©Angella Choe

Indigo De Souza(インディゴ・デ・ソーザ)が新作EP『Wholesome Evil Fantasy』をサプライズ・リリースした。このEPは、ノースカロライナ州アッシュヴィルのシンガー・ソングライターが2023年に発表したフルアルバム『All Of This Will End』に続く作品である。

 

基本的にはギターを中心とするオルトロックソングを発表し続けているデ・ソウザであるが、今回のEPはカラーが異なる。キャッチーなダンス・ポップに傾倒した楽曲が収録されている。ソングライターの意外な一面を知ることが出来るかも知れない。EPのストリーミングは以下から。


「これらの曲は、私の精神の中で最もスパイシーで、最もおふざけで、きらびやかな光沢のある場所から生まれた」とデ・ソーザは声明で説明している。

 

「コラボレーターのエリオット・コゼルとジェシー・シュスターがもたらしてくれるサウンドとエネルギーに、私はいつも刺激を受けている。彼らはいつも私を笑わせ、私の最も愚かなバージョンを引き出してくれる」

 

「彼らがいなければ、この新しい空間を発見することはできなかっただろう。これらの曲を聴いていると、私たちが持つ遊び心に満ちた音楽的なつながり、そして永遠の友情への感謝の気持ちでいっぱいになる。私の基本的な存在はかなり重く複雑なものだが、これらの曲は私が取り組んでいる間中、深い喜びを感じさせてくれた」

 

 



 もし、図書館で調べ物をしていて、2世紀以上前の有名作曲家の楽譜を見つけたとしたら??   


 そんなロマンを感じさせる出来事が音楽の都ドイツのライプツィヒで起こった。今回、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの死後230年以上が経ち、新しい楽譜が発見された。モーツァルトが10代の頃に書いたと思われる、未発表曲がドイツの市立図書館で発見されたというのだ。


 ライプツィヒ市立図書館の公式の声明によると、「Ganz kleine Nachtmusik(ガンツ・クライネ・ナハトムジーク)」と呼ばれる12分に及ぶ曲は、1760年代半ばから後半に制作されたと見られ、弦楽三重奏のための7つの小楽章で構成されているという。さらにライプツィヒ市立図書館の発表によると、研究者がこの曲をライプツィヒの音楽図書館で発見したのは、いわゆる「ケッヘル」カタログの最新版を編集している時だったという。


ライプツィヒ市立図書館で発見されたモーツァルトの未発表曲の模写


 今回、ライプツィヒで発掘された手稿はモーツァルトが個人的に書いたものではなく、研究者によれば、1780年に作成されたオリジナルの楽譜の模写であると推察される。この曲は、今週木曜日(9月19日)にオーストリア・ザルツブルグで行われた最新版のカタログのお披露目で弦楽三重奏によって初演され、続いて、土曜日(9月21日)にライプツィヒ歌劇場で初演される予定。


 ザルツブルクの国際モーツァルテウム財団のウルリッヒ・ライジンガー氏は、この曲について声明を通じて次のように述べています。「この曲の着想はどうやらモーツァルトの妹から得たようなので、妹が兄の形見として、この作品を保管していたのではないかと想像したくなる」


 ケッヒェル・カタログは、この曲について、1769年12月、神童モーツァルトがまだ13歳であった頃に書かれたもので、「作者の帰属から、モーツァルトが初めてイタリアを旅行する前に書かれたものであることが示唆される」と述べています。

 

 2世紀余りが経過しても影響力を失わぬ音楽家であり、いつの時代もセンセーショナルであり続ける。それがヴォルフガング・モーツァルトの偉大さなのかもしれない。


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Honeyglaze


 

『Real Deal』は、大きな気分の終わりにため息をつくように届く。それは、白い指の関節、歯ぎしり、生々しく噛まれた爪の翻訳である。しかし、ハニーグレイズのセカンド・アルバムでは、そのすべてに立ち向かい、かさぶたの下に爪を立てている。対立と自信、激しさとカタルシス-これらは、自分たちを再び紹介する準備ができているバンドが、苦労して得た報酬なのだ。


ヴォーカル兼ギタリストのアヌースカ・ソコロウはこう語る。「音楽的には、"どうすればもっと良くなるんだろう?"とファースト・アルバムに反応していたんだ」 サウス・ロンドンから、ベーシストのティム・カーティスと、ドラマーのユリ(ユウリ)・シブウチを迎えて誕生したハニーグレイズは、パンデミックによってゆがんだ奇妙な時代に成長した。シーンを定義するダン・キャリーのレーベル、スピーディー・ワンダーグラウンドによって世に送り出された2022年のセルフタイトル・デビューアルバムは、ソコロウの青春を捉えたものだった彼女は、目を見張るような真摯さと、ウィットに溢れ、クリエイティビティの欠如、厳重に守られた心の砦、不安定なアイデンティティから生まれる下手な散髪やブリーチ・ジョブなど、私たちがむしろ隠したがっている部分をあえて共有する特異なソングライターであることを自ら公表した。しかし、その裏にはちょっと恥ずかしがり屋などこにでもいるような若者の表情を併せ持つ。


ハニーグレイズは、思春期と成人期の間のぎこちない宙ぶらりんの時期に書かれ、デビュー作を作りながらも、自分たちが成長していないことを感じていた。しかし、2サイズ小さいTシャツのようにフィットするサウンドへの創造的な飽きから、急激な成長の時が始まった。『リアル・ディール』の礎は、ツアー後の二日酔いの中、歓迎されない現実世界の中断と、その中でアーティストとして生き残る現実性から導き出されることになった。ヴォーカルのソコロウは別れと引っ越しに苦しんでおり、このレコードはスタジオではなく、彼女の寝室の信頼できる4つの壁の中で書かれた。ソコロウは語る。「このアルバムは、私の人生で最も一貫したもののひとつだったと本当に思うわ。バンドは毎週水曜日に集まってリハーサルを行い、新曲を進化させた。自分たちのパートを掘り下げ、介入することなく本能に従う贅沢な時間を楽しみました」



デビュー・アルバムの歌詞の多くは、誰の耳にも届くことを意図せずにソコロウが書きあげた。しかし同時に、『Real Deal』は多くの人に聴かせるために制作された。グラミー賞にノミネートされたプロデューサー、クラウディウス・ミッテンドルファー(Parquet Courts、Sorry、Interpol)と田舎のレジデンス・スタジオでレコーディングされた本作は、文字通り、そして精神的にも、自分たちのサウンドに新たな次元を探るためのスペースが与えられている。


ミシシッピの老舗レーベル、ファット・ポッサムからリリースされるこのアルバムは、彼らのライブ・パフォーマンスの緊迫感を翻訳したものだ。シブウチのパーカッションは、オープニング・トラックの「Hide」で爆薬のように爆発し、吸い込まれるように着地する。


「歌詞だけでなく、バンドとして、ダイナミクス、歪み、衝撃、感情を通して暗い感情を表現したかった」とカーティスは説明する。


夢を見るとき、その夢の中の誰もが自分でもあるという考えがある。『リアル・ディール』のストーリーテリングは、デビュー作のような自意識過剰なフラッシュから脱却し、成熟した自己認識の到来を告げている。ソコロウは、キャラクターと衣装というレンズを通して書き、まるで司会者のような小話を通して人々の心を探っている。


"コールド・コーラー "は、孤独と断絶の本質について痛切な真実を明らかにしながらも、フィクションの特殊性に傾倒している。蛇行するリズムの中で、ソコロウの語り手は冷やかしの電話とその偽りの関心に夢中になる。彼女は丁寧な苦悩に歪みながら歌う。


