©Alex Manriquez

 

オークランドを拠点に活動するTanukichanがニューシングル「It Gets Easier」をリリースした。この作品は9月20日に発売される「Circles」のセカンドシングル。新曲ではシューゲイザーの新星、Wispが参加している。オフィシャルオーディオが公開されているので、下記より御覧下さい。

 

USカリフォルニア/オークランドを拠点に活動するSSW、ハンナ・ヴァン・ルーンによるオルタナティヴ・ロック〜シューゲイズ・プロジェクト、タヌキチャン最新作が、配信限定シングル「NPC」を追加収録した日本国内盤限定仕様でリリース決定!


前作までプロデュースを手掛けたチャズ・ベアー(トロ・イ・モワ)から新たなプロデューサーとしてフランコ・リードを迎え、その先進性とインディ・スピリッツで良質なアーティストを多数輩出してきたCarpark Recordsからのリリース。


SNS経由で大ブレイクしたUSシューゲイズシーンの超新星ウィスプをゲストに迎え、ドリーミーで浮遊感のあるサウンドからハードでエッヂの効いたギターを聴かせるグランジなスタイルまで呑み込んだ現在進行形のオルタナ〜シューゲイズ・サウンドは必聴!

 

 

「It Gets Easier」

 

 

 

*Tanukichanの新作EP「Circles」に関するインタビュー(Q&A)はこちらからお読み下さい。

 

 

「Circles」EP (国内盤)

 


アーティスト:TANUKICHAN / タヌキチャン
タイトル:Circles / サークルズ
フォーマット:CD/DIGITAL
発売日:2024.9.20
品番:PCD-20454
価格:¥2,200(税抜¥2,000)
レーベル:P-VINE
*日本語解説・歌詞対訳付
 

■Track List


1.City Bus
2.Circles
3.It Gets Easier (feat. Wisp)
4.Low
5.In a Dream
6.Npc (Bonus track for Japanese edition)


Pre-order: https://p-vine.lnk.to/tJW9X2

 

 

■TANUKICHAN (タヌキチャン)


USカリフォルニア/オークランドを拠点に活動していたインディ・ポップバンド、トレイルズ・アンド・ウェイズにヴォーカル、ギターとして参加していたハンナ・ヴァン・ルーンによるソロプロジェクト。

 

活動初期のライヴを観たトロ・イ・モワことチャズ・ベアーがプロデュースを買って出たことからキャリアをスタートさせたタヌキチャンは、チャズ・ベアーの主宰するレーベル''Company Records''からデビューEP『Radiolove』(2016)を発表、続く1stアルバム『Sundays』(2018)をリリースし、Pitchfork、Rolling Stoneといった音楽メディアでも紹介され、USインディ・シーンで注目を集めるようになる。

 

同じくCompany Recordsからのリリースとなる2ndアルバム『GIZMO』(2023)ではより深化させたオルタナ〜シューゲイズサウンドを展開、現在進行形のシューゲイズ・アーティストとして高い評価を受け、アレックス・G、オールウェイズ、メラニー・マルティネスといったアーティストのオープニング・アクトも務めるなど活動の幅を拡げている。


2023年10月には新たなプロデューサーとしてフランコ・リードを迎えCarpark Recordsからシングル「NPC」を発表、2024年9月には最新作『Circles』のリリースを予定している。

 Horse Jumper of Love 「Disaster Trick」

 

 

Label: Run For Cover

Release: 2024年8月16日

 

 

Review

 

現在、イギリスでもスロウコアのリバイバル運動が地味に沸き起こりつつあるが、ボストンの(ベーシストのジョン・マーガリスとドラマーのジェイムズ・ドーランを擁する)ホース・ジャンパー・オブ・ラブも、2020年代のスロウコア/サッドコアのリバイバルを牽引する存在。

 

スロウコアとはシアトルのオーバーグラウンドに引き上げられたグランジに対する抵抗であり、アンチテーゼでもある。


この運動は、エモの最初期のムーブメントに近く、インディーロックそのものが商業主義に絡め取られていく中、いまだ地下に潜り続けることの意義を示そうとしたのだった。その代表格が、コデイン、レッド・ハウス・ペインターズ、レッド・スターズ・セオリー、ロウとなるか。

 

スロウコアの音楽的な特徴を挙げるとするなら、内省的なサウンド、激情的なハードコアとエモの中間にある感覚をスロウテンポの重量感のあるロックソングに仕立てるということだろうか。またメインストリームに反感を示しながらも、スロウコアがシアトル/アバディーンから発生したグランジをライバル視しているのは明らかで、コデイン、レッド・ハウス・ペインターズに見受けられる、サイレンスとラウドを瞬時に行き来するような極端なサウンドが特徴である。


これらのスロウコアの音楽性は、後にポストロックへと部分的に受け継がれていったが、最近の若手バンドがスロウコアを参考にするのは、オルタナティヴロックバンドとしてのパンクスピリット、つまり、ワシントンDCのDischordのハードコアサウンドの影響があるからではないか。実際、ボストンは80年代の重要なハードコアの拠点であり、この地域から気概のあるバンドが登場するのは、必然的であるとも言える。オルタナティヴなロックをやるのに欠かせないのは、パンクバンドとしての反抗心のようなもので、それは本来硬派な気風から生み出される。


Horse Jumper of Loveのサウンドには、ポストハードコアのスクリームも咆哮もないが、ギターサウンドには、それに近い感覚がある。もちろん、パンクの基本的な解釈がアップテンポなビートであることを考えると、あえて曲のBPMをテンポダウンさせ、ダウナーな気分を歌うという反骨的な内容である。パンクの原義から距離を置いているとは言え、バンドのサウンドにはパンクのテイストが含まれている。それは、オープナー「Snow Angel」に見受けられるように、内省的な感覚の吐露と苛烈なディストーションサウンドという鋭い対比によってもたらされる。


屈強ではなく、少し弱々しげだが、彼等のサウンドの内奥には、鋭い牙のようなものがギラついている。そしてアンサンブルの妙によって、徐々にサウンドのダイナミクスを増し、スロウコアのジャンルの代名詞であるエクストリームな激情性につながる。つまり、オールドスクールではなく、ポスト世代のハードコアの性質をバンドは自らの強みにしているらしいのである。

 

もうひとつ、スロウコアの特徴といえば、内的な美麗な感覚をインディーロックソングに折り混ぜるというものである。これらはオルタナティヴフォークでは、頻繁に行われていることだが、彼らは轟音性によって、美麗な感覚を作り出そうとする。かつてメタルバンドが行っていたような様式美を、スロウテンポのオルトロックという側面から作り出そうというのである。もちろん、「Wink」には、ヘヴィ・メタルのごときアンセミックなフレーズはおろか、シンガロングを誘う展開も出てこないが、ペドロ・ザ・ライオンや最初期のエモコアバンドのように、素朴な感覚が心地よいギターラインに乗せられ、音楽全体の叙情性が緻密に作りあげられる。


ポスト・ハードコア的な要素の他に、90年代のUSインディーロックの黄金時代に迫ろうという曲もある。例えば、それに続く「Today's Iconoclast」は、Pavement、Guided By Voices、Garaxie 500、Sebadohといったローファイで荒削りな性質を押し出したオルトロックサウンドを展開させる。90年代から00年代の原初的なオルトロックの正体とは、以前のカントリー/フォークを反映させた音楽だったのだが、彼らはこの特徴を巧みに捉えて、ザラザラとした質感を持つギターロックを構築する。そして、その中から、わずかにソングライティングの妙から生じる切ない抒情性が導き出されることもある。この曲では、Guided By Voices、Garaxie 500の時代に存在した、インディーロックバンドの拙さや未熟さから引き出される独特なエモーションを汲み出す。それは上記のバンドを知るかはともかくとして、特異なノスタルジアを呼び起こすのだ。

