今回、NYTの特集記事で明らかになったのは、キム・ディールは一般的にベーシストとして知られているが、当初はギタリストとして音楽キャリアを出発させようとしたこと。しかし、結果的には、ボストン時代を通じて、ベーシスト、ボーカリストとしてキム・ディールの名を世界に知らしめることになる。ピクシーズの他、ブリーダーズ、アンプスの活動で知られるキム・ディールは先週末、ソロ・アルバム『Nobody Loves You More』をリリースしたが、実際的な制作は2011年頃、つまり、ピクシーズのツアー「Lost Cities Tour」の後に始まり、フルアルバムの形になるまでおよそ13年の歳月を要することになった。ソロシンガー、ギタリストとして一つの集大成をなすような作品であることは事実である。プロデューサーにはブリーダーズのメンバー、ケリー・ディール、そしてジム・マクファーソン、さらに最終ミックスにはスティーヴ・アルビニの名前がある。アルビニの最後のエンジニアのアルバムということになるだろうか。
一般的な印象としてはギター中心のアルバムかと思うかもしれないが、実際は少し内容が異なる。歌謡曲とまではいかないが、従来から培われたインディーロックのイメージを払拭する作品である。このアルバムでは、ピクシーズやブリーダーズという名の影に隠れていたキム・ディールという歌手のポピュラーの側面が強調されている。それらのサウンドにロマンティックなムードを添えるのがストリングスやホーンの編曲で、 アルバムのハイライトともなっている。タイトル曲でオープナーでもある「Nobody Loves You More」では、ゆったりとしたテンポで切ないメロディーを情感たっぷりに歌い上げる。タイトルでは聞き手を突き放すかのように思えるが、実際のところそうではないことは、この曲の中にはっきりと伺い知ることが出来る。かと思えば、曲の途中からはミュージカルやビッグバンドのような華やかな金管楽器が登場し、古典的なジャズの雰囲気を醸し出す。必ずしも特定のジャンルを想定した作品ではないことがわかる。キム・ディールの音楽は、90年代からそうであるように、ウィットのある表現からもたらされるが、これが長らく上記のバンドの音楽性の一部分を担って来た。二曲目「Coast」は温和なインディーロックソングで、リスナーの心を和ませる。新たに加わったホーンセクションは、楽曲に華やかさを添えるにとどまらず、ディールの持つロハスな一面を強調付ける。ギター・ソロもさりげなく披露され、ハワイアン風のスケールを描き、曲に変化を及ぼす。
キム・ディールは様々な音楽の側面から理想的なロックソングとはなにかを探求する。ダンス・ポップと旧来のインディーロックの融合にも新しく取り組んでいる。「Crystal Breath」 ではコアなロックミュージシャンとしての一面が表れ、ダンスビートを背景とし、ノイジーなギターを演奏している。もちろん、ディールのボーカルもそれに負けておらず、「Canonnball」の時代の歌唱法を基にして、過激なロックの性質を録音作品に収めようとしている。ギターフレーズの間に古典的なロックンロールのスケールをさりげなく散りばめているのにも注目したい。また、「Are You Mine?」では、60年代のオールディーズ(ドゥワップ)で使用されるようなシンプルなギターのアルペジオを中心に、良質なポップソングに制作している。この曲では冒頭曲と同じように、歌謡曲調のストリングスがボーカルの合間に導入され、癒やしの感覚を与える。ある意味では60年代のドゥワップを入り口として、シナトラの時代へと接近していくのだ。
このアルバムと録音場所のロサンゼルスを結びつけるのは少し強引かもしれない。しかし、まったくその影響がないかと言えば、そうでもないようだ。「Disobedience」では70年代のバーバンクサウンド(西海岸のフォーク・ロック)の幻想的な雰囲気をギターロックで表現している。表面的なサイケデリック性はそれほど強調されず、あくまで楽曲からそういった幻想性が立ち上るのみである。しかし、こういった控えめなサイケデリアがピクシーズやブリーダーズの音楽の基礎を支えていたことを考えると、旧来のファンとしては頷くものがあるはずである。続く「Wish I Was」でもこれらの西海岸のフォーク・ロックやバーバンクサウンドからの影響は保持され、Throwing Musesと共鳴するような温和なインディーサウンドが貫流している。