"言われたことは何でもする/ひとりじゃないとわかるだけでいい"。


カーティスはこの曲について、こう語っている。「この曲は、完全にダイナミックに反転していて面白い。もしあなたが相手から十分な関心をもらえていないとしたら、その人がどれほど孤独を感じるか想像できる?希望的観測と妄想は、あなたが思っている以上にあなたの現実を決めているのです」


このバンドのストーリーテリングの巧みさは、音楽的な不安定さにもある。ソコロウの歌声は、穏やかな降伏の前に不安の潮流に押し流される。


「プリティ・ガールズ」では、"飲んで、飲んで "と、偽りの陽気さで歌っているが、これは自分が偽者のように感じられる社交の場を乗り切るための自己鎮静マントラである。抑圧された告白が表面化し、音階を滑り落ちていく。でもアルコールは悲しい気分にさせる。そして、中断。音楽は宙吊りになり、ピースが落ちるのを待つ間、お馴染みの吐き気が胃の底で凝り固まる。--Fat Possum



『Real Deal』/ Fat Possum    ロンドンにポストロックのニューウェーブが到来!?

 

あらためて説明しておくと、ポスト・ロック、及び、マス・ロックと言うジャンルは、一般的に米国の1990年代初頭に始まったジャンルである。ピッツバーグのDon Caballero(Battlesの前身で、イアン・ウィリアムズが在籍)、ルイヴィルのSlintなどがその先駆的な存在であるが、これらのジャンルを率先してリリースしていたのがシカゴのTouch & Goである。

 

一般的には、このジャンルは、アンダーグラウンドに属するもの好きのための音楽と見なされてきた。これらは、ワシントンDCのイアン・マッケイのDISCHORDと連動するようにして、ポスト・ハードコアというジャンルを内包させていた。これらのバンドは、最初期のエモコアバンドがそうであるように、Embrace、One Last Wish、そして、Husker Duと同じように、パンクの文脈をより先鋭的にさせることを目的としていた。その延長線上には、Sunny Day Real Estate,Jawbox、Jets To Brazilなどもいる。

 

そして、もう一つ、ロックをジャズとエレクトロニックと結びつけようという動向があり、これらはジャズが盛んなシカゴから発生した。

 

90年代の終わりに、Fat Possumは、Tortoiseの『TNT』というレーベルの象徴的なカタログを発表している。これはとても画期的な作品であって、一般的によく言われているように、ProToolsを宅録として使用した作品だった。これらのプロフェッショナルなソフトウェアをホームレコーディングで活用出来るようになったことが、バンドの未知の可能性をもたらしたのだった。つまり、現在のベッドルーム・レコーディングの先駆的な作品は、『TNT』なのである。

 

 一般的に、ポスト・ロック/マス・ロックというジャンルは、台湾・高雄のElphant Gym、2000年代以降の東京のToeなどを輩出したが、2020年代初めは、米国では下火になりかけていて、「時代遅れのジャンルなのではないか」と見なすような風潮もあったのは事実である。唯一の例外は、ニューヨークのBlonde Redheadで、最新作では最初期のポスト・ロックとしての性質をアヴァンギャルドなポップスと結びつけていた。しかし、これらのジャンルは、海を越えたイギリスで、じわじわと人気を獲得しつつある。その動きは若者中心に沸き起こり、ポストパンクという現在のインディーズバンドの主流が次のものへと塗り替えられる兆候を示唆している。

 

ハニーグレイズに関しては、Bar Italiaのような多彩な文化性を兼ね備えたバンドである。見方を変えれば、Rodanがスポークンワードという新しい表現性を加え、現代に蘇ったかのようである。デビューアルバム『Honeyglaze』では、どういったバンドになるのかが不透明であったが、ミシシッピのファット・ポッサムへの移籍を良いきっかけとして、より洗練されたサウンドへと進化している。なぜ、彼らの音楽がシックになったのかと言えば、新しい音楽性を手当たり次第に付け加えるのではなく、現在の三者が持ちうるものをしっかり煮詰めているからである。

 

先行シングル「5-Don't」のミュージック・ビデオでは、表向きのフロントパーソンのアヌースカ・ソコロウの人物的なキャラクターを押し出しているが、アルバムを聞くと、予めのイメージは、良い意味で裏切られることになるだろう。それらのセンセーショナルなイメージはブラフであり、全体的には紳士的なサウンドが貫かれ、本能的なサウンドというより、個人的な感覚を知性により濾過している。ソコロウは、フロントウーマンとしての存在感を持ち合わせているのは事実あるが、ハニーグレイズのサウンドの土台を作っているのは、ドラマーのユリ・シブウチ、そしてプログレやジャズのように和音的なベースラインを描くティム・カーティスである。

 

シブウチのドラムは傑出している。ジャズの変拍子を多用し、バンドの反復的なサウンドとソコロウのボーカルやスポークンワードに、ヴァラエティをもたらす。いわば、反復的なボーカルのフレーズ、ルー・リード調の語りが淡々と続いたとしても、飽きさせることなく、曲の最後まで聞かせるのは、シブウチのドラムがヴォーカリストの語りや声のニュアンスの変化、及び、ベースの小さな動きに応じ、ドラムのプレイ・スタイルを臨機応変に変化させるからだろう。


「しなやかで、タイトなドラム」と言えば、感覚的に過ぎる表現かも知れない。しかし、華麗なタムの回し方、スネアの連打で独特のグルーヴをもたらす演奏法は、ドラムそのもので何かを物語るような凄さが込められている。ユリ・シブウチは、ロンドンでも随一の凄腕のドラマーと言っても誇張表現ではないかもしれない。彼のプレイスタイルは、まるで、ロックからジャズ、ソウルまでを網羅しているかのように、曲の中で多彩なアプローチを見せる。その演奏法の多彩さは、彼がその道三十年のベテラン・プレイヤーではないかと錯覚させる瞬間もある。

 

アルバムとしては、2つのハイライトが用意されている。それが、オープニングを飾る「1-Hide」と「5-Don't」である。


前者はダンサンブルなビートとポストハードコアの過激なサウンドを融合させ、アルバムの中では最もアンセミックな響きが込められている。また、現代的なティーネイジャーの悲痛な叫びが胸を打ち、センシティブな表現が込められている。しかし、フレーズの合間に過激な裏拍を強調するシンコペーションを用いたドラムが、クランチなギター、オーバードライブを強調させるベースが掛け合わされ、強烈な衝撃をもたらす。いわば、イントロの上品さと洗練された繊細な感覚が、これらのポストハードコアに依拠する過激なイメージに塗り替えられていく。


後者は、ソコロウがデスティニーズ・チャイルドの曲を基にリフを書き上げたところから始まった。マスロックの数学的な変拍子を織り交ぜ、クリーントーンのアルペジオのギター、ファンクの性質の強いベース、シアトリカルな印象を持つソコロウのボーカルがこの曲を牽引していく。不協和音を生かしたギターが雷のように響きわたり、リリックではマスメディアへの嫌悪感や戸惑いが示されていることは、下記のミュージック・ビデオを見ると明らかである。

 

 

「Don't」

 

