スリーター・キニーは、1月にリリースした最新アルバム『Little Rope』のデラックス・エディションを発表した。

 

『Little Rope (Deluxe)』は10月4日にLoma Vistaからリリースされる。本日、バンドは新曲「Here Today」と、活動家アート集団「In Decline」が制作したビデオを公開した。(ニューシングルのプリセーブはこちら)以下からチェックしてほしい。


「この曲はリトル・ロープのセッションでレコーディングした曲です。この曲は、私たちが地球上で過ごす短い時間、そしてその意味をどこに見出すかについて歌った切実な曲です」とバンドはプレスリリースで語っている。


Here Today」に加え、拡張アルバムには新曲「This Time」と「Nothing to Lose」が収録される。また、オリジナルのトラックリストにある曲のライヴ・ヴァージョンと合わせて追加ヴァージョンも収録されている。

 

 

「Here Today」

 

JUSTICEに見出され、Thundercatの全米ツアーやFlying Lotusのオンラインライブ企画「Brainfeeder THE HIT」に出演するなど、海外でカルト的な人気を誇る三宅亮太と丸山素直によるシンセサイザー・デュオが、80’sポップスへの様々なオマージュが散りばめられた、切なくてやるせないテクノ歌謡な新作アルバム「In A Cocktail Glass」を9/25に発売。


本日先行シングル「彼女のオートバイ、彼の島」がリリースとなります。ティーザー映像は下記よりご覧下さい。


奔放なアート系女子に振り回されるひと夏のラヴ・ヴァケイションをテーマにした、情熱的なデュエット曲に仕上がっている。

 

 

「彼女のオートバイ、彼の島」


 

■ CRYSTAL - In A Cocktail Glass



タイトル:In A Cocktail Glass

アーティスト:CRYSTAL

DIGITAL発売日:2024年9月25日

LP発売日:2024年10月9日


tracklist:

1. Winter Forever


2. Autumn Story


3. Ballad of a Handsome Man


4. One More Chance 


5. 少しだけCelebration


6. Polygon Beach


7. 彼女のオートバイ、彼の島


8. Summer Forever



ストリーミング: https://flau.lnk.to/CRYSTAL-CocktailGlass


◾️東京のシンセデュオ、CRYSTAL 「ONE MORE CHANCE」をリリース TRFとNEW ORDERのシンセポップサウンドを変幻自在にクロスオーバー

◾️ Letting Up Despite Great Faultsが10月にリリースするニューアルバム『Reveries』から「Past Romantic」を先行解禁!


5度の来日公演を成功させるなど、日本でも人気を集めるテキサス・オースティンのドリームポップ/ インディーポップ・バンド、Letting Up Despite Great Faultsが10月11日にリリースするニューアルバム『Reveries』から新曲「Past Romantic」を本日リリースした。ストリーミングは記事の最下部をチェック。


「Past Romantic」はLetting Up Despite Great Faultsらしいインディーポップを軸にした楽曲だが、UKガラージ、ドラムンベース、ブレイクビーツなどから発想を得たというリズムが絡み合うバンドらしさを残しつつも、新鮮な要素も含んでいる。


Letting Up Despite Great Faultsは先日アルバムの冒頭を飾る2曲「Powder」「Dress」を2曲まとめたMusic Videoも公開しているので、合わせて下記よりチェックしてほしい。


国内盤CDの予約は下記から受付中。CDにしか収録されないボーナストラックもあるので是非チェックしてほしい。(国内盤のご予約はこちら: https://anywherestore.p-vine.jp/products/pcd-25419)

 


「Powder」/「Dress」

 

 

■リリース情報

 

Letting Up Despite Great Faults『Reveries』




Release Date:2024.10.11(Fri.)

Label:P-VINE


Tracklist(収録曲):

 

1. Powder

2. Dress

3. Color Filter

4. Embroidered

5. I Still Like You The Best

6. Past Romantic

7. Collapsing

8. Swirl

9. Endearingly

10. Self-Destruct

11. Hearts and Flowers(CD限定ボーナストラック)

12. Cottage House(CD限定ボーナストラック)



■Letting Up Despite Great Fault / Past Romantic- Single

Streaming(配信リンク):https://p-vine.lnk.to/NMVhr2



LAで結成され、現在は音楽の街、テキサス・オースティンで活動中のLetting Up Despite Great Faultsが5枚目のオリジナルアルバム『Reveries』を10月11日にリリースする。

 

Letting Up Despite Great Faultsはデビューアルバムで完成させたエレクトロなシンセサウンドをシューゲイズやドリームポップというジャンルに落とし込むという発明で、日本でも5回の来日公演を成功させるなど人気を集めるバンドだ。

 

『Reveries』はミックスにJay Som、マスタリングにSlowdiveのドラマーであるSimon Scottを迎えて制作された作品で、3曲目に収録されている「Color Filter」ではLAで注目を集めるシューゲイズ・バンド、Soft Blue ShimmerからMeredith Ramondをゲストヴォーカルに迎えるなど、インディーポップやシューゲイズ・リスナーにはたまらないメンバーが参加した作品。

 

本作でもLetting Up Despite Great Faultsの特徴であるエレクトロ+シューゲイズ/ドリームポップにキャッチーなメロディーラインを加えるという彼らのオリジナリティーを武器にした作品に仕上がっているが、その上で冒頭を飾る「Powder」や6曲目「Past Romantic」のように実験的なリズムを取り入れた楽曲も収録。

 

K-POPからHyper Popまで様々なポップスを聞くようになったというフロントマンのMike Lee(マイク・リー)がLetting Up Despite Great Faultsのインディーポップな良さに様々なジャンルをポップセンスを加えた楽曲たちもアルバムの中で存在感を放っている。

 

2曲目「Dress」はインディーポップのルーツが存分に感じ取れる心地良い楽曲であり、7曲目に収録されている「Collapsing」のコード感やメロディーセンスも90sのインディーポップやギターポップが好きな人たちにはたまらないであろう。シングル曲として公開された「Swirl」は2010年代の〈Captured Tracks〉が好きな人にはオススメな楽曲であり、国内盤CDに収録されている2曲も間違いない。Letting Up Despite Great Faultsが感じ取れる楽曲が収録!!

 Molly Payton 『Yoyotta』

 

 

Label: Molly Payton

Release: 2024年8月30日

 

Review   ◾️ニュージーランドの気鋭のシンガーソングライターのデビュー作

 

ニュージーランドのモリー・ペイトンのフルレングス・デビューアルバム『YOYOTTA』は、彼女が最も傷つきやすい状態のアーティストを描いた、深く個人的なプロジェクトである。


このアルバムでは、彼女がキャリアで初めてクリエイティブの首座に座り、プロジェクトのサウンドだけでなく、ビジュアル面でも主導権を握った。結果、過去のリリースを結びつけ、アーティストの人生と感情に新たな文脈を与える作品となった。ペイトンは、Beabadoobee、Arlo Parks、Alex G、Tom Odell、Palaceなど数多くのアーティストとのツアー、Primavera、Laneway、Pitchfork Parisでのプレイを経て、2024年後半は8月に「All Points East」でプレイし、アルバム『YOYOTTA』のリリース後、イギリスとヨーロッパでのヘッドライナー・ツアーに乗り出す。


