*画像はイメージです

日本文化エンタテインメント産業振興会(CEIPA)は、新たな音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」の創設を発表し、2025年5月22日にロームシアター京都で初開催することを明らかにしました。なお、2025年5月に京都で開催される授賞式では、様々なアーティストのステージパフォーマンスや、国内外の音楽業界関係者によるセミナーやショーケースの開催も予定しているという。


表彰部門は、最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞など主要6部門をはじめ、60以上の部門を創設。J-POP、ヒップホップ、アイドルカルチャーなどのジャンル別カテゴリー、ダンスパフォーマンス、ミュージックビデオ、ボーカロイドカルチャー、DJなどのスペシャルカテゴリー、アジア各国、ヨーロッパなど地域別のグローバルカテゴリーといった多様な部門を創設する予定。時代の変化とともにバラエティ豊かになる音楽カルチャーを讃え、音楽の未来を灯していくという。


本アワードは、2024年1月29日から2025年1月26日までに人気を博した作品やアーティストを対象に、「ソング・オブ・ザ・イヤー」「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」など主要6部門を中心に60以上の部門を表彰する。ビルボード・ジャパンの分析と連動した客観的な指標で自動的に候補が選出されます。


その中から国内投票会員により5組のノミネート作品が選出され、国内外投票会員による厳正な選考を経て受賞作品が決定します。

 

当該音楽賞は複数の部門に分かれている。J-POP、ヒップホップ、アイドル文化などのジャンル別部門、ダンスパフォーマンス、ミュージックビデオ、ボーカロイド文化、DJなどの特別部門、アジア各国やヨーロッパなど地域別のグローバル部門がある。最優秀作品とアーティストは5月22日の授賞式で発表される。投票メンバーは、アーティスト、クリエイター、マネージャー、レコーディング・ディレクター、エンジニア、プロモーター、ミュージック・ビデオ・プロデューサー、DJなど、さまざまな分野の音楽業界関係者約5,000人で編成される。詳細は下記の通りです。



◾️開催概要

「MUSIC AWARDS JAPAN 2025 KYOTO」開催概要

開催日時:2025年5月22日(木)

※開催ウィーク:2025年5月17日(土)~5月23日 (金)

会場:ロームシアター京都

放送:地上波放送局にて生放送を予定

配信:YouTubeにて全世界配信予定 ※一部地域を除く

協力:文化庁、経済産業省(調整中)


◾️表彰部門

最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞など主要6部門をはじめ、60以上の部門を創設


J-POP、ヒップホップ、アイドルカルチャーなどのジャンル別カテゴリー、ダンスパフォーマンス、ミュージックビデオ、ボーカロイドカルチャー、DJなどのスペシャルカテゴリー、アジア各国、ヨーロッパなど地域別のグローバルカテゴリーといった多様なカテゴリーを創設する予定


【対象作品】

2024年2月~2025年1月に話題となった作品およびアーティスト(リリース時期は不問、旧譜も対象)


【表彰部門】

主要6部門をはじめ60以上の部門を設置予定


【主要6部門】

最優秀楽曲賞 / 最優秀アルバム賞 / 最優秀アーティスト賞 / 最優秀ニュー・アーティスト賞 / Top Global Hit from Japan/ 最優秀アジア楽曲賞


【投票の流れ、および投票メンバー】

エントリー作品はビルボードジャパン、オリコン、GfK/NIQ Japan他主要データと連携した客観指標にて、自動選出。その後、国内投票メンバーにより5作品のノミネート作品を選出、ノミネート作品の中からさらに国内・海外投票メンバーの厳正な投票により受賞作品を決定する。


投票メンバーには、アーティスト、クリエイター、マネージャー、レコード会社スタッフ、エンジニア、MVディレクター、コンサートプロモーター、音楽出版社、著作権管理団体・事業者、音楽配信事業者、ディーラー、ディストリビューター、音楽評論家、ライター、メディア、海外音楽賞審査員、海外クリエイター、海外プロモーター、海外音楽配信事業者など、各分野より構成される5,000名以上の音楽業界のプロフェッショナルを選出。また、一般の音楽リスナーによる投票を募る部門も創設予定。

【Weekly Music Feature】  Felicia Atkinson

Felicia Atkinson


実験音楽家、サウンド&ビジュアル・アーティストのフェリシア・アトキンソン(1981年生まれ)は、ノルマンディー(フランス)の野生の海岸に住んでいる。2000年代初頭から音楽活動を開始。バルトロメ・サンソンと共同主宰するレーベル、シェルター・プレスから多数のレコードと小説をリリースしている。


フェリシア・アトキンソンにとって、人間の声は、風景、イメージ、本、記憶、アイデアなど、従来の意味での言葉を発しない多くのものと並び、その中にある生態系に息づいています。フランスの電子音響作曲家でありビジュアル・アーティストである彼女は、フィールド・レコーディング、MIDIインストゥルメンテーション、フランス語と英語によるエッセイ的な言葉の断片をコラージュし、彼女自身の声と対話しながら、これらの他の可能な声を活かすような独創性の高い音楽を制作しています。


彼女自身の声は、常に空間を作るために移動し、隅からささやくように、あるいは全然別の登場人物の口調になりきることもある。


アトキンソンは、想像的で創造的な人生を処理する方法として作曲を用い、ヴィジュアル・アーティスト、映画制作者、小説家の作品と頻繁に関わる。彼女の重層的なコンポジションは、時間と場所を交互に引き伸ばしたり折りたたむストーリーを語る。彼女は語り手ではあるが主人公ではない。控えめな登場人物として作品の中に現れる。


フェリシア・アトキンソンは、ジェフレ・カントゥ=レデスマ、クリス・ワトソン、クリスティーナ・ヴァンツォー、スティーブン・オマリーなどのミュージシャンや、エクレクト(ジュネーブ)、ネオン(オスロ)などのアンサンブルと共同制作している。INA GRM/Maison de la Radio(パリ)、Issue Project Room(ニューヨーク)、バービカン・センター(ロンドン)、Le Guess Who(ユトレヒト)、Atonal(ベルリン)、Henie Onstad(オスロ)、Unsound(クラクフ)、Skanu Mesz(リガ)などの会場やフェスティバルで演奏して来ました。彼女は、映画製作者(ベン・リバース、シーヴァス・デ・ヴィンク)やファッション・ハウス(プラダ、バーバリー)から作品の依頼を受けている。RIBOCA Biennale(リガ)、Overgaden(コペンハーゲン)、BOZAR(ブリュッセル)、Espace Paul Ricard(パリ)、MUCA ROMA(メキシコシティ)などの美術館、ギャラリー、ビエンナーレに出展している。


地球での生活で普遍的な体験のひとつは、首を傾げながら宇宙を見つめること。自分の内的生活の広大さと宇宙の広大さが出会い、瞬間、それらの視点は驚きと好奇心の中で融合する。フランスのアーティストで音楽家フェリシア・アトキンソンの最新アルバム『Space as an instrument』は、リスナーを、心が開放的で環境に対し受容的であるとき、そのような変容的な出会いの中で生まれる幻想的な風景へと誘う。夜空の広大さに吸い込まれるように、この音楽はイマジネーションを膨らませ、計り知れない神秘の中に心地よく身を置く手助けをしてくれる。


