Fucked Up 『Someday』

 

Label: Fucked Up Records

Release: 2024年11月1日

 


Review

 

カナダ・トロントの伝説的なハードコアバンド、Fucked Upは、一日で録音された『One Day』、今夏に発売された『Another Day』に続いて、『Someday』で三部作を完結する。今作は、エレクトロニックとハードコアを融合させた前二作の音楽性の延長線上に属するが、他方、ハードコアパンクのスタンダードな作風に回帰している。

 

それと同時に、ボーカルの多彩性に関しても着目しておきたい。例えば、『One Day』と同じように、ハリチェクがリードボーカルを取っている。4曲目の「I Took My Mom To Sleep」ではトゥカ・モハメドがリードボーカルを担当している。他にも、8曲目では、ジュリアナ・ロイ・リーがリードボーカルを担当。というように、曲のスタイルによって、フォーメーションが変わり、多彩なボーカリストが登場している。従来のファックド・アップにはあまりなかった試みだ。

 

アルバムの冒頭では、お馴染みのダミアン・アブラハムのストロングでワイルドなボーカルのスタイルが激しいハードコアサウンドとともに登場する。しかし、そのハードコアパンクソングの形式は一瞬にして印象が変化し、バンドの代名詞である高音域を強調した多彩なコーラスワークが清涼感をもたらす。バンドアンサンブルのレコーディングの音像の大きさを強調するマスターに加え、複数のコーラス、リードボーカルが混交して、特異な音響性を構築する。少し雑多なサウンドではあるものの、やはりファックド・アップらしさ満載のオープニングである。


また、従来のように、これらのパンクロックソングの中には、Dropkick Murphysを彷彿とさせる力強いシンガロングも登場する。2010年代からライヴバンドとして名をはせてきたバンドの強烈かつパワフルなエネルギーが、アルバムのオープニングで炸裂する。しかし、今回のアルバムでは、単一の音楽性や作曲のスタイルに依存したり固執することはほとんどない。目眩く多極的なサウンドが序盤から繰り広げられ、「Grains Of Paradise」では、ボブ・モールドのSugarのようなパンクの次世代のメロディックなロックソングをハリチェクが華麗に歌い上げている。一部作『One Day』の9曲目に収録されている「Cicada」で聴くことができた、Sugar,Hot Water Musicのメロディックパンクの原始的なサウンドが再び相見えるというわけなのである。

 

一見すると、ドタバタしたドラムを中心とする骨太のパンクロックアルバムのように思えるが、三曲目の後、展開は急転する。アナログのディレイを配した実験的なイントロを擁する「I Took My Mom To Sleep」では、ガールズパンクに敬意を捧げ、トゥカ・モハメドがポピュラーかつガーリーなパンクを披露する。察するに、これまでファックド・アップがガールズ・パンクをアルバムの核心に据えた事例は多くはなかったように思える。そしてこの曲は、バンドのハードコアスタイルとは対極にある良質なロックバンドとしての性質を印象付ける。また、2000年代以前の西海岸のポップパンクを彷彿とさせるスタイルが取り入れられているのに驚く。さらに、アルバムはテーマを据えて展開されるというより、遠心力をつけるように同心円を描きながら、多彩性を増していく。それはまるで砲丸投げの選手の遠心力の付け方に準えられる。

 

「Man Without Qualities」は、ロンドンパンクの源流に迫り、ジョン・ライドンやスティーヴ・ジョーンズのパンク性ーーSex PistolsからPublic Image LTD.に至るまで--を巧みに吸収して、それらをグリッターロックやDEVOのような原始的な西海岸のポスト・パンクによって縁取っている。彼らは、全般的なパンクカルチャーへの奥深い理解を基に、クラシカルとモダンを往来する。

 

最近では、米国やカナダのシーンでは、例えば、ニューメタル、メタルコア、ミクスチャーメタルのような音楽やコアなダンスミュージックを通過しているためなのか、ビートやリズムの占有率が大きくなり、良質なメロディック・ハードコアバンドが全体的に減少しつつある。しかし、ファックド・アップは、パンクの最大の魅力である旋律の美麗さに魅力に焦点を当てている。「The Court Of Miracles」では、二曲目と同じように、Sugar、Husker Duのメロディック・ハードコアの影響下にある手法を見せ、それらをカナダ的な清涼感のある雰囲気で縁取っている。

 

ミックスやマスターの影響もあってか、音像そのものはぼんやりとしているが、ここでは、アブストラクト・パンク(抽象的なパンク)という新しい音楽の萌芽を見て取ることも出来る。つまり、古典的なパンクの形式を踏襲しつつ、新しいステップへと進もうとしているのである。そして、パンクバンドのコーラスワークという側面でも、前衛的な取り組みが含まれている。

 

例えば、続く「Fellow Traveller」は、メインボーカルやリードボーカルという従来の概念を取り払った画期的な意義を持つ素晴らしい一曲である。この曲では、ファックド・アップのお馴染みのストロングでパワフルな印象を擁するパンクロックソングに、ライブステージの一つのマイクを譲り合うかのように、多彩なボーカルワークが披露されるのである。いわば、この曲では、バンドメンバーにとどまらず、制作に関わる裏方のエンジニア、スタッフのすべてが主役である、というバンドメンバーの思いを汲み取ることが出来る。これはライヴツアー、レーベル、業界と、様々な側面をよく見てきたバンドにしか成し得ないことなのではないかと思われる。


そして、全般的なパンク・ロックソングとして聴くと、依然として高水準の曲が並んでいる。彼らは何を提示すれば聞き手が満足するのかを熟知していて、そして、そのための技術や作曲法を知悉している。さらに、彼らは従来のバンドの音楽性を先鋭化させるのではなく、これまでになかった別の側面を提示し、三部作の答えらしきものを導き出すのである。音楽はときに言葉以上の概念を物語ると言われることがあるが、このアルバムはそのことを如実に表している。

 

「In The Company of Sister」は報われなかったガールズパンクへの敬愛であり、それらの失われた時代の音楽に対する大いなる讃歌でもある。パンク・シーンは、80年代から女性が活躍することがきわめて少なかった。Minor Threatの最初期のドキュメンタリー・フィルム等を見れば分かる通り、唯一、アメリカのワシントンD.C.の最初期のパンクシーンでは、女性の参加は観客としてであった。つまり、パンクロックというのは、いついかなる時代も、マイノリティ(少数派)を勇気づけるための音楽であるべきで、それ以外の存在理由は飽くまで付加物と言える。近年、女性的なバンドが数多く台頭しているのは、時代の流れが変わったことの証ともなろう。

 

ファックド・アップは、いつも作品の制作に関して手を抜くことがない。もちろん、ライヴに関してもプロフェッショナル。一般的なパンクバンドは、まずこのカナダのバンドをお手本にすべきだと思う。「Smoke Signals」では軽快なパンクロックを提示した上で、三部作のクライマックスを飾る「Someday」では、かなり渋いロックソングを聴かせてくれる。このアルバム、さらに、三部作を全て聴いてきた人間としては、バンドの長きにわたるクロニクル(年代記)を眺めているような不思議な感覚があった。 ということで、久しぶりに感動してしまったのだ。

 

 

 

88/100

 

 

 




◾️ 【Review】  FUCKED UP 『ONE DAY』



ausのキュレーションのもと、音楽のもう一つの魅力を探求する魅惑的なサウンドイベントが開催される。12/7(土)、東京国立博物館・庭園内の四つの茶室「春草廬・転合庵・六窓庵・九条館」において、サイレント・リスニングが開催される。


今月新作「Fluctor」をリリースする日本人エレクトロニカ・アーティストaus、レフトフィールド・アンビエントにおける最重要アーティストUlla、Houndstoothからのリリースなどで知られるロンドンのコンポーザーHinako Omoriによる3組が、ausによるキュレーションのもと、茶室における静寂と不在・作法から着想を得た新作の音楽を公開する。イベント詳細は下記よりご覧下さい。


※ Ulla、Hinako Omoriは当日会場におりませんので、ご了承ください。

※ イベントは30分ごとの予約制となります。 


■ aus, Ulla, Hinako Omori「Ceremony」


日程:12/7(土)

会場:東京国立博物館・庭園内 茶室「春草廬・転合庵・六窓庵・九条館」

時間:11:30〜14:30


参加アーティスト:

aus

Ulla

Hinako Omori



aus




東京を拠点に活動するアーティスト。 10代の頃から実験映像作品の音楽を手がける。 テレビやラジオから零れ落ちた音、映画などのビジュアル、言葉、 長く忘れ去られた記憶、 内的な感情などからインスピレーションを受け、 世界の細かな瞬間瞬間をイラストレートする。 長らく自身の音楽活動は休止していたが、昨年15年ぶりのニューアルバム「 Everis」をリリース。同作のリミックス・ アルバムにはJohn Beltran、Li Yileiらが参加した。Craig Armstrong、Seahawksほかリミックス・ ワークも多数。


Ulla




ベルリンを拠点とする実験音楽家。Ullaのアルゴリズミックなテクスチャは精密なアンビエントとジャジーなエレクトロニクスの間を揺れ動く。彼女の作品はエレクトロ・アコースティックやグリッチに焦点を当てており、Quiet Time、Experiences Ltd、West Mineral Ltd、Motion Ward、Longform Editions、3XLといった人気レーベルからリリースされている。現行のアンビエント〜アヴァンギャルドにおける最重要アーティストの一人。


Hinako Omori





横浜出身、ロンドンを拠点に活動するコンポーザー。クラシックピアノを習い、サウンドエンジニアリングを学ぶ。クラシック、エレクトロニカ、アンビエントを取り入れたサウンドスタイルで、Houndstoothから2枚のアルバムをリリース。キーボーディスト / シンセシストとして、宇多田ヒカル、Ed O’Brien(レディオヘッド)、Floating Pointsなどのツアー、レコーディングに参加。ロンドン・ナショナル・ギャラリー、テート・モダン、バービカン・センター、ICA、Pola Museumなどパフォーマンス多数。


Haley Heyndrickx 『Seed Of a Seed』

 


 

Label: Mama Bird Recordings Co.