こういったセンセーショナルな印象をもたらす曲の周りを取り巻くようにして、現行のオルタナティヴ・ロックをスポークンワードと結びつけるような曲も収録されている。「2-Cold Caller」は、ソコロウの自分の性質を皮肉的に嘆く曲で、いわば本来は避けるべき人との恋愛について書かれている。いずれにしても、この曲は、「Don't」のような曲と比べると、それほど激しいアジテーションに嵌ることはなく、どちらかと言えば、落ち着いたオルトフォークのような空気感が重視されている。牧歌的とまではいかないが、一貫して穏やかな気風に縁取られている。そして、ソコロウのボーカルは冒頭部と同様に、シアトリカルな雰囲気を漂わせている。

 

同じように、「3-Pretty Girls」、「4-Safty Pins」は、スポークンワードをオルタナティヴロック寄りのサウンドと結びつけているが、それほど過激な印象はなく、やはりクリーントーンを用いた落ち着いたギターのアルペジオと、ルー・リードの系譜にあるソコロウの語りが温和で平和的な雰囲気を作り出している。そして、シンセサイザーやギターのアルペジオ等、多彩なニューウェイブサウンドを踏襲し、全体的にはヴェルヴェッツのような原始的なロックサウンドが貫かれている。リードの作曲と同じように衝動的な若さと知性を共存させたような音楽である。

 

現在のオルタナティヴ・ロックは、二次的なサウンド、三次的なサウンドというように、次世代に受け継がれていくうち、その本義的な何かを見失いつつある。ルー・リードの作曲に関しては、昨年リリースされたリードのアーカイブ・シリーズを見ると分かる通り、東欧のフォーク・ミュージックというのが、プロト・パンクの素地を形成したことを証明付けていた。 主流の地域にはない「移民の音楽」、これこそがオルタナティヴ・ロックの「亜流の原点」でもある。

 

これらが、元々は億万長者の街であり、第二次世界大戦後にイギリスの駐留軍が縄張りを作り、ニューヨーク警察の代わりに同地を自治していたローリンズ・ストーンズの親衛隊''ヘルズ・エンジェルズ''をはじめとするアウトサイダーの街ーーバワリー街の移民的な要素を擁する音楽家の思想と掛け合わされ、ニューヨーク・パンクの素地が築き上げられていったのである。

 

つまり、パティ・スミス、テレヴィジョンのような存在は、単なるニューヨーク的な音楽というよりも、どことなくユーラシア大陸の音楽的な要素を持ち合わせていた。ハニーグレイズもまた同様に、表面的なパンクやロックの性質に順応するのみならず、これらのジャンルの原点に立ち返るようなサウンドを主な特色としている。それはまた、Dry Cleaningのボーカリストで美術研究者でもあるフローレンス・ショーのスポークンワードとの共通点もあるかもしれないが、「詩や文学的な表現の延長線上にあるパンクロック」という要素を、現代のミュージシャンとして世に問うというような趣旨が込められている。続く「6-TMJ」は、パティ・スミスの詩や文学性をどのように現代のミュージシャンとして解釈するのか、その変遷や流れを捉えられる。

 

上記のような原始的なオルタナティヴロックバンドの要素と合わせて、次世代のポスト・ロックバンドの性質は続く一曲に表れ出ている。「7-I Feel It All」は、イントロの幻想的なサウンドを基にして、MOGWAIを彷彿とさせるスコットランドのポスト・ロックを素朴なソングライティングで縁取っている。内的な苦悩を吐露するかのようなシリアスな音の運びは、やはり、このバンドの司令塔であるシブウチのダイナミックなスネアとタム、そしてシンバルによって凄みと迫力を増していく。また、一瞬、ダイナミクスの頂点を迎えたかと思うと、そのとたんに静かなポスト・ロックサウンドに舞い戻り、まるでドーヴァー海峡の荒波を乗り越えるかのような寂寞としたギターロックが立ち現れる。ボーカルそのものは暗澹とし、また、霧のようにおぼろげでぼんやりとしているが、音楽的な表現として弱々しくなることはない。バンドとしてのサウンドは強固であり、そして強度のあるリズム構造が強いインスピレーションをもたらす。何かこの曲には最もハニーグレイズの頼もしさがはっきりと表れ出ているような気がする。

 

こういった強い印象を持つ曲も魅力であるが、同時に「8-Ghost」のような繊細で優しげなインディーロックソングも捨てがたいものがある。この曲のサウンドには、80年代のポピュラー・ミュージックの要素が含まれているらしく、それらが少しノスタルジックなイメージを呼び起こす。繊細なボーカリストとしての姿は、この曲の中盤に見出だせよう。音楽的には地下に潜っていくような感覚もありながら、その暗さや鬱屈した感覚のボーカルは、癒やしをもたらす瞬間もある。そして、ポピュラーに依拠した音の運びやリズムは使い古されているかもしれないが、何らかの親近感のようなものを覚えてしまう。これらはジュークボークスから聞こえてくる懐かしい音楽のように淡い心地よさをもたらす。珍かなものだけではなく、スタンダードなものが含まれているという点に、ハニーグレイズの最大の魅力があるのかも知れない。

 

 

 「Ghost」ーLIVE

 

 

 

終盤の三曲では、やはり現在の持ち味であるポスト・ロック的なサウンドに立ち戻る。その中には、Rodanのようなアート・ロックの要素もあり、また、以降の年代のオルタナティヴフォークや、スロウコアのような音楽性も含まれている。これらの音楽が聞き手をどのように捉えるのかまでは明言しかねる。しかし、現行のポストパンクバンドやスロウコアバンドとは相異なるものがある。それはデモソングのような趣がある「9-TV」を聞くと分かる通り、ソコロウの演劇的なボーカルとスポークンワードに依拠したボーカルのニュアンスにある。そしてそれらは、繊細でエモーショナルであるがゆえ、静と動を交えた対比的なサウンドが琴線に触れるのである。また、この曲のシブウチさんのリムショットの巧みなドラムプレイは、この曲の持つ純粋なエネルギーとパッションを見事に引き上げている。これらのサウンドは、決して明るくはないけれど、しかし、その音楽的な表現が純粋で透徹しているがゆえ、清々しい余韻を残す。 

 

 

セリエリズムの不協和音という側面では、Rodan、June of 44には遠く及ばないかもしれない。しかし、それは、このアルバムが一部の人のためだけではなく、広く聞かれるために制作された事実を見ると明らかではないか。 前曲の若さと無謀さを凝縮させたアヴァンギャルドなアウトロが終わると、ストームが過ぎ去った後のように、静かで重厚感のあるサウンドが展開される。

 

タイトル曲「10−Real Deal」は、聞き手の意表をつくかのように、現代的なアメリカーナとフォークロックの融合させたサウンドが繰り広げられる。それらはローファイの元祖であるGalaxie 500、Sebadohの系譜にあるザラザラした質感を持つギターロックとも呼べるかもしれない。しかし、カットソーの粗や毛羽立ちのようにザラザラしたギターラインは、やはり、単に磨きが掛けられ洗練されたロックソングよりも深く心を揺さぶられるものがある。もちろん、それがなぜだかは分からないが、自分が過去にどこかに置いてきた純粋な感覚を、この曲の中に見出す、つまり、カタルシスのような共感性をどこかに発見するからなのかもしれない。 

 

アルバムは深い領域に差し掛かるかのように、瞑想的なギターロックで締めくくられる。「11−Movies」は、ハニーグレイズのバンドとしての新しい境地を開拓した瞬間であり、なおかつアヌースカ・ソコロウがボーカリストとしての才質をいかんなく発揮した瞬間でもある。この曲は、90年代のグランジの対抗勢力であるニューヨークのCodeineのようなサウンドを復刻させている。