エレクトロニクスの断片や、発音された言葉の子音等、音楽の端々にある音と複雑に絡み合いながら、抑制された反復的なメロディーによって語られる。これらはアトキンソンの携帯電話で録音されたものであるといい、鍵盤の横や背後に置かれ、部屋の音が滲んで、不可思議な場所と時間を感じさせる。彼女はこれらのセッションを、「自分とピアノが交わり、渦巻くようなフレーズや茫漠とした不協和音を刻一刻と共創していく会議」と表現している。このダイナミズムを複雑にしているのが、ダイオードとLEDディスプレイという超現実的な空間に存在するデジタルピアノの存在である。デジタル・ピアノは、3次元のピアノのアバターとして機能する。


それでも、人、水、風といった人間の世界にある主要な元素は、楽器としてスペース全体で聴くことが可能です。多くの場合、これらの録音はエレクトロニクスの背景と一体化し、あるいは物理的な形態が不明瞭な動きの音に還元される。"Sorry "では力強い突風にマイクが緊張し、"Pensées Magiques "では見えない地形を横切るリズミカルな足音。これらのフィールド・レコーディングは、私たちを共感覚的体験の瀬戸際まで誘い、想像力の地形を垣間見せてくれる。しかし、アトキンソンの音楽は、このシーンに対する特異な視点や明確な結論に抵抗する。


「音楽、それは何も説明しない 」と彼女は言う。「しかし、それは私がそれを知覚する方法を、どうにかして翻訳しようとする」


アトキンソンはもともと多趣味で、日々のさまざまな芸術的実践に没頭し、互いに栄養を与え合っている。自宅の庭では、種を超えた関係構築のスローワークを行い、内省とさらなる創造に理想的な空間を培っている。アルバムのヴォーカルとエレクトロニック・エレメントの多くはそこでレコーディングされたという。


「日常的な意味づけの道具を謎めいたものにする能力がある」と彼女が高く評価する詩の形態は、音楽にも折り込まれている。彼女は時間の許す限り、絵を描いているという。アトキンソンが絵画に見出す個人的な限界のひとつ「遠近法の表現」は、彼女の音楽を定義する特徴になっている。聴き手の視点は滑りやすく定まらず、音は巨大にも極小にも、遠くにも近くにも見える場合がある。


この現象は、1時間半の演奏から削ぎ落とされた13分の作品「Thinking Iceberg」の中心的なもので、アルバムのレコーディングでは幽霊のような存在でしかない。アトキンソンは、オリヴィエ・リモーの著書『Thinking Like An Iceberg(氷山のように考える)』を受けて、この曲を書いたという。


この書籍では、哲学者がこの巨大で絶滅の危機に瀕した物体に主体性を与え、彼らが人間との千年にわたる関係をどのように認識するかを想像する。ストイックなシンセサイザーの音色が鳴り響く中、水はフレームから飛び出して、澄み切った存在感を放つ。作品が盛り上がると、アトキンソンのささやきが、リスナーの左耳の傍らに聞こえてくる。私たちは、巨大さと繊細さが、時間と人間性の犠牲の上にいかに共存しうるかについて、かすかな気づきを得るのである。


アトキンソン自身は、彼女の音楽は「理解できるかできないかの瀬戸際に位置する」と語っています。しかし、漠然とした空間には謙虚さと開放感があり、巨大な凍った水の塊の意識を理解するのに十分な共感があるのかもしれない。聴き手の視点がさまざまな方向に向けられることで、それもまた思いやりを育むための手段となり得るのではないだろうか? 彼女の音楽に静かに耳を傾けるとき、私たちは、崇高な体験……、無限の広がりと近さの根本的な並置の中にだけ意味があるのではなく、同じ旅をした無数の個人の連続性の中にも意味があるという大いなる知恵に出会うことになる。


以前、アトキンソンは、The Quietusの「目をつむり、見て」と題された過去のインタビューにおいて、アンリ・ルソー、高田みどり(注:  日本の実験音楽家。高野山の仏僧とのライブセッションをレコーディングに残している)からの影響、日本の切り花や生花からの影響を参照している。それはアトキンソンの音楽制作の道しるべとなり、空間の中でどのように音楽が聞こえるのか、音の各々のマテリアルがどこに配置されるべきか、という考えに反映されている。


これらはすべて、印象派/抽象派としての美しい音楽をアトキンソンが作曲するための足掛かりとなるイデアである。そしてまた、「そこにあるべきものが自然な形で存在する」、あるいは、「過度な脚色や華美さを平すように削ぎ落としていく」という日本の伝統的な建築形式や芸術様式の美学の反映も内在する。これは、「侘び寂び」と呼ばれる日本の美学の原点でもあるのです。



『Space As An Instrument』  Shelter Press   (90/100)

 

フランスの実験音楽家、フェリシア・アトキンソンは、ニューヨークとパリを往復することが多いらしく、定期的に移動するのが好きだというように話していた。28年ほどパリで過ごし、以後ブリュッセル、そしてレンヌに滞在している。「わたしの家の窓からは、素晴らしい庭が見え、何百羽もの鳥が住んでいた。しかし、プライベートプールを建てるためにすべての木がなぎ倒され、私の心は傷ついた」と彼女は語っている。「レンヌの建築は70年代までは面白かったが、以降は開発業者のための大虐殺。現在、不動産の投機のために美しい家が次々と打ち壊されている」 さて、時代を追うごとに外側の景色が変わっていく中で、変わらないものは本当にあるのだろうか。

 

新作アルバム『Space As A Instrument』は、外の景色が移ろっていく中で、変わらないものとはなにかを探求している。それは内側と外側の世界の合致する瞬間であり、内側の世界が静寂に包まれる時、初めて外の世界が同じように静かに見えることがある。録音という行為は、記録の代用でもある。瞬間に捉えられる音、言葉、外側の世界のフィールド録音、このアルバムの場合は、鳥の声、水の音等を中心に構成され、それらが電子ピアノとフェリシア・アトキンソンの声、アコースティック・ギター、マリンバ、あるいは、彼女自身の詩の朗読によって組み上げられる。37分ほどの記録.....、もしくは永遠の時間の中の瞬間的な歩み......、その不明確な空間に響きわたる、ないしは、こだまする電子音楽のテクスチャーは、基本的にはブライアン・イーノの系譜にあるアンビエントの技法や実験性の高いマテリアルを中心に構成されている。

 

しかし、音の運びが組み合わされると、どのジャンルにも属さないノンジャンルの音楽が出来上がる。抽象的な音の運び方は、ジョルジュ・デ・キリコの不可思議なシュールレアリズムの絵画の世界の中に飛び込むかのようだ。このアルバムにはそれほど多くの人も登場しないし、そして躍動的な生命の息吹を感じさせることも稀有である。しかし、同時にこのアルバムには、生命的なエネルギーの断片が刻まれている。そして実験音楽として、湯浅譲二や武満徹の実験工房時代の音楽を彷彿とさせる内容も登場する。しかし、その音楽は、アストリッド・ソーンの最新アルバムのように、表向きには不気味に聴こえる場合もあるが、実際的に建築やファッションの美的センスと図りがたい癒やしが共存する稀有な作品と呼べる。

 