 

「Word」はスロウコア/サッドコアとしてはおなじみのスタイルである。ゆったりとしてラフな感じのイントロのアンサンブルから、エリオット・スミスやスパークルホースといったシンガーの代名詞である鬱屈した感覚を、ボーカル、ギターのダウンストロークのアルペジオ、そして、休符を重視したゆったりとしたドラムとベースのアンサンブルによって発生させる。これらは、ソロシンガーの作品では生み出し得ない''バンドとしての化学反応''を捉えることができる。そして、最終的には、アメリカン・フットボールの「LP1」のデモトラックのような憂鬱な空気感を生み出す。これが若いリスナーにとって、何らかのカタルシスをもたらすに違いない。

 

中盤にも、素朴なインディーロックの魅力が凝縮されている。ホース・ジャンパー・オブ・ラブのサウンドには、バンドメンバーの美的なセンスが立ち現れることがあり、それはゴシック/ドゥーム的な暗鬱さという形で出現する。そして、それは、Sunny Day Real Estateが1995年に発表した「LP2」に見出される、「音楽における美学」のようなスタイルとして現れることがある。


「Lip Reader」は、同じように憂愁をモチーフにしたインディーロックソングで、その暗さの向こうから、あたたかなエモーションがふいに立ち上ってくる。そして、夕闇の切なさのような絶妙な感覚が、ギター、ドラム、ベースの化学反応から生み出されることがある。続いて「Wait By The Stairs」は、エリオット・スミスのオルタナティヴ・フォークをロックとして再構築したような一曲。一貫して、暗鬱で物憂げなサウンドに縁取られているが、暗鬱さの向こうから癒やしの感覚がうっすらと浮かび上がってくる。どこまでも感覚的なのがサッドコアというジャンルで、バンドはその音楽形式に、ヘヴィメタルやメタルコアの重力を加えている。これが繊細でナイーヴでありながら、バンドとしての重厚感を感じさせる理由なのかもしれない。

  

バンドの音楽は、スロウコア、原初的なカレッジロック、USオルタナティヴという三つの要素が主体となっているが、もう一つ、サイケ・フォークからの影響も伺える。例えば、「Heavy Metal」は、シド・バレットのソロアルバムのような抽象的な感覚をシュールなギター、そして、物憂げなエモーションを醸し出すボーカルを中心に構築されている。ジョージ・ハリソンとバレットのフォーク・ミュージックに対する考えはきわめて対称的であり、ハリソンはアイルランド民謡の清々しさを神秘思想と結びつけた。他方、バレットは、どこまでも純粋な芸術的な感覚を押し出し、形而下の音楽をピンク・フロイドや以後のソロ活動を通じて探求していた。ハウス・ジャンパー・オブ・ラブは、どちらかと言えば、アーティスティックな感覚を擁するシド・バレットに近いフォークで、Kill Rock Stars(レーベル)に近似するサウンドと言える。


アルバムの後半に差し掛かると、American Footballの最初期の学生時代のモラトリアムのような感覚が立ち上がってくる。これは例えば、若者特有のナイーヴな感覚を捉え、それらをストレートに表現していると言える。「Curtain」は、コデインのような内的な激しさを擁するサウンド。これらのマニアックな音楽性には繊細な癒やしが存在し、それはスラッカーロック/ローファイのような激情性へと繋がる。これは例えば、マック・デマルコのツアーミュージシャンとしてキャリアを出発させたHorsey(ピーター・サガー)の「CD Wallet」に近いサウンドだ。

 

アルバムの終盤では、「Death Spiral」において、メタルの重さとエモの繊細さをかけ合わせて、「エモ・メタル」ともいうべき、異質な音楽を作り出している。「Gates of Heaven」では、90年代のUSオルタナティヴの原点に立ち返り、R.E.M、Pavementのようなカレッジロックの後継的なバンドの音楽を復刻しようとしている。クローズ「Nude Descending」は、少しだけバンドとしての遊び心が感じられ、Wednesday、Rartboysを始めとするノースカロライナ周辺の現代的なロックバンドの音楽を彷彿とさせる。この曲は、現代的なインディーロックソングの特徴である”アメリカーナの反映”という現代のインディーズバンドの主要なテーマが内包されている。




76/100


 

 *初掲載時にバンド名に誤りがございました。訂正とお詫び申し上げます。

 


 Best Track 「Curtain」

 

Aran Sparhawk

来月、Aran Sparhawk(アラン・スパーホーク)はミミ・パーカーの喪失感から生まれたソロ・アルバム『White Roses, My God』をリリースする。スパークはセカンド・シングル 「Get Still」を公開した。以前としてLowの代名詞であるスロウコアからの影響もあるが、それは亡き妻へのレクイエムのようなもので、全体的にはシンセサイザーをベースにしたインディーロック風のアプローチが敷かれている。


「Can U Hear 」と同様、深いサブベース、エレクトロニック・ドラム、オートチューニングされたアラン・スパーホークの声など、合成音で構成されている。メロディーの中に、ローの美しさの亡霊を聴くことも無理難題ではないだろう。スパーホークは、ロウの後期のレコードのエレクトロニックな探求を理屈抜きに押し進め、その過程で奇妙で力強いものを見出している。


何十年もの間、アラン・スパーホークとその妻ミミ・パーカーは、偉大なアメリカン・インディ・ロック・バンドのひとつであるLowのクリエイティブ・コアだった。2年前、パーカーは癌との闘病の末に他界した。

 

アラン・スパーホークの新作アルバム『White Roses, My God」はSUB POPから9月27日に発売予定。

 

 

 「Get Still」

 

 

Geordie Greep
©Yis Kid


ブラック・ミディのボーカリスト/ギタリストのジョーディ・グリープが、ソロ・デビュー・アルバム『The New Sound』を発表した。

 

このアルバムは10月4日にラフ・トレード・レコードからリリースされる。このニュースに合わせて、彼はリードシングル「Holy, Holy」とイーサンとトムが監督したミュージックビデオを公開した。


本日のリリースは、Greepがブラック・ミディは "無期限で終了した"との電撃的な発表から1週間後に行われた。

 

「『ザ・ニュー・サウンド』のレコーディングでは、初めて誰にも答えられなかった。「そして、私が抱いた全ての衝動に、その結論に至るまで従うことができた。バンド(ブラック・ミディ)をやっていると、"何でもできる "という感覚を持つことが多いけど、そのアプローチにはある種の制限もあるんだ」


「このアルバムの主なテーマは絶望なんだ。頼りない語り手ではなく、すべてをコントロールできていると自分をからかっているが、そうでない人物の声が聞こえるだろう」とGreepは付け加えた。(”頼りない語り手”とは、パトリック・モディアノに代表されるような現代的な書き手の文体のことをいう。)


ザ・ニュー・サウンドの制作には30人以上のセッション・ミュージシャンが参加し、録音現場は、サンパウロやロンドンまで及んだ。

 

「いくつかのトラックはすでに別の場所でレコーディングしていたんだけど、ちょっと合わなかったから、新しいメンバーで録り直したんだ」とグリープは説明した。

 

