Primal Scream(プライマル・スクリーム)は、12枚目のアルバム『Come Ahead』のリリースを控えている。これまでスコットランドのエレクトロニック・ロックの英雄は、シングル「Love Insurrection」と 「Deep Dark Waters」でこのアルバムをプレビューしてきたが、今日はダンス・レディなアンセム 「Ready To Go Home」と解放感溢れる曲「The Centre Cannot Hold」で戻ってきた。ミュージックビデオが本日公開された。下記よりチェックしてみてください。
「”Ready To Go Home"についてボーカリストのボビー・ガレスピーはインスタグラムで次のように説明している。「この曲を書いた後、父が亡くなる前夜に歌ったんだ。病院では僕と父だけだった。彼の体は諦めていた。年をとって疲れて、体が『もう十分だ。時間だ』と。その気持ちを書こうとしたんだけど、なぜだかわからない。自分でも疲れていたのかもしれない。この曲を書いたとき、人生の中で、そろそろ家に帰ろうと思うときがあるはずだと思ったんだ」
これらの合間を縫って、ニューヨークのシンセポップの音楽性を吸い込んだ楽曲が続く。Nation Of Language,Porches、それ以前のBlack Marbleの系譜にあるレトロな音質をあえて強調させ、それらを2010年代のニューヨークのベースメントロックで縁取っている。これらは、レトロなシンセポップとシンプルな8ビートのロックソングという2つの要素により、現代的な印象を持つ楽曲へと昇華されている。ダンサンブルな要素はビートの乗りやすさ、そしてオルタナティヴロックの要素は、メロディー的な親しみやすさという利点をもたらす。いわば、リズムに乗れるし、メロディーに聞き惚れる、一挙両得のロックソングなのである。もうひとつルタロの現時点のソングライティングの強みは、フレーズのリフレインを介して、アンセミックな響きをもたらすということである。これらは、ロック的な方向に傾く場合もあれば、フォークの静かな方向に傾倒する場合もある。リフレインの要素は、ルタロの作曲において、最も強いエナジーを持つ瞬間でもあり、欠かせないものである。少なくとも、「Broken Twins」では、背後のリズムとビートに合わせて、コステロやトム・ペティのようなギターロックの系譜を踏襲することで、改めてこのジャンルの魅力に肉薄しようとする。もちろん、リズムの側面は、ブレイクビーツの要素を付与して、この曲に強いグルーブをもたらす。
今月初め、ディープ・シー・ダイバーは、銃の安全のための募金と意識向上を目的としたベネフィット・コンピレーション「Every Possible Way」のために、ヨ・ラ・テンゴの「ストックホルム・シンドローム」をカヴァーした(9月6日付ローリング・ストーンのニュース記事を参照)。
「私は、Everytown For Gun Safety Support Fundの活動が大好きで、この素晴らしいカヴァー集に貢献するのは当然のことだった。ヨ・ラ・テンゴの 「ストックホルム・シンドローム 」を選んだのは、彼らのゴージャスなギター・ソロを学ぶのが大好きだし、この曲がそのキャッチーさとシンプルさの中で、どのように忍び寄るかが好きだからだ」
「ダニエル」 (Daniel) は、イギリス出身のシンガーソングライターであるエルトン・ジョンのヒット曲で、1973年発表のアルバム『Don't Shoot Me I'm Only the Piano Player(邦題: ピアニストを撃つな!)』に収録された。エルトン・ジョンが作曲し、バーニー・トーピンが作詞した。全米シングルチャートで2位を、およびアダルト・コンテンポラリー・チャートでは1973年春に2週間1位を記録した。全英シングルチャートでは4位を記録した。
作詞を手掛けたバーニー・トーピンは、ベトナム戦争にインスパイアされて「ダニエル」を作詞した。
歌詞(最終版では削られたオリジナルの草稿の詩を含む)は、戦闘の末に盲目となった(「兄さんの眼は死んでしまった。だけど僕よりも良く見えるんだ。("your eyes have died"/"but you see more than I")架空の退役軍人が帰国してからの自分を取り巻く状況(「癒えない傷の痛みをまだ感じるのかい?」("do you still feel the pain"/"of the scars that won't heal?")から逃げ出すためにスペインへ旅立つ様子を弟の目線から見た話として描いている。
Laura Marling(ローラ・マーリング)は、次作『Patterns in Repeat』の最新プレビュー曲「Child of Mine」を公開した。この曲は、前作「No One's Gonna Love You Like I Can」と「Patterns」に続くもの。以下よりチェックしてほしい。
MUNAのシンガー、Katie Gavin(ケイティ・ギャヴィン)が、ソロ・デビュー・アルバム『What a Relief』からの新曲「Inconsolable」を発表した。この曲は、これまでのシングル「Aftertaste」と「Casual Drug Use」のフォローアップとなる。フィドルの演奏を生かし、アメリカーナとポップスの融合にシンガーソングライターは取り組んでいる。以下よりチェックしてみよう。