そして、キム・ディールの作り出す音楽表現の中には、パンクやアヴァンギャルドの側面が含まれていることは旧来のファンであればよく知ることであるが、この点は続く「Big Ben Beat」にわかりやすい形で反映されている。 何らかのレッテルや枠組みの範疇に収まることを厭い、そしてそれらを前向きなエナジーとして発露するというロックンローラーとしての性質が出現する。これはむしろ、キム・ディールという歌手の対極的な性質が的確な形で反映されたと言える。曲の中盤の二分頃には、未だインディーズの性質を失わず、ノイズを炸裂させ、反骨精神を発現させる。体制に対するアンチであるという鋭い表明は、しかし、最終的には温和なギターフレーズにより包み込まれる。これらのアンビバレンスなサウンドは一聴する価値がある。
このアルバムの制作がかなり以前に始まったことは事実だが、一方で最終的にフルレングスとして組み上げるまでに、キム・ディールがベス・ギボンズの最新作に何らかの形で触発されたのではないかという印象を受けた。それは、一つの表情の裏側にある複数の顔とも呼ぶべきかも知れない。また、ギタリストとしてだけではなく、ボーカリストとしての新しいチャレンジが試みられているのも着目すべき点であろう。「Bats In The Afternoon Sky」では、ボーカルを用いたアンビエントに挑戦しており、アートポップに近い楽曲として聞き入らせるものがある。かと思えば、「Summer Land」ではミュージカルのサウンドに挑戦し、ジャズボーカリストになりきっている。曲全体の背景となる美麗な弦楽器のレガート、トレモロを含むパッセージや駆け上がり、アコースティックギターは、最後のカデンツァで温かな余韻を残す。これらの一つのジャンルに定義されない自由なアプローチは、時々、開放的な感覚をもたらすことがある。
今年のグラミー賞の授賞式を前に、ラナ・デル・レイはカントリーアルバム『Lasso』(仮のタイトル)を予告していたが、今回、彼女の次のプロジェクトは『The Right Person Will Stay』というタイトルで、5月21日にリリースされることが明らかとなった。同時にシンガーはUK、アイルランドのツアー日程を公表した。一連のツアーは来年6月下旬から7月上旬の4日間を予定しています。
彼女は1月から問題の曲「Henry, Come On」を予告していた。彼女がタグ付けしたコラボレーターには、カントリー・プロデューサーのルーク・レアード、長年のコラボレーターであるジャック・アントノフとドリュー・エリクソンが含まれている。
デル・レイは当初、『Lasso』が9月にリリースされることを示唆していたが、後にこう説明した。「本来あるべき姿にしたかった」といい、何らかの修正点があったことを示唆している。最新スタジオ・アルバム『Did You Know That There's a Tunnel Under Ocean Blvd』は2023年3月にリリースされた。
マディ・ディアスは、今年ニューアルバムをリリースし、2025年のグラミー賞2部門にノミネートされている。『Weird Faith』(Antiから発売)が最優秀フォークアルバム賞、そしてケーシー・マスグレイヴスをフィーチャーした「Don't Do Me Good」が最優秀アメリカーナ・パフォーマンス賞の候補作に挙がっている。
これは、ビルボード・ホット100のトップを飾った今年5月に発表された「Not Like Us」以来となるラマーの新曲で、2022年のLP『Mr.Morale and the High Steppers』に続く作品である。「Not Like Us」のビデオに収録された「squabble up」のスニペットも収録されている。また、ラマーの「The Heart」シリーズ第6弾となる「heart pt 6」も収録されている。
ラマーの婚約者ホイットニー・アルフォードと2人の子供もリビングルームで一緒に踊っており、ドレイクが「Family Matters」でフリーとアルフォードの間にラマーの子供をもうけたと主張していることに反論している。ラマーは6月下旬、故郷のロサンゼルスで6月1日に開催されたポップアウト・コンサートの後「Not Like Us」を撮影、その中で「Not Like Us」を6回演奏した。