「曲の半分はブラジルで、地元のミュージシャンを土壇場で集めてみたんだ。彼らは私が作ったデモに興味を持ってくれただけで、私がやったことを聴いたことはなかった。トラッキングはすべて1日か2日くらいで終わった。その後、ロンドンでオーバーダビングをしたんだ」



「吹き込み過ぎないようにという意味で、長さを心配していた。でも、音楽を聴いて、それが何を意味するのか、何をしようとしているのか、良くも悪くも事前に知っていることに、本当にうんざりしているんだ。私の好きな音楽はすべて、リスナーが何が起こっているのかを理解するためのものだ。ピーター・ハミルやナット・キング・コールのような私の好きな歌手は、文字通り唯一無二の存在。それが大好きなんだ。特に歌詞は、明確ではない部分もあるけれど、他方、抽象的な考えではないことがわかる」


 

「Holy, Holy」

 

 


Geordie Greep 『The New Sound』

 

 Label: Rough Trade

Release: 2024年10月4日

 

Tracklist:


1. Blues

2. Terra

3. Holy, Holy

4. The New Sound

5. Walk Up

6. Through A War

7. Bongo Season

8. Motorbike

9. As If Waltz

10. The Magician

11. If You Are But A Dream

 

Foreigner


10月4日に発売予定のフォーリナー作品集『Turning Back The Time』は、バンドの最初の6枚のアルバムから選りすぐりの曲が収録されている。そのすべてがプラチナ・アルバム以上の評価を得ている。世界的な大ヒット曲ばかりで、最後には未発表のタイトル曲が収録されている。

 

タイトル曲「Turning Back The Time」は8年ぶりのフォーリナーの新曲。ロックンロールとの出会いや、バンドのスターダムの初期を懐かしく回想している。


「Turning Back The Time」は、ルー・グラムとミック・ジョーンズのコラボレーションから始まった。グラムは2003年にフォーリンガーを脱退。ジョーンズはバンドに残ったが、パーキンソン病を患っているため、最近は演奏していない。

 

最近、ジョーンズはマルティ・フレデリクセンとともにこの曲を作り直した。ジョーンズとグラムは1996年にこの曲のデモを一緒にレコーディングしており、グラムのヴォーカルはそのオリジナル・デモに由来する。ジョーンズは、米・ビルボード誌の取材に対して次のように語った。


「ルー・グラムと私が一緒に書いた曲の中には、日の目を見なかったものがたくさんある。「Turning Back The Time」はマルティ・フレデリクセンとの共作。マルティと私は最近、この曲を見直して作り直した。時間が経ったからこそ、新鮮な視点でこの曲に立ち返ることができた。ロックの殿堂入りを間近に控え、この曲を世界に聴いてもらうのに理想的なタイミングだと思った」

 

「Turning Back The Time」

Jade Hairpins

夏のヨーロッパ・ツアーを控えた本日、ジェイド・ヘアピンズが新作アルバム『Get Me the Good Stuff』のタイトル曲を公開した。   


フレディ・マーキュリー風の不条理な歌詞の中に、ヘアピンズのサーカスのような言葉遊びが盛り込まれたこの曲は、パンチの効いた爽快なレイバーで、良いものを手に入れたいというせっかちな要求を笑顔で表現している。


ジョナ・ファルコは「Get Me the Good Stuff」について次のように説明している。


「ヘアピンズはついに壁の花から花束への旅を完成させ、最も深いところから最も良いものを手に入れた。ハッピー・マンデーズがワールドカップの決勝戦を演奏したが、ファンがバンドで選手が観客だったという、非物質的な過去のビッグ・パンチ。世界は逆さまであり、地球の中心は45人の訓練されていない声の合唱団であることがわかった。推測し、想像し、技巧を凝らし、舞台を埋め尽くし、ショーになりきる」


Jade Hairpinsのニューアルバム『Get Me the Good Stuff』はMergeから9月13日に発売予定。


「Get Me the Good Stuff」

 Arve Henriksen 「Kvääni」

Label: Arve Music

Release: 2024年8月16日


Review

 


今年、ECMから『Touch Of Time』を発表しているアルヴェ・ヘンリクセンであるが、立て続けに自主レーベルからフルレングスのリリースを控えていたとはかなり驚きだった。新作アルバム「Kvääni」は、Laraajiを彷彿とさせるニューエイジ/アンビエントの作品であり、エレクトロニックジャズやストーリーテリングのような試みも行われている。推察するに、ECMでは出来ない音楽を、このアルバムで試してみたかったのではないだろうか。ジャズとは、スタンダードな作風を継承するのみならず、既存にはない前衛的なチャレンジを行う余地が残されているジャンルである。そのことを裏付けるかのように、短い曲が中心であるものの、様々な試みが本作に見出だせる。それは音楽のこれまで知られていなかった意外な側面を表すものでもある。


例えば、音楽は、言葉と音階やリズムという構成要素によって生ずるが、このアルバムを聴くかぎり、言葉がなくとも、何らかのイメージや思想形態、そして作品に込められた真摯な思いのようなものをテレパシーのように伝えることができることが分かる。


シンセサイザー、民族音楽の楽器、そして、トランペットの編集的なサウンドプロダクションを通して伝わってくるのは、アルバムの全体には東洋の神秘思想や、奥の院にある神秘主義への傾倒が通底しているということだ。さながら小アジアの寺院を観光で訪れ、その秘教の神秘主義の一端に触れるような不思議な味わいを持つ。曲自体は、それほど長大になることも冗長になることもなく、一貫して端的さが重視されている。およそ4分半以下にまとめられたシンプルなスピリチュアルジャズの中には、その枠組みから離れ、神秘的な源泉に迫るものもある。


音楽には、表側に鳴り響くものとは別に、裏側に鳴り響く何かを聴取する魅力がある。それは音楽の持つ源泉に触れることを意味する。ノルウェーのトランペット奏者、アルヴェ・ヘンリクセンは、神秘主義の音楽を一つの入り口として、宇宙のミクロコスモスに近づこうとする。その試みはララージや、生前のファラオ・サンダース、テリー・ライリーに近いものであろう。

 

アルバムの冒頭部「1-Kvenland」では、チベット・ボウルのようなアジアの民族音楽の打楽器の音響を始まりとして、神秘主義の扉を押し開くかのようである。現代社会の喧騒の中で生活していると、瞑想的な側面に触れる機会は自ずと少なくなってしまう。それは、この世に本当の音楽がきわめて希少だから。そして、アルヴェ・ヘンリクセンは、これらの未知の扉をゆっくりと開こうと試みる。その響きはチベット寺院の祈りのようであり、無限的な音楽が内包されている。


本作の序盤では、「編集的なサウンド」という、アルヴェ・ヘンリクセンのジャズの主要な特徴を捉えられる。「2-Ancestors From North」は、流浪の旅人をどこかの異郷で見かけるようなエキゾチズムがあり、それを空間的なジャズーーアンビエント・ジャズーーという新しい形で表現している。


全体的なスピリチュアル・ジャズの枠組みにおいて、ECMのマンフレッド・アイヒャーがもたらしたミニマルミュージックを基にしたエレクトロニックやテクノの要素が加わることもある。


「3-Secret Language」は、序盤の重要なハイライトであり、ノルウェーのJan Garbarek(ヤン・ガルバレク)が、2004年のアルバム『In Praise Of Dreams』 でもたらしたエレクトロニックジャズの要素を、トランペット奏者として踏襲している。これらの瞑想的かつ催眠的なエレクトロニックの要素が、ヘンリクセンの巧みなブレスと巧みに合致しているのは言うまでもない。