Release: 2024年11月1日

 

Review

 

ポートランドのギタリスト、ソングライター、ヘイリー・ハインデリックスは、三作目のアルバムで自らのフォーク/カントリーの形式を完全に確立している。ヘイリー・へインドリックスにとって音楽制作の動機となるのは、内向きの感覚であり、ナビゲーションであり、みずからの内的な声に静かに耳を傾け、そして純粋な音楽として昇華することにある。ニュース、ソーシャルメディア、または絶え間ない自己疑念など、私達を取り巻く喧騒から身を守るためのシェルターでもある。しかし、それらは決して閉鎖的にならず、開放的な自由さに満ちあふれている。

 

アルバムは、いくつかのテーマやイメージに縁取られているという。花(ジェミニ)、空想(フォックスグローブ)、森(レッドウッズ)、友人(ジェリーの歌)という地点を行き来するかのように、へインドリックスの歌とアコースティックを中心とするギターは鬱蒼とした森の中に入り、果てしない幻想的な空間へとナビゲートする。その導き役となるのは、妖精ではない。彼女自身の内的な神様であり、それらの高次元の自己がいわば理想とする領域へと誘う。

 

へインドリックスの音楽はオープニングを飾る「Gemini」から明確である。フィンガーピッキングのなめらかなアコースティックギター、ナイロン弦の柔らかな響き、そして何よりへインドリックスのソフトな歌声が心地良い空気感を生み出す。ツアー生活でもたらされた二重の生活、時間の裂け目から過去のシンガーが現在のシンガーを追いかけようとする。過去の自分との葛藤やズレのような感覚が秀逸なフォーク・ミュージックによって描出される。しかし、御存知の通り、「数年前の誰かは明日の誰かではない」のである。その違いに戸惑いつつ、彼女は自分の過去を突き放そうとする。しかし、その行為はどうやら、歌手にとっては少し恥ずべきことのように感じられるらしい。背後に遠ざかった幻影をどのように見るべきなのだろうか。そういった現在の自己を尊重するためのプロセスやステップが描かれている。秀逸な始まり。

 

フォーク・ミュージックから始まったアルバムはディラン、ガスリー、キャッシュ以前のハンク・ウィリアムズのような古典的なカントリーへと舵取りを果たす。「Foxglove」はトロットのリズムに軽快なアコースティックギターのフィンガーピッキングを乗せ、軽快な風のような感覚を呼び起こす。カントリーの忠実な形式を踏襲したアルペジオを見事であり、歌手の歌うボーカルの主旋律とのカウンターポイントを形成している。古典的なカントリーソングには、時々、ストリングスのレガートが重なり、ロマンチックな雰囲気を帯びる。鬱蒼とした森の中を駆け抜けるかのようである。曲の最後は、神妙なコーラスが入り、ほど良い雰囲気を生み出す。

 

その反面、タイトル曲では、アップストロークのアコースティックギターでしんみりとしたフォーク・バラードを提供している。この曲でもナイロン弦が使用されており、裏拍を強調するリズムカルなギター、そして艷やかな倍音がこの曲の全体的なアトモスフィアを醸成している。美しいビブラートを印象付けるへインドリックスのボーカル、そして、こまやかなフィドルの役割をなすバイオリンの音色が、これらのフォークミュージックの音楽性をはっきりと決定付けている。この曲では、フォーク/カントリーに加え、60、70年代のUSポピュラーの音楽的な知識が良質な音楽性の土台を形作っている。例えば、ジョニ・ミッチェルの『Blue』のような。

 

 

「Mouth Of A Flower」は、古きアメリカへの讃歌、または、現代の音楽として古典的なフォーク/カントリーが、どのような意義を持つのかを探求したような一曲である。古い時代のプランテーション、農場、農夫等、失われたアメリカの文化への幻想的な時空の旅を印象付ける。続く「Spit In The Sink」は、序盤の収録曲の中では、かなり風変わりな一曲である。低音部のリズム的な役割を担うギター、高音部のリード/アルペジオを中心とするアコースティック/エレキギターの演奏をベースにし、インディーロック、アヴァンフォーク、ジャズ、ララバイのような形式が込められている。金管楽器(フレンチホルン)の導入は、ジプシー音楽の要素を付け加え、ヨーロッパ大陸を遍歴するユダヤ人の古典的な流しの楽団の幻影を呼び覚ます。そして、基本的に、歌手は内的な感覚をリリスティックに吐露しているが、その反面、内にこもったようなビブラートを披露する。ヘイリーの声には、派手さはないけれど、見事なボーカルの技巧が披露されている。いわば「大人向けのフォーク/カントリー」といった感じとして楽しめるに違いない。

 

 

ヘイリー・ヘインドリックスのフォーク音楽には、ハンク・ウィリアムズのような古典的なアメリカの民謡よりも更に古い移民としての音楽性が何らかの鏡のように映し出される。とりも直さず、これらはニューヨークから北部に何千キロにもわたって連なるアパラチア山脈に住んでいたイギリスやアイルランドからの移民が山小屋でフォーク・ミュージックを演奏していた。


これらの共同体の中には、実は、黒人の演奏家もいたという噂である。少なくとも、ヘイリーの音楽は、一世紀以上の米国の隠れた歴史を解き明かすかのように、長い文明の足取りをつかもうとする。「Redwoods」では、CSN&Y、サイモン&ガーファンクルといった60、70年代のフォークロックの形式を通じて、その中にそれよりも古い20世紀の詩の形式を取り入れる。これらは民謡特有の歌唱法ともいうべきで、ビブラートの音程をわざと揺らし、音程そのものに不安定な要素をもたらす。アメリカの古い民謡などで聴くことが出来る。しかし、これらは、ケルト民謡やノルウェーのノルマンディ地方などの民謡にもあり、有名な事例では、スイスのヨーデルのような民謡の形にも登場する。いわば「ユーラシア大陸発祥の歌唱法」である。



そういったアメリカの歴史が英国の清教徒の移民や、その船にオランダ人も乗っていたこと。アステカ発祥の南アメリカとの文化、メキシコ等の移民の混交が最初の自由の女神のイメージが作られていったことを、このアルバムは顕著に証明付ける。「Redwoods」は単なる歴史的なアナクロニズムではなく、この国家の音楽的な文化の一部分を巧みに切り取ったものなのである。更に、この曲には、アステカ文明の「太陽の神様への称賛」を読み解ける。しかし、それらの自然崇拝は一体どこへ消えたのだろうか。それよりも権威的な崇拝が21世紀以降のアメリカ国家の全体を支配してきたのは事実であろう。アニミズム(自然信仰)は、一般的な宗教より軽視される場合が多いと思われるが、現代人が学ぶべきは、むしろアニミズムの方かもしれない。これは物質文明が極限に至った時、この言葉の意味がより明らかになることと思われる。


アルバムの後半では、聴きやすいフォークミュージックが提供される。「Ayan's Song」では、ジャズのスケールを低音部に配し、フォークジャズの範疇にある旋法を駆使しながら、親しみやすい音楽を生み出す。この曲でも、小節のセクションの合間にシンコペーションの形で伸びるヘイリーのボーカルは美しく、ほんわかした気分を掻き立てる。この曲には融和の精神が貫かれている。分離ではなく、融和を描く。言うのは簡単だが、実行するのは難しい。しかし、この曲は音楽や芸術が、政治のような形態よりも部分的に先んじていることを証左するものである。

 

ヘイリー・へインドリックスのギターの演奏は、フラメンコギターに系統することもある。「Sorry Fahey」では、二つのアコースティックギターの演奏を組み合わせ、見事なフレットの移動を見せながら和音を巧みに形成していく。ヘイリーのボーカルはイタリアのオペラに近い歌唱法に近づく場合もあり、西欧的な音楽性を反映させているのは事実だろう。 また、へインドリックスは、現代テクノロジー、消費社会の中で、現代人が自然主義からどれほど遠ざかっているかを示す。それは人類が誤った方向から踵を返す最後の機会であることを示唆するのだ。

 

この世のあらゆる病は、自然主義から遠ざかることで発生する。時間に追われること、自分を見失うこと、倫理にかき乱されること。人類はほとんどこういったものに辟易としているのだ。「Jerry's Song」は、現代人が思い出すべきもの、尊重すべきものが示唆されている。この曲は、開けた草原のような場所の空気、あるいは山岳地帯の星空の美しさを思い出させてくれる。

 

アルバムのクローズ「Swoop」も素晴らしい一曲。子供の頃にはよく知っていたが、年を経るにつれて、なぜか少しずつ忘れていくことがある。現代人は何を求めるべきなのか、そして私達が重要としているのは本当に大切なことなのだろうか。改めて再考する時期が来ているのである。

 

 

 

84/100

 


 


・河瀨直美監督映画の音楽も担当したベイルート出身の世界唯一の"微分音トランペッター"、イブラヒム・マーロフ、今月末、最新アルバムを提げての来日公演を実施!