しかし、それらは単なる静と動の対比ではなく、マスロックの多角的なリズムや変拍子という、これまでになかった形式を生み出している。これらは、ロック・オペラやプログレッシヴ・ロックの次なる世代の音楽なのであり、また、ボーカルは演劇的な性質を持ち合わせている。別の人物になりきるのか、それとも自分の本来の姿を探すのか……。多くのミュージシャンは、多くの場合、本来の自分とは別の人間を俳優や女優のように演ずることで乗り切ろうとする。しかし、ソコロウの場合はむしろ、どこまでもストレートに自分自身の奥深い側面を見つめることにより、的確かつ説得力のあるスポークンワードやボーカルのニュアンスを見出している。ある意味では、そういった自分自身になりきることを補佐的に助けているのが、彼女の友人であるドラマーのシブウチさんであり、また、ベーシストのカーティスさんなのである。

 

そして、バンドサウンドの醍醐味とは感覚的で、編集的な音楽性に寄りかからずに、サウンドに一体感と精細感があること、そして、その人達にしか生み出せないエナジーを的確に表現しているということに尽きる。もし、一ヶ月後に同じ音楽を録音しても、まったく同じものにはならない。


そういった側面では、『Real Deal』はバンドのスナップショットというよりも、生々しい三者の息吹を吸い込んだ有機体である。もちろん、それは三者の卓越した演奏技術を基に作り上げられていることを補足しておきたいが、その瞬間にしか出せない音、その瞬間にしか録音出来ない音を「レコード」という形に収めたという点では、アメリカン・フットボールのデビューアルバム『LP1』のような作品であり、これはファット・ポッサムの録音技術の大きな功績と呼ぶべきだろう。


マス・ロックの緊張感のあるサウンドを経た後、本作の最後では最もセンチメンタルでナイーヴな瞬間が現れる。これは実は、人間的な強さというのは、強烈な性質を示すことでなく、自分自身の弱さを認めたりすることで生ずることを暗示している。完璧な人間はどこにも存在しないことに気づくこと、弱さをストレートに見つめ、肯定出来たことが、アルバム全体のサウンドを清々しくしている。今作を聴き終えた後、涼しげな風が目の前を足早に駆け抜けていくような余韻が残る。2024年度のオルトロックの最高峰のアルバムと言っても誇張表現ではないだろう。

 

 

 

 

 90/100

 

 

 

 

「Cold Caller」ーLIVE

 


 

Honeyglazeのニューアルバム『Real Deal』 は、Fat Possumから本日(9月20日)に発売。アルバムのストリーミングはこちら

CLYDE&Algernon Cornelius  『Stick a Fork in It』


Label: Instinctive People 

Release: 2024年9月13日



Review

 

ロンドンとマンチェスターのヒップホップの異なるタレントの融合を楽しめるのが、今作『Stick Fork in It』である。CLYDE/Algernon Corneliusは、両者ともお世辞にもオーバーグラウンドな存在とは言えず、アンダーグラウンド・ヒップホップの次世代を担うMC/プロデューサーである。コラボレーション・アルバムというのは、2つの異なる才覚や音楽的な性質が掛け合わされて、それまで全く考えも及ばなかったような化学反応を起こすという利点がある。ある意味、『Stick a Fork in It』はそんなコラボレーションの醍醐味が凝縮された作品となっている。


このアルバムはシンプルに言えば、サンプリングの楽しさを徹底的に追求したアルバムである。ブレイクビーツのリズムを元にして、チョップ的な音飛びを作り、その合間にどのようなサンプリングを挿入するのか、そのアイディアの豊富さには瞠目すべきものがある。CLYDEとCorneliusのサンプリングの考えは、De La Soul、Dr.Dreの系譜に属し、古典的な内容でありながらも、楽しさと遊び心に満ちあふれている。二人のプロデューサーの手に掛かると、驚くべきことに、どのような素材もサンプリングのネタになってしまう。昔のTV番組や映画のオープニングや挿入歌や、エキゾチックなインドや中東のポップス、ボーカルのダビング録音など、あらゆる題材が彼らの音楽的なアイディアになってしまう。つまり、本来、音楽と見なされないものまでヒップホップのサンプリングやトラックメイクのテーマになってしまうのだ。あらためて、サンプリングの持つ楽しみや面白さが本作の随所に散りばめられている。それは子供の遊びのような純粋さと音楽的な興味を介して、彼らのオルタネイトなヒップホップが繰り広げられる。

 

両者は、ジャズやネオソウル、ヴィンテージソウル、アフロソウル、現代的なアブストラクトヒップホップに至るまで、多角的にこのジャンルの作法や技法を吸収し、オリジナリティ溢れるトラックを制作する。ラップとしてもかなり多彩な音楽性が含まれていて、米国のサザン・ヒップホップなどのギャングスタラップの系譜にあるドラッギーな文脈や表現も内包されている。

 

そして、もうひとつ、厳密に言うなら、両者のうち、どちらがこの要素をもたらしたのかは不明なのだが、エキゾチックな音楽が彼らのヒップホップには織り交ぜられていることがわかる。パキスタンやインドの中東のポピュラー音楽がブレイクビーツやトラップの流れの中を変幻自在に揺らめく。どことなくいかがわしげで、不思議な感覚を持つそれらのエキゾチズムは、彼らの都会的な空気を吸い込んだマイルドなリリック、フロウ、そしてラップバトルのように白熱したマイク捌きにより、それらのエキゾチズムは中和される。さらに、そこにより深みをもたらすのが、De La SoulやDreの系譜にある古典的なソウルからの引用であり、全体的に聞くと、サイケ・ソウルや、アフロ・ソウルのような極彩色のR&Bのように聞こえなくもない。  


しかし、こう言うと、過激な音楽性を思い浮かべる人もいるかもしれないが、実際のCLYDE、Algernon Corneliusのボーカルのニュアンスは基本的に、かなりナイーヴであり、繊細である。例えば、このアルバムには、サブリミナル効果のような働きをなす同一のフレーズが何度も別の曲に登場する。もちろん、曲調によって、それは楽しいイメージを呼び起こしたかと思えば、悲痛な叫びへと変わる。両者の現代社会に生きる中での感覚の鋭い変化や内的な感覚を巧みに表現したのが、本作の凄さなのである。そして、その内的な叫びのようなものは、まるで日常生活においてタブーとされているもの、あるいは表側に吐露することが叶わぬもの、こういったラップでしか表現しえないことを時にストレートに、それとは正反対にオルタネイトにリリックやライムとして外側に吐き出しているから、何かしら胸を打つものがあるわけである。

 

現代のヒップホップはどうしても、商業主義を度外視するのが年々難しくなっているのではないか。それは米国やカナダからビックスターが登場し、そして、ロンドンでもStormzyなどこのジャンルのスターが登場している。それはある意味では、1980年代のジャクスンの時代と重複する部分があり、ヒップホップ自体が宣伝的な役割を持つ音楽に変わったということである。しかし、前の時代の経緯を知ってか知らずか、この流れに対抗する勢力がアンダーグラウンドで息を巻いている。これらのグループは、ヒップホップの原初的な魅力を再発見しようと試み、新しい音楽的なニュアンスや、これまでになかった実験的な要素をもたらそうとしている。いわば、ヒップホップがミックステープの文化の範疇にあった頃の魅力を呼び覚まそうというのである。ヒップホップの最大の魅力とは洗練されていることではなく、音楽にちょっとした遊び心や、他の主流の音楽とは異なるアンダーグラウンド性を再発見することなのである。


