01/28 - Nashville, TN - Ryman Auditorium * 01/29 - Atlanta, GA - The Eastern * 02/05 - Asbury Park, NJ - The Stone Pony * 02/08 - Albany, NY - Empire Live * 02/09 - Toronto, ON - History * 02/11 - Detroit, MI - The Fillmore * 02/12 - Milwaukee, WI - Riverside Theater * 02/14 - St. Louis, MO - The Factory * 02/15 - La Vista, NE - The Astro Theater * 02/16 - Denver, CO - Mission Ballroom * 02/18 - San Diego, CA - The Sound * 02/20 - Los Angeles, CA - The Wiltern * 02/21 - Santa Ana, CA - The Observatory * 02/22 - Oakland, CA - Fox Theater * 02/24 - Salt Lake City, UT - The Union *
「ヴァン・ダイク・パークス、そして、ランディ・ニューマンなどはまったくと言っていいほど、商業性を無視していたから、それらの成果により名前だけは知られていても、アルバムの売上は十分と言えるものではなかった。そのため、日本でもほとんど紹介されぬまま終わっていたものも少なくなかった。 ところが、アーロ・ガスリーの「Coming To Los Angels」(1969年)がアンダーグラウンドでヒットしたのをきっかけに注目が集まるようになった。アーロ自身がウッドストック・フェスティバルで成功をおさめたことや、コメディ映画『Alice's Restaurant(アリスのレストラン)』(1969年)の成功も大いに手伝った。そして、1972年の夏、アーロ・ガスリーは「The City Of New Orleans」を大ヒットさせ、地位を決定づけた」
「それに刺激されてか、レニー・ワロンカーのアシスタント的な存在だったテッド・テンプルマンが、ポピュラー的な感覚を持つロック・グループを育てることに力を入れ始めた。その第一弾としてデビューしたのが、ドゥービー・ブラザーズだった。第二作『Toulouse Street』、その中のシングル「Listen To Music」が大ヒットし、成功を収めた。テッド・テンプルマンは、ヴァン・モリソンの制作を手伝うなど、音楽業界では、ワロンカー以上の注目を集めるようになりました。さらに、ドゥービー・ブラザーズに続いて、ヴァン・ダイク・パークス、リチャード・ペリーに才能を買われ、ニルソンやカーリー・サイモンのセッションにも参加したローウェル・ジョージを中心とするリトル・フィートが出てきた」とき、バーバンク・サウンドは決定的となった。
ワーナー・ブラザーズは、1970年代頃、ボー・ブランメルズ、モージョー・メン、そしてハーパーズ・ビザールを所属させていたAutumn Recordsというサンフランシスコのレーベルを傘下に置いていた。レニー・ワロンカーは、このレーベルに向かい、Harpers Bizarre(ハーパーズ・ビザール)のデビュー・レコード、そしてMojo Men(モージョー・メン)のヒット作「Sit Down,I Think I Love You」を制作した。
続いて、この曲はローリング・ストーンズによってカバーされた。しかも1964年のデビューアルバム『The Rolling Stones』の一曲目でである。ある意味では、この一曲目のカバーが後のストーンズの運命を決定付けた可能性があると指摘しておきたい。というのも、1960年代のロックバンドは、最初、カバーから出発するのが王道であった。ビートルズはいわずもがな、ローリング・ストーンズもカバーから出発した。
The Byrds、Beatlesの系譜にあるスタイリッシュなロックソングは、聞き手を懐かしきアメリカンロックの魅惑的な空間へと誘う。「Wild Days」、「Jacket」も秀逸なビンテージロックで渋くてかっこ良いが、「Runaway」のフォークサウンドも捨てがたい。最後に収録されている「Stay」は、今年のインディーロックソングの中ではベスト。ノスタルジックで牧歌的、そして、甘くて切ないアメリカーナのロックナンバー。Real Estateのファンにもおすすめしたい。
イタリア人のファッション写真家、そして、英国人のバレエダンサーを両親に持つピアニスト、Demian Dorelli(デミアン・ドレッリ)は、ニック・ドレイクに触発を受けたアルバムを発表している。2023年のアルバム『My Window』に続く最新作『A Romance Of Many Dimentions』は、Max Richter(マックス・リヒター)の系譜にある美しく叙情的なピアノ・アルバムとなっている。表題の意味は”異なる次元にあるロマンス”です。
リバプールのインディーロックデュオ、King Hannah(キング・ハンナ)は今年、シティ・スラングから『Big Swimmer』を発表した。4ADのバンド、Dry