オセアニア圏ではそれ相応の知名度を誇るペイトンのデビュー・アルバムは、世界で支持されるだろうか。少なくとも、全体としては、オルタナティヴロックをベースにしたポップソングが心地よい雰囲気を醸し出している。このアルバムがきっかけとなり、より大きな人気を獲得したとしても大きな不思議ではないだろう。モリー・ペイトンのソングライティングのスタイルは、上記のBeabadoobee、またはアーロ・パークスに近いが、声質がクリアで澄んでいるため、開放的な感覚のポップスとしても楽しむことが出来る。アルバムでは、センチメンタルな感覚が漂い、それがペイトンが10代の頃からソングライティングという形で培ってきたスタイルと上手く合致している。


オープナーを飾る「Asphalt」では、インディーフォーク風のイントロから、オルダス・ハーディングの系譜にあるオーガニックな音楽性、そして、編集的なオルトロックサウンドを織り交ぜたポップスへと展開していく。さほど物珍しさはないものの、良質なポップスと見て差し支えないだろう。


二曲目の「Benchwarmer」では一転して、ギターロックの範疇にあるオルタナティヴロックソングが繰り広げられる。この曲もまた同じく現代的なロックソングであるが、単調のフレーズを部分的に織り交ぜながら、若い年代としてのセンチメンタルな感覚を組み込んでいる。サビでは、求心力のあるギターサウンドをバックグラウンドにして、感染力のあるポップバンガーを書こうとチャレンジしている。これは、大型のライヴツアーをこなすようになったシンガーソングライターの「アリーナで映える曲を書こう」という意識が、こういった曲を生み出すことになったものと推測される。

 

アルバムの中盤では、シンセサイザーをオルガンのように見立てた「A Hand Held Strong」において、深妙なポップスを制作している。繊細な感覚を示すことをためらわず、アーティストなりの神聖な感覚で縁取ろうとしている。若手のシンガーソングライターであるにも関わらず、それほど傲慢にならず、謙虚な姿勢を持つことは、アーティストとして素晴らしい資質のひとつである。音楽に対する敬意を欠かさない姿勢や音楽に対して一歩距離を置いたような控えめな感覚は、実際的に良質な作品を生み出すための入り口となる。モリー・ペイトンは現在のところ、完璧なソングライティングの術を身につけたとまではいいがたいが、音楽に対する真摯な姿勢は、今後、何らかの形で花開く時が来るかもしれない。少なくとも、この曲では、それらがバラードというポピュラーシンガーとしての最初の関門をくぐり抜けるきっかけを与えている。

 

若いシンガーソングライターとして、感情の揺れ動きを曲の中で表現することは、それ以上の年代のミュージシャンよりもはるかに重要な意味が求められる。もちろん、若いリスナーに強いカタルシスをもたらすことはそれほど想像に難くない。現代的な生活の中で、たしかにSNSでもそういったことはできるが、楽曲の制作や録音現場で自分の本来の姿を見つけるということはありうる。


アルバムの中盤では、起伏のあるサウンドが描かれていて、それは開放的で癒やしのあるインディーフォークソング「Thrown Over」、続く「Accelerate」では、パンチとフックのあるオルタナティヴロックソングという対象的なコントラストを形成する。これらの気分の激しい揺れ動きや変調は、単なる衝動性以上の動機が含まれている。例えば、後者の場合は、シンセポップと現代的なロックの融合というフローレンス・ウェルチのようなスタイルを彷彿とさせ、これはスターシンガーとしての道を選んだことの証ともなり得る。実際的には、音楽に既視感があるという弊害を差し引いても、こういった曲が今後どのような特性を持ち得るのかに注目してきたいところだ。

 

同じように、オルトロックシンガーとしての性質と合わせて、繊細な感覚を持つポピュラーソングが本作の終盤に登場する。続く「Devotion」では、オルガンの演奏を背景にして、精妙な感覚を持つポップスを書こうと試みている。果たして、歌手が志すのが、ゴスペルのようなブラックミュージックなのか、教会音楽のような讃美歌なのかまでは分からないが、ここに理想とするポップスの雛形のようなものが暗示されたといえるだろう。また、それに続く「Doing Our Worst」では、映画的なポップスを書いており、「Pretty Woman」の主題歌を持ち前の自虐的なジョークで縁取っている。

 

これらのモダンなポップスはオルダス・ハーディングの系譜や、ヨーロッパの移民系のポピュラーシンガーの脱力感のあるソングライティングの形式を受け継いでいる。全般的には、良質なポピュラー・ソング集として楽しめるが、じっくりと聞かせるものや、核心となるものが乏しいのが懸念事項である。つまり、才能があるのにそれをイマイチ使いきれていないのが惜しい点だ。


「Teenager Bedroom Floor」では、再びクランチなギターロックへと舞い戻り、総仕上げとなるクローズ「Get Back To You」では、アルバムの冒頭と同じように、夢想的なオルタナティヴフォークを最後のテーマに掲げている。しかし、これらは、流行りのサウンドの模倣的な側面を示したに過ぎない。デビューアルバムとしては、一定の力量以上の何かが示されている。しかし同時に、現時点では、「スペシャル・ワン」の存在感が示されたとまでは言いがたい。オセアニア圏のシンガーソングライターとして世界の音楽ファンに何を伝えていくのか、そして、モリー・ペイトンとは一体何者なのか、二作目のアルバムにおいて、それらが明示されることを期待してやまない。

 

 

 

78/100 

 

 


「Asphalt」

 

©Rebeccal Valls


サイケデリック・バンド、Kikagaku Moyo(幾何学模様)の創始者でありリード・シンガーであるトモ・カツラダが、新しいソロEPのリリースを発表した。日本人アーティストであるトモ・カツラダは最近、現在拠点としているアムステルダムにコンセプト・ストア「フューチャー・デイズ」を立ち上げ、新作EP『ドリーム・オブ・ザ・エッグ』(11月15日発売)を発表した。

 

シングル「Zen Bungalow」は、1986年の映画『ベティ・ブルー37°2 Le Mati』のサウンドトラックに収録されているガブリエル・ヤレドの「Bungalow Zen」のカバーだ。以下よりチェックしてください。


1920年代の日本の児童文学「夢の卵」にインスパイアされたこのプロジェクトは、桂田が日本のビジュアルアーティスト大竹祥子とコラボレーションした。5枚組のレコード・シリーズの第1弾となるこのEPには、ギタリストのジョニー・ナッシュが参加している。


キカガク・モヨウの最後のアルバム『Kumoyo Island』は2022年にリリースされ、バンドは正式に解散を発表した。バンドの最後のアルバムは浅草のツバメスタジオで録音された。(レビューはこちらからお読み下さい。)

 

 

 「Zen Bungalow」




Tomo Katsurada 『夢の卵 Dream Of The Egg』 EP


Label: Future Days

Release: 2024年11月15日


Tracklist:


1. Moshimo

2. Zen Bungalow

3. Interlude

4. Inner Garden

5. Dream of the Egg

 

幾何学模様が解散 12月3日のファイナルツアーのライブ映像を公開

 



ローズ・エリナー・ドーガルとブラーのギタリスト、グレアム・コクソンの二人によるプロジェクト、The Waeve(ザ・ウェイヴ)がサード・シングル「Broken Boys」と、この曲のライブ・パフォーマンス・ビデオを公開した。ザ・ウェイヴはブラーのギタリストによるニューウェイブやポスト・パンクに傾倒したプロジェクトで、すでにその力量はデビュー・アルバムで強かに示されていた。単なるサイドプロジェクトではないことは、最新のシングルを聞けば瞭然である。

 

