Cindy Lee

カナダのシンガーソングライター、Cindy Lee(シンディ・リー)の『Diamond Jubilee』は、''今年最高のアルバムのひとつ''と言われている。音楽に詳しくない人が聴いてもあまりピンとこないかも知れないが、カルト的なポップ/ロックアルバムとして、そのうち伝説として語られてもおかしくない。


これまでは、アーティストのウェブサイトからダウンロードしたアルバムのWAVファイル、または、そのWAVファイルから切り刻んだファン作成のリッピングファイル)でしか聴くことができなかった。この幻の音源はすでに伝説化し、YouTubeなどでかろうじて聴くことが出来ただけだった。


このアルバムにはG&Bをはじめ各メディアからの賛辞が送られている。ピッチフォークのアンディ・クッシュさんは、アルバムに9.1/10の評価を与え、「音楽の本質的な宝庫」であり、「各々の曲は、愛すべきヒット曲の幽霊のようなカノンを持つ、ロックンロールの冥界からの霧のような伝送のようだ」と評した。


さらに、『Paste』誌のエリス・サウターさんは、シンディ・リーの「ほろ苦い大作」とした上で、「彼らがこれまでにリリースした作品の中で最も濃密であり、最も聴き応えのある作品群である!」と評している。というように、シンプルでありながら理論的なレビューをしている。


カナダの『exclaim!』は、このアルバムを「スタッフ・ピック」に選び、レビュアーのカエレン・ベルさんは、「50年代のガールズ・グループ・ポップ、60年代のみずみずしいサイケデリア、70年代のかゆいところに手が届くラジオ・ロック、90年代のローファイできらびやかなプロダクション、どこかの異世界から移植されたような選曲の系統で構築された『Diamond Jubilee』は、アーティストとしても器としても、シンディ・リーの決定的な肖像画のように感じられる」と書いている。と、国内アーティストの期待作とあって、かなり的確なレビューをしている。


SpotifyやTIDALのようなストリーミングでは公開されていませんが、Bandcampで聴くことができるようになり、一般的なリスナーにも音源が解放される。シンディ・リーの『Diamond Jubilee』は、2月21日にW.25TH / Superior ViaductからトリプルヴァイナルとダブルCDのセットでリリース。



High Vis 『Guided Tour』

 

Label: Dais

Release: 2024年10月18日


Review


あまり元気がないときに聴くと、エナジーが出てくる曲がある。それは実は、明るく温和な曲ばかりとは限らず、少し憂愁に溢れたロックソングである場合が多い。憂いは憂いによって同化され、吹き飛ばせるとも言える。この点において、ロンドンのポスト・ハードコアバンド、High Visの新作アルバム『Guided Tour』は天候不順や曇りがちの日々を見事に吹き飛ばす力がある。

 

High Visは、傷んだ兄弟や未知のパンクスのためにエナジーに満ち溢れたハードコアを提供する。当初彼らは今作で聴こえるよりも遥かに無骨なハードコアソングを特徴としていたが、『Guided Tour』はややエモーショナル・ハードコアに近い作風である。詳細に指摘すると、DiscordのワシントンDCのパンク、Minor Threat、One Last Wishのような最初期のポスト・ハードコアを基底にし、そこからJoy Divisionのような静謐なポスト・パンク性を抽出する。ロンドン的な都会性とマンチェスターの古き良き港湾都市の雰囲気を併せ持っている。

 

このアルバムのハードコアソングは表面的にはパンキッシュであるが、聴き方によったら、すごくナイーヴにも思えるかもしれない。しかし、そのナイーヴな感覚が癒やしの瞬間に変化するときがある。アルバムの冒頭を飾るタイトル曲「Guided Tour」、そして最初の先行シングルとしてリリースされた「Mind's A Lie」等を聴くと、彼らが何をやろうとしているのかつかめるはずだ。そして、なぜ痛みをストレートに吐き出しつつも、それが都会の夕暮れの切なさや、何か情景的なセンチメンタルなイメージを呼び覚ますのかといえば、ボーカルが公明正大で、その声がエナジーとともに吐露される時に、心に何の曇りもないからである。これらのクリアで透徹した感覚は、歌詞や表現に何らかの遠慮や偽りがあるとなしえない。そして音楽的には、イアン・マッケイの系譜にあるストレートなボーカルに、メロディアスなギターラインが特徴的である。これがバンドのサウンドに色彩的なイメージを添えることがある。