Cleaningを彷彿をさせるスポークンワードのボーカルと、VU、Yo La Tengoの影響下にあるローファイなギターロック、アメリカーナに触発されたゆったりしたフォークロックが一つの特徴となっている。終盤の収録曲「This
Wasn't International」にはシャロン・ヴァン・エッテンがボーカルで参加している。
今作は、デュオが制作の前年にアメリカツアーを行ったときの経験を基に制作された。アルバムの中にはキラリと光るセンスが偏在し、「New York Let's Do Nothing」等のハイライト曲に反映されています。また、実力派のバラードソング「Suddenly Your Hand」はじっくり聴かせる。ロックバンドとしてのきらめきは、アメリカツアーの思い出を綴った中盤の収録曲「Somewhere Near El Paso」に見いだせます。サイレントで冷ややかな展開から、中盤のギターソロ、ラウドで熱情的なハードロックへと移行する曲のクライマックスは圧巻とも言える。
「Suddenly Your Hand」
42.Bonnie Light Horseman 『Keep Me On Your Mind/ See You Free』
Label: jagujaguwar
Release: 2024年6月7日
「これぞUSフォークサウンド!!」といいたくなるのが、Bonnie
Light Horseman(ボニー・ライト・ホースマン)の最新作『Keep Me On Your Mind/ See You Free』。本作は二枚組の構成となっていて、20曲が収録されています。バンドはすでにグラミー賞にノミネート経験があり彼らの熟練のサウンドは一聴の価値あり。フォーク・ミュージックが近年、他のジャンルと融合する中で真実味を失いかけている中、ボニー・ライトホースマンはソウル、ジャズの音楽性を取り巻くように、奥深いフォークミュージックの世界をリスナーに提供しています。
特に、「Keep On You Mind」では、オルガンをベースにゴスペル風の見事なコーラスワークで始まり、うっとりさせる。また、アコースティックギターをベースにした本格派のカントリーソング「I Know You Know」を始め、デュエット形式の本格的なアメリカーナを楽しむことが出来ます。また、ジャズ風のバラードも収録されており、「When I Was Younger」は彼らの代名詞とも言えるナンバーである。その他にも、バンジョーを使用した爽快なフォーク・カントリーソング「Hare And Hound」なども明るい雰囲気に充ちていて素晴らしい。また、アルバムの終盤に収録されている「Over The Pass」も気持ちが明るくなるような爽快感がある。
『Diamond Jubilee』は、各方面で「2024年のベスト・アルバム」という呼び声が高い。少なくとも一度消費して終わりというアルバムではないことは痛感出来る。ずっと聴いていると、サイケデリアの深度に呆れ、クラクラと目眩がしてくるようなミステリアスな作品。まず、32曲というボリュームに驚かされるが、内容の濃密さにも同じく圧倒される。サイケロック、モータウンサウンド、70年代のファンクロックを吸収し、ローファイな粗削りのサウンドに仕上げ、最終的にヒプノティックなポップソングのゆらめきに変わる。例えば、下記に紹介する「Flesh
and Blood」では、アナログレコードの回転数の変化をBPMに取り入れています。
Tyler The Creator、Kendrick Lamerがオーバーグラウンドの帝王だとすれば、こちらはアンダーグラウンドの帝王。NYのアブストラクトヒップホップの頭領、JPEGMAFIAが『I
Lay Down My Life For You』を携えて帰還した。本作は、盟友であるダニー・ブラウンの昨年の最新作『Quaranta』に部分的に触発を受けたような作品です。序盤ではドラムのアコースティックの録音を織り交ぜ、予測不能で独創的なアブストラクト・ヒップホップが繰り広げられます。
「ドープ」と呼ばれるフロウの凄みは今作でも健在。さらに音楽的なバリエーションも非常に豊富になりました。たとえば、「i scream this in the mirror-」では、ノイズやロック、メタルを織り交ぜ、80年代から受け継がれるラップのクロスオーバーも進化し続けていることを感じさせます。メタル風のギターをサンプリングで打ち込んだりしながら、JPEGMAFIAは、明らかにスラッシュ・メタルのボーカルに触発されたようなハードコアなフロウを披露する。そして、断片的には本当にハードコアパンクのようなボーカルをニュアンスに置き換えていたりする。ここでは彼のラップがなぜ「Dope」であると称されるのか、その一端に触れることができる。
今回、JPEGMAFIAは、ダブ的な技法をブレイクビーツと結びつけている。そして、比較的ポピュラーな曲も制作している。「I'll Be Right Time」では、 背後にはEarth Wind & Fireのようなディスコファンクのサンプリングを織り交ぜ、まったりしたラップを披露する。そして、ブラウンと同様に、JPEGMAFIAのボーカルのニュアンスの変化は、玄人好みと言えるでしょう。つまり、聴いていて、安心感があり、陶然とさせるものを持ち合わせています。これは、70、80年代のモータウンのようなブラックミュージックと共鳴するところがある。何より、「vulgar display of power」のギターの切れ味が半端ではない。迫力十分のフロウを体感しよう!!