「Broken Boys」は2024年9月20日にTransgressive Recordsからリリースされるバンドのセカンド・スタジオ・アルバム『City Lights』からのシングルで、Cabaret Voltaireライクな曲だ。グラハム・コクソンの特徴的なギター・サウンドとドゥーガルのユニークなヴォーカルによるメロディをフィーチャーしたこの曲は、煽情的なアート・ロックのスコールに続くものだ。

 

 City Lights』のリリースを記念して、ザ・ウェイヴはラフ・トレードで以下の4つのスペシャル・ライヴを行う: 9月20日のラフ・トレード・リバプール、9月21日のラフ・トレード・ノッティンガム(SOLD OUT)、9月23日のラフ・トレード・ブリストル(SOLD OUT)、9月24日のラフ・トレード・イースト(ロンドン)。

 

バンドは今年後半にロンドンに戻り、10月29日にロンドンのヴィレッジ・アンダーグラウンドで、これまでで最大のヘッドライン・ショーとなるソールドアウト公演を行う!-ラティテュードのサンライズ・アリーナでのヘッドライン・スロット、グリーンマン・フェスティバル、オードリー・エンドでのパフォーマンスを含むエルボーとの8日間、さらにノエル・ギャラガーとのワーウィック城での注目のショーなど、フェスティバルやショーに出演した。 

 

 

「Broken Boys」-MV

 

先週末より、バンドの次のアルバムからの全曲を収録した新しいパフォーマンス映像シリーズ『City Lights Sessions』がスタートした。ナタリア・ページが監督し、スタジオで至近距離から芸術的に撮影されたこのパフォーマンスには、新譜からの楽曲の魅惑的なフルバンド・ライブ演奏が含まれている。

 

この10曲のコレクション『City Lights』は、ザ・ウェイヴの共同作業による音楽性の進化を示すもので、バンドのサウンドが、より大胆で、より広がりと自信に満ちたものへと固まっていくのを見ることができる。グラハム・コクソンとローズ・エリナー・ドーガルが作曲し、ジェームス・フォードが再びプロデュースしたこのアルバムには、グラハムとローズのヴォーカルをはじめ、キーボード、ギター、ベース、ドラム、サックスが参加している。


デビュー・アルバムと同様、ジェームス・フォード(アークティック・モンキーズ、フローレンス&ザ・マシーン、フォールズ、HAIM)が『シティ・ライツ』をプロデュースした。前作同様、このアルバムでもコクソンがサックスなどで参加している。コクソンとドーガルは、2020年にロンドンで開催されたチャリティ・コンサートのバックステージで初めて出会い、すぐにコラボレーションのアイディアが浮かんだ。


ローズが『一緒に書いてみないか』と言ってくれるまで、いつまた仕事をするのか、また書いてみるのかわからなかった」とコクソンはプレスリリースで語っている。「ファースト・アルバムを聴くと、私とグラハムがレコード制作を通してお互いを知っていくのがわかる」とダガールは言う。




City Light Sessions

 

  

 

 

 ■ The Waeve、セカンドアルバム『City Lights』を正式に発表 9月20日にTransgressiveよりリリース

 



ザ・キュアのロジャー・オドネルは、「侵攻性のリンパ腫」と診断され、最近治療を終えことを明らかにした。現在、治療は成功し、体調は回復中だという。


バンドの長年のキーボーディストは、血液がん啓発月間の始まりに、他の人々に検査を受けるよう奨励するために、診断のニュースを共有した。「癌は打ち負かすことができるが、もし早期に診断されれば、より良いチャンスがある。もし病気で苦しんでいる人を知っているなら、その人に話してほしい」


オドネルの場合、手術で "壊滅的 "な生検結果が出るまで、当初は数ヶ月間症状を無視していたという。


「世界でも有数の専門医のもとで、セカンドオピニオンを得たり、投与された薬を開発したチームから助言を得たりしながら、11ヶ月の治療を終えた」とオドネルは説明した。「最新のSF免疫療法と、100年前に初めて使用された薬剤の恩恵を受けた。治療の最終段階は放射線治療で、これも癌に対して開発された最初の治療法のひとつだった」


この診断により、オドネルは2023年のザ・キュアーのラテンアメリカ・ツアーをキャンセルせざるを得なくなった。


 Marmo  「Deaf Ears Are Sleeping」EP

 

Label: area127

Release: 2024年8月28日

 

Review    ◾️ロンドンのダンスユニットの新作 リズムの組み替えからもたらされる新しいEDM


ロンドンの二人組、marco、dukaによるエレクトロニック・プロジェクト、MARMO(マルモ)は当初、メタルバンドのギタリストとボーカルによって結成された。おそらく両者とも、覆面アーティストであり、Burialのポスト世代のダンスユニットに位置付けられるが、まだまだ謎の多い存在である。


昨年、マルモはアンビエントとSEの効果音を融合させた近未来的なエレクトロニックアルバム『Epistolae』を発表し、ベースメントであるものの、ロンドンに新しいダンスミュージックが台頭したことを示唆していた。

 

『Deaf Ears Are Sleeping  EP』も新しいタイプのダンスミュージックで、聞き手に強いインパクトを及ぼすのは間違いない。三曲収録のEPで、逆向きに収録されたリミックスが並べられている。オリジナル曲との違いは、リミックスバージョンの方がよりディープ・ハウスに近いダンサンブルなナンバーとなっている。

 

当初、メタルバンドとして出発したこともあってか、Marmoの音楽はサブベースが強く、徹底して重低音が強調されている。それはヘヴィメタルから、ドラムンベースやフューチャーベース、ダブステップ等の現地のベースメントの音楽にアウトプット方法が変遷していったに過ぎないのかも知れない。しかし、ロンドンのダンスミュージックらしいエグさ、ドイツを始めとするヨーロッパのEDMを結びつけるという狙いは、前作よりもこの最新作の方が伝わりやすい。

 

「Inner System」は、ドイツのNils Frahm(ニルス・フラーム)の「All Armed」のベースラインの手法を、モジュラーシンセ等を用い、ダブステップのリズムと結びつけて、斬新なEDMを作り上げている。特に、Squarepusherの最初期からの影響があるのは歴然としており、それは、Aphex Twinのような細分化したハイハットやドリル、SE的なアンビエント風のシークエンスという形に反映されている。まさにロンドンのダンスミュージック文化の威信をかけて制作されたオープナーである。実際的に、ローエンドの強いバスドラム(キック)とMARMOの近未来的な音楽性が結び付けられるとき、ダンスミュージックの新奇な表現が産声を上げるというわけなのだ。

 

二曲目「Deaf Ears Are Sleeping」は、例えば1990年代のCLARKの『Turning Dragon』など、ドイツのゴアトランスに触発された癖の強いダンスミュージックだが、オープナーと同じようにSEの効果音を用いながら、オリジナリティ溢れる音楽を追求している。部分的には、最近のオンラインゲームのサウンドトラックのようなコンセプチュアルな音楽が、ダブステップのようなリズムと結び付けられ、近未来的なEDMが構築されている。


「Deaf Ears Are Sleeping」に発見できるのは、バーチャル(仮想空間)の時代の新しい形式のダンスミュージックであり、それらが一貫して重低音の強いベースやバスドラム、Spuarepusher(スクエアプッシャー)のようなアクの強いリズムと結び付けられている。さらに、モジュラー・シンセなのか、サンプラーで出力しているのかまでは判別出来ないが、ドローン風の効果音もトラック全体に独特なドライブ感と、映像的な音楽性を付け加えていることも付記すべきだろう。

 

