Julia Holter、Teen Daze、Motion Sickness Of Time Travelらがリミキサーとして参加したEP「Girl you know that I am here but the dream」で注目を集め、デビュー作収録の「Airy Me」のMVがインターネット上で大きな話題となる中、全編ベルリンでレコーディングされた2ndアルバム 『Butterfly Case』が海外で高い評価を獲得。
近年はアメリカTBSのTVドラマ「Seach Party」、山下敦弘 x 久野遥子による「東アジア文化都市2019豊島」PVへの音楽提供や、Iglooghost、Kidkanevil、Et Aliaeらの作品にボーカル参加。
Amyl & the Sniffers(アミル&ザ・スニッファーズ)は、10月25日にラフ・トレード・レコードからリリースされる3作目のアルバム『Cartoon Darkness』を発表した。このアルバムには、以前シェアされたトラック「U Should Not Be Doing That」とニューシングル「Chewing Gum」が収録されている。アルバムの詳細は以下から。
2021年の『Comfort to Me』に続くこの作品は、2024年初頭にロサンゼルスのフー・ファイターズの606スタジオで、プロデューサーのニック・ロウネイとともにレコーディングされた。カートゥーン・ダークネス』は、気候危機、戦争、AI、政治という卵の殻の上でつま先立ちをすること、そして、現代の神であるビッグ・テックのデータ獣を養っているだけなのに、オンラインで声を上げることで助けているように感じる人々について歌っているんだ」とテイラーは説明した。「私たちの世代は、匙で情報を与えられている。私たちは大人のように見えるが、いつまでも殻に閉じこもった子供なのだ。私たちは皆、受動的に、喜びや感覚や喜びを引き起こすこともなく、ただ無感覚を引き起こすだけの気晴らしを飲み込んでいる」
また、Laura day romanceは8月31日に泉大津で開催される「RUSH BALL 2024」に出演し、東京と大阪公演を来月に開催する。続いて、バンドは全国ツアー「Laura day romance tour 2024 crash landing」を控えている。このツアーは10月6日の札幌 cube gardenの公演を筆頭に、11月7日のZEPP Shinjukuで締めくくられる。ツアーの詳細については下記よりご覧ください。
Laura day romanceは、国内外のミュージックラバーにファンを広げる日本のバンド。鈴木迅が作り出す幅広い音楽性の楽曲と、井上花月の世界観のあるヴォーカル、タイトさと柔軟さを兼ね備えたリズムを刻む礒本雄太のドラミング、そして、それらを表現するためのベストな形でジョインするサポートメンバー達。
ソングライターアレンジャーでもある鈴木迅が本作「渚で会いましょう」のインタビューで話してくれた中で、この曲のスタンスについて最も芯を食った発言がこれだったと思う。イギリスのフォークミュージックやアメリカのオルタナカントリー、もちろん海外のインディポップと共振する部分もあるし、ルーツミュージックへの造詣も深い。そうしたバックグラウンドを現代日本のポップミュージックとして成立させうる主旋律をクリエイトできることも相まって、Laura day romanceはそれこそ奇跡的なバンドたりえている。それだけでも稀有なことなのに、本作ではさらに聴き手の感性を信じて一歩踏み込んだ楽曲に着手した印象が強いのだ。
2024 年に入り、バンドは早々にシングル「Young life / brighter brighter」をリリース。特に「Young life」はすでに春フェスなどのライブで重要な位置を担う曲になっている。そして4月リリースの「透明 / リグレットベイビーズ」収録の「透明」は全国の FM 局でパワープレイを獲得し、最近ローラズを聴き始めたリスナーにとっても親しみ深い曲だろう。
でも、ユニゾンする歌メロとギターリフがキャッチーで、しかも井上のボーカルは低めの地声とオクターブ上のハモリが交互に現れる構成。これがすごく気持ちをざわつかせるのだ。歌詞の意味は一旦おいておくとしても、人間が一人で歌ったり二人になったりする感覚とでも言っておこう。そしてスッとビートが抜け、ベースの生な聴き心地が自ずと耳をとらえるサビが際立つ。さらにそこに接続するサイケデリックな聴感の C セクション。もうなんだか眩暈がしそうだ。
8 月 31 日 ( 土 ) RUSH BALL 2024 9 月 20 日 ( 金 ) FEAT. @ 渋谷 CLUB QUATTRO 9 月 27 日 ( 金 ) FEAT. @ 梅田 CLUB QUATTRO
■ Laura day romance tour 2024 crash landing
10 月 06 日 ( 日 ) 札幌・cube garden
10 月 17 日 ( 木 ) 名古屋・THE BOTTOM LINE
10 月 18 日 ( 金 ) 大阪・BIGCAT
10 月 25 日 ( 金 ) 福岡・BEAT STATION
11 月 03 日 ( 日 ) 仙台・darwin
11 月 07 日 ( 木 ) 東京・Zepp Shinjuku
Best New Tracks - Laura Marling 「No One's Gonna Love You Like I Can 」(Week4)
ー若い母親の視点を通して端的に語られる未知なる「娘」という存在について-
Laura Marling
もし、ローラ・マーリングがロンドンの自宅スタジオで制作した2020年に発表され高評価を得た『Song For Our Daughter』が、「架空の娘」に向けて曲を書くという観点から比喩的に書かれたものであるとするなら、続くアルバム『Patterns in Repeat』は、2023年に娘が誕生した後に書かれ、マーリングは家族という枠組みの中で繰り広げられるパターンについて鋭い考察を試みる。