 

 

もう一つ、High Visの主要なハードコア・パンクソングの中には、古き良きUKハードコアの影響が含まれている。それはGBH,Dischargeを筆頭とする無骨で硬派なパンクバンドである。そしてこれらの80年代のバンドがそうだったように、ヘヴィメタル寄りの重力のあるギターやベース、そしてシンプルなドラムが特徴となっている。というのも、GBH等のバンドはヘヴィ・メタルを演奏しようとしたが、演奏力が巧緻ではなかったために、ああいったドタバタのサウンドになった。 けれども、多くの実力派のギタリストが言うように、「テクニックより表現したいことがある」ということが良い演奏者になるための近道となるかもしれない。High Visの場合も同じように、英国の古典的なハードコアバンクを受け継ぎ、現代の若者として何を表現したいのか、つまり、そういった一家言のようなものをしたたかに持ち合わせている。

 

特に、このアルバムではそれらは洗練されたモダンなポスト・パンクとして昇華される場合がある。「Worth The Wait」、「Fill The Gap」では、バックバンドの演奏自体はオルタナティヴロックであるが、ボーカルだけが硬派なハードコアスタイルという複合的な音楽を探求していることが分かる。

 

歌詞に関しても一家言があり、例えば、「Mob DLA」等では脳に障害を負う兄弟のために歌っている。結局のところ、彼らのパンクサウンドは、満たされた人々ではなく、憂いを抱える人々の心を揺さぶり、それらに勇気をもたらすために存在している。もちろん、そういったマジョリティとは距離をおいたパンクソングは、いかなる時代であろうとも貴重なのだ。今作の最大の成果は、別のアーティストからトラック提供を受けた「Mind's A Lie」のようなアンセミックなパンクソングを制作したことに加えて、「Untethered」のようなポストハードコアの静謐なサウンドの側面を示したことにあるだろう。そしてポスト・ハードコアはどちらかと言えば、ハードコア・パンクにおける激しさや過激さは控えめで、きわめて静謐な印象をもたらすのである。その中には隠された知性も含まれている。


High Visのパンクロックソングは、必ずしも一般的なものとは言いがたいかもしれない。しかし、彼らが今作で示したのはUKハードコアの新機軸であり、それは先にも述べたように「別ジャンルとのクロスオーバー」に求められる。今回のアルバムでは、EDMのダンスミュージックとの融合という側面を捉えることが出来る。このアルバム全般には、内的な痛みがあり、それはむしろ誰もが持ちうることがあるからこそ、カタルシスのような癒やされる瞬間に変わる。最後にそれは清々しさに変化する。

 




78/100

 

 

 


「Deserve It」



サッカー・マミーはアルバム『Evergreen』のリリースに先駆け、最新シングル 「Abigail 」で最後のティーザーを公開しました。


MVは牧場物語のゲーム「Starview Valley」に対するオマージュだと言う。この曲は先行シングルの中で最もエバーグリーンな雰囲気が漂っている。アウトロのシューゲイズ風のギターもセンス抜群です。


農場ライフ・シミュレーション・ゲーム『Stardew Valley』のファンなら、アリソンの恋の相手である紫色の髪の村人、アビゲイルであることがお分かりだろう。ミュージック・ビデオでは、アリソンが演じるStardew Valleyのキャラクターがアビゲイルを口説き、やがて幸せなカップルが結婚するまでのゲームプレイが収められている。という幸せなエンディングとなっている。


Soccer Mommyのニューアルバム『Evergreen』は今週末(10月25日)に Loma Vistaからリリースされます。


「Abigail 」




 

 

Hovvdyはセルフタイトル・アルバムからの「Jean」の別バージョン「Jean (Julie's Verson)」をリリースした。また、この2枚組アルバムを引っ提げた2025年北米ヘッドライン・ツアーも発表された。


ベネット・リトルジョンと一緒に「Jean」を再構築したんだ。「このアレンジは、アコースティック・ギターと一人の声という、この曲がどのように書かれたかをより深く知ることができる」

 

 「Jean (Julie's Verson)」

 


今年初め、マンチェスターのミュージシャン、jasmine.4.t(ジャスミン・クルックシャンク)は、フィービー・ブリジャースのレーベル、サデスト・ファクトリーと契約した最初のイギリス人アーティストとなった。