Ibrahim Maarouf


トランペット奏者の父、ナシム・マーロフが開発した4分音が出せる”微分音トランペット”を操る世界唯一のアーティスト、Ibrahim Maalouf(イブラヒム・マーロフ)。7歳の頃からトランペットでクラシック音楽やアラブ音楽を学んだ彼の音楽は、西洋的なポップ感覚、高度なジャズの即興、そしてアラブ音楽を武器としている。


これまで19枚のアルバムを発表し、グラミー賞に2度ノミネート。さらにはフランスのグラミー賞といわれる”ヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージック”で史上初の全編インスト・アルバムでの受賞という快挙を果たしている。


スティング、エルヴィス・コステロ、デ・ラ・ソウル、アンジェリーク・キジョーや、シャロン・ストーンといったビッグネームと共演経験のある、まさに世界的スター・プレイヤーである。2017年にはカンヌ国際映画祭「コンペティション部⾨」に選出され、エキュメニカル審査員賞を受賞した、河瀨直美監督がオリジナル脚本で挑んだラブストーリー『光』の映画音楽を担当。河瀨直美監督、主演の永瀬正敏、⽔崎綾⼥、神野三鈴、藤⻯也とともにカンヌのレッドカーペットにも登場した。


そんなイブラヒムは今年9月に最新アルバム『ミケランジェロのトランペット』をリリースする。ヒップホップ/エレクトロ/ポップ/ジャズ/ロックを網羅するそのユニークな音楽性が特徴の彼らしく、今作にはニュー・オーリンズのスター、トロンボーン・ショーティにデトロイトのダブルベース奏者エンデア・オーウェンズ、今年7月に逝去した伝説的コラ奏者のトゥマニ・ジャバテ、その息子シディキ・ジャバテなど、多くのゲストが参加。ジャケット写真は1925年の故郷レバノンに実在したファンファーレ・バンドで、その中にはイブラヒム自身の祖父も含まれているのだとか。そしてアルバムのサウンドはまさに「ファンファーレ」という表現がピッタリの、聴けば踊り出さずにはいられない、お祭りや式典で大盛り上がりしそうな楽曲ばかり。

 


「Love Anthem 」 MV  *新作アルバム『Trumpets of Michel-Ange』に収録

 


これを聞いて気になった方に朗報だ! 最新アルバムを引っさげてのイブラヒムの来日公演が今月末に行なわれる。

 

11月22日(金)・23日(土)・24日(日)の3日間に渡って ブルーノート東京で行なわれる今回の公演では、現在展開中のツアー同様、5人のトランペッ ターと2人のギター、サックス、ドラムスのユニークな編成で圧巻のパフォーマンスが期待出来る。

 

イブラヒムにとって約10年ぶりとなる来日公演。本人曰く、「観客のみんなには立ち上がって一緒に歌ったり踊ったりして欲しい」とのこと。ぜひ、国境や世代を超越した、自由で鮮やかな祝祭空間を存分に楽しんでいただきたい。



【リリース情報】



 

アーティスト名:Ibrahim Maalouf(イブラヒム・マーロフ)

タイトル名:Trumpets of Michel-Ange(ミケランジェロのトランペット)

レーベル:Mister Ibé


<トラックリスト>

1.The Proposal

2. Love Anthem

3. Fly With Me - feat. Endea Owens

4. Zajal

5. Stranger

6. The Smile of Rita

7. Au Revoir - feat. Golshifteh Farahani

8. Capitals - featuring Trombone Shorty

9. Timeless (Bonus track)



【来日情報】 イブラヒム・マーロフ & THE TRUMPETS OF MICHEL-ANGE

日程:

11/22(金)[1st]Open5:00pm Start6:00pm / [2nd]Open7:45pm Start8:30pm

11/23(土)、11/24(日)[1st]Open3:30pm Start4:30pm / [2nd]Open6:30pm Start7:30pm

会場:ブルーノート東京

公演サイト: https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/ibrahim-maalouf/



【バイオグラフィー】

 

ベイルート出身で現在はフランスで活躍するトランペッター。両親ともに音楽家という家庭に育った彼はレバノン内戦中に家族でパリに移住し、7歳の頃からトランペットでクラシック音楽やアラブ音楽を学んだ。

 

イブラヒムが用いるトランペットは父ナシム・マーロフが開発した4本のピストン・バルブを持つ特殊な楽器で、アラブ音楽で使われる微分音を表現することができる。

 

これまで19枚のアルバムを発表し、グラミー賞に2度ノミネート。スティングやエルヴィス・コステロといった多数のトップ・アーティストと共演、ルーツであるアラブ音楽やヒップホップ、エレクトロなど、さまざまな要素が溶け合った音楽性で世界を魅了する。2024年9月、最新アルバム『ミケランジェロのトランペット』をリリース。11月には、早くも来日公演が決定した。



アイルランドの英雄、Fontaines D.C.(フォンテインズ・ダブリン・シティ)がニューアルバム『Romance』の収録曲「Bug」のミュージックビデオを公開した。

 

映像は、イギリス人映画監督アンドレア・アーノルド(『アメリカン・ハニー』、『フィッシュ・タンク』)が監督した。また、彼の新作映画『Bird』は今週金曜日、11月8日に公開される。

 

この映画の主演はバリー・キョーガンとフォンテーヌD.C.のカルロス・オコンネルで、ミュージック・ビデオはこの映画の「短編再映画化」と銘打たれており、この映画だけの未公開映像が使用されている。以下よりご覧ください。


アンドレア・アーノルドは声明で「フォンテーヌを初めて聴いたときから大好きでした。「音楽には、いつも自分のものであるかのように、すでに知っているかのように、自分の一部であるかのように、骨の髄まで染み込むものがある。だからこそ、『Too Real』と『A Hero's Death』を私の映画『Bird』で使いたいとお願いしたんだ」と言う。


「彼らの音楽は、そこに属しているように感じた。私の世界に。彼らはすぐに寛大にもこれらの曲を使わせてくれた。その寛大さは、映画の人生に注ぎ込まれるエネルギーをもたらしてくれた。映画を作るときに生まれるポジティブなエネルギーすべてに感謝している。バグ・トラックのために映像と私のバードの世界を拡張することは、世界で最も自然なことのように感じた。同じものの一部のようにね。そう感じなければ、このようなことはしなかっただろう。誰のためでもない」


カルロス・オコーネルはこう付け加えた。


「アンドレア・アーノルドは、彼女の新作映画『Bird』の中で、バグというキャラクターを演じるバリー・キョーガンをフィーチャーした我々の曲『Bug』のシークエンスをカットアップしてくれた」


「Bugは、すぐにできて、すぐにみんなを納得させた曲だ。私の目には、Bugというキャラクター、"Bug's Life "というタトゥー、アンドレアの本質的でロマンチックな世界、そして "Changed my name to "Promise you, Yea"(私の名前を "約束する "に変えた)というセリフが、すべて一緒になったとき、説得力は不要になり、説得力は否定できないものになった。」


「アンドレア・アーノルドに感謝したい。私たちがベーコンやゴヤを思い出すように、彼女は記憶に残るだろう」


「Bug」





ザ・ウィークエンドがブラジルのポップスター、アニッタと組んで新曲「São Paulo」を発表した。Abel TesfayeとAnittaは、9月にブラジルの都市でこの曲をデビューさせた。アニッタが妊娠し、そのお腹に唇を生やしてウィークエンドの歌詞を歌うという内容だ。以下で視聴・試聴できる。


「アニッタは素晴らしい友人だよ。彼女が送ってくれたものがとても素晴らしかったから、この曲を作ったんだ。ステージで演奏するだけでは、あまりにも特別な曲だとわかっていた。私たちはこの曲に大きな可能性を見出し、ショーの核となるビートを見つけたのです」


アニッタはこう付け加えている。「冗談のつもりでいくつかの詩を書いたのですが、それがシリアスになるとは想像もしていませんでした。突然、完成した曲が届いた。とても気に入ったわ!とても光栄で、光栄なことだと思いました。私はずっと彼と彼の作品の大ファンでした。こんなことが起こるなんて想像もしていなかったし、今は夢が叶った気分だよ。約束通り、世界中でもう少しブラジリアン・ファンクが楽しめるよ」