そういった側面では、『Stick a Fork in It』は、ヒップホップが未だ主流派ではなかった時代のマニア性、いかがわしさが体現されている。本作においては、「Lemons」のように、サイケ・ソウルのサンプリングを背後に繰り広げられる前のめりなフロウ、サンプリングの楽しさをアナログ時代のダブと結びつけ、さらにUKベース等のアンダーグラウンドのクラブミュージックと融合させた「Mudd」をはじめ、JUNGLEのような音楽性を見出すことができる。特に、逆再生とテープディレイを掛けたボーカルが、これらの古典的なソウルを基底にしたクラブミュージックの最中を駆け抜ける。両者の音楽は、ローファイな感覚に縁取られているのは事実だが、本作のクローズ「Fathers」を聞くと、スコットランドのYoung Fathersのようなスター性の片鱗も捉えられるかも知れない。両者はUKヒップホップの注目の存在であることは疑いがないようだ。

 

 





78/100
 
 
 

CLYDE:


リアル・ヒップホップの研究者であるCLYDEは、ダークなビートもライトなビートも同様に、サンプル・ヘビーな連打を生み出す。イギリス生まれのイギリス育ち。池の向こうで作られる音楽から多大な影響を受けながら、彼はオリジナルでインスパイアされたものを作ろうとしている。


CLYDEは、友人が家に置いていったRoland MC-307でエレクトロニックとサンプル・ベースの音楽を作り始めて約6年になる。ジャズやメタル・ドラムの経験もあり、パーカッションは彼の音楽において重く確固たる位置を占めている。2016年初めにDome Of Doom Recordsに加入し、同レーベルの唯一の英国人メンバーであるCLYDEから初のフルレングス・テープをリリースして以来、CLYDEはライブ・アプリケーションで小さな成長を遂げている。DaedelusとSamiyamのサポート(本当に夢が叶った)やヘッドライナーを務めるなど、ライブへの出演が少しずつ増えている。

 


Algernon Cornelius:

 

アルジャーノン・コーネリアスは、マンチェスター(リーズ経由)出身のラッパー、プロデューサー、マルチ・インストゥルメンタリストであり、リーズとマンチェスターのDIYシーンの中心的存在として、アーマンド・ハマー、ケイクス・ダ・キラ、ムーア・マザー、シャバズ・パレイス、ザ・バグ、ティーブスらと共演してきた。

 

コンピレーション、ミックステープ、EP、インストゥルメンタル・ビート・テープ、サイド・プロジェクト、分身アルバムなどをリリースしてきたが、この12ヶ月で「Neither Gloaming Nor Argent」、ラップ・シングルのコンピレーション・アルバム『Both Before And After The Dark』と、"公式 "デビュー・ラップ・アルバム『The Miraculous Weapons of Clarkus_Dark』をリリースした。アルジャーノンのスタイルは「冷酷でエモーショナル」(Exposed Magazine)と評されている。「アルジャーノン・コーネリアスは、今ヒップホップで最も興味深いアーティストの一人だ」(Focus Hip Hop誌)

 


ニューヨークのアートポップデュオ、Fievel Is Glauque(フィーヴィル・イズ・グラスク)が、ニューシングル「Love Weapon」を公開した。リード・シングル「As Above So Below」に続く作品で、2ndフルアルバム『Rong Weicknes』に収録される。以下からチェックしてみてください。


デュオのザック・フィリップスは声明で述べている。「歌は "表現 "以上のことができる。2011年の初めに、サラ・スミスと僕らのバンド”Blanche Blanche Blanche”のために'Love Weapon'を書いた。アルバムの中で一番好きなレコーディングで、ライブ・イン・トリプリケート・レコーディングのアプローチによるコラージュ編集が最も声高に歌っている曲なんだ」

 

「『ブランチ・ブランチ・ブランチ』は、私たちが望んでいなかったこともあり、私たちの正当な評価を受けることはなかった。フィーベルはそれを望んでいるのだろうか? 決断は下されず、私たちはただその質問を括弧でくくり、不確かさを素材に組み込んで、作業を続けているかのようだ。今、どれだけの愛があれば十分なのだろう?」


マ・クレマンはこう付け加えている。「私たちの身体が知っていて、知性ではなく身体的に理解できるオリジナルの言語が存在するならば、『Love Weapon』の歌詞はその言語で書かれているのかもしれない。この曲は、5年前に別のフィーベルのバンドで演奏した。それは2023年の夏に再び現れた。最近、私が読んでいる本のページの間に古い写真を偶然見つけたのと同じように」


Fievel Is Glasqueのニューアルバム『Rong Weicknes』は、Fat Possumから10月25日にリリースされます。

 


「Love Weapon」

 

©Tatjana Rüegsegger


Sophie Jamieson(ソフィー・ジェイミーソン)がニューアルバム『I still want to share』を発表した。ベラ・ユニオンから2025年1月17日にリリースする予定ロンドンを拠点に活動するこのソングライターは、2022年のデビュー作『Choosing』に続く作品をガイ・マッセイと共同プロデュースした。

 

本日、彼女は新曲「I don't know what to save」とそれに伴うビデオを公開した。以下よりチェックしてみよう。


「この曲は、自由を得るためのある種の息抜きだった」とジェイミーソンは声明で説明している。

 

「ある人への執着の重さと、その人にまつわるすべての痛みを抱えていたが、ここにきて、エネルギーが爆発し、希望の光が見えてきた。それは手放すことへの大きな後押しだった。切り離すことの耐え難い痛みは、ある種の不気味で未知の空間に入り込むような感じがしたが、到着してみると、それは完全に生き延びられるだけでなく、純粋で新鮮な空気のようであることがわかった」

 

 

 

「I don't know what to save」



Sophie Jamieson 『I still want to share』


Label: Bella Union

Release: 2025年1月17日

 

Tracklist:


1. Camera

2. Vista

3. I don’t know what to save

4. Baby

5. Welcome

6. Highway

7. I still want to share

8. How do you want to be loved?

9. Your love is a mirror

10. I’d take you

11. Time pulls you over backwards

 

 

 ガイ・マッセイ(スピリチュアライズド、ザ・ディヴァイン・コメディ、カイリー)とソフィー・ジェイミソンの共同プロデュースによるアルバム『I still want to share』は、不安な愛着の押し合いへし合い、メリーゴーラウンドのような性質と、それが家族関係や恋愛関係の中でどのように織りなされ、切り刻まれ、盗まれていくのかを探求している。

 

 このアルバムには、帰属への永遠の憧れ、愛し方と手放し方を学ぶことへの切望、そして的外れの連続がある。どの曲も故郷の可能性に強くしがみついているが、決してそこに到達することはない。

 

 ガイのスタジオとKonk Studiosの間のノース・ロンドンでレコーディングされ、ストリングスのアレンジはジョセフィン・スティーブンソン(Daughter, Ex:Re, Lisa Hannigan)、ドラムはエド・リマン(Hilang Child)が担当した。

 


Jane's Addiction(ジェーンズ・アディクション)は、今週初めのボストンのライブステージでの騒動の後、無期限の活動休止を発表した後、新曲「True Love」をリリースした。


バンドのオリジナル・メンバーであるペリー・ファレル、デイヴ・ナヴァロ、スティーヴン・パーキンス、エリック・エイヴァーはこの曲を1年以上前からライヴで演奏しており、7月の「Imminent Redemption」に続く34年ぶりの新曲となる。試聴は以下から。