 

トランペット奏者のソロアルバムであるのにもかかわらず、純粋なエレクトロニックも収録されている。それはやはり、ララージやテリー・ライリーのようなニューエイジ系のサウンドに縁取られることが多い。


「4-Raisinjoki」は、レトロなシンセサイザーの音色を組み合わせ、アジアの民謡、あるいは東ヨーロッパの民謡のような一般的に知られていないワールドミュージックが繰り広げられる。簡素でありながら、無限の音楽が含まれているような奇異な感覚、まさしく万里の長城を登るときや、小アジアの隠された秘教の寺院の回廊を歩く時に感じるような神秘性を体感できる。「5-Sappen」は、従来のヘンリクセンの作曲の延長線上にある一曲。枯れたトランペットのミュートのブレスの渋い味わいがECMのエキゾチックジャズの魅惑的な響きとピタリと重なり合う。


「6-Voices From The Highlands」では山岳地帯をモチーフにしている。アラビア風の旋法が登場し、エキゾチズム性に拍車が掛かる。アルメニアの楽器、ドゥドゥクのような民族音楽の要素を強調している。従来の作品の中で、最もエキゾチックといえ、グルジエフのような秘教的な雰囲気が含まれている。そして、通奏低音をもとにして、色彩的なタペストリーを織り上げていく。


「7-Hansinkentta」では、ダルシマー/サントゥール/ツィターの楽器の特性を捉え、インド風の旋律で縁取っている。さらに、これらの弦楽器の演奏の上に、ドイツのクラフトワークのような原始的な電子音楽が付け加えられる。音の旅のようなニュアンスと神秘性を象徴付ける一曲として楽しめる。


中盤では、スピリチュアル・ジャズの瞑想的な響きを体験できる。「8-Invisible People」は、思弁的なトランペットの主旋律に導かれるように、複合的な対旋律が折り重なり、絶妙なハーモニーを形成する。ミュートとレガートを織り交ぜたヘンリクセンの演奏は、一般的なマイルスやエンリコ・ラヴァの系譜にある主流の演奏法とは明らかに異なる。スタッカートのような気高い演奏ではなく、むしろ徹底して感情は抑制され、厳粛な音の響きが重視される。少しだけ物悲しく、哀感溢れる演奏は、現代の混乱する世界情勢に対する演奏家の深い嘆きのような感慨が込められているのではないか。それは明確な言葉よりも、深く心を捉える瞬間もあるのだ。


「9-Kjelderen」は、アルバムの中で最も奇妙な一曲で、ジャズとしては問題作の一つである。ドローン風の効果音は、ホラー映画のサウンドトラックのような冷んやりとした感覚を呼び覚ます。隠された地下トンネルを歩くかのような、もしくは異世界のゆっくりと次元に飲み込まれていくような、おぞましくも奇異な感覚に満ちている。


更に「10-A New Story Story Being Told」において、ヘンリクセンは、勇猛果敢にも、東アジアの民族音楽をベースにして、アヴァンギャルドミュージックの最前線に挑む。旋律性や調性を度外視したフリー・ジャズの形式を、民族音楽の観点から組み直している。どことなく調子はずれな響きは、何を脳裏に呼び覚ますだろうか。

 

 

アルバムの後半部は、実験音楽、現代音楽、トランペットの音響の革新性、スポークンワードのサンプリング等、多彩な音楽性が発揮されている。「11-Creating New Traditions」では、カール・シュトックハウゼンのトーンクラスターの作風を踏まえた実験的な電子音楽を聴くことができる。


「12-Heritage」は、トランペットの音響の未知なる可能性を編集的なサウンドで抽出している。かと思えば、「13-The Mountain Plateau」では、民族音楽風の作風に舞い戻ったりと、変幻自在なサウンドを織り交ぜ、異なるモチーフを出現させる。「14-Moliskurkki」では、野心的な試みが見出される。エレクトリックジャズの先鋭的な側面を強調させ、ミニマルミュージックの構造性を作り上げ、無調の旋律のレガートをトランペットのブレスで強調させる。これらは、アフロジャズの原始性と現代的なエレクトリックジャズの融合を図っていると推察できる。

 

ポピュラー・ソングにスポークンワードをサブリミナル効果のように挿入する最近の音楽的な手法は、新しい作風の台頭のように見る人もいるかもしれない。しかし、実際は新しくはなく、2007年にHeiner Goebbelsが「Landshaft mit entfernten Verwandten」において、現代音楽や舞台音楽として、いち早く実践していたのだった。おそらく、これまでニュージャズの最前線を追求してきたアルヴェ・ヘンリクセンにとって、スポークンワードを物語のように導入することは、古典に近いニュアンスがあると思われる。「15-My Father From Isolagti」は、老人の声が悲しげな雰囲気を帯び、空間的な印象を呼び覚ます。それらの後に、ヘンリクセンのトランペットが登場するが、それは物語性の延長か、はたまた音楽の印象を強化するような役割を担っている。

 

終盤においてヘンリクセンは実験音楽の最前線に挑んでいる。 「16-Truth and reconciliation」では、アコーディオンの先祖であるコンサーティーナの音響を踏まえ、シュトックハウゼンのトーンクラスターと融合させる。この曲を聞くかぎりでは、金管楽器奏者のヘンリクセンは、作曲家/編曲家としてのみならず、電子音楽家としても深い音楽的な知識と理解、何より、実践力を兼ね備えていることが痛感出来る。この曲はむしろ、アヴァンギャルド・ジャズというよりも、ライヒやグラスの先にある現代音楽の新しいスタイルが断片的に示されていると言えよう。

 

しかし、前衛的なミュージック・セリエルの後、パイプオルガンのような敬虔な音響が登場する。シュールレアリズムや形而下にある概念を音楽で表現したような奇妙な音楽が続いている。


それらの前衛性は、トランペットの音響の潜在的な側面に向けられることもある。「17-On A Riverboat To Bilto」では金管楽器のルーツや楽器の出発に回帰する。イントロのドローン/ノイズに導かれるように、原始的な響きが始まる。細やかなブレスのニュアンスの変化からもたらされるヘンリクセンのトランペットの演奏には、音楽に対する深いリスペクトのような感覚が滲む。

 

この曲を起点とし、本作の最終盤では、原始的な音楽に接近する。原始的というのは、楽曲構成が未発達であり、旋律的ではなく、リズムも希薄であるということ。古来の西欧諸国の音楽は、スペイン国王のアルフォンソが音楽に旋律性をもたらし、英国圏のデーン人に伝えるまで、グレゴリオ聖歌のモノフォニーという要素が、その後分岐するようにしながら発展していったに過ぎない。以降、多声部のカウンターポイントが体系化され、教会旋法からポリフォニーが発生し、イタリアンバロックにおいて対旋律が洗練され、以後、ドイツの古典派やヨーロッパのロマン派、新古典派の作曲家が和声法や対位法を洗練させ、19世紀ごろにアフリカ発祥のリズムが加わり、以降のポピュラーやジャズ、ミュージカルという形式に変遷していった。

 

そして、現代の商業音楽の基礎を作ったのは、ニューヨークのジョージ・ガーシュウィン、近代和声を確立したラヴェル、ドビュッシーのようなフォーレのもとで学んだ作曲家だろう。また、日本の元旦に流れる「波の盆」のような和風な曲ですら、JSバッハの曲をヨナ抜き音階に再構成し、日本の伝統的な民謡のリズムや音階を付与したものに過ぎない。西洋にせよ、東洋にせよ、最近のポピュラー音楽など、悠久の歴史にとっては、束の間の瞬きのようなものなのだ。