3つのリミックスは、オリジナル曲をアシッドハウス、ゴアトランス寄りのミックスとして再構成されたものなので、説明は割愛したい。しかし、「Aztec Euphoria」は、ドラムンベースやフューチャーベースの次の新しいジャンルが誕生した、もしくは、その芽吹きが見えはじめたといっても差し支えないかも知れない。リズムが複合的で面白く、アンディ・ストットのようなリズムの重層的な構築に重点を置いたトラックとして楽しめる。また、ブラジルのSeputula(セパルトゥラ)が、民族音楽をヘヴィメタルに置き換えてみせたように、マルモは民族音楽のリズムを彼らの得意とするダンスミュージックの領域に持ち込んだと解釈することができる。


近年、どれもこれも似たり寄ったりなので、EDMは飽和状態に陥っているとばかり思っていたが、どうやら思い違いだったらしい。解決の糸口は思いもよらない別のジャンルにあるのかも知れない。少なくとも、アフリカの打楽器のような音をサンプラーとして処理し、ドラムンベース、ダブステップ、フューチャーベースとして解釈するというマルモの手法は、まったく未曾有のもので、ロンドンのアンダーグラウンドから興味深い音楽が台頭したことの証ともなりえる。

 

例えば、Killing Jokeは、かつてイギリスに固有の音楽が存在しないことを悩んでいたが、彼らの場合は、すでに存在するリズムを複雑に組み替えることで、新しいイギリスの音楽(複合的なリズム)の形式を確立させた。これは、Gang Of Fourはもちろん、Slitsのようなグループを見ても同様だ。新しい音楽が出来ないと嘆くことはなく、すでにあるものに小さな改良を加えたり、工夫をほどこすだけで、従来に存在しなかったものが生み出される場合がある。Killing Jokeのようなポスト・パンクの代名詞的なグループは、歴史的にこのことを立派に実証している。ロンドンのMarmoもまたこれらの系譜に属する先鋭的かつ前衛的なダンスユニットなのである。
 



85/100

  


 Los Bitchos 『Talkie Talkie』


Label: City Slang

Release: 2024年8月30日

 

Review

 

ロンドンの四人組、Los Bitchosのセカンド・アルバムは、カッティングギターでダンサンブルなミュージックを構築し、そしてダンスフロアのような熱狂を巻き起こす。オーストラリア等、移民を中心に構成されるバンドは、演奏における純粋な楽しみや、彼らの音楽的なモチーフ、クンビアをバレアリック等のダンス・ミュージックと絡めて、エンターテインメント性をもたらす。

 

ロス・ビッチョスのサウンドはテキサスのクルアンビンに近く、カッティングギターはサイケデリックなテイストに縁取られる。それほど難しく考えず、体を揺らすためのダンスミュージックとして楽しめるが、 これらのサウンドは薄まり過ぎて、ライト過ぎる印象を受けなくもない。アルバムのオープニングから、「Hi」という掛け声とともに軽快なダンスミュージックが始まる、それは時々、ファンカデリックのようなP-Funkに依拠したサウンドを呼び起こすこともあるが、オリジネーターのようなコアなファンクサウンドには接近出来ていない。軽やかさという点は利点であり、大きな長所であるが、これらのサウンドは薄められすぎている気もする。


確かに、「Talkie Talkie, Charlie Charlie」では、カッティングギターが軽快なグルーブを呼び覚ましている。ただ、このサウンドも70年代の音楽の焼き増しか後追いに過ぎず、いまいち新奇性に乏しい。AORとクンビアのような民族音楽をかけ合わせた「Don't Change」は、ロス・ビッチョスの持ち味であるトロピカルなテイストと、ダンサンブルな熱狂を呼び起こすことに成功している。ただ、ボーカルなしのインストであるため、飽きの来るサウンドであるのが気がかりである。また、曲の盛り上がりにも欠け、非常に平坦なサウンドであるのも難点である。

 

ただ、アルバムの一つのポイントとしては、ロス・ビッチョスの持ち味であるラテン音楽の影響が本作に個性味を与えることがある。「Kiki, You Complete Me」では、ラテン音楽の旋律とリズムが、バンドサウンドとしてエキゾチズムをもたらす。 ただ、難点としては、クルアンビンのようなセッションとしての白熱した感覚や、ライブのような雰囲気を形づくるまでには至っていない。このサウンドでボーカルなしというのは、少し間が持たないため、飽きてしまうのだ。

 

方や、サウンドの中に変化をもたらそうという工夫が随所に見受けられるのも事実である。ワウサウンドを絡めたギターロック「1K!」は、クルアンビンのようなサイケ性とリゾート的な感覚に縁取られ、それらがファニーな印象を形づくることがある。ただ、スケールとして同じような進行が多いため、どうしても音階的、及びリズム的にマンネリ化しているのが懸念事項である。


「La Bomba」は、アルバムの中では最も勢いを感じさせ、ライブパフォーマンスの期待を盛り上げてくれるが、やはりスケール進行として単調な印象をおぼえざるを得ず、音楽的なバリエーションやひらめきに乏しい。それに加えて、70年代の後追いのようなサウンドであるため、目を引くものがないように思える。アルバムジャケットの派手なイメージは良いけれども、それが実際のサウンドと比べると、あまりにも落差が大きいように思える。楽しいライブサウンドを期待してアルバムを聴くと、少しだけ落胆してしまうかもしれない。これはこの「Talkie Talkie」がレコーディング作品の範疇から一歩飛び出すような冒険心が乏しいことに起因する。

 

アルバムの終盤でもほとんどサウンド的な変化が見受けられず、その中には眠気を誘うものもある。また、ボーカルがなく、インスト中心なのもちょっと寂しく、色気にかけるという気がする。ギターやベースの音作りへのこだわりはたしかに見受けられるが、サウンドチェックの段階で終わってしまっている気がする。つまり、これらの曲は曲にすらなっておらず、それ以前で録音され、パッケージ化されたものに過ぎない。だから世に出た時、既に形骸化している。

 

唯一、終盤に収録されている「Tango & Twirl」ではアルゼンチンタンゴの音楽性が登場するが、果たして、ピアソラが築いたアルゼンチンの文化がこのように軽薄な内容であると考えることは妥当と言えるのだろうか。アルバム全体に感じるのは、ヨーロッパ主義から見た他の地域の文化に対する奇妙な優越感と搾取的な軽視である。その点ははっきり言えば、容認することが出来ない。音楽の表現は自由であるべきだが、表現における放埒と自由性はまったく意味が異なる。最大の問題は、他地域の文化圏に対する敬意が欠如していることである。このアルバムを手に取るくらいなら、クルアンビンの最新作「A La Sala」を先に聴くことをおすすめする。

 

 

 

68/100 

 

 





 【J-POP Trends】 8月のJ-Popの注目作をピックアップ


 

提携レーベルからご提供いただいたリリース情報を元に、注目の邦楽のシングル作やアルバムの収録曲をピックアップするというコーナー。夏も終わりに差し掛かり、夏休みも終わり。いよいよ秋が近づいてきました。2024年もいよいよ後半です。年末に向けて頑張っていきましょう。

 

 

 

JJJ 「July Tour at Zepp Haneda」

 

JJJは、ダイチ・ヤマモトとの共同制作で知られている。秀逸なトラックメイクはもとより、ハリのあるリリック捌きを披露するミュージシャン。日本のロイル・カーナーとも称すべきMC/トラックメイカー。

 

今回、JJJは、7月のZepp Hanedaでのライブ公演を音源にした「July Tour at Zepp Haneda」をリリースした。アルバムの全12曲には白熱したステージの模様を収録。

 