 

jasmine.4.tが今年初めにリリースしたシングル「Skin On Skin」をプロデュースしたのは、彼女のboygeniusのバンドメイトであるジュリアン・ベイカーとルーシー・デイカスだ。この曲は、来年初頭にリリースされるjasmine.4.tのデビューアルバム『Year Are The Morning』の初期テイストであり、全曲をboygeniusがプロデュースした。

 

『You Are The Morning』を制作するため、jasmine.4.tと、メンバー全員がトランスである彼女のバックバンドはロサンゼルスに飛んだ。

 

有名なサウンド・シティ・スタジオで12日間かけてレコードを制作した。boygeniusのメンバーは、Trans Chorus Of Los Angelesと同様にバックアップ・ボーカルとして参加している。

 

このアルバムの発表と同時にニューシングル「Elephant」を発表した。この曲には、Trans Chorus Of Los Angelesのバック・ヴォーカルとJulien Bakerのギターが参加している。



「”Elephant "は、私がT4Tに移行した初期の頃に書いた曲で、私の最初のT4Tの恋について歌っている。友達になろうとしているのに傷ついたり、もっと仲良くなりたいと思ったり。ブリストルでの生活はカミングアウトしたときに崩壊し、安全な住まいもなく、マンチェスターの同性愛者のソファに泊まっていた」

 

「LAでフィービー、ルーシー、ジュリアン、マンチェスターのドールであるイーデン、フェニックス、そして地元のトランス・ミュージシャンであるヴィクセン、ボビー、アディ、そしてもちろんロサンゼルスの素晴らしいトランス・コーラスと一緒にこの曲をレコーディングしたのは、癒し以上のものだった」

 

 

 jasmine.4.t    『You Are The Morning』



Label: Saddest Factory

Reelase: 2025年1月17日



Tracklist:

1 Kitchen

2.Skin On Skin

3.Highfield

4.Breaking In Reverse

5.You Are The Morning

6.Best Friend’s House

7. Guy Fawkes Tesco Dissociation

8 Tall Girl

9. New Shoes

10  Roan

11 Elephant

12 Transition

13 Woman


 

 



ジョージア州のグランジ/シューゲイザープロジェクト、The Kartetch(ザ・カーテッチ)がEP『The Fallacy』の制作を発表しました。本作は来年1月24日にリリースされる。


原則に基づいたラウド・ギター・ミュージック。"答えをかわさない"、"シューゲイザーは拳とともにある"。しかし、これはもしかすると誤解に過ぎないかもしれない。


ザ・カーテッチは、シチュエーション・グランジ、シューゲイザー、酔っ払ったオーケストラの若者たち。グランガー、シューゲイザー、それ以外の何者かのレガリアを巧みにかわす東欧からの遊牧民の小集団だ。90年代のギターの伝統は、バイオリン・カルテットのトリックとミックスされている。歌詞は最後まで切り札のエースを袖に隠し、感情の不和は合理的な疑問を残す。

 

シューゲイズ、グランジと紹介されているが、メタルコアに近いヘヴィーなギターがフィーチャーされている。パンク、ポストハードコア、メタルコア好きはチェックしておきたい。


 



The Kartech 『The Fallacy』 EP

 

Momma

ブルックリンの魅力的なインディーロックバンド、Mommaがニューシングル「Ohio All the Time」をリリースしました。アーロン・コバヤシ・リッチのプロデュースによるこの曲は、昨年の「Bang Bang」以来の新曲となる。Zack Shorrosh監督によるビデオは以下よりご覧ください。

 


ブルックリンを拠点とするバンドは、プレスリリースで次のように新曲について解き明かす。「ツアー中の夏について書いた曲で、1ヶ月の間に生活の全てが変わったように感じた。このビデオは、世界が真新しく、すべてが目の前にあるような、そんな若々しい感覚をとらえたかったんだ。北部のハドソン近くの友達の家に行って撮影し、一日中ふざけて走り回ったのを覚えている」

 

オルタナティヴロック・バンドという触れ込みで紹介されることが多いMamma。しかし、最新のシングルではダンサンブルなポップソングへと鞍替えを果たしている。今後のバンドの動向にも注目です。


「Ohio All The Time」

 

Mamalarky

Mamalarky(ママラーキー)がエピタフ・レコードと契約を発表しました。バンドは、新曲 「Nothing Lasts Forever」をリリースし、新契約をお祝いしている。

 

ママラーキーは2016年テキサス州オースティンで結成され、リヴィー・ベネット、ノア・カーン、マイケル・ハンター、ディラン・ヒルをメンバーに擁する。

 