アルバムの冒頭を飾る「1- The Healing」では、大自然の脈動(宇宙の本質的な活動でもある)を表すかのような木の音の軋みを録音したフィールドレコーディングにピアノの演奏が続く。ヒーリングミュージックを思わせるタイトルだが、幽玄なアンビエントピアノ風の悲痛なサウンドが続いている。その中に、フェリシア・アトキンソン自身のスポークンワード、詩の朗読が加わる。それは内的な痛みを感じさせ、背景となるアンビエンスに的確に溶け込んでいる。朗読は非常に淡々としているが、それは上記のような自然破壊に対する悲しみと嘆きが内在する。まるでその声は消えたもの、消えぬものの境界に揺れ動くかのよう。

 

「2- This Was Her Reply」は、マリンバの演奏で始まる。その後、アトキンソンの詩の朗読が続く。そして、「アルバムの録音」という行為の目論見が、発生した音を収録するのではなく、「一空間にある元素の実存を表す」というものである。どうやら、アルバムを聴くと、制作者は、原子や元素のような微細な要素から組み合わされる物質の総体が音楽であると考えているらしい。

 

ここでは、音楽という概念を構成する微細な元素の集積のことを「Ambience- アンビエンス」と呼ぶ。アトキンソンの制作する音楽の基底には、有機的な生き物、無機的な楽器が並置される。しかし、その両方に両極端の性質が存在し、それらの生命的なエネルギーや元素、そしてエーテルのようなプラトンが提唱したギリシア的な概念に培われる原初的な構成要素を収録する。


これが単なる音の発生にとどまらず、「有機体としての一つの空間」を生み出し、それらがテキサスの礼拝堂であるロスコ・チャペルのような不可思議な空間性を作り上げていく。特に、「空間の移動」という彼女の一つの人生の副次的な主題のような概念も偏在している。それは、アンビエンスの変化という側面で発生し、広大な空間から狭い場所へと瞬時に移行する。また、それらの空間的な移動を助長するのが電子音楽のテクスチャー。この曲の場合は、カールハインツ・シュトゥックハウゼンの「トーン・クラスター」の技法によって行われる。

 

このアルバムは、日常的な生活の周囲の音楽の他にも、山岳地帯にこだまするアンビエンスを描写したような曲も登場する。「3-Thinking Iceberg」では、ブルターニュ地方の山岳地帯を思わせるサウンドスケープがブライアン・イーノの系譜にある重厚なアンビエントにより描写される。これらは、バルザック時代のフランスの古典的な風景の名残りを描写音楽として活写したかのようだ。

 

シダの別名であるフジェールの茂る大きな森、古い苔に覆われた石の寺院、土壁を持つ風車、また、古典的なヨーロッパの美しきレンガの町並み、そして、スイスのアルプス地方にも見出されるような神秘的な光景を囁くようなスポークンワードで包み込む。それらは本来は離れた空間ーー広大な自然と彼女の住む生活空間ーーを結びつけるかのようでもある。しかしそれらは、神秘的ではあるが、歴史的な歩み、その最中にある憂愁のような感覚を刻印している。つまり、「内側の世界の視点を通して離れた場所を見つめる」ような不可思議なアンビエントなのだ。この辺りに「目を閉じると見える」というアトキンソンの作曲概念がうかがえる。曲の最後にはリュートを思わせるガットギター(バリトン)が優雅で神妙なエンディングを構成する。

 

 「タイル」を意味する「4- La Puile」では、透明な印象を持つアンビエント・ピアノが展開される。前曲での乖離した二つの空間の結合を基にし、この曲では、アトキンソンの神妙なスポークンワードによって、さらに瞑想的な領域へと差し掛かる。音楽が表面性に鳴り響くにとどまらず、その内側に入り込んでいき、より深い内殻の空間へと踏み入れていく。


いつしか、ピアノの演奏は鳴り止み、立ち代わりに、布をこすり合わせるような録音、オーケストラストリングスの役割を果たすシンセ、そして、偏在する孤絶を表したかのようなスポークンワードが神秘的に鳴り響く。アルバムの冒頭のように、シンセの響きは悲しみの印象を与えるが、対比的に導入される高音域に鳴り響く単一のピアノのフレーズはそれとは対象的に高らかな響きに縁取られている。前項の山岳地帯の雪解けの頃の季節が何らかの個人的な記憶と共鳴を果たす。神秘的でありながら、重厚感があり、催眠的な響きを兼ね備えている。そして、これらの悲しみが何によるものかはよくわからないが、推測すると、それらは最初に述べたレンヌ地方の自然破壊や変わりゆく町並みへのノスタルジアとも考えることが出来るかもしれない。


このアルバムには、声という器楽的な要素を用いた詩の表現を織り込まれている。一方、音楽そのものが詩のように鳴り響くのもまた事実である。そして制作者は、フィールドレコーディングも効果的に用いて、音によるストーリーテリングの要素を付与する。例えば、続く「5- Sorry」では、大気の粒子をフィールドのマイクロフォンで捉え、その空気音をキャンバスにし、音楽を絵画さながらに描写する。


フェリシア・アトキンソンを「印象音楽のペインター」と称するのは少し強引かもしれないが、それに比する印象もなくはない。そして、彼女は、冒頭をシュールレアリズムで表現した後、アルルの印象派の画家のように、丹念にサウンドスケープを描いていき、これらは、ゴーギャンのような「暈しの技法」を作曲技法に取り入れているといえる。要は明確に聴取出来る音楽ではなく、背景に滲じむ抽象的な音像を作り上げてゆく。また、このアルバムは沈鬱な印象を持つ収録曲が多い中、この曲はただひとつだけ、天国的な音楽性が感じられる。しかし、タイトルに見られるように、この曲の印象は少しずつ制作者の人生の変遷を捉えるかのように変わっていき、最終的には、感傷的なピアノの断片とシンセにテクスチャーへと変化する。


『Space As An Instrument』は、個人的な生活の体験を基にして、そこから汲み出される感情や気付きを基に、複数の離れた空間を移動するかのようである。それは、レンヌからパリ、パリからニューヨーク、ニューヨークからブリュッセルというように、実際的な空間の移動も含まれているかもしれないが、同時に、過去に行った場所、過去に起きた感情、それらをすべてひっくるめて重要な体験と見た上で、現在の制作者が実存する地点から目くるめくようなクロニクルを構築していく。要するに、このアルバムは、例えば、ダニエル・ロパティンが最新作『Again』で探求したような「アンビエントや実験音楽による年代記」と称せるかもしれない。多くの人は、現実を「現象」として見ていると思うが、それはプラトンも言うように、真実に暗く、洞窟の闇に住まうことを示唆している。もちろん、「過去の場所、感情、行動、思索の積み重ね」の連続が、人間にとっての「実存」を意味するのである。それが他者が知り得ぬものであるからこそ、アルバム全体に通底する音楽は、純粋なアートとしての意味を帯びて来るようになる。本作は、その後、前の曲の流れを受け継いで、アンビエント・ピアノが続いている。

 

