パンクという方向性を選んでもなお、彼らのアンセミックなパンクの要素は健在である。2曲目の先行シングルとして公開された「2- Stimming」は、イントロでは、スコットランドのバクパイプの音色を元にして、Dropkick Murphysの次世代のハードコア・パンクが組み上げられる。この曲は、アルバムのハイライトで、バンドの新しいアンセムソングが登場したとも見ることができる。この曲ではボーカルのアンセミックな響きはもちろん、コーラスワークやシンセサイザーの演奏を効果的に用いながら精妙な感覚を表そうとしている。その精妙な感覚はノイズや轟音によってかき消されることもあるが、ナイスなナンバーであることに変わりはない。続く、「3- Tell Yourself You Will」でもテープサチュレーションのような効果、そしてシンセサイザーを駆使して、近未来的なハードコア・パンクを構築している。メインボーカルとサブコーラスの兼ね合い、つまり、このバンドの対比的なボーカルとコーラスが絶妙な心地よさを生み出す。それらのボーカルを主体としたハードコア・パンクは、やはりバンドの副次的な魅力である疾走感のある楽曲のスタイルに縁取られている。

 

新しいパンクの形式を選びながらも、ポップパンクの王道のスタイルの影響下にある曲も含まれている。「4- Another Day」はグリーン・デイの系譜にあり、あらためてパンクとしての簡潔性やシンプルさを体現している。この曲では、ややボーカルアートのような趣向性も凝らされているが、パンクソングそのものの楽しさや痛快さといった彼のサウンドの中核にあるものを抽出している。それは実際、快哉を叫びたくなるほどの痛快さを持って聴覚を捉える。「5 - Parternal Instinct」は、イントロはメタル的な雰囲気から、ミドルテンポのパンクソングへと以降していく。このバンドのヘヴィネスの要素は、もしかするとメタル由来のものであるのかもしれない。そしてここでも、アブラハムのボーカルは、ポップパンクのアンセミックな響きに焦点が絞られている。ヘヴィネスという要素の他に、曲のわかりやすさや、ライブで映えるソングライティングをファックド・アップが心がけていることが伺える。そして曲の後半でもややヘヴィ・メタルに触発されたギターリフを元にヘヴィな質感を持つロックへと移行している。

 

シャウトに近いアブラハムのボーカルは、バンドのメロディアスなパンクの助力を得ることによって、エモーショナル・ハードコアの領域に差し掛かることもある。「6- Divining Gods」は、前作アルバムの音楽性と地続きにあると言えるかも知れない。このバンドの屈強なハードコア・パンクと清涼感のあるメロディアスパンクの要素が劇的に合致し、見事な一曲が生み出された。そしてボーカルそのものにも旋律的な要素が立ち現れる時、いくらか近づきにくいボーカルは、むしろどことなくユニークで可愛らしいような雰囲気に変わる。ハードコアバンドとしての表向きからは見えづらい親しみやすさが込められている。メタリックなギターも当然ながら、最もハードで激烈なスクリームに近いボーカル、さらに激しいディストーションとタイトさを重視したドラムというこのバンドの持つプレイスタイルが掛け合わされた時、ファックド・アップの「エモーショナル・ハードコアとしての一面」が立ち表れてくる。つまり、夏の蜃気楼のように立ち上る純粋な叙情性により、迫力のある瞬間を出現させるのである。

 

エモーショナル・ハードコアとしての要素は、続く「7- The One To Break It」にも引き継がれている。ここでも叙情的なリードギターをいくつか重ね合わせ、メタルコアとエモーショナル・ハードコアの中間にある際どいサウンドを追求している。そして同じように、ボーカルとコーラス、そしてタメを意識した巧みなドラム、さらにリードギターを複雑に重ね併せて、精妙な感覚を作り出す。いうなれば最もハードでノイジーな曲の中に、それとは対比的な静謐な瞬間を見事に生み出すのである。これについては、パンクロックのノイズ、及び、それとは対象的なサイレンスという二つの側面をよく知るベテランバンドとしての音楽的な蓄積と勘の良さのようなものが感じられる。このアルバムの中では、最も素晴らしい一曲なのではないかと、個人的には思った。