先日ボストンで行われたライヴで、ボーカルのペリー・ファレルがギタリストのデイヴ・ナヴァロをステージ上で襲い、バンドは残りの全米ツアー日程をキャンセルすることになった。True Love」は予定通り、全てのストリーミング・プラットフォームにアップされているが、ジェーンズ・アディクションは、現在のところこの曲のオンライン・プロモーションを行っていない。

 

「True Love」

 

©︎Brage Pederson

ロンドンのポスト・パンクバンド、High Vis(ハイ・ヴィス)は、近日発売予定の次作アルバム「Guided Tour」からニューシングル「Drop Me Out」を発表した。以下よりチェックしてみよう。

 

このシングルは、「Mob DLA」と「Mind's a Lie」のフォローアップとなる。バンドの持ち味である硬派なパンクサウンドを堪能出来る。High Visのサウンドは、80年代のUKハードコアからのフォードバックも含まれており、インダストリアルでメタリックなテイストを漂わせる。


2022年の『Blending』に続く『Guided Tour』は、11月18日にDais Recordsからリリースされる。


「Drop Me Out」
 


Linkin Park


リンキン・パークは火曜日(9月17日)、シングル「The Emptiness Machine」をテレビ初披露し、新シンガー、エミリー・アームストロングを迎えて初の『トゥナイト・ショー』出演を果たした。


バンドの7年ぶりとなるアルバム『From Zero』(11月15日発売)からのこの曲は、シンガー/ギタリストのマイク・シノダがマイクを握る中、ムーディーにライトアップされたビニールのドレープが彼らを取り囲み、まるで凍った惑星のアイス・ステーションのようなセットでスタートした。


新ドラマー、コリン・ブリテインが安定したビートを刻む中、篠田はこの曲の哀願のコーラスを切々と歌い上げた。"私はあなたに切り裂かれた/ただ私が血を流すのを見るために/あなたが私を望んだ人のために、私は私であることをあきらめた/受け取らないものをなぜ抱いているのかわからない/虚無マシンの約束のために落ちていく"。


演奏がドライブするようなデュアル・ギターのグラインドへと爆発する中、アームストロングはセンター・ステージに立ち、ステージが色とりどりのエフェクトで明滅する中、吠えるようなヴォーカル・アタックを放った。篠田とヴォーカルを交換したアームストロングは、両手でマイクを握りしめ、ストロボのような照明の中でコーラスを絶叫した。


この "The Emptiness Machine "は、今週のHot100(9月21日付)で初登場21位を記録し、ニューメタルグループとしては15年ぶりのビルボードHot100最高位となった。彼らのこれまでの最高位は、2009年に9位を記録した『トランスフォーマー/リベンジ・オブ・ザ・フォールン』のサウンドトラック・シングル「ニュー・ディバイド」だった。


シノダは、2017年にボーカルのチェスター・ベニントンが亡くなってから初のツアーのキックオフとなった、9月11日に地元ロサンゼルスのキア・フォーラムで行われた再始動したラインナップのデビュー・パフォーマンスの後、バンドが抱いた "幸福感 "について司会のジミー・ファロンと語り合った。


「これだけの年月が経って、あの本物のアドレナリンと興奮と幸福感を感じるなんて...こんなことは信じがたい」と、篠田は2025年のツアーに向けた6公演のアリーナ・チューンナップの初日について語った。


シノダはまた、ファロンがカムバックしたL.A.公演で、自身のサイドバンド、フォート・マイナーの "Remember the Name "を演奏中に大失敗をした恥ずかしいビデオを再生したことにも苦笑せざるを得なかった。篠田は "50%の痛み "を歌った直後にマイクスタンドにぶつかり、頭を打ったのだ。


彼はまた、長年の友人でありバンドメイトでもあったベニントンを悲劇的に失った後、バンドを再結成するために感じたことについても語った。

 

「僕らにとって重要なことは、"バンドを復活させよう "とか、"シンガーを探そう "とか、そういうことを目指したわけではないということなんだ」マイク・シノダは、元デッド・サラのヴォーカリスト、アームストロングがバンドの新体制で彼の隣のステージに立つという、今月初めの突然の発表について語った。


「それは私たちの意図でも目標でもなかった......。ほとんどこの新譜のようなものだった......新しいバンドを作りながら、私たちはそれを書き、音楽を思いついた。音楽を始めたときにはバンドはなかったし、音楽がまとまっていくうちに一緒になっていったんだ」



 

Honesty

イギリス/リーズを拠点に活動するポストパンクバンド、HONESTY(オネスティー)がデビューアルバム『U R HERE』を2025年2月7日にリリースすると発表した。


昨年の『WHERE R U EP』、今年の『BOX mix』に続き、『U R HERE』の最初のテイストは、推進力のあるニュー・シングル/ビデオ「MEASURE ME」。


流動的で爽快なクラブ・ミュージックのコレクションに、深く内省的なひねりを加えた''U R HERE''は、現代の心理的影響を音によりマッピングし、新たな始まりに伴う活力と自由を利用しようという、HONESTYによる斬新なチャレンジでもある。彼らの幅広い実験的な影響力を基に作られたU R HEREは、時に崩壊しそうな世界の中で、新たな創造的表現の感覚を表現している。


デビュー・アルバムについて、HONESTYはこう語っている。「このアルバムは、二次会でAUXケーブルを回すような、有機的な共同作業になった。シューゲイザーからUKベースラインにいたるまで、かなり幅広い音楽にインスパイアされたから、ひとつのジャンルにとらわれないようにしようと決めたんだ。リスナーには、自分たちだけのサウンドスケープの地図を自由に歩き回りながらも、''U R HERE''というピンポイントを明確に示すような感覚を味わってほしかった」



「MEASURE ME」






HONESTY  『U R HERE』



Label: Partisan

Release: 2025年2月7日


Tracllist:

1.NO RIGHT 2 LOVE 

2.WWWWW?

3.U&I 

4.MEASURE ME

5.U R HERE

6.TORMENTOR

NORTH

EMPTY

9.NIGHTWORLD.

10.PITY

 

SIS

オルタナティブ・フォークバンドSIS(シス)が連続デジタルリリース! 第一弾シングル「腐る」は、新章の狼煙を上げる“再生”のアンセム。続いて、9月23日(月)には、渋谷Organbarにてリリース・イベント「Golden Monky」も開催予定。こちらの情報も合わせて下記よりチェックしてみよう。



本日(9月18日)、オルタナティブ・フォークバンドSIS(シス)が新体制のもと、2021年以来3年ぶり、連続デジタルリリースの第一弾シングル「腐る」をリリースする。

 

リリースに合わせ、渋谷オルガンバーにてイエーガーマイスター(Jägermeister)サポートの元、音楽ユニットbuzzy.(バジー)との共同企画イベントも開催。「腐る」は叙情的かつ無垢な心の叫びを、疾走するメロディーに載せた、SIS新章を告げる楽曲。

 

コロナパンデミックを経て“不適切なコミュケーション”を強いられる中での、心の葛藤を鮮明に描き出す。「このボタンひとつで神様にさえなれる」ーー 気鋭のグラフィックアーティスト・Poseidon(水上雄太/@mizukamiyuta)によるアートワークにも象徴的に描かれた“ボタン”は、自己/他者の生命に関わるメタファーで、同楽曲の重要なキーでもある。逡巡し腐っていく“過去”から、明日の希望を見出すために歌う。溢れ出す感情のカタルシスはカオスな現代を生き抜く人々へ捧ぐ、再生の賛歌である。

 

 

【リリース情報】


SIS「腐る」- New Single



Digital | 2024.09.18 Release | SIS-005
Released by SPACE SHOWER MUSIC / LAD Production


配信リンク/ストリーミング: https://ssm.lnk.to/Kusaru


Music by SIS
Lyrics by 沢庵、TxBONE
Produced by 沢庵
Arranged by 沢庵、A-dream、TxBONE
Recorded by YUUKI KANAYA
Mixed by YUUKI KANAYA
Mastered by YUUKI KANAYA



【イベント情報】


SIS & buzzy. presents.
SIS New Single Release party.