主要なチャートにランクインすることもあったジョアン・アズ・ポリス・ウーマンはこの最新作で、純粋なポピュラー・ミュージックを制作しようとしている。それはまたジャズやソウルが含まれたポピュラーとも称せる。これまでのソロ作、及び、コラボレーションの経験を総動員したようなアルバムである。少なくとも近年の作品の中では、象徴的なカタログとなるかもしれず、古典的なソウル(ノーザン・ソウル、サザン・ソウル)、ゴスペル、ファンクソウル、そして現代的なポピュラーやロックの文脈を交え、聴き応え十分のアルバムを制作している。ファンク・ソウルのテイストが強く、リズムは70年代のソウルに根ざしている。そこにヒップホップ的なビートを加えて、モダンなソウルのテイストを醸し出すことに成功している。ファンクの性質の強いビートは、主に、プリンスが登場する以前のグループのサウンドを参考にして、グルーヴィーなビートを抽出している。「Long For Ruin」等はその象徴的なトラックで、ハスキーボイスを基に、ファンクのギターやゴスペル風のコーラスを背景としながら、しんみりとした感じとまた雄大さを兼ね備えたブラック・ミュージックの真骨頂を示している。
同様に先行シングルとして公開された「Full Time Heist」はサザン・ソウル/ディープ・ソウルのビートを基に、聴きごたえのあるバラードソングを作り上げている。オーティス・レディングのような深みを持つこの曲を取り巻くクインシー・ジョーンズのアーバンコンテンポラリーの要素は、やはりピアノの演奏や渋みのあるゴスペル風の深みのあるコーラスと合わさると、陶酔的な感覚や安らいだ感覚を呼び起こす。特に、細部のトラック制作の作り込みを疎かにしない姿勢、そして、ファルセットからミドルトーンに至るまで、細かなボーカルのニュアンスを軽視せずに、歌を大切に歌い込んでいるため、聴き入らせる何かが存在しているのかもしれない。
また、それとはかなり対象的に、「Back Again」では、70,80年代以降のファンクソウルを踏襲し、ディスコビートを反映させ、キャッチーなヴォーカルを披露している。懐古的なナンバーであるが、ポリス・ウーマンは一貫して現代的なポピュラーの要素を付け加えている。また、デスティニーズ・チャイルドのダンス・ナンバーに近い「Remember The Voice」等などを聞くと分かる通り、古典的なソウルだけがポリス・ウーマンのテーマではなく、一大的なブラックミュージックの系譜を改めて確認しなおすような狙いを読み取ることもできる。
ただ、全体的にはエレクトロニクスを追加し、リズムを複雑化したとしても、全体的なサウンドプロダクションは、古典的なバラードに焦点が絞られているため、やはり上記の主要曲と同じように静かに聞き入らせる何かが存在している。 エレクトリック・ピアノとシンセサイザーの組み合わせの中から、ボーカルの力によって何か霊妙な力を呼び起こすことがある。これまでの音楽的な蓄積を踏まえて、エルトン・ジョンのような親しみやすいバラードを書こうという意識がこういった良曲を生み出す契機となったのかもしれない。それに続く「Tribute to Holding On」は、ソウルミュージックとして秀逸なナンバーである。ポリス・ウーマンはハスキーな声を基に、シンプルなバンド構成を通じて、サザンソウルの醍醐味を探求しようとしている。バックバンドの演奏も巧みで、カスタネット等のパーカッション、ヴォーカルの合間に入るギター等、ポリス・ウーマンのヴォーカルを巧みに演出している。これらのバンドサウンドは少しジャズに近くなることがあり、それらのムードたっぷりな中で、アーバンソウルの系譜にある渋いボーカルを披露している。ニューヨークの夜景を思わせるようなメロウさがある。
従来から培ってきたソングライターとしての経験の精華がアルバムのクローズ曲「Help Is On It's way」に顕著に現れている。ジャズピアノをフィーチャーし、良質なポピュラー・ソングとは何かを探求する。この曲はまた現代的なバラードの理想形を示したとも言えるかもしれない。
80/100
Best Track 「Tribune To Holding On」
ノッティンガムの4人組、Divorce(ディヴォース)が、デビューアルバム『Drive To Golden hammer』とリード・シングル「All My Freaks」を発表した。
『Drive to Goldenhammer』は、ノース・ヨークシャーの田舎町にあるカーム・ファームに4回滞在してレコーディングし、デモを制作した。セッションは春、夏、秋、冬にまたがり、バンドは昼夜を問わず曲を書き続けた。完成した曲は、リアル・ワールド・スタジオでプロデューサーのキャサリン・マークス(boygenius、Foals、Wolf Alice)と共に命を吹き込まれた。
Perfume Geniusが、アルバム『Too Bright』の10周年記念エディションをリリースした。透明なレコード盤のリイシューに加え、LPの拡張デジタル・バージョンもストリーミング・サービスに登場し、「Story of Love」、「My Place」、「When U Need Someone Here」の3曲の未発表曲が収録されている。以下よりご視聴ください。