「真夏のLAで、エアコンもない気候危機的な熱波を体験していた。この曲は、僕らの脳細胞が発火しようと必死になっている時に、ジリジリと流れてきたんだ。みんな踊り始めた。誰かのために曲を書くはずだったんだけど、この曲が気に入りすぎて、送らなかったの」とリヴィー・ベネットは説明する。

 

「私たちは、誰かとの立ち位置がまったくわからないときの気持ちを書きたかった。未来が見えると思っていても、結局は不確実性に身を委ねてしまう。歌詞は明らかに矛盾している。わからないことも楽しみのひとつなのかもしれない」

 

「ミュージックビデオは、ロサンゼルス国際空港のそばの、ゴミだらけのオフィスビルで撮影したの。この日のために友達が車で来てくれた。私、ダンスは得意じゃないの。高校時代、ダンスクラスから落ちこぼれそうになったくらい。とにかく、この奇妙な限界空間のダンス・コンペティションに参加することで、救われたような、恐ろしいような気持ちになった。優勝したことが今でも信じられない」


「Nothing Lasts Forever」は、高く評価された2022年のアルバム『Pocket Fantasy』のリリース以来の最新シングル。インディーポップ風のシングルで、ネオソウルへの傾倒を示している。

 


「Nothing Lasts Forver」



SXSWはテキサス州オースティンを越えて拡大成長を続けている。6月2日から7日まで開催される第1回SXSWロンドンの詳細が発表された。


1987年にオースティンで開催されたSXSWと同様、ロンドンとシドニーで開催されるSXSWも、音楽と映画/TVのフェスティバルのほか、テック関連の業界カンファレンスも開催される。


SXSWロンドンは、ヨーロッパ初のフェスティバルと銘打たれ、イースト・ロンドンのショーディッチ地区の会場で開かれる。音楽部門では、ヴィレッジ・アンダーグラウンド、93イースト、ショーディッチ・タウン・ホールなど20の会場で78のショーケースが行われる。映画祭では、80から90のインターナショナル・プレミアが上映され、その他の映画やテレビも上映される。


SXSWロンドンでは、音楽、映画ともに10月28日から応募を受け付け、来年1月に締め切られる。一方、本家SXSWは2025年版を3月7日から15日までテキサス州オースティンで開催される。


・SXSWの特色とは??




・プログラム・ビジョン


SXSWロンドンは、応募作品の発表とともに、1週間に及ぶフェスティバルのプログラム・ビジョンも発表した。


このビジョンは、コンバージェンス(融合)と予期せぬ発見という重要なテーマにインスパイアされている。カンファレンス、ミュージック、スクリーン、ビジュアル・アート&ファッションが交差することで、想像力豊かで革新的なコンテンツが生まれるユニークな環境が提供される。詳細なプログラムは今後数ヶ月のうちに発表され、インディーズレベルであらゆる芸術の融合が精査される。


・カンファレンス


テクノロジー、ビジネス、社会、音楽、スクリーンなどの世界は、SXSWロンドンの幅広いカンファレンス・プログラムに反映される。テクノロジー、ソサエティ、カルチャー&クリエイティブ、ビジネス。カンファレンスのプログラムは、基調講演やプレゼンテーションから、メンターアワー、ミートアップ、読書会まで、さまざまな形式のセッションが4日間で400以上行われる。


SXSWロンドンでは、オピニオンリーダー、アウトサイダー、専門家を招き、洞察を共有し、議論を促進することで、テック、イノベーション、クリエイティビティを融合させ、有意義な繋がりを構築する。なお、カンファレンス・プログラムでは、世界中の企業が競合するダイナミックなピッチ・コンペティションが開催され、最先端のテクノロジーとビジネス・イノベーションが披露される。



・多彩な音楽


SXSWロンドンの音楽プログラムでは、ロンドン、ヨーロッパ、そして世界の最先端の音楽、文化、創造性が紹介される。20の音楽会場で78のイベントが企画され、600以上のパフォーマンスが披露される。


ショーディッチ・タウン・ホール、ヴィレッジ・アンダーグラウンド、93イーストのほか、小規模で草の根的な会場も多数含まれる。


冒険的な音楽プログラムは、ロンドンというレンズを通して、コミュニティの文化を変える国際的な音楽シーンにスポットライトを当て、何が新しく、何が次にやって来るのかに焦点を当て、音楽とテクノロジーが、ディアスポラ的なコミュニティやアンダーグラウンド・ムーブメントから生まれた文化と融合する象徴的な瞬間にスポットライトを当てる。