コンツアーの最新作『Take Off From
Mercy』は文学的な気風に満ち、過去と現在、夜と昼、否定、そして、おだやかな受容の旅の記録である。カリ・ルーカスと共同エグゼクティブ・プロデューサーのオマリ・ジャズは、このアルバムを複数の拠点でレコーディングしました。チャールストン、ポートランド、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ジョージア、ロサンゼルス、ヒューストンの様々なスタジオで、Mndsgn、サラミ・ローズ・ジョー・ルイスら才能ある楽器奏者やプロデューサーたちとセッションを重ねながらアルバムを完成へと導いています。
今年、Partisanからは注目作が数多くリリースされた。その総仕上げとなったのが本作。イギリスのシンガーソングライター、ローラ・マーリングは、前作アルバムではまだ見ぬ子供のための空想的なアルバムを制作し、「Patterns In Repeat」では、私生活を基に美しく落ち着いたポピュラーアルバムを制作しています。聴いていると、心温まるようなアルバムとなっています。
アコースティックギターを元にした穏やかな曲が中心となっている。アンティークなピアノ曲「No One’s Gonna Love You Like I Can」。この曲は、冒頭の曲と合わせて彼女自身の子供に捧げられたものと推測される。クラシック音楽やUKフォークを基にし、ミッチェルの70年代を彷彿とさせるようなささやくようなウィスパーボイスを中心にして、子育ての時期を経てローラ・マーリングが獲得した無償の愛という感覚が巧みに表現される。それは友愛的な感覚を呼び起こすとともに、永遠のいつくしみが丹念につむがれる。この曲は、他の収録曲と同じように、チェロ、バイオリン、ビオラといった複数の弦楽器のハーモニクスにより、美麗な領域へと引き上げられる。細やかな慈しみの感覚を繊細な音楽性によって包み込もうとしています。
本作では、アンビエント、ポスト・クラシカル、ドリーム・ポップを融合させ、癒やしに満ち溢れたサウンドワールドを体験出来ます。音楽性に関しては、2021年のシングル集「Under The Lonquat Tree(feat. Goldmund)」の延長線上にある。アンビエントというのは、アウトプットされる音楽が画一的になりがちな側面もありますが、ホリー・ケニフの多彩なソングライティングは、叙情的な感性と季節感に充ちた見事なサウンドスケープを生み出す。また、雪解けの季節を思わせる雰囲気、初春の清涼感のある空気感が主な特徴となっています。
J. S.バッハの音楽というのは、気忙しい現代人にとって大掛かり過ぎるし、また、近寄りがたい面があると思うかもしれない。じつは私もその一人であることには違いないが、バッハの曲が、現代的な音楽の尺度からみると、膨大かつ長大にならざるを得ないのには理由がある。これは意外にも実務的な要因に拠る。特に祝日や祭礼のための音楽は、主にカンタータの形式で書かれ、20分から30分に及ぶ宗教曲が年間60曲ほど必要であったという。これらの曲の多くは、宗教的な神に対する捧げ物として書かれた一方、教会組織に対する捧げ物として制作された経緯があることを考慮に入れたい。バッハとても、もし「こういった曲を書いてほしい」という依嘱がなければ、これほどまでに膨大な総数を持つBWVを作らなかったことは明らかなのである。
1968年に、カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ギルは『Tropicalia: ou Panis Et Cercencis』を発表し、正式にトロピカリアという名称が音楽的な活動の一環として組み込まれた。本作はオムニバス形式で発売され、ブラジル国内の最初のコンセプト・アルバムだと見なされている。国内のムーブメントを担う有名ミュージシャンが参加したビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967)に触発されて制作され、セルソ・ファヴァレットは本作を「トロピカリアの集大成」と評する。ただし、後年、ムタンチスのセルジオ・ヂアスは、同作について「政治的には意味はあったが、『サージェント・ペパーズ』のような音楽的な記念碑となるまではいかなかった」と自省的に語っている。しかし、商業的にはかなりの成功を収め、1968年10月の時点で2万枚を売り上げる大ヒット作となった。