「6- Shall I Return To You」は、本作の中では最もミステリアスな響きを帯び、実際的に不協和音が強調されている。このアルバムでは始めて、他者の明確な暗示が登場する。氷塊のような印象を持つアンビエントのシークエンスとデチューンを施したピアノが組み合わされる否や、形而上に存在する音楽が作り上げられる。実際的な実験音楽としては、ハロルド・バッドに近く、ピアノの演奏とリサンプリングが組み込まれている。そして、アルバムの中に、再三再四登場するように、微細で幽玄な雰囲気を持つヴォーカルが登場する。

 

アルバムは連曲のように前の曲が次の曲と密接な関係を持ち、何らかの関連性を持っている。それは人生が連続しているのと同様。音楽の存在は、そのほかの要素と無関係ではないだろうし、曲はトラックリストを経るごとに、神妙な領域に入り込む。そして、その音楽は何らかの心象風景を仮想のヴィジョンに映写するように、曲ごとに異なる空間、風景、記憶を呼び覚ます。

 

特に驚かされたのが、本作のクローズを飾る「7- Pensees Magiques」(魔術的思考)だった。この曲は2024年の実験音楽の最高の一曲である。不協和音を活用したピアノの旋律の進行、そしてアルバムの二曲目よりも明確に「トーン・クラスター」が登場する。

 

本作の心象風景は最後のさいごになって、自宅の庭へと移り変わる。鳥の鳴き声や階段を上がっていく音など、何らかの瞬間を暗示する日常的なサンプリングがサブリミナル効果のように挿入される。これが、音楽を解明するというより、謎めいた余韻を残す。音楽はすべて分かるというよりも、何かしら究明しきれない箇所があった方が楽しい。特に、曲の最後の唐突な足音を聞いて、何が想像されるだろうか。また、どのようなイメージが呼び覚まされるだろうか。

 


 

 

 



* 発売元のシェルター・プレスは、出版社のバルトロメ・サンソンとアーティストのフェリシア・アトキンソンが2012年に共同設立したレコードレーベル兼出版プラットフォーム。印刷出版物やレコードを通じて、現代アート、詩、実験音楽の対話を構築している。2021年9月より、Shelter Pressは、Ideologic Organ、Recollection GRM、Portraits GRMレーベルのリリースも手がけ、コラボレーションを行っている。




昨年5月にビルボード・ライヴ東京にて初来日公演を実施したヴィレッジ・オブ・ザ・サンが、本日『Village Of The Sun, Live In Tokyo』と題された新しいライヴEPをサプライズ・リリースした。早耳のリスナーはぜひチェックしよう。


英国の伝説的デュオ、ベースメント・ジャックスでの活動でも知られるサイモン・ラトクリフによる注目のジャズ/ダンス・クロスオーバー・ユニット、ヴィレッジ・オブ・ザ・サン。


英国ジャズ・シーン新世代の旗手でサックス奏者ビンカー・ゴールディングとドラマーのモーゼス・ボイドがサイモンとタッグを組み、即興で作るインストゥルメンタル・ミュージックに対する情熱から誕生した同プロジェクトは、それぞれが持つ感受性を武器に、ダンサブルで独特の雰囲気を持った作品作りを心がけている。


2022年11月には待望のファースト・アルバム『ファースト・ライト』をリリースし、音楽の新境地を開いた彼ら。今回リリースされたEPは、ビルボード・ライヴでの公演の中から3曲のファン人気曲、「Ted」「Village Of The Sun」「The Spanish Master」を収録。


来日公演を振り返ってメンバーのサイモンは、次のように話している。「エレガントなビルボード東京でのライヴはとても楽しかったよ。オーディエンスはとても僕たちを歓迎してくれたから、すごくエキサイティングだった。東京にはジャズに対する深い知識と愛情があるよね」


13分におよぶライヴ・バージョンの「The Spanish Master」は、サイモンの流れるようなシンセサイザーがモーゼスの熱のこもった複雑なドラム・ライン上で踊り、ビンカーの表現力豊かなサックスがどんどん入り混じってきて、ドラム・ソロへと展開していく。このパフォーマンスは、ライヴのエネルギーを完璧に凝縮したもので、メンバー全員がアドレナリン全開の最高の状態であることがわかる。




【リリース情報】



アーティスト名: Village of the Sun (ヴィレッジ・オブ・ザ・サン)

タイトル名: First Light (ファースト・ライト)

レーベル: Gearbox Records

品番:GB1580CDOBI (CD) / GB1580OBI (LP)


<トラックリスト>

1. Cesca

2. First Light

3. Village Of The Sun

4. The Spanish Master

5. Tigris

6. Ted


※アルバム『First Light』配信リンク:

https://orcd.co/firstlight


Credits: 

All tracks written by Simon Ratcliffe, Binker Golding and Moses Boyd

Apart from ‘Ted' - written by Ted Moses, Simon Ratcliffe, Binker Golding and Moses Boyd

Binker Golding: tenor saxophone

Moses Boyd: drums

Produced and mixed by Simon Ratcliffe and all other instrumentation by Simon Ratcliffe

 


Village of the Sun:

 

イギリスのダンス・ユニット、ベースメント・ジャックスの活動でも知られるサイモン・ラトクリフと、サックス奏者ビンカー・ゴールディングとドラマーのモーゼス・ボイドによって結成されたプロジェクト。

 

即興で作るインストゥルメンタル・ミュージックに対する情熱から誕生した同プロジェクトでは、それぞれが持つ感受性を武器に、ダンサブルで独特の雰囲気を持った作品作りを心がけている。2020年1月、デビュー・シングル「Village Of The Sun」を、4月にはセカンド・シングル「Ted」を配信リリース。

 

その後、2022年9月に2年半ぶりとなる新曲「Tigris」をリリース。10月には更なる新曲「The Spanish Master」を、そして11月にはファースト・アルバム『ファースト・ライト』を発売。2023年5月、ビルボードライブ東京にて初来日公演を実施。2024年10月、同公演からのライヴ音源を収録したデジタルEP『Village Of The Sun, Live in Tokyo』を配信リリース。

 

©︎Arepo

 

本日、受賞歴もある作曲家で、シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)のピアニストとしても知られる即興演奏家のエリオット・ガルビン(Elliot Galvin)が、本日ニューシングル「From Beneath」を発表した。(ストリーミングはこちら)


エリオット・ガルビンは、英国ジャズ界のスーパーグループ、ダイナソーのメンバーで、これまで4枚のソロ・アルバムでDownbeat 誌やJazzwise誌の”アルバム・オブ・ザ・イヤー”に輝いたほか、マーキュリー賞にもノミネート経験をもつ。

 

また、シャバカ・ハッチングス、エマ=ジーン・サックレイ、ノーマ・ウィンストン、マリウス・ネセット、マーク・ロックハートらとのコラボレーションなど、英国ジャズ界の先駆者として長年活躍している。


他にも、マーク・サンダースや現在のレーベルメイトであるビンカー・ゴールディングらとレコードをリリースし、ボーダレスな即興演奏家としても高い評価を得ている。


彼の最新ソロ・アルバムは、全曲即興のピアノ・アルバムで、Guardian誌の「アルバム・オブ・ザ・マンス」とBBCミュージックの「アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選出。また、シンフォニエッタから委嘱された作曲家でもあり、ターナー・コンテンポラリー・ギャラリーなどで作品を展示するオーディオ・アーティストでもある。