・圧倒的なスクリーン


スクリーン・プログラムは、SXSWの最良の部分を取り入れ、真新しく、ヨーロッパらしく、ロンドン独自の風味を吹き込む。80~90のインターナショナル・プレミアを含む250以上のセッションからなる''Screen Programme''は、ヨーロッパに重点を置き、近隣諸国のUKプレミアを取り入れる。


スクリーン・プログラムは、イースト・ロンドンが世界的に知られるようになった、侵攻的で、境界を押し広げる創造的な力に溢れている。


・ビジュアル・アート&ファッション


ビジュアル・アート&ファッション・プログラムは、クリエイティブの中心地としてのロンドンの立場を反映し、ビジュアル・アート、パフォーマンス、ファッション、サウンド、ムービング・イメージ、テクノロジーといった芸術形態の融合を賛称する。国際的に著名なアーティストや地元の新進気鋭の才能による、思いがけないオーダーメイドのプロジェクトや、これまでに見たことのないようなプロジェクトが展開される。


SXSWロンドン・プログラミング・ディレクターのケイティ・アーナンダーは次のように話す。


「SXSWロンドンは、クリエイティブで革新的な人々が、型にはまらない魅力的な才能を披露する国際的なプラットフォームを提供する。テックとクリエイティビティの融合は、最もエキサイティングな発見が生まれる場であることが多く、このテーマへの応募が待ち遠しい。本日は、2025年6月にショーディッチで開催される第1回フェスティバルに近づくエキサイティングな一歩となりました」


2025年6月2日から7日までショーディッチで開催されるSXSWロンドンは、独自の個性を持つクリエイティブ&テック・カレンダーで最大級のイベントとなり、ヨーロッパ全域でクリエイティブな発見と芸術の融合のための究極のプラットフォームとなる予定だ。


オースティンで開催されたSXSWの遺産を基に、SXSWロンドンは、イベント運営、音楽プログラミング、クリエイティブ・ディレクションの専門家チームにより、新たな舞台でフェスティバルを活性化させる。SXSWロンドンの原動力は、''テクノロジー、アート、ビジネスの融合''である。ロンドン開催では、イギリスとヨーロッパの文化に根ざした新しい分野のプログラミングが行われる。


aus


ゼロ年代ジャパニーズ・エレクトロニカ・シーンをを中心に活動したausが、昨年リリースした「Everis」に続く新作を発表しました。ピアノとストリングスによって、よりメロディックに拡張されたイメージ・アルバム。


 
昨年、Seb Wildbloodの”all my thoughts”よりシングル「Until Then」、15年ぶりの新作アルバムとなった「Everis」を”Lo Recordings”より発表し、活動を再開させた ausがニューアルバムの制作を発表しました。新作『Fluctor』は11月27日にFLAUからリリースされます。下記より収録曲とアートワークをご覧ください。

 

元々映像作品のために作っていたというデモを、自身のピアノと高原久実によるヴァイオリンを中心とした室内楽へと再構成。ポスト・クラシカルの持つ優美さ・精緻さと2000年代初期のエレクトロニクスの微細なテクスチャーを融合させ、深く鮮やかなメロディーラインが展開される。

 

前作「Everis」にあったフィールドレコーディングによるサウンドコラージュから、より明確なコンポジションへと変化した本作は、静かな水面に映る風景のように、柔らかく、しかしながら、確かな印象を残し、かつて国内で作られていたイメージアルバムの本質を呼び起こすよう。

 

アルバムのゲストも豪華で、FLAU Recordsにゆかりのある音楽家も複数参加しています。Espersのメンバーとしても知られるMeg Baird、著名なアンビエントプロデューサーでausと親交深い、Julianna Barwick、元Cicada(台湾の室内楽グループ)のEunice Chungをボーカルとしてフィーチャーしています。また、ドイツのピアニスト、Henning Schmiedt、マンチェスターのチェロ奏者、Danny Norbury、Glim、横手ありさが前作から引き続き参加しています。

 

 

■ aus - Fluctor



タイトル:Fluctor
アーティスト:aus
発売日:2024年11月27日

収録曲:
1. Another
2. Dear Companion ft. Meg Baird
3. Stipple Realm
4. Silm
5. Aida
6. Circles ft. Julianna Barwick
7. Celestial 
8. Yousou
9. Fading
10. Lutt
11. Nocturnal
12. Ancestor
 