2024.09.23 (Mon)


・「Golden Monky」
at Shibuya Organbar @organbar_official



Supported by Jägermeister @jagermeister_japan

START 18:00 / CLOSE 23:30
DOOR ¥2,000 (NoDrink)



Guest DJ


・ZEN-LA-ROCK @zenlarock



DJ


・MINAMIKAWA @minamikawamasayuki
・TATSURO OMURA @tatsuro_omura
・YUIDESUDOMO @yuidesudomo
・sea @__dj__s_e_a__
・NOKS(NYQUILL) @naoki_noks_layback



【Live】
SIS @sis_jp
buzzy. @buzzy._official
 

【Food】
Chillmatic @chillmatic_tokyo



【Photo】
YOUNG HAMA @young__hama




【SIS(シス)】

フォークミュージックを軸にポストロックを横断し、ジャンルレスなサウンドを追求するオルタナティブ・フォークバンド。頭から足先まで全身タトゥーのTxBONE(Vo./A.Gt.)と、大学教員としての一面を持つ沢庵(Vo./A.Gt.)という対照的な2人のフロントマンとTAKAYA(Drs.)により結成。2024年よりUJI(E.Gt.)と匠(Perc./Sampler/Cho.)が加わり5人体制で活動。

 

バンド名の由来となっている「死」と「生」をはじめ、人が生きていく中で向き合う表裏一体の価値観を、憤怒と慈愛入り混じる歌詞とサウンドで表現している。

 

TxBONEは 、ANARCHY / JNKMN / JOHNNYとの謎のコレクティヴ「THE NEVERSURRENDERS」のメンバーとしての顔を持ち、最近ではMcGuffinでのルームツアーでも大きな反響を得た。ANARCHYが参加した「ケレモ Remix」では、ディレクターに岡宗秀吾氏を迎えたMVがYouTubeにて現在 40万回再生以上を更新中。結成当初よりALIと共同企画イベントを開催。味園ユニバースにて韻シストと共演、レゲエアーティストYAADCORE来日イベント出演、ジャックダニエル主催Murda Beatz来日イベント出演など、活動は多岐に渡る。

Allegra Krieger 『Art of the Unseen Infinity Machine』

 

Label: Duble Double Whammy

Release: 2024年9月13日

 

Review

 

Rolling Stone、Pitchforkの両メディアが先週注目していたのが、ニューヨークのシンガーソングライター、アレグラ・クリーガーである。先週のアメリカのインディーロック/フォークの注目作の一。大げさに騒ぐほどのアルバムではないかも知れないが、良質なメロディーや切ない感覚を織り交ぜ、ソングライター/ギタリストは一応のことニューヨークの音楽シーンで存在感を堅持している。 以前のアルバムまでは、分散的な音楽という印象もあり、少し散漫な感じであったが、この最新作『Art of the Unseen Infinity Machine』ではフォーク・ロックやオルタナティヴロックを起点として、秀作を制作している。アルバム全体には、何かしら淡いペーソスのようなものが漂うが、これは制作時、アーティストの住居の一室が燃えたという不幸に見舞われたことのよるものか。そして、ぼんやりとしているが、何かそういった哀感が漂う作品である。


アレグラ・クリーガーのソングライティングは基本的に、レナード・コーエンのような古典的なアメリカのフォークロックをベースに、現代的なオルタナティヴロックのテイストを添えるというもの。しかし、それとて、すでに90年代か00年代にいくつかのロックバンドの音楽性に準じたものなのかもしれない。たとえば、ルー・バーロウのサイドプロジェクトであるSebadohのようなローファイ風の色合いがラフで心地よいロックソングを思い浮かべる人もいるかもしれない。そして、クリーガーは悲しみを元にした歌をシンプルな演奏の中に乗せる。それも歌うといよりも、やるせないような感じでつぶやくという感覚に近い。気負いがなく、それほど上昇志向もない感覚は、現代的なニューヨーカーの気風を何らかの形で反映しているのかもしれない。新自由主義の渦中に生きることや、徹底した競争主義に疲弊し、さらには、Jesus Lizardのヨウが指摘するような後期資本主義の限界を、現代的な人々は肌身で感じ取っているのかも知れない。かつては頂点を目指すことが社会人としての嗜みを意味していたが、最早、この考えには限界があることを示唆している。このフォークロックソング集は、個人的な記録、もしくは個人的な回想とも呼ぶべきもので、実際的にそれは誰かが体験したかもしれない追憶のロマンチシズムに誘う。それはまた内的な魂の痛みを癒やすような響きが込められているのである。


また、現代的なアメリカのフォークロックのシンガーソングライターと同じように、ニューヨークの歌手でありながら、地域性や田舎性が削ぎ落とされている。まるでクリーガーの声は、時代感を失い、錯綜の中に彷徨い、そして、捉え難くなったアメリカという得難い存在をシンプルで親しみやすいフォークソングに乗せるかのようである。「Roosevelt Ave.」は、懐古的に昔の時代を振り返るかのようで、それは歌手の若い忘れ去られた時代や、それよりも古い時代へのロマンが抽象的に体現されているように感じられる。最近、生きている時代よりもさらに古い時代への憧れを示すアメリカのミュージシャンが増加傾向にあるのは、親の世代やその上の世代から子供の頃の米国の話を聞いているからなのかもしれない。そしてまた現代的な人々は、現在の自分の見る国家の姿を驚きと違和感を持って、ぼんやりと眺めているのかもしれない。それは目の前を流れていったかと思うと、すぐさま背後に過ぎ去っていってしまうのである。ロックソングのテイストを押し出した曲もあるが、バラードの性質が色濃い曲もある。

 

「Came」は、現代的なフォークロックバンドの影響を引き継ぎ、Big Thief(ピッグ・シーフ)やエイドリアン・レンカーの系譜にあるニューヨークのフォークソングを体現させている。かつてアメリカのフォーク・ロックは、渋さとマディーな感覚を併せ持ち、友愛的な側面や健全な精神を歌っていたことはCSN&Yなどの代表作を見れば明らかだが、他方、現代的なミュージシャンはそれらをモダンな感覚で縁取り、あまり深い領域まで踏み込まず、表向きの表現でとどめているという印象もある。ヒッピー主義は、かつてのサンフランシスコやUCLAの学生などで盛んだった思想で、ヘルマン・ヘッセの「荒野のおおかみ」をベースに平和主義やコミューンのような共同体を作るというものだった。過去には左翼的であるとか、それ以降のリベラリズムの萌芽のようにも見なされることもあるかもしれないが、それは基本的には時代錯誤とも言える。

 