グラミー賞、マーキュリー賞、MOBOにノミネートされたレコーディング&ミキシング・エンジニアのソニー・ジョンズ(トニー・アレン、アリ・ファルカ・トゥーレ、ローラ・ジャード)とレコーディングした最新シングル「From Beneath」には、著名なベーシスト兼ヴォーカリストのルース・ゴラーと、ポーラー・ベアのドラマーでパティ・スミス/デーモン・アルバーンのコラボレーターでもあるセバスチャン・ロックフォードが参加している。


グリッチなドラム・マシーンに支えられたうねるようなピアノ・ラインと、心を揺さぶるヴォーカルから曲は展開し、緊張が解けると、熱烈なパーカッション・ワークと、ガルビンのスタッカートなエレクトロニック・マニュピュレーションを切り刻み、飛び回るようなベースラインが始まる。

 


このシングルについてガルビンは、次のように語っています。

 

「ルースとセブを何年も尊敬してきたし、特にセブのバンド、ポーラー・ベアには大きな影響を受けてきました。この曲は、前作から5年の間に僕の音楽的な声が進化してきたことを象徴している。ロックダウンの間、そして、その後の数年間、僕は自分の音楽をリリースするのをやめ、世の中の方向性に対する不穏な感覚の高まりと僕自身の人生の変化に影響された新しいアプローチを構築していきました。その結果、人生経験に富んだダークな音の世界が生まれたんだ」


「セバスチャンの象徴的なドラミング、ルースの心に響くヴォーカル、エレクトリック・ベースの即興演奏に加え、モジュラー・シンセ、ドラム・マシン、サンプラーを取り入れ、ユニークなピアノ・インプロヴァイザーとしてのアイデンティティを保ちながら、荒涼とした美しさと重く壊れたグルーヴのトラックを作り上げました。これは親友との会話の後に書かれた1曲です」

 

 

 

 

 

Elliot Galvin Biography:

 

受賞歴のある作曲家、ピアニスト、即興演奏家。作品は主に、即興演奏の取り入れと、様々な環境と文脈における音の折衷的な並置の使用で知られている。Downbeat誌とJazzwise誌の両方で2018年の年間最優秀アルバムに選ばれ、2014年には栄誉ある"ヨーロピアン・ヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー"を受賞した。

 

これまでシャバカ・ハッチングス、ノーマ・ウィンストン、マリウス・ネセット、マーク・ロックハート、エマ・ジーン・サックレイ、マーキュリー賞ノミネート・バンドのダイナソーなどとのレコーディングや国際的なツアーを数多くこなしてきた。

 

即興演奏家としては、マーク・サンダース、ビンカー・ゴールディングとのアルバムや、パリのルイ・ヴュイトン財団でのコンサートで録音された全曲即興のソロ・ピアノ・アルバムをリリースしており、Guardian誌の"アルバム・オブ・ザ・マンス"やBBCミュージック誌の"アルバム・オブ・ザ・イヤー"に選ばれている。

 

作曲家としては、ロンドン・シンフォニエッタ、リゲティ弦楽四重奏団、アルデバーグ・フェスティバル、ジョンズ・スミス・スクエア、ロンドン・ジャズ・フェスティバルなど、一流のアンサンブルやフェスティバルから委嘱を受けている。また、オーディオ・アーティストとしても活動し、ターナー・コンテンポラリー・ギャラリーや、最近ではオックスフォード・アイデア・フェスティバル等でインスタレーションを展示している。2024年10月、Gearbox Recordsからの初リリースとなるシングル「From Beneath」を発表した。

 

©Bediah


ロミーとサンファが新曲「I'm on Your Team」でタッグを組んだ。イギリス人ミュージシャンは、共同プロデューサー兼作曲家のトーマス・バートレットとこの曲をレコーディングした。ロンドンを拠点とするアーティスト労働組合「Not/Nowhere」で撮影されたビデオも公開されている。以下からチェックしてほしい。


「この曲はラブソングだけど、歌詞は正直で真実味がある。"私たちは魔法と夢のような時間を過ごしてきたけど、今は一緒にいろいろなことを乗り越えてきた。


サンファはさらに、"チームの一員であること、お互いのために姿を見せなければならないこと、そこからさらに深いつながりを作ることができるという考え方が好きなんだ "と付け加えた。


ロミーは2023年にソロデビューアルバム『Mid Air』をリリース。サンファの最新アルバム『Lahai』も昨年リリースされた。今年初め、2人は一緒にアンドレ3000をカヴァーした。


 

©Daniel Topete


シカゴのFrikoは、デビューアルバム『Where we've been, Where we go from here』のデラックス・エディションを発表した。ATOから11月22日にリリースされ、スタジオ・アウトテイクのデモ曲、ライヴ音源、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「When You Sleep」のカヴァー、新曲「If I Am」を含む11曲のボーナス・トラックが収録されている。試聴は以下から。


「If I Am」は、この拡大版に収録されている他の新曲とともに、2019年まで遡ることができる」とフリコは説明した。「シカゴのDIYや小さなクラブでのライヴで最初に演奏した曲のいくつかだ。レコードのために曲を書いた後、置き去りにされたようなものだったけれど、バンドとして最初に書いた曲の一部だったから、日の目を見ることができてとても嬉しく思っています」



Friko 『Where we’ve been, Where we go from here  (Expanded Edition)

 

Label: ATO

Release: 2024年11月22日

 

Tracklist:


1. Where We’ve Been

2. Crimson to Chrome

3. Crashing Through

4. For Ella

5. Chemical

6. Statues

7. Until I’m With You Again

8. Get Numb To It!

9. Cardinal

10. I Could

11. If I Am

12. Love You Lightly

13. Pride Trials

14. Sliip Away

15. Where We’ve Been (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

16. Statues (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

17. Cardinal (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

18. Get Numb To It! (Demo Version)

19. Repeat Yourself (Demo Version)

20. When You Sleep

 

Pre-order : https://atorecords-ffm.com/wwbexpanded

 

 

 

 

■Friko 

 

シカゴのインディー・ロックの系譜に欠かせない存在であるフリコは、歌を集団のカタルシスへと変える。ロラパルーザ、フジロック、ロイエル・オーティスとのアメリカ・ツアーなど、世界中のステージでエネルギッシュなライブを披露してきたフリコは、「Where we've been, Where we go from here」のエクスパンデッド・エディションのリリースを準備している。この新バージョンは、未発表トラック、デモ、ライブ録音、カヴァーを通して、バンドの音楽的DNAにある音の複雑さと原始的なロックをさらに探求している。



「フリコは、彼ら独自のトーンを打ち出している。このアルバムの高揚した感情を支えるソングライティングの才能で、Frikoは彼らの影響の総和をはるかに超えるデビュー作を成功させた。」-Consequence



先日、ニューアルバム『アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ』をリリースしたばかりのイギリスのマルチ奏者でプロデューサー、ウィル・ドーリーのソロ・プロジェクト、スキンシェイプ(Skinshape)。そんな彼が、本日アルバムの収録曲『Lady Sun (Feat. Hollie Cook)/It's About Time』の7インチ・レコードを発売した。ニューアルバムと合わせて下記よりチェックしてみよう。