次作アルバムのセカンド・シングルとして公開された「No One's Gonna Love You Like I Can」は、バッハの平均律クラヴィーアを彷彿とさせるピアノの演奏から、敬虔なボーカルが乗せられて、やがて、ストリングスの美しいハーモニーがローラ・マーリングの音楽的なイメージを高い啓示へと導く。
マーリングは『Patterns In Repeat』をセルフ・プロデュースし、ロンドンの自宅スタジオでレコーディングした。
「No One's Gonna Love You Like I Can 」のスタジオ・ヴァージョンは、マーリングがインスタグラムに投稿したものと同じように、荒々しくもきわめて親密な内容となっている。レコーディング・バージョンには美麗なストリングス・セクションもあるが、同じように、ルーム・サウンドの雰囲気さえある。2分足らずの短い曲だが、切なる想いすら伝わってくる。試聴は以下から。
Laura Marling(ローラ・マーリング)のニューアルバム『Patterns In Repeat』はPartisanから10月25日に発売予定。
ザ・テレスコープスは、1980年代後半から、ブリット・ポップが隆盛を極めるのを尻目に、ギターロックやシューゲイズ、そしてサイケロックの独自体系を築いてきた。因みに、NMEは、このロックバンドの全作品をレビューしている。知る人ぞ知るロックバンドで、一度テレスコープスの音楽を知ると、その中毒性から逃れることは困難である。2024年はじめにFuzz Clubから発表された最新アルバム「Growing Eyes Become Strings」は、その集大成である。
Horse Jumper of Loveのサウンドには、ポストハードコアのスクリームも咆哮もないが、ギターサウンドには、それに近い感覚がある。もちろん、パンクの基本的な解釈がアップテンポなビートであることを考えると、あえて曲のBPMをテンポダウンさせ、ダウナーな気分を歌うという反骨的な内容である。パンクの原義から距離を置いているとは言え、バンドのサウンドにはパンクのテイストが含まれている。それは、オープナー「Snow Angel」に見受けられるように、内省的な感覚の吐露と苛烈なディストーションサウンドという鋭い対比によってもたらされる。
ポスト・ハードコア的な要素の他に、90年代のUSインディーロックの黄金時代に迫ろうという曲もある。例えば、それに続く「Today's Iconoclast」は、Pavement、Guided By Voices、Garaxie 500、Sebadohといったローファイで荒削りな性質を押し出したオルトロックサウンドを展開させる。90年代から00年代の原初的なオルトロックの正体とは、以前のカントリー/フォークを反映させた音楽だったのだが、彼らはこの特徴を巧みに捉えて、ザラザラとした質感を持つギターロックを構築する。そして、その中から、わずかにソングライティングの妙から生じる切ない抒情性が導き出されることもある。この曲では、Guided By Voices、Garaxie 500の時代に存在した、インディーロックバンドの拙さや未熟さから引き出される独特なエモーションを汲み出す。それは上記のバンドを知るかはともかくとして、特異なノスタルジアを呼び起こすのだ。
中盤にも、素朴なインディーロックの魅力が凝縮されている。ホース・ジャンパー・オブ・ラブのサウンドには、バンドメンバーの美的なセンスが立ち現れることがあり、それはゴシック/ドゥーム的な暗鬱さという形で出現する。そして、それは、Sunny Day Real Estateが1995年に発表した「LP2」に見出される、「音楽における美学」のようなスタイルとして現れることがある。
「Lip Reader」は、同じように憂愁をモチーフにしたインディーロックソングで、その暗さの向こうから、あたたかなエモーションがふいに立ち上ってくる。そして、夕闇の切なさのような絶妙な感覚が、ギター、ドラム、ベースの化学反応から生み出されることがある。続いて「Wait By The Stairs」は、エリオット・スミスのオルタナティヴ・フォークをロックとして再構築したような一曲。一貫して、暗鬱で物憂げなサウンドに縁取られているが、暗鬱さの向こうから癒やしの感覚がうっすらと浮かび上がってくる。どこまでも感覚的なのがサッドコアというジャンルで、バンドはその音楽形式に、ヘヴィメタルやメタルコアの重力を加えている。これが繊細でナイーヴでありながら、バンドとしての重厚感を感じさせる理由なのかもしれない。
バンドの音楽は、スロウコア、原初的なカレッジロック、USオルタナティヴという三つの要素が主体となっているが、もう一つ、サイケ・フォークからの影響も伺える。例えば、「Heavy Metal」は、シド・バレットのソロアルバムのような抽象的な感覚をシュールなギター、そして、物憂げなエモーションを醸し出すボーカルを中心に構築されている。ジョージ・ハリソンとバレットのフォーク・ミュージックに対する考えはきわめて対称的であり、ハリソンはアイルランド民謡の清々しさを神秘思想と結びつけた。他方、バレットは、どこまでも純粋な芸術的な感覚を押し出し、形而下の音楽をピンク・フロイドや以後のソロ活動を通じて探求していた。ハウス・ジャンパー・オブ・ラブは、どちらかと言えば、アーティスティックな感覚を擁するシド・バレットに近いフォークで、Kill Rock Stars(レーベル)に近似するサウンドと言える。
アルバムの終盤では、「Death Spiral」において、メタルの重さとエモの繊細さをかけ合わせて、「エモ・メタル」ともいうべき、異質な音楽を作り出している。「Gates of Heaven」では、90年代のUSオルタナティヴの原点に立ち返り、R.E.M、Pavementのようなカレッジロックの後継的なバンドの音楽を復刻しようとしている。クローズ「Nude Descending」は、少しだけバンドとしての遊び心が感じられ、Wednesday、Rartboysを始めとするノースカロライナ周辺の現代的なロックバンドの音楽を彷彿とさせる。この曲は、現代的なインディーロックソングの特徴である”アメリカーナの反映”という現代のインディーズバンドの主要なテーマが内包されている。