「Not Like Us」
「scabble up」
ケンドリック・ラマーがGNXトラック「scabble up」のミュージックビデオを公開した。ラッパーは「Not Like Us」のビデオでこの曲をプレビューしており、Calmaticが監督した新しいクリップでは、彼が「How to Be Like Kendrick for Dummies」という本を読み、"Jesus Saves Gangsters Too "と書かれたサインを持っている。
ケンドリック・ラマーは11月22日(金)に『GNX』をサプライズ・リリースした。2022年の『Mr. Morale & the Big Steppers』に続く本作には、サウンウェイブ、ジャック・アントノフ、マスタード、カマシ・ワシントン、SZAなどが参加している。
「scabble up」
Matthew Herbert(マシュー・ハーバート)がロンドン・コンテンポラリー・オーケストラとともに昨年リリースした『The Horse』のスペシャル・エディションが11/29に自身のAccidental Recordsよりリリース。下記より収録曲「The Horse Is Put To Work」をチェックしてみてください。
その作風はミュジーク・コンクレートに大きな影響を受けている。アルバム『Around the House』では洗濯機やトースター、歯ブラシといった日常音を採集し、独自のディープハウスを展開。また政治色の強いレディオボーイでは、グローバリズムに抗議し、マクドナルドやGAPの商品を破壊した音をサンプリングし、即興的にビートを構築するといったパフォーマンスを行う。
2000年には「Personal Contract for the Composition Of Music (PCCOM)」をマニフェストとして掲げ、サンプルの剽窃行為が横行する今日の音楽制作の状況を痛烈に批判し、音楽の権利を保護する運動を率先している。
2005年には、Akeboshiのメジャーデビューアルバム『Akeboshi』にて、ハーバートの楽曲「The Audience」がカバーされた。
2006年2月、ネットワーク上の国家、Country Xを立ち上げる。
ヘンドリックスを含めたエクスペリエンスの面々は、この年、象徴的な年末を過ごした。ボクサーのビリー・”ゴールデンボーイ”・ウォーカーと、その弟フィルが共同経営していたロンドン北東部の「アッパーカット・クラブ」で演奏する機会を得た。 元々、アイススケートリンクを改築したこの会場は、オープニングセレモニーを終えたばかりで、ストラトフォード・エクスプレス紙に「豪華なビッグ・ビートの宮殿」と称されるほどだった。ここでは月曜日の定例イベントが開かれていた。「ボクシング・デー、家族みんなでご一緒に」と華々しい広告が打たれたアッパーカットのポスターには、午後のイベントとしてエクスペリエンスのショーが予告されていた。入場料は、男女ごとに分けられ、紳士は5シリング、婦女は3シリング。この週のイベントには、他にも、The Who、The Pretty Things、The Spencer Davis Groupが出演した。
驚くべきことに、彼の代表曲の一つ「Purple Haze」は、午後4時に始まるショーの開始を待っている合間に書き上げられた。「紫のもや」について、ヘンドリックス自身は「海の中を歩いている夢について書かれた」と公にしている。この時期、サンド社が同様の文言の入ったカプセルを販売しており、LSDの暗喩ではないかというの説もあるが、それだけではない。彼のロンドンとの出会いに触発され、「クリスマス・キャロル」などの著作で知られるチャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」(1861)の54章の一節から引用された。「There was the red sun, on the low level of the shore, in a purple haze、fast deepening into black..」(海岸の低い位置に、紫色の靄に包まれた赤い太陽があった)という箇所に発見出来る。