ライブでは、DJセットに加え、コントラバス奏者を招聘し、エレクトロニック・ジャズの影響を絡めたアクトを披露している。もちろん、旧来のドリルやトラップといったJJJらしいヒップホップも堪能できる。ロンドンのヒップホップを反映させた最もクールな音楽性を体感しよう。

 

「Strand」

 



柴田聡子 「Reebok」

 

 バタやんこと柴田聡子の新作は、最新アルバム『Your Favorite Things』のリミックス・バージョン。リミックスを手掛けたのは、日本の人気DJ/プロデューサー、tofubeats。


シティポップや昭和歌謡の世界観をベースにして、モダンなポピュラーワールドを構築するシンガーソングライターの今後の活躍に注目したい。

 

今後、柴田聡子は、最新アルバムのりミックスアルバム「My Favorite Things」の発売を予定している。「Reebok」は、現在、各レコードショップで、Tofbeatsのリミックスシングルと合わせて7インチで販売中。デジタルバージョンも配信中。オリジナル曲のミュージックビデオもぜひ。

 

 

「Reebok」


 

 

ziproom 「Dive」

神戸を拠点に活動するヒップホップ・コレクティヴ、Ziproom。テクノ、ハウス、ダブ、アンビエントを取り入れたエレクトロニックなヒップホップを制作する。

 

スペースシャワーから発売されたニューシングル「Dive」では、フューチャーベースをベースに、アーバンなヒップホップ、及びニュアンスを披露する。英国/レスターのSainte、ロンドンのStormzyが好きな人ならピンとくるものがあるかもしれない。


「Dive」はプロデューサーにMFSなどを手掛けているRUI、マスタリング・エンジニアにはエド・シーラン、アヴィーチー、チャーリーXCX、ディスクロージャーなどを手掛け、日本のHIP HOPシーンからも支持の厚いStuart Hawkesを迎え、Arich自身がミックスを手掛けている。


RUIによるメロディアスで内省的なビートに2人の安定感あるラップが絡み、ziproomならではの個性溢れる楽曲となっている。


 

 

 

「Dive」

 

 

 

Laura Day Romance 「渚で会いましょう」

 

東京のインディーフォークバンドの待望のニューシングル「渚で会いましょう」は、このバンドの旧来のオルトフォークの音楽性はそのままに、ローファイなギター、そしてややセンチメンタルなボーカルを絡めて、唯一無二のローラズの世界観を作り上げている。


ドラムの磯本がリズムパターンを他のメンバーに渡し、直感的なやりとりで制作されたというこの新曲。


ウィルコのような編集的なサウンド、ミュージック・コンクレートを要素を散りばめ、ローファイ風のギターを反映させ、J-POPを意識しつつも、洋楽とのクロスオーバーサウンドを構築している。聞きやすさがあるが、同時に作り込みの凄さが際立つニューシングルである。ギターのデチューンのエフェクト等を見る限り、かなり音作りへのこだわりを感じさせる。


 

 「渚で会いましょう」

 

 

 

 青葉市子 「Lullaby」

 

全国ツアーとヨーロッパツアーを発表した日本のシンガーソングライター、青葉市子のニューシングル「Lullaby」はフォークトロニカの音楽性が選ばれている。

 

アコースティックギターの弾き語りであるが、曲の途中からエレクトロニカやグロッケンシュピールの要素を押し出し、ファンタジックな世界観へと移行していく。

 

イントロでは暗鬱のように思える曲調だが、徐々に森の奥深くに入り込んでいくかのような摩訶不思議な音楽へと変化していき、リスナーの心を巧みに捉える。歌とギターによってかなり奥深い音楽性を提供している。ソングライターとしての手腕にあらためて敬意を表しておきたい。

 

「Lullaby」




◾️前回のJ-POP Trendsを読む:

 【インタビュー】 高木正勝  ~音楽や鍵盤楽器との出会い、アメリカの売り込み時代 ライフワーク、最新映画「違国日記」までを解き明かす~

 

高木正勝
高木正勝 ご自宅にて お子さんと(アーティスト提供)

 

◾️高木正勝さんの音楽を初めて聴いたのは、2013年に発表された「Sail」。本作はレイ・ハラカミの「lust」と並び、日本の不朽のエレクトロニックの名盤。双方共に京都にゆかりがあるのは、単なる偶然というわけには行かないでしょう。日本的な文化の中枢が残っているのか、それを音楽に反映する術を心得ているのか。少なくとも本作は、今でも、日本のエレクトロニックの最低水準を判断するときの欠かせないアイテムとなっている。実は、今では映画音楽の世界で活躍する高木正勝さんは新進気鋭の電子音楽家として、米国のレーベル、Carparkからキャリアを出発させたことは付記しておくべきでしょう。


その後、高木正勝さんは、ピアノ、メディエーション、ミニマルミュージックとボーカルを融合させた「Tai Rei Tei Rio」を発表後、映画音楽やドラマ音楽の世界に入っていった。言わば、映像効果のための音楽、また、ストーリーやシナリオを強化するための音楽にシフトチェンジしていく。これは、彼の音楽がもともと何らかの文学性や物語性が込められていたことを表す。そして、その中には映像を伴わずに聞いても聴き入らせる作品もきわめて多い。


以降の活躍は皆さんもご存知の通りで、『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の映画音楽、そして、最近では、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』のドラマ音楽も手がけている。また、仕事の合間を縫うようにして、小さな山村にある自宅の窓を開け自然を招き入れたピアノ曲集『マージナリア』を発表し続けている。いずれの作品でも、高木正勝さんのピアノには、自然や生き物と深く共鳴するかのように、柔らかさと凛とした響きが含まれており、そしてその音楽は必ずと言っていいほど情景的な感覚、サウンドスケープを呼び起こす。


今回のインタビューでは、音楽との出会いから、ミュージシャンとしてのバックグラウンド、デビューのきっかけ、最新映画「違国日記」をどのように楽しむべきか、実際の制作者としての貴重なご意見をいただくことができました。


Music Tribuneは、日本、海外を問わず、制作者の実際的な考えや意見を何らかの形でストレートに反映し、10年後も楽しめるアーカイブシリーズのような形として残しておきたいと思っています。何かしら下記のエピソードの中から、音楽制作者、もちろん高木正勝さんのファンに至るまで、興味深いエピソードが紹介出来れば非常に光栄です。




ーーまずは、高木さんの音楽との出会い、また、夢中になったきっかけについて教えてください。


高木正勝:  心を掴まれたのはファミコンの音楽だと思います。はじめてカセットテープを買ったのが『ドラゴンクエストIII』のサントラでした。9歳の頃です。ファミコンの音はピコピコしたシンセの音でしたが、サントラにはオーケストラのアレンジで収録されていて、とても驚きました。小さな楽譜も付いていて、リコーダーやピアノで奏でようと思えば奏でられるんだというのは衝撃でした。ファミコンの音はファミコンの音だと思っていたので、まさかピアノと結びつくとは考えもしなったので。また、音楽には、必ず作者がいることも、この時期に意識し始めました。いい音楽が流れる度に悔しいと思っていました。自分も作りたいと本気で思っていました。


その後、10歳の頃に遊んだ『MOTHER』はCMで流れた音楽ですでに感動して、自宅にあった電子ピアノで音を探って自分なりに演奏していました。はじめて弾けるようになったのは『MOTHER』の『Eight Melodies』という曲でした。(編注: 『MOTHER』は、エイプとパックスソフトニカが開発し任天堂より1989年7月27日に発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト)