西海岸のカルチャー「フラワー・ムーブメント」とも称されるこれらの現代的な牧歌性は、「Burning Wings」にも見出すことが出来る。例えば、この感覚が太平洋を隔てたリスナーにも共鳴するものがあるとしたら、それは、現代の競争主義、新自由経済社会、後期資本主義社会に疲弊していることを意味している。主流派とは別の指標や価値観がないものか、多くの現代人はそれらの考えをシェルターに見立て、その場所を安息所とする。謂わば、そうではないふりをしていても、日常的な違和感や何らかのボタンの掛け違いのような感覚は日を追うごとに増えている。そういった現代的な感覚ではなく、牧歌的な空気感や平和主義を折衷したフォークソングは、「I'm So Happy I Can't Face Tomorrow」にわかりやすい形で表れ出ているのではないか。Florist、Big Thiefの系譜にある紛うことなくニューヨークのフォークロックソングであるが、やはりこの曲に滲み出ているのは、現代的な人間として生きる「しがらみ」のようなものを抱えながらも、そこから一歩踏み出したいというような思いである。それらの思想はやはりアコースティックギターをベースにした牧歌的で温和なフォーク・ソングという形に乗り移っている



アルバムの中盤の3曲「Over And Over」、「Into Eternity」、「Interude to Eternity」では、華美なサウンドを避け、徹底して70年代のレオナード・コーエンのような古典的なフォーク・ロック主義に沈潜しながら、アルバムの序盤の切ないような感覚を織り交ぜる。これらは表面的な思想に潜っていくというよりも、その音楽的な感覚をより深い場所へと踏み込もうと試みているように感じられる。それはまたフォーク・ロックの音楽性に基底に含まれる瞑想的なイメージを呼び覚ますような感じなのである。これらの感覚的なフォークロックは、現代的なサウンドプロダクションではなく、アナログのレコーディング寄りのミックスやマスターによって、ビンテージな感覚を呼び覚ますことがある。中盤から中盤にかけて、クリーガーはより内面の世界に一歩ずつ降りていくかのように、内省的なフォーク・ロックソングの世界を作り上げている。これらは稀に、エリオット・スミスのようなサッドコア「How Do You Sleep」に近づく。

 

本作は単なるフォークロックの集積というより、個人的な感覚の流れをエモーショナルなフォークソングで縁取ったかのようである。それは一定して暗鬱な印象が起点となっているが、アルバムの終盤で、アレグラ・クリーガーの曲は少しだけ明るい場所へと抜け出る。謂わば悲しみからの再起や立ち上がる瞬間の過程を縁取るかのように。「Where You Want To Go」では、力強いボーカルと巧みなドラム、ギターに支えられるようにし、はつらつとした瞬間を描き出す。 クローズ「New Mexico」では、古典的なカントリーの文脈に近づく。しかし、やはり、そこには包み込むような温かさと優しさという感覚が内在している。懐古的な音楽というイメージは表向きのもので、むしろ現代的なフォークロックのサウンドといえるのではないか。

 

 

 

76/100

 

 

 



 

©Jake Mulka


デトロイトの次世代のハードコアユニット、The Armed(ザ・アームド)はEP『EVERLASTING GLAZE』を発表した。本作は10月18日にSargent Houseからリリースされる。


EPにはIDLES、Water From Your Eyes、Model/Actrizがリミックスを手掛けたリード・シングル「Sport of Form」が収録されている。「NEW.Christianity」の新しいビデオは以下をチェック。

 

バンドのダン・グリーンは声明の中で説明している。


「”NEW!Christianity”は当初、”PERFECT SAVIORS”のファースト・シングルとして構想されていたが、1枚のフルアルバムに収録するには素材が多すぎることが明らかになったため、この曲はSide Cのフィナーレを飾るにふさわしい、ONLY LOVE / ULTRAPOP / PERFECT SAVIORSの3部作のエピローグにふさわしい、総括的な楽曲となった」

 

「その名前に関して言えば、特定の実際の宗教についてというよりも、そのアバターを渇望する文化について。非道徳的なものの道徳化。完璧な救世主 "という概念のよりあからさまな否定」

 

 

 「NEW.Christianity」

 


 

ARMED 【EVERLASTING GAZE EP】

 

Trackllist:


1. Puzzler

2. NEW! Christianity

3. Martyr Song

4. Sport of Form (Water From Your Eyes Remix)

5. Sport of Form (Model/Actriz Remix)

6. Sport of Form (IDLES Remix)

 

Lambrini Girls
Lambrini Girls

不気味な一角からのポスト・パンクの投石。ガレージ・パンク風の不穏なギター、皮肉を交えたボーカルが縦横無尽に飛び交う。表面的な派手さとは裏腹に、ランブリーニ・ガールズは暗く湿っぽい冷笑に浸されたポストパンク・ソングで、次世代のパンクシーンを塗り替えようと目論む。

 

ブライトンのポストパンクデュオ、Lambrini Girls(ランブリーニ・ガールズ)が、政治色の強いパーティー・スターターとして「Company Culture」を発表した。この曲は、最近リリースされた「God's Country」と「Body of Mine」に続く作品で、今回は有害な職場環境の陰湿な性質に取り組んでいる。このシングルのコンセプトについて、バンドはこうコメントしている。

 

「白人の中年男性が自分のアイデアを評価される一方で、2倍働くことにうんざりしている?ハラスメントを報告するのが怖い?衝突を避けるために常に二の足を踏んでいる?もしイエスと答えたなら、あなたはおそらく女性かクィアの人でしょう」


ランブリーニ・ガールズは、多くの女性やクィアな人々が職業生活で直面する「キャッチ22」について、次のように指摘する。


「そして、もし、成功すれば、あなたは詐欺師のように感じるでしょう。どんなに頑張っても、相手にされない。上司はあなたとヤリたがっていて、人事部はあなたをヒステリックだと思っている。文句を言わなければ煙臭いキッチンに逆戻り。さあ、ボーイズ・クラブへようこそ」


「Company Culture」

 

©Dan Monick


カナダのJapandroidsは、4枚目のアルバム『Fate & Alcohol』の新曲「All Bets Are Off」を発表した。本作の最後を飾るこの曲は、「D&T」と「Chicago」に続くシングル。以下からチェックしてみよう。


プレスリリースの中で、バンドのブライアン・キングは、この曲のインスピレーションとなった夜の個人的な日記の抜粋を紹介している。


「夜は休みだった。休むこともできたけど、(もちろん)休まなかった。私が到着したとき、クルーは1人で、パーティーはかなり進行していた。他の常連客は私たちの騒々しくカラフルな存在(四角形)を快く思っていないようだったが、少年たちは至って無関心で、互いに熱い言葉を浴びせ合い、日当でピストルショットでタバコに火をつけることが可能かどうかのような無茶な賭けをしていた。私はこの事態の行く末を知っていたし、関わりたくもなかったんだ」


「私は日陰の片隅でカクテルを注文した。私はバーでの生活について本を書くための資料を集めていたのだが、土曜日の飢えた心が日曜日の朝の青い空虚さに向かってねじ曲がっていくのを眺めるには完璧な場所だった。プールルームの虎やナイトクラブの子猫たちは、何でも手に入れようと徘徊している。コップや唇、口癖や癖、私は必死ですべてを書き留めた。カクテルのおかわりは?気にしないで!夜が更けて、私はパンクな気分になった」


「彼女に会うと、私はすぐに力を失った。千の思いが一気に蘇ってきた。彼女は私が知っていた女性とは違っていた」

 

 

Japandroidsのニューアルバム『Fate & Alcohol』はANTIから10月18日に発売予定。

 

 

「All Bets Are Off」





◾️JAPANDROIDS、ニューアルバム『FATE AND ALCOHOL』を発表 10月18日に発売