デビュー・シングル「Stone Free」はイギリスで受けが良かったが、「Purple Haze」に関してはアメリカで支持された。シングルとして発売されると、ビルボードホット100で65位にランクインし、デビューアルバム『Are You Experienced』の収録曲としては最高位を記録している。結果的に、1stアルバムはビルボード200で5位にラインクインし、500万枚の売上を記録、一躍両国でジミ・ヘンドリックス&エクスペリエンスの名を有名にしたのだった。
ホリデーソングの陽気な雰囲気にはよくあることだが、このクリスマス・アルバムにはほろ苦さが漂っている。ウォーリアムはデヴィッド・バーマンの最後の曲のひとつ「Snow Is Falling In Manhattanーマンハッタンに雪が降る」を歌っているが、この曲は、ディーンが "ホリデー・クラシックになる運命にある "と信じている。その歌詞は、バーマンの悲劇的な死を予感させる。"歌は時の中に小さな部屋を作り/歌のデザインの中に宿り/ホストが残した亡霊がいる"
このコレクションは、通常のクリスマスの定番曲は避けているが、クラシックなインディー・ヘイズのファンは、「Peace on Earth / Little Drummer Boy」(ビング・クロスビーとデヴィッド・ボウイが1977年にTVでデュエットするために作られた曲)に新しいお気に入りを見つけるだろう。「私たちが一番好きなのはマレーネ・ディートリッヒのドイツ語版で、それが出発点だった」とウォーリアムは言う。この曲は3人が一緒に歌う。ウォーリアムのテナー、ソニック・ブームのバリトン、そしてフィリップスの落ち着いたコントラルトを聴くことができる。
ジョン・レノンとは異なり、ルー・リードは明確にはクリスマス・アルバムというのを制作したことがない。しかし、よく調べてみると、『New York』というアルバムで、ベトナムからの帰還兵へ捧げた「X'mas In February(季節外れのクリスマス)」という深い興趣のある曲を歌っていた。ルー・リードは、その人物像を見ても、それとなくわかることであるが、一般的に見ると、少し回りくどいというべきか、直接的な表現を避けて、暗喩的な歌を歌うことで知られている。
ディーン&ブリッタ、ソニック・ブルームのクリスマス・アルバムは、直接的な反戦のテーマこそ含まれていないが、内的な平和のメタファーを歌うことで、リードのクリスマスソングに準ずる見事な作品を完成させている。同様に、ジョン・レノンの「War Is Over」のようなスタンダードな選曲から、17世紀のイングランド民謡「Greensleeves」、あるいは、18世紀のオーストリアの教会のクリスマス・キャロル「Silent Night (きよしこの夜)」を中心として、クリスマスソングの名曲をいくつか取り上げている。三人とも、インディーズ・ミュージック界の名物的な存在で、そして、音楽の知識がきわめて広汎である。このアルバムでは、驚くべきことに、ロックからクラシック、フォーク/カントリー、オールディーズ(ドゥワップ)までを網羅している。
アルバムは、デヴィッド・バーマンのカバー「The Snow Is Falling In Manhattan」で始まるが、ディーンが空惚けるように歌う様子は、ルー・リードの名曲「Walk On Wild Side」にもなぞらえても違和感がない。Galaxie 500の時代から培われたインディーロックのざらついた音質、そして、斜に構えたような歌い方、ソニック・ブームのプロデュース的なシンセサイザー、Wilcoのような幻想的なソングライティング、これらが組み合わされ、見事なカバーソングが誕生している。あらためてわかることだが、良い曲を制作するのに多くの高価な機材は必要ではないらしい。
ソニックブーム、ブリッタの両者にとっては、実際的な制作を行っていることからもわかる通り、映画音楽というのが、重要なファクターとなっているらしい。ジェイムス・ボンドの『007』シリーズでお馴染みのニーナ・ヴァン・バラントの曲「Do You Know How Christmas Trees Are Grown?」では、映画音楽に忠実なカバーを披露している。特に、この曲ではブリッタがメイン・ヴォーカルを歌い、The Andrews Sisters(アンドリューズ・シスターズ)のような美麗な雰囲気を生み出す。曲の途中からはデュエットへと移行していき、映像的な音楽という側面で、現代的なポピュラーの編曲が加わる。プロデュースのセンスは秀逸としか言いようがなく、ソニック・ブームは、シンセサイザーで出力するストリングスで叙情的な側面を強調させる。