「São Paulo」は、プレイボイ・カルティとの「Dancing in the Flames」と「Timeless」に続く、ウィークエンドのニューアルバム『Hurry Up Tomorrow』の最新予告曲である。

 

 「São Paulo」



Moonchild Sanelly(ムーンチャイルド・サネリー)は、ビヨンセやティエラ・ワック、ゴリラズ、スティーヴ・アオキなどのアーティストとコラボしてきた南アフリカのゲットー・ファンク・スーパースターだ。アフロ・ファンク、ソウル、レイヴ、ポップスを融合させ、刺激的なダンスビートを提供する。

 

先月、ムーンチャイルド・サネリーは、2025年1月10日にTransgressive Recordsからリリースされる新しいスタジオ・アルバム『Full Moon』と、2025年のイギリスとアイルランドのヘッドライン・ツアーを発表した。

 

『Full Moon』は、サネリーのユニークなサウンド、陽気なアティテュード、個性的なヴォーカル、そしてジャンルを超えたヒットメーカーとしての才能を披露する12曲からなるコレクションで、アルバムの最新シングルとビデオ「Do My Dance」も収録されている。(ストリーミングはこちら)

 

最新作は、マラウイ、イギリス、スウェーデンで録音され、ヨハン・ヒューゴ(Self Esteem、MIA、Kano)がプロデュースした。『Full Moon』のクラブ・レディーなビートは、エレクトロニック、アフロ・パンク、エッジの効いたポップ、クワイト、ヒップホップの感性の間を揺れ動く。

 

「このレコードを "FULL MOON "と名付けたのは、これらの経験を生き、書くことで得た、実に明確な感覚を伝えるため」とムーンチャイルドは言う。「”Phases”では月の満ち欠けを表現した。月が満ち欠けするとき、月は一度に自分の一部を見せる。”Full Moon”は、私全体が照らし出される。私の全自己の到着だ」

 

「FULL MOONは、私がここにたどり着くまでに経験しなければならなかったこと、感じなければならなかったすべての感情、経験したすべての集大成です。このプロジェクトには、最初から最後まですべてが凝縮されている。これは融和を表していて、ケンカ、悲しみ、立ち直ること、手放すこと、許すこと、受け入れることを意味します。許しには精神的、霊的な一体感があり、それはあなたを完全なものにしてくれる。だから私はここにいる。それが"FULL MOON "だ」

 

ムーンチャイルドは、"大胆なアンセム(CLASH)"である "Scrambled Eggs "のリリースで復帰のスタートを切った。COLORSxSTUDIOSの独占ショーで初披露された "Sweet & Savage "と、"感染するほど舌を巻くヒット曲(DIY)"である "Big Booty "である。「''Big Booty"は、グラストンベリーでの10公演を含め、ヨーロッパ中のフェスティバルで観客を沸かせた。アルバムの収録曲「Gwara Gwara」は、「EA Sports FC25」のサウンドトラックにも収録されている。

 

この夏には、「アルトポップの未来のスーパースター」であるセルフ・エスティームとのコラボ曲 "Big Man "がリリースされ、ガーディアン紙で「2024年の夏の歌」と評された。

 

先週(11/2)ムーンチャイルド・サネリーはBBCのテレビ番組「Later...With Jools Holland」をDJと一緒に出演した。ウサギダンスをDJは披露。また、サネリーは”原宿ファッション”に触発されたブーツを履いているのにも注目したい。ライヴ・パフォーマンスの模様は下記よりご覧ください。


ムーンチャイルド・サネリーの『Full Moon』は来年1月10日にTransgressiveより発売されます。来年最初の話題作の一つ。



「Later...With Jools Holland」

 

 

Moonchild Sanelly(ムーンチャイルド・サネリー)  3作目のアルバム『Full Moon』を発表  Transgressiveより1月10日に発売


米国の伝説的なレコード・プロデューサー、作曲家、マルチ・インストゥルメンタリストであり、現代音楽への貢献は70年以上に及び、ジャズ、ポップス、ヒップホップなど様々なジャンルに及んだクインシー・ジョーンズが91歳で亡くなった。1980年代のアーバンコンテンポラリーをリードしただけではなく、ポピュラーミュージックに大きな影響を与えた偉大なミュージシャン。


クインシー・ジョーンズの家族は声明の中で次のように訃報を明らかにした。「今夜、私たちの父であり兄であるクインシー・ジョーンズの訃報に接し、胸が張り裂けそうになりました。そして、これは私たち家族にとって信じられないような損失ですが、私たちは彼が生きた偉大な人生を祝福し、彼のような人は二度と現れないことを知っています」


ジョーンズは音楽業界で最も称賛されたアイコンの一人であり、3度の年間最優秀プロデューサー賞、2度の年間最優秀アルバム賞と年間最優秀楽曲賞を含む、グラミー賞の最多ノミネート80回、受賞28回を記録した。最近の受賞は2019年で、娘のラシダ・ジョーンズが脚本と共同監督を務めた半自伝的ドキュメンタリー『クインシー』が最優秀音楽映画賞を受賞した。


プロデューサー、アレンジャーとして、ジョーンズは20世紀で最も決定的なレコードのいくつかを手がけた。1982年のマイケル・ジャクソンの大ヒット作『Thriller』をプロデュースし、このアルバムは今でも史上最高の売り上げを記録している。


ディジー・ガレスピー、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、ルーファス&チャカ・カーン、アル・ジャロウなど、各時代のトップ・タレントとコラボレートし、レスリー・ゴアの "It's My Party"、フランク・シナトラの "Fly Me to the Moon (In Other Words)"、ブラザーズ・ジョンソンの "Strawberry Letter 23 "など、ジャンルを超えたヒット・シングルの指揮も執った。


クインシー・ディライト・ジョーンズ・ジュニアは1933年3月14日、イリノイ州シカゴ生まれ。幼い頃からピアノを習い始め、家族でシアトルに引っ越してからトランペットを始める。ジャズ・バンドのリーダー、ライオネル・ハンプトンのツアーに参加するため、ボストンのバークリー音楽大学を1年で中退し、その後ニューヨークに移り、レイ・チャールズ、サラ・ヴォーン、カウント・ベイシー、デューク・エリントン、エラ・フィッツジェラルドなどのフリーのアレンジャーとなった。


1956年に最初のアルバム『This Is How I Feel About Jazz』をリリースしたが、1962年の『Big Band Bossa Nova』や1971年の『Smackwater Jack』など、立て続けにリリースしたアルバムで知名度を高めた。ソロでは、1973年の『You've Got It Bad Girl』、1974年の『Body Heat』、1981年の『The Dude』で、ジャズやビッグバンド・ミュージック以外のジャンルをさらに探求した。1989年の大作『バック・オン・ザ・ブロック』は、急成長中のヒップホップ・スタイルを含む、広範な感性のすべてを融合させたもので、アルバム・オブ・ザ・イヤーを含むグラミー賞7部門を受賞した。


1985年、ジョーンズはスティーヴィー・ワンダー、ティナ・ターナー、ボブ・ディラン、ポール・サイモンら一流のミュージシャンを集め、非営利団体USA for Africaのためにシングル「We Are the World」をレコーディングした。ジャクソンとライオネル・リッチーが書いたこの曲は、アフリカの人道的救済のために7500万ドルの寄付金を集め、年間最優秀楽曲賞と年間最優秀レコード賞を含む3つのグラミー賞を受賞した。ジョーンズは45人以上のミュージシャンとのレコーディング・セッションを指揮し、入り口にこんな警告を掲げた:「エゴは入り口でチェックしてください。


ジョーンズはエンターテインメント業界においても画期的な存在で、1967年の『バニング』の「愛の瞳」で、アフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー賞のオリジナル楽曲賞にノミネートされた。映画音楽の作曲家としては、『イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・ナイト』、『イタリアン・ジョブ』、『カラーパープル』で印象的なスコアを書き、シドニー・ルメット監督の1978年のミュージカル『ウィズ』では音楽監督を務めた。テレビ界では、『サンフォード&サン』や『アイアンサイド』の忘れがたいテーマ曲を手がけ、後に自身の制作会社クインシー・ジョーンズ・エンターテインメントを率いて『ベルエアのフレッシュ・プリンス』や『マッドTV』を制作した。


多くの称賛の中で、ジョーンズは1992年にグラミー・レジェンド賞、2001年にジョン・F・ケネディ・センター名誉賞、2011年にバラク・オバマ大統領から国民芸術勲章を授与され、2013年にはアーメット・エルテガン賞の受賞者としてロックの殿堂入りを果たした。2016年にはトニー賞を受賞した舞台『カラーパープル』のプロデューサーとしてEGOTの地位を獲得した。数々のグラミー賞受賞に加え、ジョーンズは1977年に『ルーツ』でエミー賞の優秀作曲賞を受賞し、1994年にはアカデミー賞のジーン・ハーショルト・ヒューマニタリアン賞を受賞した。


◾️【ESSENCIAL GUIDE】 R&B / BLACK CONTEMPORARY  ブラック・コンテンポラリーの最重要作とアーティスト

Interview- Passepartout Duo 



 