想像しがたいことに、現在のような音楽は、多く見積もっても一世紀半くらいの歴史しか持たず、それ以前の系譜の方がはるかに長い。多くの人は、現在の感覚が全てだと思うからか、それを忘れているだけなのだろうか。しかし、あらためて、そのことを考えると、「18-New Awareness」のような曲は、音楽の原点回帰ともいえ、歴史の原始的な魅力を呼び覚ます。「19-Kaipu」も同じように、ECMのニュージャズを見本にして、音楽の原初的な一端を表現している。

 

最後の「20-Nature Knowledge」は何かしら圧倒されるものがある。この曲は、サントゥール/ダルシマーの弦楽器や鍵盤楽器のエキゾチズムとルーツを的確に捉えている。


ハープシコードやフォルテピアノを始めとする西洋楽器は、オーストリアのハプスブルグ家のお雇いの技術者が財閥の命令によって開発したのが由来である。しかし、原初的なモデルが存在し、それがダルシマー/サントゥールのような弦楽器だ。(日本の”琴”の同系に当たる。)この話は、西洋文化や音楽自体が小アジアやアナトリアのような地域から発生したことを伺わせる。

 

この曲では、そういった音楽の長きにわたる文化の混淆に触れることが出来る。サンプリングやエレクトロニック、ミュージック・コンクレートといったモダンな要素は限定的に留められていて、作品の最後になって、音楽的なスピリットがぼんやりと立ち上ってくるような気がする。


こう言うと、神秘主義者のように思われるかもしれない。しかしながら、音楽の最大の魅力というのは、論理では説明出来ず、文章化はおろか体系化もできぬ、密教の曼荼羅のような部分にある。本作の最終曲では、霊感の源泉のような得難い感覚が示唆されている。まさしく、それこそ、今は亡きジャズの巨匠、ファラオ・サンダースが追い求めていたものだったのだろうか。

 

 


86/100




 

 

 

 Details:

 

「1-Kvenland」A

「2-Ancestors From North」B

「3-Secret Language」A+

 「4-Raisinjoki」B

 「5-Sappen」B+

 「6-Voices From The Highlands」A

 「7-Hansinkentta」A

 「8-Invisible People」B+

 「9-Kjelderen」B

「10-A New Story Story Being Told」B+

 

 

 「11-Creating New Traditions」B−

 「12-Heritage」B

「13-The Mountain Plateau」 C+

「14-Moliskurkki」B

 「15-My Father From Isolagti」B+

 「16-Truth and reconciliation」C+

 「17-On A Riverboat To Bilto」B

 「18-New Awareness」A+

「19-Kaipu」A

 「20-Nature Knowledge」A+

 

Our Girl

 

ブライトンのインディーロックバンド、Our Girl(アワー・ガール)は、近日発売予定の同名アルバムのタイトル曲「The Good Kind」を公開した。

 

この曲について、アワー・ガールのシンガー/ギタリスト、ソフ・ネイサンは次のように語っている。「私には特に鮮明な記憶というものがあって、忘れてしまったように見える酸のイメージが、ある匂いや味や音によって突然呼び起こされるんだ!普通は、もっと理解しにくいものが原因なんだけど、この曲はエラ・フィッツジェラルドがラジオから流れてきたときのことを書いたんだ。


このアルバム『The Good Kind』は、セクシュアリティ、人間関係、コミュニティ、病気といったテーマを探求している。アワー・ガールのトレードマークであるダイナミクスは、ヘヴィなギターや高鳴るリード・ラインから、耳に残るコーラスや親密なヴォーカルまで、アルバム全体に浸透している。温かさと誠実さに満ちた『The Good Kind』は、どんな反対にも負けず、大切なことをやり遂げるという決意の賛美である。ドラムのローレン・ウィルソンは、「曲の多くは、挫折を乗り越え、それをスーパーパワーに変えることについて歌っている」と言う。

 

Our Girlのニューアルバム「The Good Kind」は11月8日にBella Unionから発売される。



「The Good Kind」

 

The Hives

「Rigor Mortis Radio」(昨年リリースされた『The Death of Randy Fitzsimmons』収録)の新しいビデオでは、スウェーデンのロックバンドが「Bob Fosse Meets NSYNC」と形容されるド派手な振り付けを披露している。


ミュージックビデオは、ザ・ハイヴスのオリジナル脚本、アイデア、脚本をもとに、フィリップ・ニルソンが監督を務めた。バンドが南ロンドンのランベスで、20世紀のジャズ・ダンス界で最も影響力のある人物ボブ・フォッセにインスパイアされ、巧みに振り付けられたダンスを披露している。

 

ボブ・フォッセは『パジャマ・ゲーム』、『スウィート・チャリティ』、『How To Succeed In Business Without Really Trying』などのミュージカルの振り付けを担当し、後に『キャバレー』の演出でオスカーを受賞した。


「この映像は1年以上前に発表されるはずだったんだけど、されなかったんだ。当時、VHSがレプラコーンに盗まれたなんて言っていたんだけど、驚いたことにそんなことはなかったよ! ハイヴスは未来人だから、テクノロジーが僕らのアイデアに追いつくのを待つしかなかったわけなんだ。私たちはプロのダンサーではないので、演技やポイズについてはお見逃しください!!」


ザ・ハイヴスは、夏の間、グリーン・デイとフー・ファイターズのオープニングを務め、秋にはアズベリー・パークのSea.Hear.Nowとシカゴのライオット・フェスト、そして9月24日のキングズ・シアターでのニューヨーク公演を含むヘッドライナー・ツアーを行う。



「Rigor Mortis Radio」

Tony Levin

キング・クリムゾンやピーター・ガブリエルとの共演で知られる伝説的ベーシスト、Tony Levin(トニー・レヴィン)がニューアルバム『ブリンギング・イット・ダウン・トゥ・ザ・ベース』を発表した。

 

本作には、ロバート・フリップ(キング・クリムゾン)、マイク・ポートノイ(ドリーム・シアター)、ヴィニー・コライウタ(フランク・ザッパ、ジョニ・ミッチェル)などが参加している。


このアルバムは、レヴィンがエイドリアン・ベリュー、ダニー・キャリー、スティーヴ・ヴァイらとキング・クリムゾンの音楽を祝う待望のツアー "BEAT "をスタートさせた翌日、9月13日にFlatiron Recordingsからリリースされる。レヴィンによれば、「このアルバムは長年の念願であり、何十年とは言わないまでも、何年も前から多くの曲に取り組んできた」という。


「率直に言って、もっと前にできたはずだ」とレヴィンはプレスリリースで語った。ツアーが多くて、ライブをするのが大好きなんだ。ただ、5、6年間取り組んできたアルバムを完成させるために家で作業する時間があまりなかったのさ」レヴィンは、こう付け加えた。「でも、1年前の5月、自分のスケジュールを見たら、ピーター・ガブリエルとのツアーが1年近く続いていて、2023年11月にはスティック・メンのツアーがあり、1月にはレヴィン・ブラザーズのツアーがあった。ツアーを断る勇気があれば、10年前にそうなっていたかもしれないね」