ーー正勝さんといえば、ピアノというイメージがありますが、最初に楽器を手にしたのはいつ頃でしょうか。また、その時代の思い出について聞かせていただけますか。


高木正勝:  通っていた幼稚園では鼓笛隊に力をいれていて、結構難しい曲を皆で演奏していました。発表会があり、確かミッキーマウスのマーチだったと思いますが、他の人はいろんな楽器を演奏していたのですが、僕は全然楽器が演奏できなかったため、引っ張るとピューイと変な音の鳴る笛を担当しました。小さい頃はまるで音楽が苦手でしたね。


妹がピアノを習い始めたので、自宅に電子ピアノが置いてありました。10歳の頃です。ゲームの音楽やテレビから流れてくる曲を自分で音を探って弾いて遊んでいました。中学にあがった頃に母親の勧めでピアノを習い始めました。レッスンは中高6年間ほど続けて、以降は自分なりに弾いています。


その時代、ピアノの先生が、弾き方だけでなく、作曲家がどうやって作曲したかというような話をたくさんしてくれたのもよかったです。アップライトピアノを祖母が買ってくれてピアノの練習が楽しくて、1日中、何時間も弾いていました。学校でも音楽室に行くと、グランドピアノがあるので、休み時間とかに弾いていました。中学の時に、シンセサイザーを高価でしたが買ってもらえたのが今の仕事に繋がっているように感じます。シンセサイザーがあれば、自分で音が作れて、また、作曲も出来たので、曲らしきものを毎日たくさん作ったり、誰かの曲を一つずつ音を分解して聴きながら再現したりして遊んでいました。




ーー高木さんは、大学で外国語を専攻しておられますね。具体的に、どの言語を学ばれていましたか。また、その言語に興味を持つ契機となった出来事はありましたか。


高木正勝:  大学では英語を専攻しました。英語というより、アメリカの文化について興味があったのだろうと思います。子供の頃に繰り返し観た映画は、殆どアメリカのものでしたし、ゲームの『MOTHER』もアメリカを意識した世界観でした。テレビでも『フルハウス』や『ピーナッツ(スヌーピー)』など、当時はアメリカのものがたくさん流れていて、好んで観ていました。


大学に入ったら、英会話や文化を学べる授業がたくさんあるのかと期待していたのですが、なぜ''he''や''she''の場合だけ動詞に"s"が付くのか、というような細やかな授業が多くて、自分が時間を掛けて学びたいものは他にあるんじゃないかと気づいて一年で中退してしまいました。


ただ、たった一年なんですが、ひとつの単語にはひとつのイメージしかない、という授業が印象にとても残っています。単語を英和辞典で調べると、たくさんの意味が書かれていますが、ネイティブで英語を使っている人はひとつの単語にひとつのイメージを持っているだけで、そのイメージをうまく組み合わせることで伝えたいことを伝えているだけだと習い、視界が開けてシンプルにものごとを考えられるようになりました。


日本語も同じなんですが、例えば「は」というと、葉、歯、刃など、それぞれ別のものを言い表す漢字が思い浮かびますが、よくよく考えるとどれも共通するイメージがあると思います。それが「は」のイメージで、それが掴めると、「は」という音、言葉を自分なりに使えるようになる。細分化されたように思える世界を、もう一度、ありのままの姿に戻すような、豊かな捉え方で、音楽を制作する時にも役に立っています。


高木正勝


ーー学生時代から音楽家や芸術関係の仕事に携わることを考えていましたか。明確にミュー ジシャンとしてやっていきたいと決意した出来事などがあれば教えてください。


高木正勝:  小学生の頃が一番明確に、自分は音楽を作る人なんだと意識していました。まだ一曲も作ったこともありませんでしたし、ろくに演奏もできませんでしたが……。将来の夢を聞かれると、自然豊かな場所にぽつりと家があって、その側に小川が流れていて、お茶でも飲みながらピアノを弾いている姿がいつも頭に浮かんでいましたが、このことについては誰にも言えませんでした。いま、実はそういう暮らしをしているんですが……(笑)。


それでも、成長するにつれて、音楽を仕事にするのは無理だろうなと感じていました。ピアノ教室で音大を目指すような生徒さんたちは理解できないくらい上手でしたし、耳もよかった。それで、デザインや写真、映像に興味が移っていきました。当時、テレビや雑誌くらいしか情報源がなかったので、音楽を仕事にするというのは、何十万枚も売れるような、そういう音楽を作るしかないのだと思い込んでいました。


大学生の頃に自費出版で雑誌を作って、ラジオ局の賞をもらったりしたので、音楽よりもそっちの道に進むだろうと考えていました。その雑誌には、自分の写真やデザインを載せたり、毎回カセットテープを封入していて、大学の先輩のAOKI takamasa君の曲を入れていました。雑誌づくりを本格的に進めようとAOKI君と同居して、僕は映像を作るようになり、彼の音楽に合わせたミュージック・ビデオを2年間、毎日集中して多数制作しました。作品がたまってきて、自信がついてきた頃に、DVDのリリースの話をいただきまして、「SILICOM」という名前で活動をスタートしました。DJのパーティーに呼ばれて映像を流すVJをやらせてもらったり。なので、はじめて仕事になったのは、映像でしたね。


普通ならば、これから映像でやっていくぞ、というタイミングだったと思いますが、馴染みのないクラブという場所での活動や、誰かの音楽に映像をつけるというのがやりたかった訳ではないと、ずっとモヤモヤしたものを抱えていたので、思い切って自分でも音楽を作ってみると、あっという間にアルバム3枚分くらいの曲ができました。


何度も聴きたくなる音楽を自分で作れたことが本当に嬉しくて、音楽の仕事がしたいというよりも、これから何曲でも作りたいし、作れるというので頭が一杯でした。また、時代が味方してくれ、世界中のベッドルームで作った個人的な音楽がきちんと流通して、たくさんの人が楽しめる環境が整っていました。映像も、美術館やギャラリーで発表できたり、ずっとやりたかったことが叶う自分たちの時代が来たと実感していました。


映像も音楽と同時にいくらでも作れる感じでしたし、発表の場や機会も世界中どこにでもある雰囲気でしたので、決意というより、とても自然に自信を持って制作に没頭していました。21歳の頃です。



ーー当初、高木さんは海外のレーベルから作品をリリースしていましたね。最初のリリースは Carparkで驚いたんですが、海外のレーベルから作品を発表したのはなぜだったのでしょうか??


高木正勝:  当時、音楽をリリースすることはあまり念頭においていませんでした。自分は映像作家なんだと思っていましたので……。


現在、"ミナ ペルホネン"という服のブランドで活躍されている田中景子さんが母親同士仲がよくて。彼女がニューヨークで働き出したと聞いて、映像作品をダビングしたビデオテープを20本くらい抱えて遊びに行きました。それも21歳の頃です。ギャラリーや美術館に配って歩きました。自信だけはあったので、何処かで採用されるだろうと思っていたのですが、何も手応えもなく。いま考えると、よっぽど度胸があるとおもいます。近代美術館のような場所に行って、自分の作品を手渡ししてきたのですから。


それで、手持ちのビデオテープが最後の一本になってしまった時に、田中景子さんから、「知り合いにレコード屋さんで働いている人がいるから渡してみたら?」と言われ、音楽じゃないんだけど、としぶしぶ思いながら、一緒に音源を渡しに行きました。