~  Music exists as a communicator of ideas outside of language~(音楽は言語外にあるアイデアの伝達者として存在する)  - Passepartout Duo(Nicoletta Favari)



Passepartout Duoは、ニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア/アメリカ)により結成され、エレクトロ・アコースティックのテクスチャーと変幻自在のリズムから厳選されたパレットを作り上げる。2015年から世界中を旅しながら「スローミュージック」と呼ぶ創造的な楽曲を発表している。環境音楽から実験音楽まで幅広いですが、共通するのは、デュオの音楽は従来の系譜に属するものではなく、未知の体験に溢れていることです。

 

著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライブ・パフォーマンスなど、カテゴライズされる事なく活動を続ける。ウォーターミル・センター(米国)、スウォッチ・アート・ピース・ホテル(中国)、ロジャース・アート・ロフト(米国)、外国芸術家大使館(スイス)など、世界各地で多数のアーティスト・レジデンスの機会を得た。また、2023 年には「中之条ビエンナーレ」に参加、同年4月には「Daisy Holiday! 細野晴臣」に出演。2024 年には”ゆいぽーと”のアーティスト・イン・レジデンスとして来日し、東北・北海道を訪れています。

 

Passepartout Duoは、2020年のグラミー賞の最優秀ヒストリカルアルバム部門にノミネートされた『KANKYO ONGAKU』にも参加しています。2024年の夏にリリースされたイノヤマランドとのコラボレーション・アルバム『Radio Yugawara』に続き、ニューアルバム『Arogot』を11月29日にリリースする。本作は、ストックホルムのレジデンス開催中に考案され、モジュラーシンセのBuchla、Sergeとの出会いを通じて制作された。今回、デュオのメンバーでピアニスト、楽器の開発者でもあるニコレッタ・ファヴァーリに話を聞いた。

 


ーー前作『Radio Yugawara』が環境音楽を中心に構成されていたのに対し、『Argot』の作風は大きく異なります。アルバムでは、アコースティック・ピアノとアナログ・シンセによる前衛的なライブ・セッションを聴くことができました。このアルバムの制作のインスピレーションと全体的な構想について教えていただけますか?

 

Passepartout Duo(Nicoletta Favari):  私たちの活動は非常に雑食的であることを目指しているので、私たちの異なるプロジェクトが異なるスコープに分類されることは、それほど驚くことではありません。『Argot』は一種のサウンド・リサーチであり、私たちが数年間追求し、培ってきたもので、非常に原始的で高品質なサウンド・レコーディングにも努めている。


このアルバムは、『エピグラム』というタイトルの前作EPにつながるもので、ユニークなアナログ・シンセサイザーと、私たちが演奏するアコースティック楽器、アコースティック・ピアノやパーカッションを組み合わせるというアイデアなんだ。


このアルバムでは、特定の''Buchla''や''Serge''のシンセサイザーを初めて使う機会があったので、マシンのロジックやどのような音を作ることができるのかについて多くを学ぶことができた。そのおかげで、ピアノのための作曲の新しい可能性を想像するようにもなった。『ラジオ湯河原』では、イノヤマランドとの初めてのコラボレーションで何が可能かを想像していたし、他方『アルゴット』では、シンセサイザーとピアノの組み合わせで何が可能かを想像している。



ーーBuchlaやSergeなどのシンセサイザーはどのような機材ですか?普通のモジュラー・シンセサイザーとの違いはありますか?  大まかに教えてください。


Passepartout Duo(Nicoletta Favari): 現在のシンセサイザーは、何百という先代のシンセサイザーを参考にして、インターフェースや素材、機能性を決定することができますが、BuchlaやSergeにはそのような余裕はありませんでした。これらのモデルが作られた60年代や70年代には、純粋なエレクトロニック・ミュージックを作ることは可能でしたが、ミュージシャンにとって理にかなったアプローチを作るには時間と労力が必要でした。古いBuchlaやSergeのシステムで興味深いのは、これらの新しい疑問のすべてに答えようとする非常にユニークな試みだということだ。


これらのシステムは大部分がアナログであるため、非常に特殊な特性と不安定性を持っており、それが私たちの音の扱いや機械との共同作業のプロセスにとって非常に重要なのです。システムには(Buchlaタイム・ドメイン・プロセッサーのような)デジタルの要素もありますが、同様にテクノロジーの初期バージョンを探求しているため、興味深いアーティファクト(人工物)があります。



ーーレコーディングではインプロヴァイゼーション(即興性)が強調されているように感じました。どのようなサウンドを目指したのでしょうか? また、制作の中で最もエキサイティングな瞬間を挙げるとしたらそれはどんな瞬間にありましたか?


Passepartout Duo: 私たちは主に、シンセサイザーと一緒に作曲することで、シンセサイザーをそのプロセスにおけるもう1つの能動的なエージェント(代理)として扱い、独自の決定を下していくことをアルバムのプロセスとして考えていました。


これはマシンとのインタビュー(対話)のようなもので、パッチ(データやモジュール)を設定し、音符のセットを確立することで、いくつかの質問を投げかけます。マシンは、私たちが完全に予測できず、時には理解できないような答えを返してくる。これによって、レコーディング時に私たちが反応する会話が生まれ、すべての音響パートは、そうした音楽的会話から派生したものなのです。


実は、ピアノ・パートは、シンセサイザー・パートからトランスクリプション(曲ないしは音を譜面に起こすこと(記譜のこと)によって抽出されたコンポジションです。私たちは、シンセサイザーの音の最もメロディアスでハーモニックな要素を際立たせるため、主にユニゾンのテクスチャーに焦点を当てたいと思い、聴こえたものをできるだけ正確に記譜し、また、興味深い予測不可能な結果を生み出すことができるトランスクリプション・ソフトウェアも活用しました。


この2番目のステップによって、私たちの耳は、次に録音するアコースティック楽器のパートで、より精巧にしたり、より装飾的にしたりするような、作品のさまざまな方向性を聴き取ることができました。さらにフルート、コントラバス、弦楽四重奏など、ゲスト・ミュージシャンがさまざまなトラックに参加したことで、即興の世界がより鮮明になりました!  


まず第一に、私たちは彼ら全員を素晴らしいミュージシャンと見ていますので、完全な信頼を置いて決断しました。そして第二に、これらのトラックがまったく新しい次元で生き返ったのを聴くのは本当に信じられないことでした。


ーーこのアルバムでは、日本人の打楽器奏者の住吉さんが和笛を吹いています。彼をコラボレーターに選んだ理由はなぜでしょうか?


Passepartout Duo: 今年の初め、私たちはアーティスト・イン・レジデンスとして新潟で数カ月を過ごしました。思いつきの旅行で佐渡の鼓童村を訪ねたのですが、裕太はとても素晴らしいホストとして私たちを迎え入れてくれました。


彼はまた、自身の0onプロジェクトや、音楽レーベル、自身の音楽、そしてレコーディングのセットアップについて少しだけ話してくれた。

 

その後すぐに、新潟での小さなライブ・セットで即興演奏をする機会があったのですが、裕太がいかに簡単にプロジェクトに飛び込み、彼自身のユニークな声をシームレスに織り交ぜることができるのかと、信じられませんでした。ですから、私たちは、一緒に仕事をする機会を与えてくれたことに感謝していますし、このような寛大な心の持ち主に出会えたことに感謝しています。


『Argot』のためにコラボレーターに声をかけることを決めたとき、私たちはフルートが興味深いレイヤーを加えてくれるだろうとも考えました。フルートのフレージングは言語と同じように、呼吸(ブレス)の持続時間と強く結びついているからです。


ーーお二人は以前、細野晴臣さんのラジオ番組に出演されたことがあり、最後のアルバムは湯河原の温泉地でレコーディングされたそうですね。日本との関係はどのように始まりましたか? また、日本文化のどこに魅力を感じますか?


Passepartout Duo:  日本的な文化が好きな友人が、文学やさまざまな証言を通して彼女が心に描いてきた日本が、現実には存在しないことに気づくだろうから、日本には絶対に行きたくないな、と言ったことがありました。


たまたまクリスと私はここ数年のあいだ、何度も日本を旅行する機会があったけれど、その度に私たちの日本への想像は現実と出会い、そして離れている間に独自の成長を遂げ、再び現実に引き戻されたような気がしました。それはある種、興味深いダイナミックな関係を意味します。


ーー思っていたのと違った箇所もあったけれど、実体験によって、より深い理解を得たということですね。日本文化に対する見方について具体的に、どのようなときに予想外だと感じましたか?

に対する見方について。具体的に、どのようなときに「思ってい

Passepartout Duo: 地理的に日本のさまざまな地域を訪れることができ、その違いを感じることができたと思います。青森から佐渡まで、東京から京都まで、長野から徳島まで、地域によってリズムが違ったり、季節によって生活の意味合いが違ったりするのは、いつも驚きましたし新鮮でした。


ーーPassepartout Duoの音楽性を「スロー・ミュージック」と表現していますね。この音楽は「くつろげる、ゆったりとした音楽」と定義されるのでしょうか? この考えを「Argot」にも当てはめることはできますか?