アルバムの楽曲について、レヴィンは次のように説明している。「プログレの流れを汲む作品と、ベースを基調とした作品があったんだけど、アルバムの中盤あたりで、プログレを捨てるという難しい決断をした。ベースについて歌う曲ではなく、各曲はベース・リフかベース・テクニックをベースにしていて、その上で素晴らしいリズム・セクションを招いて演奏してもらったよ」


「Floating in Dark Waters」では、キング・クリムゾンの創始者ロバート・フリップが彼に提供したサウンドスケープが使われている。


「キング・クリムゾンとよくツアーをしていた頃、今世紀に何度かツアーがあったんだけど、ロバートがショーの前に作ったループするサウンドスケープを演奏して、観客はそれを聴きながら入場したんだ」とレヴィンは回想した。それで、ロバートは、『トニー、僕のサウンドスケープに合わせてベースを弾いてほしい』と言ってくれた。これらのサウンドスケープは無調であることが多かったが、調性であることもあった。そのとき、ベースとサウンドスケープだけで、アルバムの中でとても面白い作品になると思ったんだ」


マイク・ポートノイは "Boston Rocks "でドラムを叩き、ドラマーのヴィニー・コライウタは "Uncle Funkster "で演奏している。アルバムのほとんどの曲はインストゥルメンタルだが、数曲は女性ヴォーカリストをフィーチャーしている。

 

「Bringing It Down to the Bass- Trailer」




Tony Levin 「Bringing It Down to the Bass」

Label: Flatiron Recordings

Release: 2024年9月13日

 

Tracklist:

1. Bringing It Down to the Bass

2. Me and My Axe

3. Road Dogs

4. Uncle Funkster

5. Boston Rocks

6. Espressoville

7. Give the Cello Some

8. Turn It Over

9. Beyond the Bass Clef

10. Bungie Bass

11. Fire Cross the Sky

12. Floating in Dark Waters

13. On the Drums

14. Coda


 Wishy 「Triple Seven」


Label: Winspear

Release: 2024年8月16日




Review  

 

インディアナポリスの四人組……、いや、五人組は、学生時代にケヴィン・クラウターとニーナ・ピッチカイツを中心に結成された。学生バンドから出発したバンドのソングライティングは、放課後のインディーロック性に根ざしている。EP「Paradise」ではシューゲイズ/ドリーム・ポップと紹介されることもあったウィッシーのサウンドは、デビューアルバムにおいてカレッジ・ロックに近い音楽性へと進化している。デビューバンドらしい初々しさ、そして荒削りなロックソングは、彼らの音楽の魅力のほんの一部分にすぎない。Lemonheads、R.E.M,GBV、Cocteau Twins等、甘酸っぱい感じのインディーロックソングが「Triple Seven」には凝縮されている。

 

ウィッシーのサウンドの魅力は、洗練されていることではなく、荒削りであること。それから、完成されていないということ。それはバンドの未知数の潜在的な可能性を象徴付けている。バンドのデビュー作は、80年代のカレッジ・ロックのような、わかりやすいフックのあるソングライティングに加えて、若いバンドのはつらつとした感覚を10曲に詰め込んでいる。

 

「Sick Sweet」は、ネオ・アコースティックギターの後、甘酸っぱい旋律を持つディストーションギターというギターポップ/ネオ・アコースティックの要素が、ケヴィン・クラウターのヴォーカルと合致している。着古されたように思える懐古的な音楽も、彼らの手にかかると、なぜかしれないが、新しい雰囲気に変化するのは驚くべきこと。そして、ピクシーズのジョーイ・サンティアゴの系譜にあるチョーキングをもとにしたオルタネイトなギターは、中西部としてのバンドの姿ーーカントリー性ーーを浮かび上がらせる。80年代のダンスミュージックの系譜にあるシューゲイズの影響は、続くタイトル曲に示されている。彼らは、ダンスビートを基底に、それらをギターポップで彩るというこのジャンルのスタイルの基本に立ち戻っている。


更に、デビューEPの系譜にある親しみやすく口ずさめるメロディーが夢想的な空気感を生み出す。これらは、シューゲイズとドリームポップが地続きであることを、あらためて思い出させてくれる。Lemonheadsの影響下にあるパワーポップのナンバー「Persuation」も聴き逃がす事が出来ない。カレッジロックの範疇にある8ビートのシンプルなリズム、ローファイの質感を帯びる乾いたギター、それからドリームポップのような陶酔感を呼び覚ますボーカルの融合は、彼らがシューゲイズの子孫であるだけではなく、「カレッジ・ロックの末裔」であることを表す。アルバムの序盤で、彼らは、あらためてオルトロックのシンプルな魅力に焦点を当てている。

 

一見すると、荒削りなように思えるデビューアルバム。しかし、彼らの輝かしいセンスが垣間見える瞬間もある。「Game」では、苛烈なディストーション/ファズサウンドをもとに、韓国のシューゲイズプロジェクト、Parranoulのデビュー作に見られたような切ない感覚を織り交ぜる。80年代や90年代のメタルやハードロックに触発されたギターに、本作の冒頭と同じように、英国圏のネオ・アコースティック/ギター・ポップの要素を織り交ぜることで、Corneliusに近いアブストラクトなエモーションを作り上げる。フレーズの繋ぎ目で何度も移調を繰り返し、抽象的ではありながら甘い幻想的なメロディーを作り上げる。更に同曲では、他曲よりもドラムのプレイが冴え渡り、これらの激しいサウンドのテンションを巧みに背後から補佐しながら、バンド全体の司令塔のような役割を果たしている。ウィッシーが単なる二人のプロジェクトではなく、全体のグループとして録音を行った成果が、こういった一体感のあるサウンドを形作り、目の前に迫ってくるかのような迫力のあるダイナミクスを呼び起こしたのだろうか。


これらのオルタナティヴロックの真髄にあるソングライティングに加えて、ニューヨークやロサンゼルスの都市部のバンドとは少し異なるカントリー性が反映された曲も収録されている。「Love On The Outside」では、カントリーをもとにオルトロックソングを組み上げるという、R.E.Mが行ったソングライティング性を巧みに継承している。ペダル・スティールこそ使用されないが、彼らの持つ素朴な感覚が曲に乗り移り、80年代後半や90年代初頭のUSオルタナティヴロックの原点に立ち戻る。それらは、Pavementのような温和な空気感を呼び起こす場合もある。曲に満ち渡る友愛的な雰囲気は、聴いていると、微笑ましいような温かさが感じられる。

 

ロンドンのバンド、Whitelandsの雰囲気に近いドリーム・ポップに傾倒した曲も収録されている点に注目したい。「Little White」では、Cocteau Tiwns(コクトー・ツインズ)、Pale Saints(ペール・セインツ)のようなドリーム・ポップバンドの音楽が現代の音楽的な感性に上手く合致していることを表している。彼らは、上記のバンドの音楽性を次世代に受け継ごうとしているらしい。フィードバックを活用したディストーションサウンドの向こうから、おぼろげに立ち上るピッチカイツのボーカルは、バンドの多彩性の特性が反映されているように思える。当然のことながら、この曲には、90年代のUnderworldのような英国のダンスビートからのフィードバックも含まれている。ダンスミュージックのグルーヴをもとに夢想的な感覚を作り上げていく。その手腕はデビューバンドらしからぬ鋭い才覚が含まれていると見て違和感がない。