ロジャー・ミラーのカバーソング「Old Toy Train」では、ディーンがルー・リードのオルタナティヴフォークやバーバンクサウンドの影響下にある牧歌的な雰囲気を持つフォークソングを披露している。Velvet Undergroundのデビューアルバムの「Sunday Morning」、『Loaded』の「Sweet Jane」の延長線上にあるUSオルタナティヴの源流に迫る一曲である。どうやら、彼らがアーティスト写真でサングラスを掛けているのにはそれなりの理由があるようだ。
ビング・クロスビーのカバー「You're All I Want For Christmas」は、最初期のザ・ビートルズのソングライティングに影響を及ぼしたと言われるガールズ・グループ、The Ronettes(ロネッツ)の伝説的な名曲「Be My Baby」を彷彿とさせるバスドラムのダイナミックなイントロから始まり、果てなきドゥワップ(R&Bではコーラス・グループと呼ぶ)の懐かしき世界へと踏み入れていく。この曲では、ブリッタが夢見るかのようなドリーミーな歌声を披露し、AIのボーカルや自動音声では再現しえない人間味あふれる情感豊かなポピュラーソングを提供している。
「Christmas Can't Be Far Away」は、エディー・アーノルドのカバーで、この曲もまたモノクロ映画の時代のサウンドトラックを聴くようなノスタルジアに溢れている。前曲と同様に、彼らは、戦争で荒廃する世界に光があること、そして、善意がどこかに存在するということ、また、信頼を寄せること、こういった人間の原初的な課題を端的に歌いこんでいる。分離する世界を一つに結びつけるという、音楽の重要なテーマが取り入れられていることは言うまでもない。
「If We Make It Thought December」は、おそらくマール・ハガードが歌った曲で、クリスマスベルとフォーク・ミュージックが組み合わされたカバーソングである。ただ、この曲はブリッタがメインボーカルを取り、バンジョーのアレンジによる楽しげな雰囲気を付け加え、原曲にはない魅力を再発掘している。カバーアルバムでありながら、トリオの音楽的な核心を形成するメッセージ性は強まり、最後の二曲でディーン&ブリッタ、ソニック・ブームの言わんとすることがようやく明らかになる。
ビング・グロスビーとデヴィッド・ボウイの1977年のデュエット曲「Peach On Earth/ Little Drummer Boy」では、ドゥワップの歌唱法を用い、Velvet Undergroundから、Galaxie 500、ヨ・ラ・テンゴのオルタナティヴのムードを吸収した雰囲気たっぷりのロックソングへと昇華している。コーラスワーク、そしてアコースティックギターの演奏を中心に、オーケストラのスネアを使用し、ボレロのようなマーチングのリズムを取り入れ、見事なアレンジを披露している。
カバーの選曲が絶妙であり、また、オリジナル曲の魅力を尊重しながら、どのように再構成するのかという端緒が片々に見いだせるという点で、『A Peace Of Us』は多くのミュージシャンにとって、「カバーの教科書」のようなアルバムとなるだろう。本作のクローズには、ジョン・レノン/オノ・ヨーコの名曲「Happy X'mas(War Is Over)」が選ばれている。こういった名曲のカバーを聴くたび、ヒヤヒヤするものがある。(原曲も持つイメージが損なわれませんようにと祈りながら聴くのである)しかし、これが意外にマッチしているのに驚きを覚える。 分けても、サビにおける三者の絶妙なコーラスは、繰り返されるたび、別の音域に移り変わり、飽きさせることがほとんどない。そして、ジョン・レノンの全盛期のソングライティングに見受けられる瞑想的な音楽性は、このトリオの場合は、幸福感を強調した瞑想性へと変化している。
このカバーを聴くと、ジョン・レノンは、特別なミュージシャンではなく、むしろ一般的なファンや子供が気安く口ずさめるようにと、「Happy X'mas(War Is Over)」を制作したことが理解出来るのではないか。音楽は特別な人のためのものでもなければ、特権階級のためのものでもないことを考えれば、当然のことだろう。果たして戦争のない時代はやって来るのだろうか??