Passepartout Duo:  私たちが "スロー・ミュージック "と言う場合、一般的には、構想や楽器の設計から最終的な音楽の完成に至るまで、多くの時間を要する段階からなるプロセスとしての音楽制作に対する私たちの全般的なアプローチを指しています。


実際、私たちが音楽制作をコントロールする上で、一方ではかなり具体的であるとしても、他方では、人々が私たちの音楽を聴くときの心の状態について、本当に予測することはありません。Argotでは、いくつかの曲を聴いた後の感情の状態をどう表現したらいいのか本当にわからない。私たちが音楽を聴くとき、特に興味があるのは、音楽を理解することと理解しないことの間の押し引き(境界線)なのかもしれない。私たちの考えでは、音楽は言語の外にあるアイデアの伝達者として存在し、楽曲の目的、反応、感覚を表現するのに通常の言語では不十分と感じています。しかし、私たちの側からアルゴについて確実に言えることは、「妥協のない音楽」ということです。


Argotは私たちが話していた「スローミュージック」のプロセスに入るのでしょうか?というのも、このプロジェクトは、私たちが新しい楽器を発明したり、作ったりする必要がなかったからです。また、ライブ・パフォーマンスという形式をとっていないため、聴く人それぞれが、どこでどのように聴くかによって、自分自身のリスニング体験を作り上げることになるからです。


ーーさて、お二人は頻繁に世界中を旅していらっしゃるようですね。旅先で出会った人々や文化、風景は、あなたの作品に影響を与えていますか? 旅の素晴らしさや醍醐味について教えてくださいますか。


Passepartout Duo:  私たちはこの7年間、旅を続けていますが、本当に幸運なことだと思います。この旅はまず私たちを人間として変化させましたし、そうして音楽にも浸透させている。作品を発表するために呼ばれる場所や状況が絶えず移り変わるので、私たちは常に練習方法を見直したり、新しく発見した音楽のテクニックや楽器の素材、リズムやアイデアに触発されることがよくあります。私たちは行く先々で、素晴らしいアーティストやミュージシャンに出会うだけでなく、美しいコミュニティやアーティスト・スペースの運営方法にも出会うこともある。


『Argot』に関しては、この微妙なプロセスを如実に表しています。というのも、もともとオーストリアのレジデンスでのブクラ・シンセサイザーとの出会いに触発され、スウェーデン、フランス、アメリカでのレジデンスのおかげで実現したものだし、中国や日本での旅からのインスピレーションも含まれています。もっと多くの人が旅行や旅をする機会を持てば、社会はもっと良くなると私たちは心から思っています!


ーーArgotは音楽として聴くことも、芸術作品として解釈することもできます。このアルバムに接した人たちに、どのような面白さを感じてほしいですか?


『Argot』のリスナーが、エレクトロニック・ミュージックとアコースティック・ピアノの両方に対する新しい考え方を発見できるような、新鮮なアルバムだと感じてくれることを願っています。


ーーPassepartout Duoの今後について教えてください。また、あなたにとって最も理想的な音楽と芸術の形は何ですか?


新しい旅の計画は続けていますし、新しいライブセットも現在開発中です。数ヶ月後には、ベルリンのKOMA Elektronik社と共同で製作・販売を開始した楽器、''Chromaplane''が多くの人の手元に届き、使われ始めるでしょう。自然はおそらく私たちにとって最もパワフルな音楽で芸術でもあるのです!

 

『Argot』に関するリリース情報はこちらからご覧ください。



【Episode In English】

 

The Passepartout Duo, formed by Nicoletta Favari (Italy) and Christopher Salvito (Italy/USA), create a carefully selected palette of electro-acoustic textures and mutable rhythms. Since 2015, the group has been traveling the world, presenting creative compositions they call “slow music”. The music ranges from environmental to experimental, but the common thread is that the duo's music is not part of a traditional musical lineage, but rather an experience of the unknown.


They continue to work without categorization as guests of prominent artist residencies and live performances in cultural spaces. He has had numerous artist residency opportunities around the world, including the Watermill Center (USA), Swatch Art Peace Hotel (China), Rogers Art Loft (USA), and Embassy of Foreign Artists (Switzerland). In 2023, they participated in the Nakanojo Biennale, and in April of the same year, they performed in “Daisy Holiday! Haruomi Hosono”. In 2024, they came to Japan as artists-in-residence for “Yui Port”, visiting Tohoku and Hokkaido.


The Passepartout Duo also performed on “KANKYO ONGAKU,” nominated for a 2020 Grammy Award in the Best Historical Album category, and released a collaborative album with Inoyama Land, “Radio Yugawara,” in the summer of 2024. Following this, he will release his new album “Argot” on November 29. 

 

This work was conceived during a residency in Stockholm, and was created through an encounter with modular synths "Buchla" and "Serge". We contacted with Nicoletta Favari, a member of the duo, pianist, and instruments developer.


--While the previous album "Radio Yugawara" was composed mainly of environmental music, the style of "Argot" is very different. On the album, we can hear an avant-garde live session of acoustic piano and analog synths. Can you tell us about the inspiration and general conception of the production of this album?

 

Passepartout Duo: Our practice aims to be quite omnivorous, so it is not really a surprise for us that our different projects fall into different scopes. Argot is a sort of sound research, something that we have been seeking and cultivating for a couple of years, and where we strive for very pristine and high quality sound recording too. It reconnects to our previous EP titled Epigrams, and the idea is to couple very unique analog synthesizers with the acoustic instruments we play, acoustic piano and percussion. 


In this album, we had the opportunity to use some specific Buchla and Serge synthesizers for the first time, and so we learned a lot about the logic of the machine and the kind of sound it can create. Because of this, we also started imagining new possibilities for writing for piano. Maybe what is in common between all of our work at a very basic level, is the understanding of music as the magic materialization of a possibility: in Radio Yugawara we were imagining what would be possible in a first time collaboration with Inoyama Land, and in Argot we are imagining what is possible pairing synthesizers and piano.


ーーWhat kind of equipment are synthesizers such as Buchla and Serge? Are there any differences between them and ordinary modular synthesizers?  Could you give us a general idea?


Passepartout Duo: When a synthesizer is made today, we can pull from its hundreds of predecessors to make decisions about the interface, materials, and functionality, but Buchla and Serge did not have this luxury. When a technology is new, there are no answers yet, just many questions - in the 60s and 70s when these models were made, it was possible to create pure electronic music, but creating an approach that made sense for musicians took time and effort, and so conventions were developed slowly. What is interesting about the older Buchla and Serge systems is that they are very unique attempts to answer all of these new questions.


Because the systems are largely analog, they have a very special character and instability that is very important to our treatment of the sound, and the process of collaborating with the machine. There are some digital elements to the systems (like the Buchla Time Domain Processor), but because they are similarly exploring early versions of the technology, they have interesting artifacts too.


--It seemed to me that improvisation was emphasized in the recording. What kind of sound did you aim for in this production? And if you had to name the most exciting moment in the production?


Passepartout Duo:  We mainly saw the process of the album as composing together with the synthesizer, treating the synthesizer as another active agent in the process contributing its own decisions. It was a sort of interview with the machine, where we pose some questions by setting up a patch and establishing a set of notes. The machine generates some answers back, answers that we cannot fully predict and sometimes cannot understand, even if they make sense based on the question asked. This creates a conversation that we’re reacting to when recording, and all the acoustic parts are derived from those musical conversations.


The piano parts are compositions that are extracted from the synthesizer part through transcription. We wanted to focus on primarily unison textures to highlight the most melodic and harmonic elements of the synthesizers’ sounds, notating out what we heard as accurately as we could, also making use of some transcription software that can produce interesting and unpredictable results. This second step helped our ears hear different directions the pieces could go, that we would elaborate or embellish in the acoustic instrument parts that were recorded next.


The contributions that guest musicians gave to different tracks on flutes, double bass, and string quartet live more clearly in the world of improvisation, and this was possibly the most exciting moment of the production for us! First of all, it was a step that we took with complete trust, because we see all of them as incredible musicians; and secondly, it was just incredible to hear these tracks come alive again in a completely new dimension: something that we thought we knew so well, was now sounding like we could have never imagined on our own, and this was really magical!


--On this album, Sumiyoshi-san, a Japanese drummer, plays the Japanese flute. What made you choose him as your collaborator?


Passepartout Duo:  Earlier this year we spent a couple of months as artists in residence in Niigata, and we were so lucky to meet a bunch of wonderful people involved with music. On a spontaneous trip we were taken to visit Kodo on Sado Island and Yuta hosted us as such a wonderful host. He also shared with us a bit about his 0on project, his music label, his own music, and his recording setup. 


Soon after, we had the chance to improvise during a small live set in Niigata, and it was so incredible how easily Yuta could jump into a project and seamlessly weave in his own unique voice. So we are very grateful for the chance to work together, and thankful for meeting such a generous soul! When we were deciding to reach out to collaborators for Argot, we also thought that these flutes would add an interesting layer because their phrasing is, like language, strongly connected to the duration of the breath.