 

このアルバムには形骸化したパンク・ロックに新しい風を呼び込もうという狙いを読み取ることができる。それはカットアップコラージュのような現代的な編集的なサウンドであったり、実際的に録音現場での楽器の組み合わせや、リズムやグルーヴという演奏者しか分からない領域に至るまで、精巧に作り込まれていることが分かる。 問題を挙げるとするなら、それが脚色的なサウンドになり過ぎ、パンクの持つ簡潔性を削ぎ落としているということだろう。これが一般的なパンクファンからはちょっと近づきづらさを覚える要因となるかもしれない。

 

しかし、個人的には、このバンドの持つ特異なヘヴィネスには癖になるものがあると思う。実際的なライブバンドとしては、高い評価を獲得しているファックド・アップのメロディアスな要素とは別の魅力は、「8- More」のような得難いヘヴィ・ロックに求められるのかもしれない。また、友愛的なパンクの要素を押し出そうとしていることも、アルバムの主要な特徴となっている。

 

この世界の本質は、憎しみでもなく、ましてや分離でもなく、友情で繋がること、無条件の愛によって一つに収束する、ということなのである。ファックド・アップは、苛烈な印象を持つハードコアパンクサウンドによって、それらのことを伝えようとしているのではないだろうか。「9- Follow Fine Feeling」はまさしく、そんなことを表していて、彼らの友愛的なパンクの一面が導き出されている。このアルバムを聴いて、あらためてパンク・ロックの素晴らしさに気づく人も少なくないだろうと思われる。真実の伝道師、ファックド・アップは、クローズ曲「10- House Light」においてもやはり同じように、パンクロックの結束力や友情という側面に焦点を当てている。

 

 

 

Best Track- 「7 The One To Break It」

 

 

 

 

84/100

 

 


Details: 

 

「1- Face」B

「2- Stimming」A+

「3- Tell Yourself You Will」A

「4- Another Day」B

「5 - Paternal Instinct」C

「6- Divining Gods」B+

 「7- The One To Break It」S

 「8- More」B

 「9- Follow Fine Feeling」B+


前作「One Day」のレビューはこちらからお読みください。


Adriana McCassim
©Charlie Weinmann

LAを拠点に活動するソングライター、Adriana McCassim(アドリアナ・マッカシム)は、将来を有望視されるインディーロッカーである。ポスト・デ・ソウザ、ポスト・スネイルメイルとして活躍が期待される。マッカシムは、2019年の「Pressure」でデビュー、2020年にはファーストEP「Quiet Sides」を発表しながら、ミュージシャンとしての飛躍の機会を伺ってきた。

 

マッカシムは現代のインディーロックファンの需要に根ざしたラフなロックソングを制作する。西海岸の若手アーティストの登竜門"Troubadour”の出演を経て、虎視眈々とブレイクスルーの機会を狙ってきた。すでにトルバドールでは、それなりに有名なアーティストであるという。

 

ニューシングル「Tarantula Type」は、デビュー作『SEE IT FADES』に収録。先月公開されたリードシングル「Pretend」と並び、ソングライターの傑出したポテンシャルを伺わせる。『SEE IT FADES』はプロデューサーのライアン・ポリーと録音され、アレックス・ファーラー(Snail Mail、Wednesday、Indigo De Souzaなどのプロデューサー)がミックスを手掛けた。


マッカシムは、2021年にノースカロライナ州を離れた後、『SEE IT FADES』を制作した。LAに到着して一年も経たないうち、彼女は、シャロン・ヴァン・エッテンのオープニングを務め、『トランプ』11周年を祝うトルバドール公演はソールドアウトとなった。その先には、驚くようなシンデレラストーリーが待ち受けているかも知れない。「LAに移り住んでから、このレコードを作ることは、薄氷を踏むかのような状況だった」とマカッシムは声明で述べている。