ストリーミング/ダウンロード(FLAUでのご予約): https://aus.lnk.to/Fluctor


 
【aus】

 
東京出身。10代の頃から実験映像作品の音楽を手がける。早くから海外で注目を集め、NYのインディーズ・レーベルよりデビュー。

 

長らく自身の音楽活動は休止していたが、昨年、ジャジー・ディープハウスの人気アーティストSeb Wildblood率いるAll My ThoughtsとFLAU共同でニューシングル「Until Then」をリリース。

 

同年4月には15年ぶりのフルアルバム「Everis」をGrimes、Susumu Yokota(横田進)らをリリースするイギリスの名門レーベル”Lo Recordings”より発表した。長岡亮介とのミックステープ「LAYLAND」、Danny Norburyとのライブ盤「Better Late Than Never」、Craig ArmstrongやSeahawksへのリミックス提供など、活動再開後は精力的に活動を行っています。


◾️AUS 『EVERIS』のリミックス集が10月27日に発売  PATRICIA WOLF、HANAKIV、LI YILEIら注目のアーティストがリミックスを手掛ける

Jordana 『Lively Promotion』

 

Label: Grand Dury

Release: 2024年10月18日

 

Stream



Review


Jay Som、Clairo、Faye Websterを始めとするベッドルームポップシーンの注目アーティストとして登場したジョーダナの最新作『Lively Promotion』は、プレスリリースで示されている通り、ドナルド・フェイゲン、キャロル・キング、ママス&ザ・パパス等、70、80年代のポピュラーソングを思い起こさせる。"ベッドルームポップ"と称される一連の歌手の多くの場合と同じように、このジャンルの可能性を敷衍する。もちろん、「カメレオン」と自らの音楽性について述べるジョーダナのソングライターとしてステップアップしたことをを示唆しているのではないか。要は、普遍的なポピュラー性が今作において追求されていて、この点が音楽そのものに聞きやすさをもたらし、幅広い年代に支持されるような作品に仕上がった理由なのだろうか。

 

また、80年代のディスコサウンドからの影響も含まれていて、アースウインド&ファイアの系譜にあるR&B性も反映されている。もちろん、フォーク・ミュージックをモダンな印象で縁取ったバイオリンの演奏もその一環と言える。これらの音楽的な広がりは、曲の中で断片的に示唆されるというより、ソングライティングの全般的に滲出しており、作曲全般の形式そのものが変容したことを表す。ケイト・ボリンジャーのデビュー作と同様、若い年代のシンガーの音楽観には、世代を越えた音楽を追求していこうという姿勢やポピュラー音楽の醍醐味を抽出しようという考えが垣間見えるような気がした。もちろん、ジョーダナの場合はどことなく穏やかで開けたポピュラーサウンドを通して。このことは、ベッドルームポップというZ世代の象徴的なサウンドが2020年代中盤に入り、形質を変化させつつある傾向を見出すことが出来る。そしてこのアルバムでは、演奏や作曲を問わず、音楽自体の楽しさを追求しているらしい。


オープニングを飾る「We Get By」には、心を絆すようなギターサウンドが登場する。ディスコファンクを反映させたベース、そして遊び心のあるヴァイオリンのパッセージが音楽全体の楽しさを引き立てる。その中で開放的な感覚のあるコーラスやサクソフォンの音色が音楽全般にバリエーションを付与している。おそらく、単一の音楽にこだわらないスタンスが開放的な感覚のあるポピュラーソングを生み出す契機になったのだろう。さらに、アルバムのハイライト曲「Like A Dog」は、チェンバーポップの規則的なリズムを反映させて、口当たりの良いポップソングを提供している。しかし、曲全般の構成や旋律進行は結構凝っていて、ファンクやR&Bのバンドスタイルを受け継いでいるため、多角的なサウンドが敷き詰められている。これが曲そのものに説得力を与えるし、表面的なサウンドに渋さを付与している。また、音感が素晴らしくて、サビの前のブリッジの移調を含め、ソングライティングの質はきわめて高い。シンガーソングライターのカラフルな印象を持つポップソングを心ゆくまで楽しむことができるはずだ。

 