アルバムからのセカンド・シングルとして当初から話題を呼んでいた「Lady Sun (Feat. Hollie Cook)/It's About Time」は、父親はセックス・ピストルズのドラマーのポール・クック、母親はカルチャー・クラブ&ボーイ・ジョージのバック・ヴォーカルとして活動していた歌手のジェニというサラブレッドであるホリー・クック(Hollie Cook)をフィーチャーした1曲。ホリー自身もラヴァーズ・ロックの女王として知られ、そのかすれたソウルフルなヴォーカルが特徴的だ。なお、B面には、アルバムからの最新シングル「It’s About Time」が収録されている。


クルアンビン、エル・ミシェルズ・アフェアー、テーム・インパラ、エズラ・コレクティヴといったサイケ/フォーク/インディ/ファンク好きに突き刺さること間違いなしのニュー・アルバム『アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ』。

 

日本からの購入も可能となっているので、ぜひこの機会に7インチと併せてゲットしてほしい。

 

 

 




Skinshape 「Lady Sun Feat. Hollie Cook」- New Single


詳細: https://skinshape.bandcamp.com/album/another-side-of-skinshape



『Another Side Of Skinshape』 New Album



アーティスト名:Skinshape(スキンシェイプ)

タイトル:Another Side Of Skinshape(アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ)

発売日:発売中!

レーベル: Lewis Recordings


トラックリスト

1. Stornoway

2. Mulatu Of Ethiopia

3. Can You Play Me A Song?

4. Lady Sun (feat. Hollie Cook)

5. It’s About Time

6. How Can It Be?

7. Ananda

8. Road

9. Massako

10. There’s Only Hope


アルバム配信中!

https://orcd.co/0db0e46



【バイオグラフィー】

ロンドンのインディ・シーンを拠点に活動するマルチ・プロデューサー、ウィル・ドーリーによるソロ・プロジェクト。2012年結成のロンドンのアート・ロック・バンド、パレスの元ベーシストとしても知られている。

 

これまで、ソウル、ファンク、サイケ、ソフト・ロック、ヒップホップ、アフロビートといった様々なサウンドをキャリアで築いてきた彼は、身近にある楽器はドラム以外、ほぼ全て(ギター、ベース、キーボード、パーカッション、シタール、フルート、そしてヴォーカル)自らが手がけるという、まさにマルチ・プレイヤー。

 

2012年に4曲入りセルフ・タイトルEPでデビューし、2014年には同名のアルバムをリリース。そして、これまでにスキンシェイプとして8枚のアルバムを発表している。2014年にはロンドンのインディー・バンド、パレスにベーシストとして参加し、2015年の『チェイス・ザ・ライト』、2016年の『ソー・ロング・フォーエヴァー』といった2枚のアルバムの制作に携わっている。その後、スキンシェイプの活動に専念するために同バンドを脱退。2024年9月に9作目のアルバムとなる『アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ』をリリース。その後は、UK/USツアーが決定している。

 


Ezra Furman(エズラ・ファーマン)は、ベラ・ユニオンが誇る良質なシンガーの一人である。今回、ファーマンは、アレックス・ウォルトンとのニューシングル「Tie Me to the Train Tracks 」、そして、そのB面曲である「Beat Me Up 」を同時に発表した。両曲の試聴は以下から。


エズラ・ファーマンはプレスリリースで次のように語っている。

 

「この曲は、ボストンのロックスベリーにある彼女の古い家で、慢性的に病んでいたある日の午後、神経症的な情熱の爆発で作ってみたんだ。愛の鎖が僕らを死に物狂いで掴んでいて、すべてが溢れ出てきたような気がしていた。そしてB面('Beat Me Up')もある。私が作り上げたこのミニチュアのマゾヒスティックな断片から、彼女は素晴らしい全曲を作り上げた。彼女がどうやってそれをやっているのかわからないが、彼女と一緒にやれることを幸運に思っている」


アレックス・ウォルトンはこう付け加えた。 「エズラと一緒に仕事ができただけでなく、彼女が僕の家に来てくれて、一緒に曲を書いたり、レコーディングをしたり、タバコとノートを手にポーチに入ったりし、すべての文脈を理解しようとした。私たちは、削ぎ落とされ、騒々しく、過酷でありながら、繊細で美しく、か弱いものを作りたかった。それは達成できたと思う」


ファーマンは次のように補足している。 「私たちが受け継いできたポピュラー音楽の精神的なパワーと可能性を理解し、音楽の新たな表現を生み出すための実践的なマジックを実行できる人にほとんど会ったことがない。アレックス・ウォルトンはその数少ない一人。彼女は私の人生を変えたロックの女神だ」



「Tie Me To The Train Tracks」
 

 

「Beat Me Up」

 

 

©Dana Trippe


シカゴのシンガー・ソングライターでマルチ・インストゥルメンタリストのヘイリー・フォアによるインディーポッププロジェクト、Circuit des Yeuxが、「GOD DICK」という身も蓋もないタイトルのニューシングルをリリースした。

 

このシングルは、Circuit des Yeuxの前作『-io』と、来年Matadorからリリースされるその続編の間の "音的な繋ぎ "とされている。

 

「汗臭く、指数関数的で、不協和音で、成長し、シンフォニックで、容赦がない。この曲は、深い欲求に煽られた変化の状態を具現化するための努力として書いた。音的にも(そして視覚的にも)、巨大な何かが小さすぎる皮膚の中に隠れているような、ある種の愛のバンシーが磁器の皮膚から髪の毛一本ずつ破裂し、最後には内なる野獣が完全に姿を現すような、そんなイメージで書いた」


「GOD DICK」



プリマヴェーラ・サウンド・バルセロナがParc del Fòrumで6月4日から8日まで開催される。本日出演者が発表された。


チャーリー XCX、チャペルローン、LCD サウンドシステム、サブリナ・カーペンター、FKA ツイッグス、フォンテインズ D.C.、ターンスタイル、TV On The Radio、ビーチ・ハウス、クレイロ、MJ レンダーマン、ジーザス・リザード, ANOHNI and the Johnsons, ビーバドゥービー, ウェット・レッグ, デンゼル・カリー, Jamie xx, フローティングポインツ (live), カリブー,マグダレナ・ベイ, キム・ディールなどが出演する。


ハインズ、ケリー・リー・オーウェンズ、スピリチュアライズド(1995年の『Pure Phase』を演奏)、スタージル・シンプソン、ワクサハッチー、ロウのアラン・スパーホーク、アイドルズ、セイラム、ステレオラブ、スクイッド、キャット・パワー(ディランを演奏)、チャット・パイル、グージュ・アウェイ、ハイ・ヴィス、デストロイヤー、フッカーズ、ジュリー・バーン、ロス・カンペシーノス!,ディス・イズ・ローレライ、ブラック・カントリー・ニュー・ロード、カリ・マローン、カサンドラ・ジェンキンス他多数。日本からはYOBSOBIが出演する。


フェスティバルのファン・セールは現在受付中で、一般発売は10月29日より開始される。




 Aaron Parks(アーロン・パークス)   Litte Big Ⅲ


Label: Blue Note/UMG

Release: 2024年10月18日

 

 

 

Review

 

 