--The two of you have appeared on Haruomi Hosono's radio program before, and your last album was recorded in the hot spring resort of Yugawara. How did your relationship with Japan begin? Also, what do you find favorable about Japanese culture?


Passepartout Duo:  A friend who is very fond of everything that is Japanese once told me that she would never want to visit Japan, because she would realize that the Japan she had cultivated in her mind through literature and different accounts does not exist in real life. 


It happened that Chris and I had many opportunities to travel back to Japan in the last few years, and I feel like every time our imagination of Japan meets reality and then has some time to grow on its own when we are away, and then back to reality again. That is a sort of interesting dynamic relationship.


--So you have gained a deeper understanding. Specifically, when did you find your view of Japanese culture unexpected?


Passepartout Duo: I think I was able to visit different parts of Japan geographically and feel the differences! From Aomori to Sado, from Tokyo to Kyoto, from Nagano to Tokushima, it was always surprising and refreshing to see the different rhythms in different regions and the different meanings of life in different seasons.


--You guys describe the musicality of Passepartout Duo as "slow music". Is this music defined as "relaxing, laid-back music that makes you feel at home"? Can we apply this idea to "Argot" as well?


Passepartout Duo:  When we speak of “slow music” we generally refer to our overall approach to music making as a process, made of many time-consuming phases from conception and instrument design to final fruition of the music. In fact, if from one side we are quite specific in the control that we have over the production of the music, on the other side we really don’t have predictions about the state of mind that people should have when listening to our music. 


And especially with Argot, we are really not sure how to describe the emotive state after we listen to some of the tracks. Maybe what we are particularly interested in when we listen to music is this push and pull between understanding and not understanding the music, so that in fact the act of listening is expanding our own understanding. In our view, music exists as a communicator of ideas outside of language, and we don’t feel language is normally sufficient to describe the purpose, response, and feeling of a piece. But from our side, what we can certainly tell about Argot is that it is music of no compromises.


Now, does Argot fall in the process of “slow music” that we were talking about? I think only partially, because this project did not require us to invent and build new musical instruments, and also because it does not really exist in the format of a live performance, so every listener will be curating their own listening experience depending on how and where they are listening to it.


--It seems that you two often travel around the world. Do the people, cultures, and sights you encounter on your travels have any influence on your work? Can you tell us about the beauty of travel?


Passepartout Duo:  We have been continually traveling for the past seven years, and we know we are really fortunate. This travel is first changing us as people, and in this way seeping through into the music too. Because of the shifting grounds and circumstances where we are called to present our work, we are constantly reframing our practice, and we are often inspired by newly discovered music techniques, materials for musical instruments, rhythms or ideas. 


Everywhere we go we encounter incredible artists and musicians, but also beautiful communities, and ways of running artist spaces, and the dedication of all of these people give us a lot of strength and motivation.


Argot is really a clear example of this subtle process, because it was originally inspired by our encounter with the Buchla synthesizer at a residency in Austria, it actually was made possible thanks to residencies in Sweden, France, and the US, and also includes inspiration from travels in China and Japan.


We truly think that if more people had the chance to travel or travel more often, our societies would improve!


--“Argot" can be listened to as music and interpreted as a work of art. What do you hope people who come into contact with this album will find interesting?


Passepartout Duo:  We hope that listeners of Argot will find it a refreshing album that allows them to discover new ways of thinking about both electronic music and acoustic piano, which is exactly what happened to us in the process of making it too.


--Can you tell us about the future of Passepartout Duo? Also, what is the most ideal form of music and art for you?


Passepartout Duo:  We continue to have plans for new travels, and we are developing at the moment a new live set as well, that will include some older and some newer instruments. 


In a few months many people will also start receiving and using the Chromaplane, the instrument that we have started producing and selling together with the Berlin-based company KOMA Elektronik, so we are really excited to see where that will take understanding of the instrument and of electronic music.Nature is probably the most powerful form of music and art for us!

 



 The Horrorsはニューアルバム『Nightlife』のセカンドシングル「Trial By Fire」をリリースした。ゴシック、ポストパンク、インダストリアル、ダンスロックが結びついたアンセミックなナンバーだ。


バンドはプレスリリースで、このニューシングルについて次のように語っている。「Trial By Fire」は『Night Life』の攻撃的な曲のひとつで、僕らの2つのインダストリアルEPと新作の間のギャップを埋める内容なんだ。リースはサウスエンドで孤独にデモを作り始めた。この曲は、人生につきまとう呪いについて歌っています。ホラーズにとっては、毎日がハロウィンなんだ」

 

『Nightlife』はバンドにとって8年ぶりの新作となり、ラインナップを変更した。ホラーズの最後のアルバムは2017年の『V』だが、2021年には『Lout』と『Against the Blade』のEPをリリースしている。バンドにはまだヴォーカルのファリス・バドワンとベーシストのリース・ウェブが在籍している。これら結成時のメンバーに、キーボードのアメリア・キッドとドラムのジョーダン・クック(バンドTelegram)が新たに加わった。オリジナル・メンバーのジョシュア・ヘイワードもアルバムでギターを弾いている。オリジナル・メンバーのキーボーディスト、トム・ファース(2021年にバンドを脱退)とドラマーのジョー・スパージョンは不在だ。


バドワンとウェブは、ウェブのノース・ロンドンのアパートでデモ制作を始め、レコーディングはロサンゼルスでプロデューサーのイヴ・ロスマン(Yves Tumor、Blondshell)と行った。その後、ギタリストのヘイワードとともにロンドンでアルバムが完成した。


ザ・ホラーズのニューアルバム『ナイトライフ』をフィクションから2025年3月21日にリリースされます。


「Trial By Fire」





◾️THE HORRORS(ザ・ホラーズ)がニューアルバム『NIGHTLIFE』を発表 3月21日にリリース

 

©Elizabeth De La Piedra

米国のシンガーソングライター、Bartees Strange(バーティーズ・ストレンジ)はハロウィーンに合わせて次作『Horror』からのニューシングルを発表した。ケイト・アーサーが監督したミュージックビデオは、ボルチモアのお化け屋敷で撮影された。


「これはアルバムの音のテーゼだ」とストレンジは声明の中で「Too Much」について語っている。「これが好きなら、他の曲も全部好きになると思うよ。このアルバムは、私を怖がらせるものについて歌っているんだ。そしてこの曲は、人生に圧倒される感覚について歌っている。この曲はそんな気持ちを歌っている。抱えきれないほど、触れることもできないほどにね」

 

Bartees Strangeの新作アルバム『Horror』は2025年2月14日に4ADからリリースされます。 


「Too Much」






10月30日、ロサンゼルスのインディーポップシーンのリーダー、Magdalena BayはABCテレビの番組「Jimmy Kimmel Live!」に出演した。マグダレナ・ベイは業界の人間から受けの良いデュオである。

 

ライブステージにせよ、録音にせよ、独創的でワイアードなキャラクターを演出するのが夫婦のデュオ、マグダレナ・ベイ。ステージでは、オペラ座の怪人のようなマスクを身につけることもある。

 

今回のテレビ出演では、ワイアードさに拍車がかかっている。スタジオセットの背後には鏡のプロジェクターが設置され、1つ目の妖怪や最新アルバムのイメージである回転するCDディスクが映し出され、床からはスモークが舞い上がり、幻想的な雰囲気を演出。そして、アラビアンナイト風のエキゾチックなドレスに身を包んだマイカ・テネンバウムがディスコ調のインディーポップソングを歌い始めてからしばらくすると、ステージの階段にゴジラのような巨大ヒトデが登場し、踊り始めた。果たして、ここまで手の込んだセットを作る必要があったのか!!

 

今年に入り、マグダレナ・ベイはニューアルバム『Imaginary Disc』をMOM+POPから8月23日にリリースしている。今週初めにグライムスと組んでシングル「Image」のリミックスを発表した。


 


 Ethel Cain(エセル・カイン)が、来年1月8日に発売される次回作『Perverts』のリード・シングル「Punish」をリリースした。バリトン・ギターとラップスティールのヴィヴァ・メリンコリヤをフィーチャーしたこの曲は、カインとシルケン・ワインバーグが監督したミュージック・ビデオと合わせて公開された。


「羞恥心はどこまで深く、許されざる行為はどこまで許されるのだろう。自分のせいではないし、どうしようもなかったと自分に言い聞かせるだろうか?それを本当に信じる人がいるだろうか?そうだろうか?」


2022年の『Preacher's Daughter』に続くこの作品は90分に及ぶが、カインはこれをアルバムではなくEPだと表現している。彼女はペンシルベニア州コラオポリスとタラハシーの間で作曲、プロデュース、レコーディングを行なった。この曲に関するアーティストの声明は詩によって行われている。



1.長い長い森を抜けて行くと、私は何も感じず、何者でもなく、安らいだ。灰色のトネリコの木とその斑模様の羽は互いに一体となり、頭上で天井を形成するように湾曲し、枝分かれしていた。幹と幹の間は広く区切られ、広大な回廊が目の前、背後、そして周囲へと四方八方に伸びていた。ああ、あの樫の木の間で過ごした終わりのない夕暮れの秋を、私は何と讃えればいいのだろう!