以降、本作はカントリー/フォークやバラードに依拠したサウンドに舵を取る。「Heart You Gold」は三拍子のワルツのリズムを取り入れて、ビートルズの系譜にあるナンバーを書いている。しかし、曲の途中ではその印象が大きく覆り、ビリー・ジョエル風の落ち着いたピアノバラードへと変化する。このあたりには音楽的な知識の蓄積が感じ取られるが、全般的には、インディーポップという現代的なソングライティングのスタイルに縁取られていることが分かる。

 

続く「This Is How I Know」は、キャロル・キングを彷彿とさせる穏やかな一曲。そして前の曲と同じように、カントリーを反映させた作曲と巧みなバンドアンサンブルの魅力が光る。これらのポピュラーソングには、ダンスミュージック、ファンク、R&Bなどの要素を散りばめ、Wham!の代表的なヒットソングのような掴みがある。決めを意識したアコースティックギター、コーラスワークが、80年代のMTVの全盛期のポピュラー時代の温和な音楽性を呼び起こす。

 

その後も、音楽性を選ばず、多彩なジャンルが展開される。「Multitude of Mystery」では、スポークンワードの対話をサンプリングしている。そして、ヒップホップというよりも、ジャネット、ベンソン、ワンダーの時代のファンクサウンドを参考にし、80年代のAORに近い音楽性を選んでいる。しかし、これらが単にリバイバルなのかといえば、そうとも言いがたい。表面的には、テンプルマンやパラディーノに近いモダンなポピュラーサウンドが際立つが、アーバン・コンテンポラリーのリバイバルを越えた未知の可能性が示唆されている。

 

イギリスではディスコリバイバルやその未来形のサウンドが盛んなようだが、ジョーダナはこれらのミラーボールディスコの要素を巧みに自らの得意とするフィールドにたぐり寄せる。「Raver Girl」では、70年代から80年代のファンクソウルを反映させ、それをフェイ・ウェブスターと同様にベッドルームポップと組み合わせている。

 

ただ、レコーディングでは、すでにスタジオのバンドサウンドが完成されているので、これをベッドルームポップと呼ぶのは適切ではないかもしれない。寝室のポップは、背後に過ぎ去りつつあるようだ。そして、同時に、ファンクとポップをクロスオーバした形は、アナクロニズムに堕することなく、新鮮な印象を携えて聴覚を捉える。続く「Wrong Love」でも、基本的にはベッドルームポップが下地になっていると思われるが、アースウインド&ファイアの系譜にあるディスコファンクが織り込まれていることが音楽に快活味をもたらす。

 

このアルバムは、カントリー/フォーク、ディスコファンク、ポピュラーという三つの入り口を通して広がりを増してゆく。そしてアルバムのクライマックスでは、幾つもの要素を融合させたような音楽性が展開される。「Anything For You」ではセンチメンタルな印象を持つオルタナティヴフォーク、続いて、「The One I Know」では南部のカントリーの性質が強まる。上記の二曲にはイメージの換気力があり、ミュージックビデオに見出せるような草原の風景を呼び覚ます。そして、この作品の全般的な印象に、癒やしのような穏やかな情感をもたらすことがある。

 

アルバムの曲は一つずつ丹念に組み上げられてゆくような感覚がある。そして複数のジャンルや年代を越えたポピュラーが重なり合うようにして、本作『Lively Promotion』の音楽は成立している。このアルバムは表向きに聴こえるよりも奥深い音楽性が含まれ、それはアーティストの文化観が力強く反映されているともいえる。アルバムのクローズ「Your Story’s End」 は、キャロル・キングを彷彿とさせる美しくもはかないバラードソングである。音楽というものは、数十年では著しく変化しない。形こそ違えど、その本質はいつも同じなのもしれない。また、もしかすると、「カメレオン」というのは”ジョーダナ”としての音楽性の幅広さを言うだけにとどまらず、自分の憧れの姿になりきれるということを暗に示しているのではないだろうか。

 

 

 

84/100

 

 

 

「Like A Dog」



Tyler The Creator(タイラー、ザ・クリエイター)が新曲「Noid」をリリースした。ニューアルバム『Chromakopia』に収録されるこの曲は、アヨ・エデビリがカメオ出演するシュールなビデオとセットになっている。サンプリングにはアフリカの民族音楽が取り入れられているようだ。


先週、タイラー・ザ・クリエイターは『Call Me If You Get Lost』に続く『Chromakopia』を10月28日(月)にリリースすることを発表したばかりだ。彼はまた、プレイボイ・カルティ、エリカ・バドゥ、アンドレ3000、フェイ・ウェブスター、ブラッド・オレンジ、セクシー・レッドなどが出演する2025年版「Camp Flog Gnaw Festival」のラインナップを明らかにした。