「洒脱」と呼ぶべきラフに着崩したようなインディーロックソングもまた、デビューアルバムのもう一つの魅力になるに違いない。「Busted」は、彼らがR.E.M、Lemonheadsのようなバンドと併せて、ストロークスのようなガレージロックリバイバルのバンドからの影響を持つことをうかがわせる。これらは、カナダのロックバンド、Colaのようなガレージ・ロックのリバイバルの系譜にあるサウンドと、Wishyらしいカレッジロックの系譜にあるサウンドと結び付けられ、スペシャリティがもたらされる。バンドのメンバーの音楽的な多彩さが見え隠れする一曲である。


また、続く「Just Like Sunday」はブリット・ポップを踏襲しつつ、それらを彼らの得意とするカントリー/フォークの要素ーーアメリカーナーーという形に置き換えている。イントロのアコースティクギターは、オアシスの名曲を彷彿とさせるが、それらをインディアナポリス風の田舎性で縁取る。時折、曲そのものから草原を駆け抜ける微風のようなサウンドスケープが呼び覚まされる。これらの想像力を掻き立てるサウンドは、彼らの思い出と十代の記憶によるものなのだろうか。しかし、それらは最終的に売れ線のナンバーへ移行するのに興味が惹かれる。


若さというのは、その一瞬にしか発揮されず、10年後に戻ってくることはない。10年後に同じような音楽をやろうとしても、なぜか同じものにならないことが多い。なぜなら、人間は同じようでいて、同じであることはほとんどありえないのである。してみると、彼らの数年の記憶、そして、短い期間に内在する人間関係のようなものを、アルバムという記録に残しておくことは、Wishyにとって重要なことだったのではないだろうか。「Honey」は、バンドとしての若さを象徴付ける一曲で、「スタンド・バイ・ミー」のような青春の雰囲気に浸されている。

 

本作は、夏休みの終わりに、米国の中西部の田舎道でティーンネイジャーの若者たちが笑って戯れあうような素晴らしい空気感に満ちている。そこに何を見出すかは、リスナー次第ということになろう。しかし、それは、夕日を浴びて、彼らの背後の影となり、長い長い一連なりの道を形作っている。「Honey」、「Spit」は、バンドがぜひとも収録しておきたかった曲ではないだろうか。そして、十年が経った時、ふと、自分たちの歩んできた道を振り返った時、これらのデビューアルバムの収録曲は、バンドのメンバーにとって美しいレガシーとなるに違いない。

 

 

 

82/100

 

 


 

WishyのデビューEP「Paradise」の特集についてはこちらからお読みください。

 

Details:

 

「1.Sick Sweet」B+

「2.Triple Seven」A+

「3.Persuasion」B

「4.Game」A−

「5.Love On The Outside 」B

「6.Little While」B−

「7.Busted」B+

「8.Just Like Sunday」C+

「9.Honey」A

「10.Spirit」 B+

 

Gyrofield

『These Heavens』はドラムンベースとジャングルのプロデューサー、Gyrofield(ジャイロフィールド)のXLのレーベルデビュー作となる。EDM主体のサウンドであるが、このプロデューサーの魅力はそれだけに止まらない。


EPは4曲入りで、XLを代表するハウス・バッグ・シリーズの一環としてリリースされる。シングル「Lagrange」は下記で試聴できる。


香港生まれでブリストル在住のプロデューサー、本名キアニ・リーは、These Heavensについての声明の中で次のように述べている:「私は、ダンサブルな音楽を作ることに多くの価値を見出しているが、その一方で、アトモスフェリックでスペーシーなサウンドや、楽器の重要な使い方、音楽のビートとエネルギーを引き立てる構成にも触れている。


「ドラムンベースの大ファンなんだけど、I Hate ModelsやDjRUMのようなエレクトロやテクノから、シンセ・アンビエント、ポストロック、ビョークのような実験的ポップまで、このアルバムに影響を受けている。」


「このEPを構成する4つのトラックは、科学という厳しい学問の原動力となる、極めて人間的な感情や思考について歌っている。私たちは知識を求め、私たちの頭上にある星々や宇宙を理解しようとする。私たちは天を理解することに愛と夢を注いでいる。」



「Lagrange」



Gyrofield 「These Heavens」 EP


Label: XL Recordings

Release: 2024年8月30日

1. Vega 
2. Occam's Razor 
3. Lagrange 
4. Cold Cases


Alex Henry Foster

 

今年4月にカナダ在住の日本人アーティストMomokaとアルバム『Kimiyo』を発表したAlex
Henry Foster(アレックス・ヘンリー・フォスター)が、今年9月20日に新作『A Measure Of Shape And Sounds』をリリースする。

 

昨年の心臓手術から、1年間の療養期間を経て、思うように活動できなかった期間を取り戻すかのように精力的に創作活動を続けているAlex Henry Foster。今回の作品は、普段のポストロックやプログレッシブロックのサウンドではなく、また、コラボ作品であり、アメリカ&カナダのビルボードのカテゴリーで最高2位を記録した『Kimiyo』のようなシューゲイザー、平板なアヴァンギャルドとも異なる、インストゥルメンタルを中心としたアンビエントなアルバムだ。

 

新曲「Sorrowful Bouquet」は、シカゴ音響派の系譜にあるナンバーで、ギターサウンドの限界に挑戦している。繊細で叙情的なクリーントーンから始まるギターはやがて極大の宇宙的な音像を構築し、Explosions In The Sky、Mogwai、Tim Heckerのような抽象的で風景的なポスト・アンビエントのサウンドにたどり着く。ギターの演奏を通じて、ドローンの手法も取りいれられている。

 

これまで、バンドとしてMBVのようなサウンドに挑戦し、モントリオール・ジャズ・フェスティバルを始めとする大型のイベントにも出演経験のあるアレックス・ヘンリー・フォスターであるが、God Speed You Black Emperror!の系譜にあるギターロックサウンドに挑んでいる。

 

アレックス・フォスターはアルバム、及び、この新曲について次のように話している。

 

「アルバム『A Measure of Shape and Sounds』の本質が、人生の無常と、自分の存在意識を受け入れることに伴う、衰えの感覚についての深い内省にインスピレーションを受けたのと同じように、楽曲「Sorrowful Bouquet」は、静けさと平和を呼び起こす。時間の概念的な力や、物理的な限界や具体的な視点に対する幻想的なコントロールを失い、自分が何者であるかを解放的に反映するときに感じる感情的な自由、すなわち、自分自身の限界を通して作り出した音波の断片を受け入れる可能性を与えている」

 


「Sorrowful Bouquet」のミュージックビデオは、アジア圏の侘び寂び哲学の美学に基づいて、日本の鳥取県で撮影された。

 

その映像は、方向性を見失った精神状態を視覚的な比喩で文脈化したものであり、波打ち、変調する無限の砂の海は、親密でありながらグローバルな現実感覚の不安定さを象徴している。それを囲む水は、解放へと続く道を映し出していて、一方で、風のはかなさは、さまざまな要素を散乱させながら、日常の感覚のバランスを整える不思議な昇華をもたらしている。

 

不思議なことに、この新曲は、鳥取砂丘のイメージと劇的に合致している。砂丘と海という二つのイメージを元に幻想的な音楽性を際立たせる。制約のない曲代のギターサウンドの拡張は、地上という概念を離れて、宇宙的なもの、つまりマクロコスモスの概念と密に結び付けられる。

 



「Sorrowful Bouquet」MV

 

 


 

 

 

Alex Henry Foster 『A MEASURE OF SHAPE AND SOUNDS』- NEW ALBUM

 



Tracklist:

 