2: 誰も私と一緒に来る者はなく、誰も私に襲いかかる者はなかった。しかしある日、木々が折れ、回廊が終わり、私は大暗黒の岩場に突き落とされた。


そこで私は初めて顔を見、足音を聞いた。熱く握り締めたこの2本の裸の手を持ち運ぶのは恥ずべき行為だった。森のなかでは、その両手に気づくことはなかった。ここでは、張りのある皮膚が伸び、汗をかき、まるで自分たちの握力に苛立つかのように光っていた。


グレート・ダークを歩き回ると、見渡す限り灰色の不毛の岩しかなかった。それは観察者を通行人にした。私は、彼らがとぼとぼと歩き、開いた口に指を突っ込み、舌をなめらかにして、濡れるのを必死に待っているのを見た。森の中では、私は監視者であった。しかし、無気力という窒息しそうな労苦の中で、私は鐘の音を聞いた。ぬるぬると曲がった指の間の神のつぶやきが、私の首の後ろの髪をなびかせた。私の筋肉は皮膚の重みに耐えかねて呻き、解き放たれたくてうずいた。


3: 目の前の地平線に、丘の上に大きなドームがそびえているのが見えた。そう、私はそれをこの目で見たのだ!白い外壁は、平らな開口部が霧に隠れてよく見えず、背後の暗い空とかろうじて区別がついた。


凸型の屋根は円盤の上にあり、神殿を取り囲む大きなイオニア式の柱によって支えられていた。階段が放射状に斜面を下っており、まるで落とした石から逃れる池の波紋のようだった。それは人生よりも、木よりも、この暗闇を満たす他のすべてよりも偉大で、私のだまされやすい喜びは、それがすべて私のものだということだった。


そう、すべて私のものだった!人は私についてくることはできても、私の中に入ってくることはできない。私の両手は、骨にひびが入るような音を立てながら外へと伸ばされた。


4: あとは言えない。何も変わらないのだから。もし私が全裸で神の劇場に足を踏み入れたとしたら。もし私が何も必要とせず、何も欲しがらなかったとしたら。そのとき、もし私が満腹になり、円筒形のプルプルが、ぽっかりと空いた顎から私の果てしない喉へと滑り込んでいったとしたら。


水晶の水の上の真珠色の油のように、ベールを透かして揺らめくそれを見たなら。私を形成するすべての原子、私のすべての開口部や傷口を通して、第5の私を完成させてほしいと懇願する私の多声部を通して、私が歌っているのを聞いたとしたら。もしそれが私を見つめ、私がいかに神が知っていることを知り、神とともにいることを必要としているかを見たなら。もしそれが平坦な不協和音で私に語りかけてきたなら、"どうしてできないの?"というように。


5: こんなことを話しても、何の意味もない。たとえ地面の下であっても、自分自身と自分の過ちを繰り返そうとする愚かな欲求を抱えたまま、私はどんな形で地面の下に戻されたのだろう。誰が崖っぷちを覗き見るために壁を登らないだろうか? 


戒めの物語は愚か者の道楽であり、私は愚か者ではない。私の手はねじれ、継ぎ目で破裂する。転倒したときの悲しみや、この岩だらけの田舎に這い戻るときの苦しみを抑えきれなかったように。私は、私は、私は!でも、心に響くような細かいことは言わない。そのわけは皆さんご存知でしょう?  




「Punish」


スーパーチャンクとクイヴァーズは、USツアーを終え、ハロウィンをお祝いするスプリット7インチでタッグを組んだ。ダブルA面のハロウィン・シングルは2曲のカヴァーをフィーチャーしており、スーパーシャンクはデッド・ムーンの「Fire in the Western World」を、そしてクイヴァーズはヨ・ラ・テンゴの「Pass the Hatchet, I Think I'm Goodkind」を再解釈している。(両シングルのストリーミングはこちら


スーパーチャンクのフロントマン、マック・マコーガンは「Fire in the Western World」について次のように説明しています。


「数年ぶりにお化け屋敷に戻り、ハロウィーン・トラックをお届けします!今回は永遠のロッカー、デッド・ムーンの不朽の名曲「Fire In The Western World」です。今月のQuiversとのツアーでは、ほぼ毎晩この曲を演奏して楽しみました。ツアー用の7インチは完売してしまいましたが、お好きなデジタル音源からこの曲を吹き込めば、トリック・オア・トリートたちを怖がらせることができます。真夜中に鳴く雄鶏の声が聞こえないだろうか?」

 




Paste誌で初公開された "Pass the Hatchet, I Think I'm Goodkind "のクイバースのコメント。


ヨ・ラ・テンゴの10分47秒の名曲 "Pass the Hatchet, I Think I'm Goodkind "というありえない曲を選んだんだけど、この曲に参加できて本当に楽しかった。特に、古いソウル・ソングの中にいると、以前にもあった、そしてこれからも続く曲の川に足を浸すような感覚になる。あのビートとベースラインは永遠だ。 


タスカム388のオープンリールを使って、初めて自分たちでレコーディングしたんだ。ベラとホリーがヴォーカルを担当し、私たちはヨ・ラ・テンゴの素晴らしい繰り返しの壮大な世界というよりも、この曲を、行ったり来たりする伝送のようにイメージした。その後、ホリーがミックスしてくれたんだけど、初めて自分たちだけで作った曲ができて、いい気分だった。DIYは音楽の唯一の未来だと思う!ツアーに先駆けてSuperchunkとスプリット7インチを作るなんて夢のようだった。



世界中の音楽ファンを魅了する音楽家、青葉市子。2025年新春にデビュー15周年記念公演開催決定!




先週末、総勢10名のバンド編成で来年2月リリース予定の最新作『Luminescent Creatures』を再現した”世界初演”のコンサート<ICHIKO AOBA “Luminescent Creatures” World Premiere>を大盛況のうちに終えた青葉市子。


現在は来年2月から予定されているワールド・ツアーに先駆け、約5年ぶりとなる国内ツアー<ICHIKO AOBA Japan Tour 2024>をスタートしたばかり。


2025年1月、デビュー15周年を迎えるにあたり、京都と東京にて記念公演の開催が決定しました!15年の活動を総括するソロ公演となります。どうぞお楽しみに!!




■公演概要 

公演名:ICHIKO AOBA 15th Anniversary Concert




日程:2025年1月13日(月祝)
会場:京都・京都劇場
開場17:00 / 開演18:00

日程:2025年1月20日(月)
会場:東京・東京オペラシティ コンサートホール
開場17:30 / 開演18:30

■チケット(京都公演)
全席指定¥6,800 / 全席指定<学割>¥4,800
※学割:公演当日、入場口におきまして学生証を確認させていただきます (小、中、高校生、大学生、専門学校生 対象)。

■チケット(東京公演)
S席¥6,800 / バルコニーA席¥5,800 / バルコニーB席¥4,800
※バルコニーA席 / バルコニーB席 お席によって一部演出、出演者が見えにくい場合がございます。座席の変更、振替はできませんので予めご了承ください。

※2公演共通 ⼩学⽣以上有料 / 未就学児童⼊場不可


■チケット先行受付

受付期間:11/1(金)18:00〜11/10(日)23:59
受付URL:https://eplus.jp/ichiko-15th/
※抽選受付。
※海外居住者向けチケット先行受付(先着)URL:https://ib.eplus.jp/ichikoaoba_15th

チケット一般発売日:12/1(土)



■お問い合わせ


京都公演:清水音泉 06-6357-3666 / info@shimizuonsen.com http://www.shimizuonsen.com

 
東京公演:ホットスタッフ・プロモーション 050-5211-6077 http://www.red-hot.ne.jp


ICHIKO AOBA Japan Tour 2024(全公演チケット完売御礼!)


2024年10月31日(木)@福岡・福岡市立中央市民センター ※終了
2024年11月2日(土)@広島・広島YMCA国際文化ホール
2024年11月8日(金)@札幌・ふきのとうホール
2024年11月15日(金)@金沢・金沢市アートホール
2024年11月22日(金)@高松・サンポートホール高松 第1小ホール
2024年12月1日(日)@名古屋・中電ホール
2024年12月8日(日)@仙台・仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール




■青葉市子/ICHIKO AOBA


音楽家。自主レーベル "hermine" 代表。2010年デビュー以降、これまでに7枚のオリジナル・アルバムをリリース。クラシックギターと歌を携え、世界中を旅する。"架空の映画のためのサウンドトラック" 『アダンの風』はアメリカ最大の音楽アーカイブ "Rate Your Music" にて2020年の年間アルバム・チャート第1位に選出されるなど、世界中で絶賛される。


2021年から本格的に海外公演を行い、これまで、Reeperbahn Festival, Pitchfork Music Festival, Montreal International Jazz Festival 等の海外フェスにも出演する。今年6月にはフランスの音楽家 "Pomme" と2020年にリリースされた「Seabed Eden」のフランス語カヴァーをリリース。FM京都 "FLAG RADIO" で奇数月水曜日のDJを務め、文芸誌「群像」での連載執筆、TVナレーション、CM・映画音楽制作、芸術祭でのパフォーマンス等、様々な分野で活動する。