このアルバムは『CALL ME IF YOU GET LOST』以来となるタイラー・ザ・クリエイターのフルレングス・プロジェクトとなる。以来、彼は2023年3月にコーチェラのヘッドライナー出演に先駆けてアルバムの拡大版をリリース、最近ではマクソ・クリームの新曲「Cracc Era」にゲスト参加している。 


「Noid」


ロックの殿堂でシェールとデュア・リパが「Believe」で共演した。このライヴはオハイオ州クリーブランドから中継され、いくつものハイライトを残している。


特に、シェールとデュア・リパが一緒にシェールの1998年のヒット曲「Believe」を歌ったパフォーマンスだ。シェールとデュアの肉体的な類似性は近年話題になっていただけに、2人がステージを共にする姿は象徴的とも言える。


シェールとデュアが一緒にステージに立つのを見るのは楽しみだが、2人は歌唱力では同等ではない。デュアは高音を出すのに苦労しており、シェールは救世主として登場した。


ライブで一緒に歌うだけでなく、シェールとデュアは記者会見にも一緒に登場した。また、ゼンデイヤと一緒にポーズをとった。


シェールに加え、ロックの殿堂入りを果たしたのは、メアリー・J・ブライジ、デイヴ・マシューズ・バンド、フォーリナー、ピーター・フランプトン、クール&ザ・ギャング、オジー・オズボーン、ア・トライブ・コールド・クエスト。オズボーンはすでにブラック・サバスの一員として受賞経験がある。


また、デュア・リパと並んで、ゲストのドクター・ドレー、ジェームス・テイラー、ジュリア・ロバーツ、ジェリー・ロール、キース・アーバン、デミ・ロヴァート、バスタ・ライムス、スラッシュもこのガラでパフォーマンスを披露している。


シェールはすでにロックの殿堂入りを祝うことができるが、昨年、彼女は何十年もの間、彼女を無視してきた博物館を批判したばかりである。


別の話題では、デュア・リパがロンドンでシンフォニー・コンサートを行ったばかりだ。そこでデュアは、53人編成のオーケストラと14人の合唱団とともに「Radical Optimism」のレパートリーを歌い、最高のヴォーカルパフォーマンスを披露した。


シェールは、ゼンデイヤによって殿堂入りを果たし、「この会場、この国、そして全世界で、今夜私が誰を称えるためにここにいるのか知らない人は一人もいないでしょう。だから、象徴的な彼女の名前はひとつだけでいい。彼女はすべてをこなし、付け加えると、本当にめちゃくちゃうまい」


シェールはさらに自身のスピーチで、「ロックの殿堂に入ることよりも、2人の男性と離婚することの方が簡単だった」とジョークを飛ばした。そして、「私が決してしなかったのは、決してあきらめないということ。そして、私は女性たちに話している。私たちは特別なの」と喜びをあらわにした。

 


 


アトランタ出身のヒップホップミュージシャン、Lil Yachy(リル・ヨッティ)が2曲のニューシングル「We Ball Forever」と「Cry Me a River」を同時に公開した。どちらもミックステープ文化を継承するヒップホップで、ローファイをベースにしたチルウェイヴでアーティストのセンスが滲み出ている。背景となるヴィンテージソウル風のトラックにも注目したいところ。

 

この2曲は、頻繁にコラボレートしているリトル・マイルズとAMDが監督したミュージックビデオと合わせて公開されています。以下よりご覧ください。

 

 

 

 


ビリー・アイリッシュが、マイケル・キートンが司会を務めた昨夜の『サタデー・ナイト・ライブ』に音楽ゲストとして出演した。弟のフィニアスと一緒に、エイリッシュは最新アルバム『Hit Me Hard and Soft』からの2曲、「Birds of a Feather」と「Wildflower」を披露した。その様子は以下で。


エイリッシュのSNLへの音楽ゲスト出演は今回で4回目。前回の出演は12月で、バービー・ムービーに提供した「What Was I Made For?'」と「Have Yourself a Merry Little Christmas」のカバーを歌った。


エイリッシュはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの3公演をソールドアウトさせたばかりだ。『Hit Me Hard and Soft』を引っ提げた彼女の北米ツアーは、来月初めにジョージア州で行われた後、12月にロサンゼルスで終了する。