それがCarpark Recordsを始めたばかりのTodd Hymanさんでした。帰国すると直ぐにメールが来て、「CDをリリースしたい」と言われて……。とても嬉しかったのですが、僕は映像作家だとその時も思っていましたので、むりやりCD-ROMに映像を入れて2枚組にして出してもらいました。その後、映像だけでなく音楽もいけるかなと思って、他の曲も大好きだったドイツのKaraoke Kalkというレーベルに送ってみると、こちらも直ぐにリリースしたいとお返事いただいて、トントン拍子で話が進みました。



ーーミュージシャンとして手応えを感じるようになったというか、仕事として繋がってくるようになった時期はいつ頃でしたか。


高木正勝:  ありがたいことにマネージメントをしてくれる方が付いてくれていたので、作品の発表の機会は次々と繋がっていったのですが、ひとつひとつの作品にかける時間や労力が年々増えていったので、ずっと大変でしたね。


明確に仕事としてやっていけるのかなと感じたのは、2011年以降です。震災があり、自分の仕事のやり方を根本的に変えました。


それまではほとんど自分のために作品を作っていましたが、誰かのために作る機会がぐんと増えました。マネージメントも自分自身でするようになりまして、戸惑いはありましたが、仕事で分からないことがなくなり、すべてを把握することで、やっていけるという自信に繋がりました。


高木正勝


ーー現在、高木さんは、多数の映像作品や、芸術に付随する音楽など、多数の制作経験をお持ちですよね。自分でいちばん気に入っている音楽作品、あるいはまた、芸術作品を挙げるとするならどれでしょうか??


高木正勝:  どれも好きなんですが、いまも取り掛かっている「Marginalia」のプロジェクトは、僕がこれまでやってきたことの集大成でもあり、また誰の評価も気にしないで、日々の記録として、自分だけのために録音しているので、よく聴いています。



 ーー今、高木さんが仰ったようにメインプロジェクトと並んで、ピアノと環境音楽を結びつけた「Marginalia」を発表し続けています。現在、176もの長大なシリーズとなりましたが、この録音作品のテーマやコンセプト、そして、発表するようになったきっかけについて教えていただけますか。


高木正勝:  幾つかきっかけがあります。ひとつは、ピアノソロのアルバムが作りたいとずっと考えていました。これまで色々なアルバムを出してきましたが、ピアノのみというのは『YMENE』だけでした。


『YMENE』は2010年、はじめてのピアノ・コンサートで、自分なりのピアノがようやく弾けた手応えがありました。録音したものを整える作業をしていたのですが、その最中に震災が起こり、手が止まってしまいました。今は、こんなことをしている場合じゃないよな、と。誰かの役に立ちたいといいますか、その後は、人から頼まれた仕事を断らずに全て受けていこうという方向に切り替えました。それから、ずっと映画音楽やCM音楽、ダンスの音楽、学校の校歌など、頼まれるままに作ってきたのですが、そろそろ自分のために作りたいな、と。それで『YMENE 』の続きがやりたいなと思って、『YMENE 2』というタイトルで進めようとはじめは考えていました。


もうひとつは、同じ頃、2017年にソロモン諸島に旅行に行ったのが大きなきっかけでした。宿泊所しかないような小さな孤島に泊まったのですが、周りは海しかなくて、身も心も自然と一体になっていました。「全体性」という言葉が浮かんで、とてもしっくり来ました。身の周りの環境も含めて、ひとつ残らずあるものを全部受け止めた作品が作りたいと思って。


それで、ある夜、波の音を聞きながらとても静かに眠っていると、頭の中にドンドンという音が鳴りはじめました。周りには海しかなく、幻聴かなと思ったのですが、妻も同じように音が聞こえるというので、耳を澄ませると、20km以上離れた向こうに小さく見える島から音が聞こえてくるのがわかりました。


おそらくパーティでもやっていたのでしょう、ブンブンというベースの音も感じはじめました。それまではちゃぷちゃぷという心地よい海の音に包まれていたので、とても気分が悪かった。ドンドンという音も、夜に聴きたいリズムではなく、眠ろうとしても身体が覚醒してしまいます。その時、海の生き物たちも、こういった音を聴かされるのはさぞ迷惑だろうと思いました。考えてみれば、人が音を出す度に、人間以外の生き物たちもそれを聞いているわけです。


この出来事をきっかけにして、「彼らにとって音とはなんだろう?」と本気で考えるようになりました。家に帰ってから、窓を開けはなち、外の世界と繋がったまま、自然の音をよく聴きながら、ピアノを弾くようになりました。「Marginalia」の初期の頃は、外の音がほとんど録れていないのですが、途中から外に向けてマイクを置き、自然の音を録音するようになりました。


音源に関しては、ひと筆書きのように演奏したものを、加工や編集や手直しをせずに、そのまま直ぐにリリースするようにしています。SNSの代わりにはじめたような側面もありました。写真や文章に割く時間や労力があるなら、ピアノを録音しようと思って。その日その日の季節をそのまま録音して残すような、季節を自然と一緒に作り上げているような感覚でやっています。最初は108作でゴールかな? と考えていたのですが、続けたいだけ続けようと思っています。



ーー高木さんにとって音楽を制作する楽しみとは??  また、ご自身の音楽から何を汲み取ってもらいたいとお考えですか。


高木正勝:  聴いていただけるだけで本当に嬉しいです。何でもそうですが、何かを作るのは、自分の頭や心や魂の蓋を開けて、受け取ったものをできるだけそのまま出すような感じです。知らないことがたくさん身体に入ってきますし、忘れたと思っていた記憶が鮮明に蘇ったりします。とても豊かな時間ですね。


ーーさて、今年6月には、ヤマシタトモコさん原作の映画「違国日記」が劇場公開されました。このサウンドトラックを手掛けてみた感想はいかがでしたか?  そしてまた、この作品をご覧になる方に、どんな点に注目してもらいたいですか??


高木正勝:  『違国日記』は原作が素晴らしく、できるだけ原作に沿った音を奏でたいと考えていました。


この映画では、原作と同じシーンもありますが、原作にないシーンがたくさん描かれています。長く広く展開された原作を2時間に収めなければならないのに、わざわざ付け足されたシーンをどう受け止めるかが重要でした。監督からは、ほとんど説明はいただけず、自分で考えながら音を入れていったので、自分流のこの映画の見方がそのまま映画音楽になっていると思います。たくさんの感想を読まさせていただきましたが、僕と同じ見方をしている感想にはまだ出会えていません。原作にはないシーンをなぜ描いたのか、そこに注目して観てもらえると、何か新しい発見があるかもしれません。



「違国日記」予告動画 (東京テアトル)

 

 

(取材: MUSIC TRIBUNE  中村 2024年8月30日)

Best New Tracks:  Roger Eno 「Above And Below」(August Week 5)
 


 

ブライアン・イーノの弟であるロジャー・イーノは、9月下旬にドイツ・グラモフォンから発売予定のアルバム「The Skies: Rarities」のセカンドシングル「Above And Below」を公開した。最初のリードシングルでは、音数の少ない清涼感のあるピアノ曲を聴くことが出来た。この曲では、アンビエントシリーズのイーノの作曲に依拠し、瞑想的な音楽を組み上げている。


ブライアン・イーノのアンビエントの概念は、今は亡きハロルド・バッドのピアノの演奏と分かちがたく結びついていた。弟のロジャー・イーノは、「Above And Below」において、上記の二人の作曲家のイデアを受け継いで、それらを瞑想的な作曲として昇華させている。おそらく、イーノの名作『The Plateaux of Mirror』に触発されたと推測される。その中には、神秘的な音の要素が含まれ、映画のような音響効果、ドローンのような抽象的な音像の中から、ダークでありながら静謐な音楽がぼんやりと立ち上ってくる。アンビエントの名品の登場である。