Adriana McCassim(アドリアナ・マッカシム)のデビューアルバム『SEE IT FADES』は8月30日に発売される。

 

 

「Tarantula」-Best New Tracks
 

 

「Pretend」-Best New Tracks

 

Best New Tracks - Katy J  Pearson 「Maybe」(8/14)
Katy J Pearson

グロスターシャー出身のシンガーソングライター、Katy・J・Pearsonが、ニューシングル「Maybe」をリリースした。9月下旬に発売予定のアルバム『Someday, Now』に収録される。イーディ・ローレンスが監督したミュージック・ビデオ付き。以下よりチェックしてみよう。


元来、ケイティ・J・ピアソンは、英国の伝統性を受け継いだオルトフォークを制作していた。しかし、歌手は次なるステップに進もうとしている。二作の先行シングルを聴くかぎり、古典的なポップス/フォークのソングライティングに触発されながらも、ソフィスティポップとバロックポップのクロスオーバーに取り組もうとしている。Tears For Fearsの系譜にある耳障りの良いインディーポップソング「Maybe」により、シンガーソングライターは未知なる境地を切り拓く。

 

「Maybe」についてケイティ・ピアソンは次のように説明している。


「ヒュー・エヴァンス(H. Hawkline)とリハーサルスタジオにいたとき、歌詞の微調整をしてみた。サビの部分は、"Maybe I need your love / to show me that I'm good enough. "という歌詞だったんだけど、彼(ホークライン)は "なんで自分に対してそんな態度を取るの?という感じだった! そして、私は、''ああ、わかった、ありがとう、フェミニストの味方がいてくれて''と思った。スタジオで男性に指図されたりすると、すぐに腰が引けてしまうことがあった。それでも、この曲の歌詞を変更したとき、誰と一緒に部屋にいるのは重要だということに気がついた...」


アーチェリー競技を題材にしたオールドスクールのミュージックビデオについて、イーディ・ローレンスはこう語っている。


「ケイティと私は、私が彼女のために撮影した最後のビデオ『Alligator』の撮影で初めて会った。それ以来、私たちは素晴らしい友人としてコラボレーションできることに興奮している。私たちは互いに、クリエイティブ業界で活躍する他の女性たちをサポートしたいと思っています」

 


「Maybe」

Charly Bliss 新作アルバム『FOREVER』を8月16日にリリース



1st Single 「Nineteen」

 

アメリカのパワー・ポップバンド、Charly Bliss(チャーリー・ブリス)が新作アルバムの制作を発表しました。彼らはラッキーナンバーから『FOREVER』を8月16日にリリースする。ラッキー・ナンバーはオーストラリアのMiddle Kidsが所属しており、ユニークなロースターを擁する。

 

本日、彼らは新曲「Nineteen」を公開した。ヴォーカルのエヴァ・ヘンドリックスは新曲について次のように説明しています。

 

「私はいつも愛と、なかなかうまくいかず、失恋の津波をもたらす関係に魅了されている。躁的な喜びの波の上に乗せてくれるのと同じように、岩にぶつかるような愛から遠ざかれば遠ざかるほど、その全容が見えやすくなる。初恋はクレイジーだ」


『FOREVER』は、2019年の『Young Enough』に続く5年ぶりのニューアルバムとなります。

 


「Nineteen」

 

 

2nd Single 「Calling You Out」



チャーリー・ブリス(Charly Bliss)が8月16日にラッキー・ナンバーからニューアルバムをリリースする。そのセカンド・シングル「Calling You Out」のミュージック・ビデオが公開された。下記より。


Charly Blissはエヴァ・ヘンドリックス、サム・ヘンドリックス、スペンサー・フォックス、ダン・シュアの4人組。サム・ヘンドリックスは、ジェイク・ルッペン(Hippo Campus)、ケイレブ・ライト(Samia)とアルバムを共同プロデュースした。