ニューヨークのジャズ・ピアニスト、Aaron Parks(アーロン・パークス)は、ECM(ドイツ)のリリースなどで有名な音楽家。今回、彼は13年振りに名門ブルーノートに復帰している。『Little Big Ⅲ』は、2018年の『Little Big』、2020年の『Ⅱ』に続く連作の三作目で、三部作の完成と見ても良いだろう。今作は彼の代表作『Arborescence』と並び、代表作と見ても違和感がない。軽快なシャッフルのドラムとアーロン・パークスの静謐な印象を持つピアノが合致した快作。


アーロン・パークスのピアノの演奏は旋律とリズムの双方の側面において絶妙な均衡を併せ持ち、今作にかぎってはバンドアンサンブル(カルテット)の醍醐味を強調している。エレクトリックジャズをバンドとして追求したように感じられた。例えば、オープニング「Flyways」はピアノとドラムを中心に組み上げられるが、軽快さと心地よさのバランスが絶妙だ。パークスのLyle Mays(ライル・メイズ)を彷彿とさせるフュージョンジャズに依拠したピアノのスケール進行がエレクトリック・ギター、エレクトロニックの系譜にあるシンセサイザー、しなやかなドラムと組み合わされ、聞いて楽しく、ビートに体を委ねられる素晴らしい一曲が登場する。ギター、ピアノの組み合わせについては、ロック的な響きが込められているように感じられた。

 

「Locked Down」は、パークスの主要な作風とは異なり、シリアスな響きが強調されているように思える。この曲では、ドラムの演奏が主体となり、ピアノは補佐的な役割を果たしている。ドラムのタム、スネア等のエフェクトもクロスオーバ・ジャズの性質を印象付ける。そして都会的な地下のムードを漂わせるゆったりとしたイントロから、中盤にかけて瞑想的なセッションへと移行していく。特に、2分20秒付近からパークスの見事な即興的な演奏に注目したい。またジャズのコンポジションの基本形を踏襲し、エレクトロニックの文脈が曲の最後に登場するが、パークスは華麗なグリッサンドを披露し、前衛的なエレクトロとドラムの演奏に応えている。

 

三曲目に収録されている「Heart Stories」はアーロン・パークスらしいジャズ・ピアノを中心とした曲で、彼の代名詞的なナンバーと言えるかもしれない。この曲でも、ライル・メイズの70年代の作品のようなフュージョン性が重視されている。ライブセッションとして繰り広げられる心地よいリズム、心地よい''間''を楽しむことが出来る。表情付けやアンビエント的な効果を持つドラムのプレイと組み合わされるパークスの演奏は、落ち着いていて、ほのかな上品さに溢れている。曲の序盤では、ピアノからギター・ソロが始まるが、音楽的な心地よさはもちろん、無限なる領域に導かれるかのようである。特に、二分半頃からフュージョンジャズのギター・ソロは瞑想的な空気感を漂わせる。基本的に、この曲ではブラシは使用されないが、リバーブなどのエフェクトでダイナミクスを抑えつつ、スネアの響きに空間的な音響処理を施している。4分付近からはピアノソロが再登場し、以前のギターとの対話を試みるかのよう。また、作曲の側面から言及すると、「複数の楽器によるモチーフの対比」と解釈出来るかもしれない。曲の最後ではブルーノートのジャズライブで聞けるような寛いだセッションを録音している。

 

「Sports」は、エレクトリック・ベースで始まり、ライブのような精細感に溢れている。イントロではファンクの要素を押し出している。しかし、その後に入るドラムが見事で、断片的にアフロ・ビート等のアフリカの民族音楽のリズムを活かし、スムースなジャズセッションに移行していく。ピアノの旋法に関しても、アフリカ、地中海等の音楽のスケールを使用し、エキゾな雰囲気を醸成する。分けても、ピアノとギターがユニゾンを描く瞬間が秀逸で、ジャズの楽しさが見事に体現されている。この曲は、演奏者の息遣い等を演奏に挟み、痛快なイメージで進行していく。更に、曲の中盤では、ギターソロが入り、ロック/プログレジャズのような要素が強まる。以後、カリブの舞踏音楽「クンビア」のような民族的なリズムを活かし、闊達なジャズを作り上げる。4分頃からはベース・ソロが始まり、三つの音域での自由な即興が披露される。この曲でも、それぞれの楽器の持つ音響性や特性を生かしたジャズの形式を発見出来る。ロンドンのジャズバンド、エズラ・コレクティヴをよりスマートに洗練させたような一曲。

 

「Little Beginnings」は規則的な和音をアコースティックピアノで演奏し、それをモチーフにして曲を展開させる。イントロのミニマリズムの構成を基にして、このアルバムのアンサブルの三つの楽器、ギター、ベース、ドラムの演奏が複雑に折り重なるようにして、淡いグルーヴを組み上げていく。しかし、それらのリズムの土台や礎石のような役割を担うのが、アーロン・パークスのピアノである。この曲の中盤からはフュージョン・ジャズの領域に入り込み、それぞれの楽器の演奏の役割を変化させながら、絶妙な音のウェイブを描いている。曲の後半ではローズ・ピアノの華麗なソロが入り、イントロの画一的な音楽要素は多彩的な印象へと一変する。アウトロでのローズ・ピアノの刺激的なソロは、このプレイヤーの意外な側面を示唆している。

 

また、今作にはニューヨーク・ジャズとしての要素も含まれているが、同時にロンドンのアヴァンジャズに触発された曲も収録されている。この辺りのプログレッシヴ・ジャズの要素がリスニングに強いアクセントをもたらす。「The Machines Says No」は、繊細かつ叙情性のあるギター・ソロで始まり、落ち着いたバラードかと思わせておいて、意外な変遷を繰り広げる。その後、Kassa Overallのような刺激的で多角的なリズムの要素を用い、絶妙な対比性を生み出す。旋律の要素は叙情的であるが、相対するリズムは、未知の可能性に満ちあふれている。この曲もまた従来のアーロン・パークスの作曲性を覆すような前衛的なジャズのアプローチである。


その後、アルバムの音楽性は、序盤のフュージョンジャズの形式に回帰している。「ジャズのソナタ形式」といえば語弊があるが、つまり、中盤の刺激的なアヴァンジャズの要素がフュージョンと組み合わされている。「Willamia」は、フォーク/カントリーとジャズとの交差性というメセニーが最初期に掲げていた主題を発見することが出来る。実際的にジャズの大らかな一面を体感するのに最適だろう。「Delusion」は、閃きのあるピアノ・ソロで始まり、スネアやタムが心地よい響きに縁取られている。音楽的な形式とは異なるライブセッションの要素を重視した聞き応え十分の一曲。アルバムは続く「Ashe」で終了する。そして、この最後の曲では、アーロン・パークスらしい落ち着いたピアノの演奏を楽しめる。ポピュラーとジャズの中間にあるこのバラード曲には、ジャレットのライブのように、パークスの唸り声を聞き取る事もできよう。

 

アーロン・パークスの13年ぶりのブルーノートへの復帰作『Little Big Ⅲ』では、ジャズという単一の領域にとらわれぬ、自由で幅広い音楽性を楽しむことが出来る。2024年の良作のひとつ。

 

 

 

86/100

 

 

 

「Ashe」

 

©Tatjana Rüegsegger


ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、Sophie Jamieson(ソフィー・ジェイミーソン)が儚くも美しい、そして力強さに満ち溢れたインディーフォークソング「Camera」を発表した。このナンバーは、彼女のセカンドアルバム『I still want to share』の第2弾シングル。ジェイミーソンとマレナ・ザヴァラの共同監督によるビデオ付き。以下でチェックしてほしい。