94/100
「Snow」
■ Dean & Britta - Sonic Boom 『Peace Of Us』は本日、Carparkから発売。ストリーミングはこちら。
最新EP「Songs for The Daydreamers」に収録された「Somebody Else」の流れを汲む、初期Luby Sparksを想わせるインディポップ/ギターポップ・サウンド。90年代後半〜00年代前半の空気感に、終わってしまった夏を回想する歌詞が絶妙にシンクロする清涼感のある楽曲となっている。
Electric Guitar, Shaker & Tambourine : Sunao Hiwatari
Drums : Shin Hasegawa
Recorded by Ryu Kawashima at IDEAL MUSIC FABRIK
Mixed by Zin Yoshida at Garden Wall
Mastered by Kentaro Kimura (Kimken Studio)
Produced by Luby Sparks & Zin Yoshida
Cover Photography : Annika White
Luby Sparks
Luby Sparks is a Japanese alternative rock band formed in 2016. The band’s current lineup is Natsuki (bass, vocals), Erika (vocals), Tamio (guitar), Sunao (guitar), and Shin (drums). The band’s self-titled debut album, Luby Sparks (2018), was recorded in London with Max Bloom (Yuck/Cajun Dance Party) as a co-producer. In 2019, they released a single titled “Somewhere,” which was remixed by Robin Guthrie (Cocteau Twins). In May 2022, Luby Sparks released their second album, Search + Destroy, which is produced by Andy Savours, a Mercury Prize-shortlisted producer and engineer in London, who is known for working with My Bloody Valentine, Black Country, New Road, and Rina Sawayama. The album launch show at WWW X in Shibuya held in June was successfully sold out. In October, they performed in Bangkok, Thailand. In March 2023, Luby Sparks were actively expanding overseas with their first headline US tour around seven cities (New York, Boston, Philadelphia, San Francisco, Seattle, San Diego, and Los Angeles). In September of the same year, they were touring in seven cities in China, including a show at Strawberry Music Festival 2023, followed by a performance in Korea, and the worldwide festival Joyland Festival 2023 in Indonesia. The latest EP Song for The Daydreamers included four songs was released in May, 2024.
2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Search + Destroy」をリリース。同年6月には、初のワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウトとなった。10月にはタイでの海外公演、2023年3月全米7都市にて「US Tour 2023」、9月「Strawberry Music Festival 2023」を含む中国全7都市「China Tour 2023」、10月韓国、11月インドネシア「Joyland Festival」へ出演を行うなど海外での展開も積極的に行なっている。現在の最新作は2024年5月にリリースした4曲入りEP「Songs for The Daydreamers」。
Luby Sparksの自主企画「One Last Night」が11月30日大阪(LIVE SPACE CONPASS)にて初開催。Frog 3、Ben Inuiの出演が決定している。チケット販売中。
◾️イベント情報
Luby Sparks Presents 'One Last Night Osaka' (Luby Sparks / Frog 3 / Ben Inui)
本日(11月21日)ロンドンのレーベルは、三組のアーティストとの新たな契約を結んだことを明らかにした。Sparks、The War On Drugs、Greg Freemanが新しいレーベルのメンバーに加わった。
・Sparks
1970年にロン、ラッセル・メイル兄弟によって始まったスパークス。彼らは2025年にリリースされるニューアルバムとワールドツアーでインディペンデント界に復帰する予定だ。バンドは、最近AIMアワードでOutstanding Contribution to Music Awardを受賞し、伝説的な映画監督ジョン・ウーとのコラボレーションを明らかにするなど、これまで以上に多忙を極めている。