アメリカのインディー・ロックバンド、Death Cab For Cutieのフロントマンとして知られるベンジャミン・ギバートが今回、数々のロックバンドのメンバーとコラボレートしたオノ・ヨーコの作品に捧げるトリビュートアルバムを発表致しました。この作品には「Ocean Child」のタイトルが冠され、2022年の2月1日にLP盤が発売予定です。
Sharon Van Etten,Death Cab For Cutie,Us Girls,.Japanese Breakfast,Jay Som,Stephan Merrill(Magnet Fields),Thao,Sudan Archieves,WE Are King,Amber Coffmanといった面々がコンピレーション作品を個性味あふれるものにしています。
パラノウルは、最初の作品「Let's Walk on the Path of aBlue Cat」をWEB上で公開するところから活動をはじめた。
楽曲の公開は、2021年にBandcampという配信サイトを通じて行われただけにもかかわらず、Rate Your MusicやRedditでカルト的な人気を呼び、一躍パラノウルは世界的な知名度を得る。今後、2020年代、こういったWEBでの楽曲配信をメーンとするインディーミュージシャンが漸次的に増加していくような気配も感じられる。
「To See The Next Part Of Dreams」は、パラノウルの実質的なデビュー作である。LP,デジタルに加え、カセットテープ形式でリリースされているのも個性的な活動形態を感じさせる内容だ。パラノウルのこのデビュー作品は、特にインディー・ロックファンの間で好意的に受け入れられた作品で、日本にもファンは多い。
「To See The Next Part Of Dreams」独特な内省的なエナジーの強い奔出のようなものが感取られる個性的なアルバムである。そしてこの荒削りでゴツゴツした質感は現代の他の国々の高音質のデジタルレコーディングに失われてしまったものでもある。いわば、このパラノウルが自宅で一人きりで生み出した「音の粗さ」のようなものを多くの音楽ファンは求めているのかもしれない。
そして、このデビュー作品「To See The Next Part Of Dreams」がWeb配信中心のリリースであったにもかかわらず、アメリカのインディーシーンでもカルト的な人気を呼んだのは、この強い内省的なパワーに共感するリスナーが多かったからと思われる。パラノウルの描き出す青春は一人だけのものではなく、世界中の若者の心に響くにたる普遍性が込められていたのだろう。
パラノウルは、強い創作に対するエネルギーを保ち、この一、二年で、既に三作目の「Down Of The Neon Fall」を発表していることにも注目。今後もまだパラノウルの破格の勢いは途切れないように思われる。
彼らのデビュー作「Projector」は、UKのラフ・トレードが「Album of the Month」として選出したレコードでもあり、 インディーロックの醍醐味が余すところなく発揮された快作である。それはアルバム全体に渡って、若いエナジー、ほとばしるようなパワフルさの込められた作品でなにか頼もしさすら感じてしまう。
コタ・ザ・フレンドの新作「To Kill a Sunrise」は、カニエ、ナズ、ケンドリックといった大御所ラッパーの作品に比べると、いくらか話題性、刺激性に乏しいように思えるかもしれない。しかし、この作品には普遍的な良さがある。ヒップホップによりアート性を求め、芸術作品へ昇華させていこうというジョシュア・ジョーンズの意思を感じさせる。そして、張り詰めたヒップホップではなくて、それとは正反対のまったりした質感を持ち、くつろいだ感じが漂う作品である。
これまで、アメリカの人種問題について歌ってきたミック・ジェンキンスは、今作「Elephant Int The Room」において、個人的な人間関係を題材とし、痛快なフロウを交えて歌ってみせている。若い時代の父親との疎遠な関係、そして、現在の友人関係であったりを、理知的に、ときには、哲学的な考察を交えながら、スポークンワードという形に落とし込んでいる。つまり、この作品は、表向きのラップの音楽性とは乖離した、内省的な世界が描き出されたレコードなのだ。
「Elephant In The Room」の個々のトラックメイクについては、ソウルミュージックの要素がサンプリングを介して展開されている。なんとなく、哀愁の漂うノスタルジアを感じさせる作品となっている。それは、なぜかといえば、ほかでもない、ミック・ジェンキンスの幼少期の音楽体験によるものだろうと思われる。幼い頃、両親が、家でかけていたビンテージソウルのレコード、それは彼の記憶の中に深く残り続け、今回、このような形でラップとして再現されたのである。
2021年リリースされた最新作「Loving In Stereo」でもJungleのリスナーを楽しませるために一肌脱ぐというスタンスは変わることはない。人々を音で楽しませるため、気分を盛り上げるため、ロイド・ワトソンとマクファーランドの二人は、このアルバム制作を手掛けている。もちろん、彼らの試みが成功していることは「All Of The Time」「Talking About It」「Just Fly,Dont'Worry」といったネオソウルの新代名詞とも呼ぶべき秀逸な楽曲に表れているように思える。
ブレイクの新作「Friends Break Your Heart」は今年の問題作のひとつ。アルバム・ジャケットについては言わずもがなで、賛否両論を巻き起こしてやまない作品である。SZAやJIDといったラップアーティストとのコラボについても話題性を狙っているのではないかと考える人もいらっしゃるかもしれない。
つまり、コンセプトアルバムとして、この作品には、ジェイムス・ブレイクの強いメッセージが込められている、生きていると辛いこともあるけど、決して諦めるなよ、という力強いリスナーに対する強いメッセージが込められているように思える。そういった音楽の背後に漂う暗喩的なストーリにNMEは気がついたため、満点評価を与えた(のかもしれない)。個人的な感想を述べるなら、本作は「Famous Last Word」をはじめ、ネオソウルの新しいスタイルが示されているレコードで、ジェイムス・ブレイクは新境地を切り開くべく、ヒップホップ、ソウル、エレクトリック、これらの3つのジャンルを中心に据え、果敢なアプローチ、チャレンジを挑んでいる。