「この曲は、失恋したときに書いた。抱かれたくないのにすべてを抱こうとしていたときに書いたの」とジェイミーソンは声明で説明している。落ち着いていて瞑想的なインディーフォークソング。アコースティックギターに加えて、チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラが取り入れられ、ドラマティックな印象を強調する。ジェイミーソンは短い物語を紡ぐかのように、この曲を丹念に歌い上げている。繊細なボーカルであるものの、そこには奇妙な力強さが感じられる。

 

「私は、このニューシングルで断片の周りに輪郭を描くことができ、それらをフレームに収まるようにしたかった。私の中の何かが、ぼやけたままにしておけば平穏が得られるとわかっていた。この曲は、私が受け入れることのできる愛よりも、もっとシンプルで、もっと重層的で、もっとつかみどころのない愛を定義しようとしたときの憧れであり、身もだえするような思い」


Sofie Jamiesonによる『I still want to share』は1月17日にベラ・ユニオンからリリースされる。

 

 

「Camera」

 

Maribou State

Maibou State(クリス・デイヴィッズとリアム・アイヴォリーからなるデュオ)はニンジャ・チューンの新しい看板プロジェクトでもある。彼らのエレクトロ・ポップは力強いイメージを放ち、軽快なダンスミュージックでオーディエンスを魅了する。

 

スーダン出身のオランダ人シンガーソングライター、ガイダーをフィーチャーしたニューシングル 「Bloom」は、彼らの次作アルバム『Hallucinating Love』の収録曲である。ヴォーカリストのホリー・ウォーカーをフィーチャーしたシングル "Otherside "に続く二作目のシングルだ。

 

チルウェイブ風のナンバーで、電子音楽という領域で展開されるライブセッションのようでもある。ボーカルのサンプリングを活かし、ダブステップ/フューチャーステップ風の変則的なリズムを生み出す。ギターなどアコースティック楽器のリサンプリングが導入されているのに注目したい。


現在、マリブ・ステートは、ライブアクトとして英国内で絶大な人気を博しているという。最初の2公演がわずか数時間でソールド・アウト。圧倒的な需要に応えるため、バンドは2025年2月16日(日)、ロンドンのアレクサンドラ・パレスでの3年連続となる公演の開催を発表した。

 


「Bloom」

 


Sharon Van Etten & The Attachment Theory

 

Sharon Van Etten(シャロン・ヴァン・エッテン)はロックからポップスまでくまなく歌いこなす米国の実力派シンガー。エンジェル・オルセンとのデュエット等はほんの一例に過ぎない。今年、ニュージャージーからトンネルを通り、ニューヨークに出勤していた時代の思い出を明らかにした。当初、シンガーソングライターはバンドと一緒に音楽活動を行っていた。この最新作は考えようによっては、原点回帰のような意義深いアルバムとなるかもしれない。しかし、同時に今ままでになかったチャレンジもある。それがロンドンでのレコーディングである。


『Sharon Van Etten & The Attachment Theory』は、ホルヘ・バルビ(ドラム、マシン)、デヴラ・ホフ(ベース、ヴォーカル)、ティーニー・リーバーソン(シンセ、ピアノ、ギター、ヴォーカル)の3人組。彼らはヴァン・エッテンのソロ作品のバックを務めたことはあるが、シンガー・ソングライター/ギタリストである彼女が、バンドとの完全なコラボレーションでアルバムを書き、レコーディングしたのは今回が初めてである。


「生まれて初めて、バンドに "ジャムっていい?"って尋ねたんだ。私の口から出たことのない言葉だ!でも、私たちが出すすべての音が好きだった。どうなるんだろうという好奇心があった。1時間で2曲書いて、結局、それが "I Can't Imagine "と "Southern Life"という形になった」


シャロン・ヴァン・エッテン&ザ・アタッチメント・セオリーは、ロンドンにあるユーリズミックスの元スタジオ、ザ・チャーチでレコーディングされ、マルタ・サローニ(ビョーク、ボン・アイヴァー、アニマル・コレクティヴ、マイカ・リーヴァイ)がプロデュースした。


「Afterlife」のビデオは、アルバムのレコーディング中、バンドがロンドンの象徴的な100クラブでアルバム収録曲かをデビューさせた映像をフィーチャーしたもので、スス・ラロッシュが監督を務めた。ゴシック/ロココ様式のミュージックビデオは古典的で豪奢なイメージに縁取られている。人間は、日々、細胞レベルで生まれ変わっているという。男性にせよ、女性にせよ、シンガーはある人生の時点で脱皮し、次なる存在へと生まれ変わる瞬間がある。シャロン・ヴァン・エッテンも、シンガーソングライターとして新しく生まれ変わろうとしているのだ。

 

 

「Afterlife」





Sharon Van Etten & The Attachment Theory


 

Label: jagujaguwar

Release: 2025年2月7日


Tracklist:


1. Live Forever

2. Afterlife

3. Idiot Box

4. Trouble

5. Indio

6. I Can’t Imagine (Why You Feel This Way)

7. Somethin’ Ain’t Right

8. Southern Life (What It Must Be Like)

9. Fading Beauty

10. I Want You Here


yeule

ロンドンのインディーポップの先導者であるyeule(イェール)は、頻繁にコラボレートしているChris Greattiと共にyeuleがプロデュースしたニューシングル「eko」を公開した。ロンドンで作曲され、ロサンゼルスでレコーディングされたこのシングルは、頻繁にコラボレートしているChris Greatti(Willow, Yves Tumor, The Dare)と共にyeuleがプロデュースした。


「eko」は、ダンサンブルなトラックで、K-POPに近いテイストがある。この曲では、執着と愛、そしてyeuleの頭の中に響く声について歌っている。この曲は、よりポップなアプローチを取り入れており、エレクトロニックなプロダクションの上で、yeuleの澄んだ明るいボーカルがトラックをリードしている。この最新作は、今後リリースされるプロジェクトの第一弾となる。


「eko」は、歪んだギターとオルタナティヴなプロダクションを取り入れた有名なアルバム『softscars』に続く作品。このアルバムでは、yeuleが長年抱えてきた感情的な傷の解剖学的構造を綿密に検証しており、従来で最も突き抜けた大胆な作品となっている。

 

softscarsの登場は、Pitchforkから2度目の「Best New Music」スタンプを獲得したほか、The FADER、The Guardian、DIY、Line of Best Fitから喝采を浴びるなど、絶大な批評家の称賛を浴びた。このアルバムは、絶賛された2022年リリースの『Glitch Princess』に続く作品で、同じくPitchforkの「Best New Music」スタンプを獲得し、圧倒的な批評家からの賞賛を浴びた。


学際的な倫理観に導かれたカメレオン的な作家であるyeuleは、クラシックの正典、ハイパーモダンのインターネット・カルチャー、アカデミックな理論、秘教的なもの、そして彼ら自身の肉欲など、様々な主題を織り交ぜ、音楽を通して世界全体とペルソナを作り上げる。また、シンガポール出身のyeuleは日本のサブカルチャーにも親しみを示している。

 

「eko」