01. Thoughtful Descent 

02. Mechanical Revision

03. A Mind’s Tapestry

04. Cinematic Insight

05.Self-Portrait 

06. Sorrowful Bouquet

07. Manic View 

08. A Gesture, A Present 

09. AlchemicalConnection


09.20.2024 リリース


Pre-order(プレオーダー) : https://found.ee/ahf-amosas

 



【アーティスト情報】

 
Alex Henry Fosterは、カナダのミュージシャン、作家、プロデューサー、作曲家であり、以前はJuno賞にノミネートされたYour Favorite Enemiesのフロントマンを務めていた。Alex Henry Fosterは、2018年に初のソロアルバム『Windows in the Sky』をリリース。このアルバムは「ポストロックの夢のような爆発」(NME)で、「ハンモックやアッシュ&スペンサー、そして、モグワイやエクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイの要素を強く思い起こさせる」と評価されている。

 

彼の2枚目のアルバムは、モントリオール国際ジャズフェスティバルのソールドアウト公演で録音されたソロ作品のライブ再解釈で構成。Ben Lemelinは、カナダのマルチインストゥルメンタリスト、ソングライター、音楽プロデューサー。彼とAlexは多くのプロジェクトでパートナーとして協力。Benは、AlexのバンドThe Long Shadowsのメンバーであり、Your Favorite Enemiesではベースを担当。

 

Momokaは東京出身の日本人アーティストで、10年前にモントリオールに拠点を移し、AHFとの一貫したコラボレーターとして活躍。また、彼女自身もアーティストとして活動しており、2025年初めにソロアルバムのリリースを予定している。

 

©Park Sangjun


DJ/プロデューサー、Peggy Gou(ペギー・グー)が、今週末にロンドンのガナーズベリー・パークで開催される自身最大規模のヘッドライン・ライヴに先駆けて、ニューシングル「Find the Way」を発表した。今夏の初め、デビューアルバムをリリースした後、自身の主宰するインディペンデントレーベル”Gudu Records”に戻ってきた。

 

デビューアルバム『I Hear You』以来となるペギーの新曲「Find the Way」は、彼女のフェザー・ライトなヴォーカルと90年代のハウス・ビート、メロウなキー、催眠術のようなベースラインが融合している。
 

2024年は、ペギー・グーにとって飛躍の年となった。XLレコーディングスから待望のデビューアルバム「I Hear You」をリリースし、オブザーバー誌、NME誌、ザ・ライン・オブ・ベスト・フィット誌などで絶賛された。その他、ビルボード誌(アメリカ)、ヴォーグ誌(ドイツ)、L'Officiel Italia誌の表紙を飾った。今、最も勢いに乗っているDJ/プロデューサーである。

 

2023年にはライヴイベントで100万人以上を動員し、インフルエンサーとしての実力を発揮しはじめると。快進撃は続いた。2024年にはコーチェラ、ウルトラ、EDC、プリマヴェーラ、フジロックなどの世界的なフェスティヴァルに次々と出演。グラストンベリーのパーク・ステージではヘッドライン・スロットを務め、プロデューサーとしての名声を世界的なものとした。

 

ニューシングルの各種ストリーミングはこちらから。


「Find the Way」

 

Sean Ono Lennon
Sean Ono Lennon

Sean Ono Lennen(ショーン・オノ・レノン)が、父ジョン・レノンの楽曲「マインド・ゲーム」のメディテーション・ミックスをリリースすると発表した。『Mind Games - The Meditation Mixes』は10月4日にCapitol/UMeからリリースされる。日本盤は10月11日に発売される。

 

ジョン・レノンが1973年に発表した平和と愛のアンセム「マインド・ゲーム」のメディテーション・ミックス9曲を、意識を拡張する写真アプリ「ルーメネイト」を通じて今年初めに独占リリースしたのに続き、ショーン・オノ・レノンがプロデュースした「マインド・ゲーム - メディテーション・ミックス」が、デジタル配信と限定盤3枚組LPとして同時にリリースされる。


ショーン・オノ・レノンは、「瞑想は究極のマインド・ゲームだと言えるかもしれない。これらの非常に抽象的な解釈は、あなたの "内なる宇宙 "を探求する手助けになることを願っています。UMGがヴァイナル・エディションを作りたいと言った時、私は興奮し、驚いた。マインド・ゲーム・プロジェクトのこの部分は自然発生的に発展し、ちょうどいい量の良い波動と妖精の粉が振りかけられたように感じる。(効果は異なるかもしれません)」

 

 

 『マインド・ゲームス:メディテーション・ミックス』は、ジョン・レノンの見すごされ、過小評価されてきた1973年のアルバム『マインド・ゲームス』を深く掘り下げた決定版、高い評価を得た『マインド・ゲームス』アルティメイト・コレクションに引きつづいてリリースされる。

 

《アルティメイト・コレクション》は7月にデジタル、アナログ盤、CD、2種類の豪華なボックス・セットとしてリリース。《スタンダード・デラックス・エディション》と、美術品であり、タイム・カプセルであり、パズルでもある《スーパー・デラックス・エディション》です。

 

このコレクションは、とりわけ、オリジナル・アルバムのすばらしいニュー・リミックスによって絶賛を浴びてきた。ショーン・オノ・レノンがプロデュースし、グラミーを3度受賞したミキサー/エンジニアのポール・ヒックスがミキシングを手がけたこのリミックスは、音質を向上させるとともに、ジョンのヴォーカルを前面に押し出しています。

 

「ローリングストーン」誌は、4つ星をつけたレコード評で、「ここでのスターは、個々の曲をより幅広いステレオのスペクトルで再構成した〝アルティメイト・ミックス〟で、ジョンのフィル・スペクターに対するこだわりを、効果的に解きほぐしている……以前のミックスは、スペクターの音の壁がじょじょに迫っているような、閉所恐怖症的で、金属的な仕上がりだった……。

 

新しいミックスはレノンの声と歌詞を強調し、曲にしばしば新たな深みを持たせている」と分析し、かたや「ゴールドマイン」誌は、次のように絶賛している。「音質的にはこれまでの再発をすべて霞ませてしまう。新しいアルティメイト・ミックスには明瞭さとより大きな深みがあり、まるで別のレコードを聴いているようだ。オリジナル・ミックスの濁った音とは雲泥の差がある……この過小評価されてきたアルバムの名誉を回復する、歓迎すべきアップグレードだ」

 

ショーン・オノ・レノンの『Mind Games - The Meditation Mixes』のご購入についてはこちらを参照。

 

 

 

Sean Ono Lennen(ショーン・オノ・レノン) 『Mind Games - The Meditation Mixes』

 

 

■国内盤

3LP<直輸入盤仕様/完全生産限定盤> 
UIJY-75284/6
価格:17,600円税込

●180gクリア・ヴィニール
●3面見開きの鏡面仕上げジャケット仕様

<日本盤のみ>
英文説明及びフプレスリリース翻訳付/歌詞対訳付
日本盤LP帯の意匠をモチーフにした巻き帯付き

<収録曲>


3LP


LP1

 
SIDE A
1. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – マインド
2. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – マジック

SIDE B
1. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – スペース
2. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – シード
3. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – イエス

LP2

 
SIDE A
1. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – スピリット
2. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – ラヴ

SIDE B
1.マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – サレンダー

LP3


SIDE A
1. マインド・ゲームス・メディテーション・ミックス – ピース

SIDE B


マントラ1
マントラ2
マントラ3
マントラ4
マントラ5
マントラ6
マントラ7
マントラ8
マントラ9