エヴァ・ヘンドリックスはプレスリリースで 「Calling You Out」について次のように語っています。 


「素敵な人と恋に落ちたとき、それまでの恋愛と同じで、嫉妬に陥らないようにする方法がわからなかった。最初のころは、それがすべて本当のことなのかどうか確かめるために、穴を開けようとして多くの時間を浪費した。私は自分を守ろうとしていたのだと思う!しかし、キャッチはなかった。」


アダム・コロドニーが監督した "Calling You Out "のビデオは、プレスリリースによると、"1989年のビースティ・ボーイズの "Shake Your Rump "のミュージック・ビデオと1995年のウォン・カーウァイの映画 "Fallen Angels "にインスパイアされた "という。



「Calling You Out」

 

 

3rd Single 「Waiting For You」


 

Charly Blissが、8月16日にLucky Numberからリリースされるアルバム『Forever』からニューシングル「Waiting for You」をドロップした。


この曲は頻繁にコラボレートしているヘンリー・カプランが監督したビデオとセットになっている。以下からチェックしてみよう。


バンドのエヴァ・ヘンドリックスによると、「Waiting for You」は「バンドメンバーへのラブソング」だという。パンデミックの間、サム、スペンサー、ダンと離れ離れになっていたとき、ライヴのビデオを見て、『どうしてこんなことが当たり前だと思っていたんだろう』と思ったのを覚えている。すべてが本当に美しくて、自分たちがどれだけ幸運だったのかがわからなかった。あんなに長い間離れ離れになっていたのは苦しかったけど、役に立った。


付属のビデオクリップについて、カプランはこう語っている。


「この部屋は、個人的な小さなチャーリー・ブリスのイースター・エッグでいっぱいだ。サムの娘の初めての学校での写真、8歳の時にショッピングモールで親友のアマンダと一緒に作ったTシャツ、誕生日カード、手紙、メモ。歌詞がいかに感傷的であるかにマッチするように、個人的なものでなければならず、ヘンリーをはじめとするチーム全員がそれを可能にするために懸命に働いてくれた」

 

「Waiting For You」


 

4th Single 「Back The Now」- Best New Track

©Milan Dileo

今週金曜日にリリースされるニューアルバム『Forever』に先駆け、Charly Blissが最終シングル「Back There Now」を発表した。発売日を目前にバンドのダン・シュアーが監督した付属のビデオでチェック。
 
 
ボーカルのエヴァ・ヘンドリックスはプレスリリースの中で、この曲についてこう語っている。
 
 
「何かを読んだり、曲を聴いたりすると、20代前半の恋愛のドラマチックな狂気へと引き戻される。限られた予算でクールなビデオを制作し始めたことが、当時の状況を表現するメタ・ビデオになった。私たちは高価そうなポップ・ビデオを提供しているけれど、最後にはその見せかけが崩れてしまう」
 
 
「インディーズ・ミュージシャンはお金持ちだと思われがちだけど、CharlyBlissのメンバーは皆、自分たちの暮らしを支えるために他の仕事をしています。ビデオでは、私たちが様々な交通手段に乗り、目的地が何なのかよくわからない...。でも、私たちは動いている!このビデオは、バンドのメンバーとして監督するのが楽しかった。というのも、高価なポップ・ビデオにありがちなことを揶揄しつつ、そのファンタジーを生きるようなこともできたので。CharlyBlissらしいビデオになったと思う。」
 
 

「Back The Now」

 

 

 

New Album- Charly Bliss 『FOREVER』


 

Label: Lucky Number

Release: 202408/16

 

Tracklist:


1. Tragic

2. Calling You Out

3. Back There Now

4. Nineteen

5. In Your Bed

6. I’m Not Dead

7. How Do You Do It

8. I Don’t Know Anything

9. Here Comes The Darkness

10. Waiting For You

11. Easy To Love You

12. Last First Kiss