 

ロジャー・イーノは、現代の精神性を失った作曲家とは異なり、思弁的な感性を持ち合わせている。それは実際的に、ピンク・フロイドのようなサウンドに反映されている。



「Above And Below」

 

 

 

Roger Eno 新作アルバム『The Skies : Rarities』を発表 9月27日にドイツ・グラモフォンから発売

 Kitty Craft 『I Got Rulez』

Label; Takotsubo Records

Release: 2024年8月30日

 

Review

 

LAのプロデューサー、Pamela Valfer(パメーラ・ヴァルファー)は、最初期のローファイポップを形成する重要な制作者であるとともに、ベッドルームポップの先駆者のアーティストでもある。


Kitty Craftは、原初的なブレイクビーツのスタイルに、夢想的なドリーム・ポップの要素を加え、ホーム・レコーディングにおける理想的なサウンドプロダクションを探求してきた。特に、カットアップ・コラージュのように細かなマテリアルを組み合わせて、文字通り、「ハンドクラフトのインディーポップ」を構築する。オルタナティブポップやベッドルームポップなどという言葉が流行る以前の1990年代から、Palmela Valferは独力でそれらの音楽を作っていた。それがKity Craftが独自に体系づけた音楽ジャンル「Kitchen Pop」の正体なのかも知れない。

 

『I Got Rulez』は長らく入手困難だった96,97年の音源の再発である。そして、Palmelaの音楽制作とは、最初期のヒップホップに近いものであり、ターンテーブルのような音のディレイ等を活かし、ループサウンドとなるビートをトラックの背景に敷き詰め、ラップの代わりにインディーポップ風のさらりとしたボーカルを歌う。淡白な音作りなのは事実だが、聴いていると妙に癖になるものがありはしないか。ブレイクビーツの影響を絡めた音楽は、男性の音楽のように血気盛んになることはなく、午後の白昼夢さながらにほんわかとしていて、安らいだ空気感に縁取られている。これが、ローファイとしてのドリーム・ポップに近づくことがある。

 

「I Got Rulez」は、インディーロックのギター、レトロで安価なシンセ、サンプラーをブレイクビーツのドラムに乗せ、それらにThrowing Musesのようなファンシーなボーカルを乗せる。時々、気の抜けたようなコーラスが加えられる。これらの適度に脱力したサウンドが、ニッチなローファイの魅力を呼び覚まし、テープ音楽のプリミティヴな音の質感を呼び起こす。デジタルリマスターを掛けても、音のラフさや荒削りさは立ち消えにならず、良いウェイブを生み出す。また、ヴィンテージのアナログレコードのようなあたたかな質感を呼び起こすこともある。

 

Pamela Valferは、絵本のような童話的な世界を作り出すことで知られているが、「Alice」はまさしくこのアーティストの代名詞となるようなトラックである。90年代頃のインディーロックを参考にしたような音楽だが、レトロでチープなシンセがファンシーな感覚を生み出している。そして、Palmela Valferのボーカルは、ボソボソと小声で歌われ、ドラム、ギター(ベース)の演奏の間が取れていないこともあるが、それらの演奏の違和感もむしろ長所のように聞こえてくる。そして、音作りもへったくれもないギターは、曲の最後になって良い雰囲気を生み出す。アマチュア志向のサウンドであるが、完成度の高い作品よりも聴きやすさあるのは不思議だ。

 

「Find Out」では、90年代のYo La Tengoの作風をベースにし、ブレイクビーツのドラムを背景に一気呵成に録音し、ドリーム・ポップやインディーポップの音楽性で縁取っている。MTRで録音したような素人臭さがあるのだが、結局、やはり前の二曲と同じように、それらの荒削りなプロダクションの向こうから、Palmela Valferのボーカルが立ち上ると、独特な空気感を呼び覚ます。 

 

アルバムのクローズ「Wuite Clear」では、サイケデリック風のグワングワンなギターが聞き手の頭を掻き回す。最初期のガレージロックやグランジのような荒削りなギター、The Vaselines,Violent Femmesのように破天荒で破れかぶれな感覚、これらすべての食材をボウルの中で混ぜ込み、夢想的な音楽という形で提供している。放課後にガレージで録音したようなアルバム。やはり、既存の音楽に似ているようでいて、どれにも似ていないのが、Kitty Craftの音楽の凄さなのだ。



76/100


 

 


プライマル・スクリームは、8年ぶりとなるニューアルバム『Come Ahead』を11月8日にBMGからリリースする。

 

セカンド・シングルとなるプロテスト・ソング「Deep Dark Waters」が公開された。この曲は、長年のコラボレーターであるダグラス・ハートが監督したビデオで公開された。ビデオとフルレングス・ヴァージョン(ビデオで紹介されたラジオ・エディットより1分20秒長い)は以下から。


プレスリリースの中で、フロントマンのボビー・ガレスピーはこの政治的な曲について次のように語っている。『Deep Dark Waters』はフランコ'ビフォ'ベラルディの著作に影響を受けている。歴史からの警告が含まれている。過去から学ばない者は、それを繰り返す運命にある』」


このサイケポップ風の曲でガレスピーは植民地政策に関して、忌憚ない意見を交えて、以下のように辛辣に歌っている。

 

われわれの要塞大陸/われわれの価値観は引き裂かれ、曲げられている/われわれは爆撃し、彼らが逃げたら/われわれは彼らに来ることはできないと言う/第2次世界大戦のように/

 

われわれはユダヤ人に憐憫の情を示さなかった/われわれは彼らをも異質な存在とした/彼らを地獄に見捨てた/われわれは言う、"彼らはここでは歓迎されない "と/"彼ら全員をあそこに送り返せ "と/

 

啓蒙はどこにあるのか/われわれの罪と彼らの罰の中に?/ 植民地略奪の上に築かれた/我々の要塞大陸/ヨーロッパの混乱。



「Deep Dark Waters」



 


マニック・ストリート・プリーチャーズは本日8月29日(木)、2021年の『The Ultra Vivid Lament』以来となる新曲を発表した。


マニックスの寵児ザ・スキッズ、グラン・ツーリスモ時代のザ・カーディガンズ、そしてウォー・オン・ドラッグスのドライヴ・パルスから音楽的インスピレーションを得た「Decline & Fall」は、自己嫌悪の時代に対する多幸的で陽気なアンセムだ。

 

ニューポートにあるバンドのDoor To The Riverスタジオとモンマスのロックフィールド・スタジオでレコーディングされた "Decline & Fall "は、常連コラボレーターのデイヴ・エリンガとロズ・ウィリアムズがプロデュースし、シーザー・エドマンズ(ビーチ・ハウス/スウェーデン/ウェット・レッグ)がミックスした。



新曲についてバンドはこう語っている。「音楽的に『Decline & Fall』では、前進する動きを作り出そうとした。この曲は、過去を利用して未来へと推進させるもので、歌詞は、管理された衰退を受け入れて受け入れる一方で、まだ存在する小さな奇跡を祝うという、気づきと理解の1つである」


バンドは、先月のマンチェスター公演を含め、『Under the Radar』で軒並み素晴らしい評価を受けたスウェードとのUK共同ヘッドライン・ツアーを完売させたばかりで、絶賛されたサード・アルバム『The Holy Bible』は明日8月30日(金)に発売30周年を迎える。彼らの次のライブは、9月8日にプレストンのムーア・パークで行われるRadio 2 In The Parkである。